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その12 酒気帯び運転等の禁止
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東京都千代田区にある私立ケインズ女子高校は(後略)
「ななちー、ちょっとこのお菓子貰ってくれない?」
「流如何ちゃん、これ最近流行ってるソフトキャンディだよね。こんなに買ってどうしたの?」
土曜日の午後、硬式テニス部の練習を終えて帰宅していた私は同じクラスの弓道部員である馬鈴流如何ちゃんに10パックほどまとめ買いされたソフトキャンディのお菓子を見せられた。
「アルコール入りのお菓子っていうから15パックまとめて食べて酒気帯び配信? したかったんだけど、あたし少食だから3パックでギブしちゃったんだよねー。ななちーなら10パックでも余裕っしょ?」
「いやまあ食べられるけど、流石に未成年が酒気帯びはよくないんじゃ……」
実家の神社で巫女のアルバイトをしているという流如何ちゃんはスレンダーな体型に黒髪ロングヘアという見た目に似合わず以前からインターネットの動画配信サイトで顔出し配信を行っており、今回はアルコール2%含有のお菓子を大量に食べて酔ってみようとしていたらしかった。
「君たち、高校生がアルコールを買ってはいけませんよ。おっと、これは飲料ではなくお菓子なので問題ないでありますね」
「ちーっすお巡りさん。そーそー、法律で未成年に売っちゃダメなのは飲料だけなんでこのお菓子とか奈良漬けは問題ないんですよねー」
「へえー、そうだったんだ。確かにウィスキーボンボンとかも子供が普通に買えるよね」
私たちに話しかけてきたのは自転車で町内をパトロールしていたらしい地元の交番のお巡りさんの宝来守さんで、今年度に鹿児島県から転勤してきた宝来さんは高校1年生の娘さんを近所にある私立マルクス高校に通わせているらしい。
「見ての通り沢山買っちゃったんで、お巡りさんも一つどうですか? これぐらいなら公務員でも大丈夫っしょ?」
「もちろん許される範囲であります。もぐもぐ、これは確かに美味しいでありますね」
「キャー、引ったくりよー! 誰かあの男を追いかけてー!!」
宝来さんが流如何ちゃんに手渡されたソフトキャンディ1個を口に放り込んで咀嚼していると、近くの通りからおばあさんの悲鳴が聞こえてきた。
3人同時に振り向くとおばあさんは後方から走ってきた自転車の若者にカバンを強奪されたらしく、宝来さんは即座に自らの自転車に飛び乗った。
「宝来さん、犯人も自転車なので追いつけますよ! 頑張ってください!!」
「あああああああああ!! そういえば先ほどアルコール入りお菓子を食べたからこのまま運転すると酒気帯び運転になるでありますうううううう!!」
「んなこと言ってる場合ですか!?」
「あ、ななちー向こうから何か黒服の人らが歩いてきてるよ?」
流如何ちゃんが指さした方向を見ると先ほどの引ったくり犯は見覚えのある黒服の集団に拘束されており、彼らはよく見ると三島右子ちゃんの実家である民族政治結社大日本尊皇会の社員さんたちだった。
「どうもお巡りさん、この不埒な輩は俺らが現行犯逮捕しておきましたぜ! 後で法人に感謝状でも頂けませんかね?」
「あああああああああ!! 右翼団体に犯人の逮捕を任せるとは自分は反社と関係を持ってしまったでありますうううううう!!」
「うわー面白れー、これ動画に撮ってYoutubeに上げちゃお☆」
取り逃した犯人が右翼団体に捕まってしまい絶叫する宝来さんとその様子をスマホで動画撮影している流如何ちゃんに、私はこの町内の治安は大丈夫なのだろうかと思った。
(続く)
「ななちー、ちょっとこのお菓子貰ってくれない?」
「流如何ちゃん、これ最近流行ってるソフトキャンディだよね。こんなに買ってどうしたの?」
土曜日の午後、硬式テニス部の練習を終えて帰宅していた私は同じクラスの弓道部員である馬鈴流如何ちゃんに10パックほどまとめ買いされたソフトキャンディのお菓子を見せられた。
「アルコール入りのお菓子っていうから15パックまとめて食べて酒気帯び配信? したかったんだけど、あたし少食だから3パックでギブしちゃったんだよねー。ななちーなら10パックでも余裕っしょ?」
「いやまあ食べられるけど、流石に未成年が酒気帯びはよくないんじゃ……」
実家の神社で巫女のアルバイトをしているという流如何ちゃんはスレンダーな体型に黒髪ロングヘアという見た目に似合わず以前からインターネットの動画配信サイトで顔出し配信を行っており、今回はアルコール2%含有のお菓子を大量に食べて酔ってみようとしていたらしかった。
「君たち、高校生がアルコールを買ってはいけませんよ。おっと、これは飲料ではなくお菓子なので問題ないでありますね」
「ちーっすお巡りさん。そーそー、法律で未成年に売っちゃダメなのは飲料だけなんでこのお菓子とか奈良漬けは問題ないんですよねー」
「へえー、そうだったんだ。確かにウィスキーボンボンとかも子供が普通に買えるよね」
私たちに話しかけてきたのは自転車で町内をパトロールしていたらしい地元の交番のお巡りさんの宝来守さんで、今年度に鹿児島県から転勤してきた宝来さんは高校1年生の娘さんを近所にある私立マルクス高校に通わせているらしい。
「見ての通り沢山買っちゃったんで、お巡りさんも一つどうですか? これぐらいなら公務員でも大丈夫っしょ?」
「もちろん許される範囲であります。もぐもぐ、これは確かに美味しいでありますね」
「キャー、引ったくりよー! 誰かあの男を追いかけてー!!」
宝来さんが流如何ちゃんに手渡されたソフトキャンディ1個を口に放り込んで咀嚼していると、近くの通りからおばあさんの悲鳴が聞こえてきた。
3人同時に振り向くとおばあさんは後方から走ってきた自転車の若者にカバンを強奪されたらしく、宝来さんは即座に自らの自転車に飛び乗った。
「宝来さん、犯人も自転車なので追いつけますよ! 頑張ってください!!」
「あああああああああ!! そういえば先ほどアルコール入りお菓子を食べたからこのまま運転すると酒気帯び運転になるでありますうううううう!!」
「んなこと言ってる場合ですか!?」
「あ、ななちー向こうから何か黒服の人らが歩いてきてるよ?」
流如何ちゃんが指さした方向を見ると先ほどの引ったくり犯は見覚えのある黒服の集団に拘束されており、彼らはよく見ると三島右子ちゃんの実家である民族政治結社大日本尊皇会の社員さんたちだった。
「どうもお巡りさん、この不埒な輩は俺らが現行犯逮捕しておきましたぜ! 後で法人に感謝状でも頂けませんかね?」
「あああああああああ!! 右翼団体に犯人の逮捕を任せるとは自分は反社と関係を持ってしまったでありますうううううう!!」
「うわー面白れー、これ動画に撮ってYoutubeに上げちゃお☆」
取り逃した犯人が右翼団体に捕まってしまい絶叫する宝来さんとその様子をスマホで動画撮影している流如何ちゃんに、私はこの町内の治安は大丈夫なのだろうかと思った。
(続く)
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