114 / 200
生存確率99.9%⑥
しおりを挟む
キャタピラーダンジョンは5階層ではない。
更に下に、そして横にも広がっている広大なダンジョンだった。
(これ何階層あるんだろ)
複雑に広がる通路のせいで正確な階層数は分からないが大きさで言うなら、今攻略されている広さの5倍以上だった。
そして本当の最下層であろう場所には
【エンシェントクイーンキャタピラー】
の反応。
この瞬間物凄い殺気が地下深くから飛んでくる。探知スキルでつついてしまったせいなのか脊髄反射のように返してきたのだった。
(あらららら)
たぶん私に向けたのだろうが、このダンジョンにいた冒険者全員が受けてもおかしくないぐらいの殺気の強さだった。
そしてもう1つ
【スミルナ・スターリング】
名前が似ていて家名のもあるのでたぶん行方不明のスミナだろう。もう1人のグリーンもいるかと思ったがいなかった。
バジェットとハクレイは近くにいたので飛び起きたようにテントから出てくる。
辺りの冒険者たちも騒ぎ始めていた。
「何かありましたかケーナ!!」
「どこです??」
ちゃんと反応して対応しようとする私の仲間は優秀だなと関心しつつ。
「モンスターの気配はしたけど……」
「とても強い殺気です。それも僕が今まで生きてきた中でも一番強いかもしれません。上級、いや特級はある可能性も考えられます」
バジェットは警戒と興奮をしている。エンシェントクイーンキャタピラーはそれなりに強いのかもしれない。
辺りの冒険者たちは上の階層へと避難を始めている。
それを促しているのはあの先遣隊として来ていたベテラン冒険者たちだ。バジェットと同じ様にモンスターの強さを殺気で読み取って危険を知らせている。
「ケーナ、僕たちも一度上の階に行こうか」
「んーちょっと待ってって」
見つけてしまった以上放置はできない。
それに、もし下層のダンジョンが知られれば、初心者向けのダンジョンとして機能しなくなってしまう。特級モンスターがいればなおさらだ。
(まずは害虫駆除から)
たすモードを発動させ探索範囲に反応する、うじゃうじゃいたキャタピラーどもを一掃していく。
スミナはいったん空間収納内へと保護。
残る反応はエンシェントクイーンキャタピラーのみ。
「ハクレイとバジェットはここで見張りをしてて」
「どういう事でしょうか?」
「殺気の正体が分かったんだけど、下への行き方がいまいち分からないんだよね。だから穴掘って会ってくる」
「ハクレイも一緒に行きます!」
「でしたら僕も行きますよ」
覚悟はあるようなので、強敵との対峙をさせて見ようと思い2人とも連れて行くことにした。
「わかった、一緒にいこう」
穴を掘るのもスキルアブソーブを使うだけ。地面めがけ発動させくりぬくように掘って一気に最下層まで繋げた。
あっという間に出来上がる大穴に、言葉の出ない2人。
底の見えない深淵を恐る恐る覗いている。
「松明落してみますよ」
バジェットが投げ落とした松明は闇に吸い込まれるように消えていく。底に落下した音も届いてこない。
「さっ、ここに入るよ」
「「え?」」
「ほらほら入った入った」
同時に背中を押して穴に落す。
キャーだのワァーだの情けない悲鳴があっという間に聞こえなくなっていった。
続いて穴に入る。
落下中バジェットは意識を保っていたが、ハクレイは完全に気を失っていた。
底ギリギリで浮遊魔法を使い、ふわりと到着。
「一体なんの真似ですが? 本当に死ぬかと思いましたよ」
バジェットはちょっと怒っている。
「ごめんね、躊躇してる時間がもったいなかったから。ただ、行くって言ったのはバジェット達だよ」
「そ、そうですけど……」
こんなことになるとは予想できないのは仕方ない。
「ハッ! まだ生きてる」
ハクレイも気がついたようだ。
松明だけでは、最下層の地形の把握ができない。仕方ないので魔法で大きな光源を作った。
辺りを昼のように照らすと、キャンプを設置した場所の何倍ものある空間と、殺気の発信源であろうジャイアントキャタピラーの何十倍も巨大な薄緑の芋虫を照らし出していた。
どこが頭でどこが尾なのかも分からないぐらいの大きさで、蛇のようにグルグルと蜷局を巻いている。
エンシェントクイーンキャタピラー、鑑定するとレベルは189。
初心者向けのダンジョンにいていいレベルではないことは確かだ。
あちらも気づいたのだろう明確な殺意が込められた殺気をこれでもかと飛ばしてくる。
その殺気に当てられてハクレイはまた気を失ってしまった。後ろに倒れるギリギリでゼンちゃんがクッションのように体を変化させて受け止める。
「ハクレイ大丈夫?」
⦅ハクー! しっかりしろ⦆
そんな状況を見て前に出るバジェット。
「ケーナ、僕があの巨大キャタピラーの注意を引くので、その隙にハクレイを連れて逃げてください」
恐怖で震える声を出しながらも、男気溢れる言葉を放つ。
これで彼氏持ちで無ければグッときてしまうのかなと思いつつ
「ちょっと、これは私の獲物だよ。バジェットは後ろで良く見てて」
このデカブツをどう倒すかだけど、せっかく他人がいなくて、仲間だけが見ていてくれるので私の力を披露することに。
ただ物理攻撃も魔法攻撃も耐性とぶよぶよぬるぬるした体質でまともにダメージが入りそうには無いのは分かっていた。
「まずは」
グラビティバインド。
デカい相手にはより効果が出やすい重力拘束。自重が重すぎて唸り声すら満足に上げることができず、俎上《そじょう》の芋虫といったところ。
「次は」
アブソーブによる熱吸収。
エンシェントクイーンキャタピラーが持つ体温を限界まで奪う。表面は霜に覆われ冷気がこちらまで届いてくる。
鑑定眼で状態を確認。HPはグングン減っているようでもう間もなく0になる。
殺気はもう放つことができず、動くこともできない。
「ケーナ、これはいったい」
「巨大キャタピラーの氷漬け。私の勝ち!!」
イェイ!
とブイサインをしてみるも伝わっておらず、こちらでの勝利のポーズを改めて考える必要があることに気づいたのだ。
更に下に、そして横にも広がっている広大なダンジョンだった。
(これ何階層あるんだろ)
複雑に広がる通路のせいで正確な階層数は分からないが大きさで言うなら、今攻略されている広さの5倍以上だった。
そして本当の最下層であろう場所には
【エンシェントクイーンキャタピラー】
の反応。
この瞬間物凄い殺気が地下深くから飛んでくる。探知スキルでつついてしまったせいなのか脊髄反射のように返してきたのだった。
(あらららら)
たぶん私に向けたのだろうが、このダンジョンにいた冒険者全員が受けてもおかしくないぐらいの殺気の強さだった。
そしてもう1つ
【スミルナ・スターリング】
名前が似ていて家名のもあるのでたぶん行方不明のスミナだろう。もう1人のグリーンもいるかと思ったがいなかった。
バジェットとハクレイは近くにいたので飛び起きたようにテントから出てくる。
辺りの冒険者たちも騒ぎ始めていた。
「何かありましたかケーナ!!」
「どこです??」
ちゃんと反応して対応しようとする私の仲間は優秀だなと関心しつつ。
「モンスターの気配はしたけど……」
「とても強い殺気です。それも僕が今まで生きてきた中でも一番強いかもしれません。上級、いや特級はある可能性も考えられます」
バジェットは警戒と興奮をしている。エンシェントクイーンキャタピラーはそれなりに強いのかもしれない。
辺りの冒険者たちは上の階層へと避難を始めている。
それを促しているのはあの先遣隊として来ていたベテラン冒険者たちだ。バジェットと同じ様にモンスターの強さを殺気で読み取って危険を知らせている。
「ケーナ、僕たちも一度上の階に行こうか」
「んーちょっと待ってって」
見つけてしまった以上放置はできない。
それに、もし下層のダンジョンが知られれば、初心者向けのダンジョンとして機能しなくなってしまう。特級モンスターがいればなおさらだ。
(まずは害虫駆除から)
たすモードを発動させ探索範囲に反応する、うじゃうじゃいたキャタピラーどもを一掃していく。
スミナはいったん空間収納内へと保護。
残る反応はエンシェントクイーンキャタピラーのみ。
「ハクレイとバジェットはここで見張りをしてて」
「どういう事でしょうか?」
「殺気の正体が分かったんだけど、下への行き方がいまいち分からないんだよね。だから穴掘って会ってくる」
「ハクレイも一緒に行きます!」
「でしたら僕も行きますよ」
覚悟はあるようなので、強敵との対峙をさせて見ようと思い2人とも連れて行くことにした。
「わかった、一緒にいこう」
穴を掘るのもスキルアブソーブを使うだけ。地面めがけ発動させくりぬくように掘って一気に最下層まで繋げた。
あっという間に出来上がる大穴に、言葉の出ない2人。
底の見えない深淵を恐る恐る覗いている。
「松明落してみますよ」
バジェットが投げ落とした松明は闇に吸い込まれるように消えていく。底に落下した音も届いてこない。
「さっ、ここに入るよ」
「「え?」」
「ほらほら入った入った」
同時に背中を押して穴に落す。
キャーだのワァーだの情けない悲鳴があっという間に聞こえなくなっていった。
続いて穴に入る。
落下中バジェットは意識を保っていたが、ハクレイは完全に気を失っていた。
底ギリギリで浮遊魔法を使い、ふわりと到着。
「一体なんの真似ですが? 本当に死ぬかと思いましたよ」
バジェットはちょっと怒っている。
「ごめんね、躊躇してる時間がもったいなかったから。ただ、行くって言ったのはバジェット達だよ」
「そ、そうですけど……」
こんなことになるとは予想できないのは仕方ない。
「ハッ! まだ生きてる」
ハクレイも気がついたようだ。
松明だけでは、最下層の地形の把握ができない。仕方ないので魔法で大きな光源を作った。
辺りを昼のように照らすと、キャンプを設置した場所の何倍ものある空間と、殺気の発信源であろうジャイアントキャタピラーの何十倍も巨大な薄緑の芋虫を照らし出していた。
どこが頭でどこが尾なのかも分からないぐらいの大きさで、蛇のようにグルグルと蜷局を巻いている。
エンシェントクイーンキャタピラー、鑑定するとレベルは189。
初心者向けのダンジョンにいていいレベルではないことは確かだ。
あちらも気づいたのだろう明確な殺意が込められた殺気をこれでもかと飛ばしてくる。
その殺気に当てられてハクレイはまた気を失ってしまった。後ろに倒れるギリギリでゼンちゃんがクッションのように体を変化させて受け止める。
「ハクレイ大丈夫?」
⦅ハクー! しっかりしろ⦆
そんな状況を見て前に出るバジェット。
「ケーナ、僕があの巨大キャタピラーの注意を引くので、その隙にハクレイを連れて逃げてください」
恐怖で震える声を出しながらも、男気溢れる言葉を放つ。
これで彼氏持ちで無ければグッときてしまうのかなと思いつつ
「ちょっと、これは私の獲物だよ。バジェットは後ろで良く見てて」
このデカブツをどう倒すかだけど、せっかく他人がいなくて、仲間だけが見ていてくれるので私の力を披露することに。
ただ物理攻撃も魔法攻撃も耐性とぶよぶよぬるぬるした体質でまともにダメージが入りそうには無いのは分かっていた。
「まずは」
グラビティバインド。
デカい相手にはより効果が出やすい重力拘束。自重が重すぎて唸り声すら満足に上げることができず、俎上《そじょう》の芋虫といったところ。
「次は」
アブソーブによる熱吸収。
エンシェントクイーンキャタピラーが持つ体温を限界まで奪う。表面は霜に覆われ冷気がこちらまで届いてくる。
鑑定眼で状態を確認。HPはグングン減っているようでもう間もなく0になる。
殺気はもう放つことができず、動くこともできない。
「ケーナ、これはいったい」
「巨大キャタピラーの氷漬け。私の勝ち!!」
イェイ!
とブイサインをしてみるも伝わっておらず、こちらでの勝利のポーズを改めて考える必要があることに気づいたのだ。
0
お気に入りに追加
889
あなたにおすすめの小説
おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。
令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜
三月べに
ファンタジー
令嬢に転生してよかった〜!!!
素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。
少女漫画や小説大好き人間だった前世。
転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。
そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが?
【連載再開しました! 二章 冒険編。】
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる