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第1章 異世界予備校

13 合格実績

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 小型の魔獣に襲われていた生徒を助けた後、ユキナガは無事に試験監督の業務に戻ることができた。

 ユキナガの到着が遅れたことから現代国語の試験は数分遅れでの開始となったがその後はどの科目の試験も予定通り行われ、大陸初の模試は魔獣襲来に見舞われつつも無事に終了した。

 現代国語の試験終了後の昼休みにはリナイたち元騎士の講師は屋内に戻ってきて、リナイは現れた数頭の魔獣を仕留めたがそれ以外は騎士団により討伐されたらしいと述べていた。

 ユキナガは彼らの活躍に感謝を述べたものの、自らも1頭の魔獣に遭遇し無意識に魔術を発動させて魔獣を消滅させたことは黙っておいた。

 自分が魔術を行使できたとしてもそのことは塾の運営には関係ないし、転生者であるユキナガを迎え入れてくれたリナイたち講師に余計な心配をかけたくなかった。


 受験者がまだ少ないこともあって模試の採点は早めに終わり、数術者の協力によりジェシカは総合偏差値58、カンラは総合偏差値61という結果が算出された。

 2人とも志望校の合格には十分な成績と考えられ、それから複数回行われた同様の模試では成績を少しずつ上げていくことができた。


 そして寒冷期に入って行われた上級学校の入学試験でジェシカはミサリー士官学校騎士学科、カンラはカッソー士官学校政治学科とそれぞれ志望校に余裕を持って合格することができた。

 この年度は彼女ら以外の塾生も全員が志望校への合格を果たし、「獅子の門」は転生者の協力により合格実績を大幅に向上させた士官学校専門塾として地方都市ミサリーで有名になった。
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