気分は基礎医学

輪島ライ

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2023年4月 死闘! 麻酔科新人少尉!!

第5話 高度な責任を伴うルーチンワーク

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 麻酔科研修が始まって2週間が経ち、俺はようやく手術麻酔の全体の流れを掴めてきていた。

 自分の頭の中を整理する意味も込めて、手術麻酔の準備から麻酔終了までの流れをまとめてみる。


 1.麻酔導入の準備

俺「あの……申し訳ないんですけど5番手術室の麻酔器の電源ボタンってどこにありますか……?」
臨床工学技士さん「OKです、一緒に付けましょう!!」


 朝7時15分に自分の担当の手術室に行くと、そこでは既に看護師さんが麻酔薬を除く全ての薬剤・機材を麻酔カートに準備してくれている。

 まずは麻酔器を立ち上げてから呼吸回路の組み立てと空気漏れがないか等の確認を行っていくが、酸素センサーの校正や空気漏れのチェックには時間がかかるため後述する点滴の準備はこれと並行して行う。

 全身麻酔では必ず麻酔薬を静脈内投与する必要があるため最低でも1セットは輸液が必要になるが、長時間の手術の場合は輸液を患者さんの右手と左手で合計2セット準備する必要があったり俗に「Aライン」と呼ばれる動脈ラインを準備する必要があったりする。

 静脈路確保の上で投与される輸液(いわゆる点滴)は基本的にはフィジオ、ビカネイト、ソルアセトといったリンゲル液(ヒトの血液に近いpHと電解質組成を持つ液体)で、点滴台に吊るされた輸液バッグから患者さんの静脈内へと一方通行で流れる輸液に麻酔薬を側管から流して静脈内投与したりそもそも輸液を静脈内に送ることで患者さんの体内の水分や電解質を補給したりすることを目的としている。

 一方でAラインは患者さんの動脈(基本的には橈骨動脈)を穿刺して動脈血を外界と交通させるためのもので、血栓予防のためにヘパリンを混和させた生理食塩水を流すもののその目的は薬剤の動脈内投与や水分・電解質の補給ではない。

 詳しい仕組みはここで説明しきれないがAラインは加圧を調整することで患者さんの動脈血をAラインのチューブ内に満たすことができ、これによりAラインを確保してある患者さんでは必要な時にいつでも動脈血採血を行うことができる。患者さんの体内の全体像を大まかに把握できる血液ガス分析を簡単に行えるメリットは危険性の大きい手術では計り知れないし、Aラインは患者さんの動脈血の圧力をダイレクトかつリアルタイムで測定できるため患者さんの血圧が急激に上昇または低下した際でもすぐに把握することができる。

 このようにAライン確保は非常に利便性が高い医療行為だがAラインの組み立ては非常にややこしい上に注意事項が多く、麻酔科研修医は指導医から「次の手術はV2A1ぶいにえーいちでよろしく」と言われたら大抵涙目になる。念のため説明しておくとこれは「次の手術では患者さんの左右の手からそれぞれ1本ずつ静脈路を確保し、Aラインを左右どちらかから1本確保するのでその準備をしておくように」という意味である。

 実際に静脈路確保およびAライン確保を行うのは当然患者さんが入室してからなのでここでは輸液の組み立てと空気抜き、Aラインの場合はそれに加えて麻酔器への接続と圧力ゼロ校正を行うのみとなる。

 この時点で昇圧剤であるエフェドリンとそれを溶解するための生理食塩水は麻酔カート内に入っているので、時間に余裕があればここでエフェドリンをシリンジに吸って希釈しておく。

 7時45分からは教授が取り仕切る朝カンファレンスがあるので一旦手術室を出てそれに出席し、戻ってきたら指導医の先生が同じタイミングで麻酔薬を持ってきてくれるのでそれぞれシリンジに吸ったり希釈したりすることになる。

麻酔科准助教峰原先生「あちゃーまだAライン組み立て始めた所かぁ。組み立て終わったらとりあえず朝カンファ来てね!」
俺「ごめんなさい……」


 2.患者さん入室~マスク換気まで

俺「お疲れ様です、本日麻酔を担当させて頂きます麻酔科研修医の物部と申します。手術前に麻酔科からもご本人様確認をさせて頂きますので、お名前をフルネームと生年月日を教えて頂けませんでしょうか」
患者さん「鈴木すずき吉郎よしろうです。ええと、昭和31年8月19日生まれです……」
俺(昭和31年って西暦何年だ?)


 8時15分頃には患者さんが手術室に入ってくる。徒歩や車椅子の患者さんには自力もしくは軽度の介助でベッドに寝て頂くことになるが、寝たきりの高齢患者さんの場合は病棟から運んで来られたベッド上に寝ている患者さんを研修医と看護師さんが協力して手術台に移す必要がある。

 研修医の重要な仕事の一つはここで患者さんの本人確認を行うことで、患者さんの取り違えを防ぐために必ず患者さんの腕のリストバンドの番号を確認した上で患者さん本人にフルネームの名前と生年月日を言って頂くことになる。余談だが昭和前半生まれの患者さんは生年を昭和何年と話すことが多く、こういった所でジェネレーションギャップを感じることもある。

 小児の手術や成人でも患者さんが静脈路確保における穿刺の痛みに耐えられない場合など静脈路確保困難が予想される手術では吸入麻酔によりまず意識を失わせる緩徐導入というやり方が採用されるが、基本的には急速導入というやり方で麻酔の導入が行われる。

 ほとんどの手術では静脈路確保の前もしくは静脈路確保と並行して患者さんの額に脳波モニターを、患者さんの手首に筋弛緩モニター(TOFモニター)を貼り付けるが筋弛緩モニターは患者さんの手首の筋肉に電気ショックを加えて筋弛緩の度合いを確認するものであり、この電気ショックは起きている患者さんに与えられるとかなり痛く衝撃が強いので必ず患者さんが意識を消失した後に起動する必要がある。

 患者さんにまず酸素マスクを被せて酸素を吸って貰い、研修医が左右どちらかの手背の静脈で静脈路確保を行う。無事に静脈路確保が成功したら輸液を流しつつ側管から鎮痛薬のレミフェンタニルを高用量で持続投与し、鎮静薬のプロポフォールを急速静注(ボーラス投与)した後に筋弛緩薬のロクロニウムを急速静注する。

 なお、静脈路確保までは研修医単独で行ってよいが麻酔薬の投与およびその後の気管挿管には必ず指導医が立ち会う必要があり、研修初日に患者さんの入室前に一旦手術室を出ていった峰原先生は静脈路確保の完了とほぼ同時に手術室に戻ってきていた。

 ロクロニウムを投与された患者さんはその時点で呼吸が止まる(筋弛緩薬の作用で呼吸筋が動かなくなる)ため迅速にマスク換気に移る必要があり、患者さんのまつ毛を触って反応がないこと(睫毛しょうもう反射消失)を確認した上で患者さんの口にバックバルブマスクを押し当てて人工呼吸を開始する。

 マスク換気を問題なく行い、カプノメータの立ち上がりを見ながら患者さんの体内を十分に酸素化できたことを確認したらいよいよ気管挿管に移る。

俺「中島先生、中々カプノの波形が出ません……」
麻酔科レジデント中島先生「物部先生、まずは患者さんの胸郭の上がりを見てみようか」
俺「ええと……あ、立ち上がりました」


 3.気管挿管

手術室看護師さん「研修医の先生、この気道チューブの中ってスプレーしてます?」
俺「あ、忘れてました……」


 マスク換気が十分に行えていれば患者さんは数分程度なら呼吸しなくても命に別状はないため、ここで気管挿管を開始する。

 患者さんの口内を右手で押し広げた状態で看護師さんから左手で喉頭鏡を受け取り、喉頭鏡のライトで口内を照らしつつ喉頭鏡の先端を進めていく。

 ここで喉頭鏡が患者さんの歯に当たって折れてしまうと訴訟騒ぎになるので喉頭鏡の挿入は慎重に行う必要があり、軟口蓋を先端で持ち上げて声帯が見えればいよいよ気道チューブを挿管できる。

 右手で受け取った気道チューブを声帯を目印にして喉頭内に進め、目盛りを確認して必要な深さまで押し進めたら左手で持っていた喉頭鏡を口内から抜く。この際に気道チューブに入っていたスタイレットが看護師さんの介助で引き抜かれるので気道チューブも一緒に抜けてしまわないよう注意する。

 この状態で看護師さんに聴診器を耳に付けて貰い、気道チューブに空気を注入して両側の肺で呼吸音を確認できたらチューブは無事に気道内に入っていると確認できる。ここで片方の肺でしか呼吸音が聞こえない場合は片肺挿管という非常に危険な状態である可能性があり、その際は一度チューブを引き抜いて再挿入の準備をする。

 気道チューブ内が曇っていることも確認したら気道チューブのカフ内にシリンジで空気を送り込み、これで気道チューブは気道内に固定される。

 その後は気道チューブを患者さんの口元にテープで固定し、指導医の先生が呼吸器を操作して換気を開始すれば気管挿管は完了となる。

 脊椎の手術など患者さんがうつ伏せの状態で手術を行う必要がある場合は気管挿管後に患者さんを医師と看護師とで持ち上げて動かす必要があるが、そうでない場合は気管挿管が完了すればそのまま手術開始の準備に移る。

 ちなみに長時間の手術のため患者さんの口内に胃管を挿入する場合はこのタイミングで行われることが多く、挿入した胃管のチューブは気管チューブに固定されることが多い。

俺「胃管入りました。これでいいでしょうか?」
麻酔科講師外山とやま先生「うーん、シリンジで引けてないね。やり直し!」
俺「ごめんなさい……」


 4.手術開始まで

消化器外科執刀医の先生「研修医の先生、ちょっとこの布を展開するの手伝ってください」
俺「分かりました!」
消化器外科執刀医の先生「そこを触ると不潔になるからやめてください! 裏から!!」
俺「ごめんなさい……」


 全身麻酔を伴う手術では大抵の場合何かしらの皮膚切開が必要となるため、気管挿管が終了した後は執刀医の先生と術野の看護師さんが皮膚の消毒や手術用ドレープの展開を開始する。

 この間に研修医を含めた麻酔科医は手術用ドレープの展開の介助や麻酔器・呼吸器の適切な位置への移動などを行う必要があり、手術開始までに血圧や心拍数といったバイタルサインが大きく変動する患者さんもいるためやはり気は抜けない。

 Aラインが確保されている手術ではこの間に動脈血を採取して手術開始前の血液ガス分析を行う場合もあり、ここで測定された手術開始直前のデータは手術中に急変が疑われた際に重要な参考資料となる。

 皮膚消毒、手術用ドレープの展開に加えて執刀医と術野の看護師さんの手術時手洗いが終了すればいよいよ手術開始となるが、現代日本では患者さんの取り違えを手術開始直前まで防止するためタイムアウトという儀式が行われる。

 ここでは執刀医が今日行われる手術の概略と患者さんの氏名を読み上げ、麻酔科の研修医が静脈路およびAラインの確保数と事前に投与されている抗菌薬について述べ、外回りの看護師さんが患者さんのID等を読み上げる。

 執刀医、麻酔科医、看護師さんがそれぞれ把握しているのは同じ患者であると確認できた時点で手術は開始となり、手術開始時刻はタイムアウトの完了時刻と同時となる。

 ちなみに麻酔開始時刻は患者さんが酸素吸入を始めた時刻、麻酔終了時刻は患者さんの酸素吸入が終了した時刻となるので手術所要時間は必然的に麻酔時間よりも短いことになる。

俺「今日の患者さんの名前は○○さんで、IDは×××××××です。両腕に静脈路、左腕にAラインを確保しており、抗菌薬としてセファゾリンを投与しています」
看護師さん「研修医の先生、全部言っちゃいましたね☆」
俺「あっ……」


 5.手術中

整形外科執刀医の先生「研修医の先生、血圧は常に100以下に保って欲しいとお願いしたはずですが」
俺「すみません、すぐに対応します。ええとレミフェンタニルを増量して……」
看護師さん「迷ったら指導医の先生に電話してみてくださいね☆」


 手術中は麻酔科医は暇であると一般には思われており、確かに暇な時がない訳ではないが少なくとも1年目の初期研修医は全く気が抜けない。

 若くて健康な患者さんであれば手術中にバイタルが急変する可能性は低いがそもそも現代日本で全身麻酔の手術を受ける患者の半分以上は高齢者であり、中年であっても高血圧や高度の肥満がある場合は高齢患者に準じた警戒が必要となる。

 特に先述したAライン確保が行われている手術では極めて慎重な警戒が必要となり、そもそも整形外科や脳神経外科の大掛かりな手術である場合が多い上に患者の体勢の影響でAラインの波形が正常に表示されない(俗称で「Aラインのなまり」と呼ばれる)など特有のアクシデントが多い。

 血圧が低下していればエフェドリンやネオシネジンといった昇圧剤を投与し、血圧が高すぎれば麻酔薬のレミフェンタニルやカルシウム拮抗薬のニカルジピンを投与することになるがこれについても機械的に投与すればいいという訳ではなく、例えば整形外科の人工股関節置換術で骨を削り始める直前や副腎腺腫の手術で副腎を切除する(副腎髄質の傷害によりアドレナリンが放出される)直前に血圧が低いからと昇圧剤を投与してしまうと血圧が一気に上がって大惨事になる。

 基本的には数値が0になっているべき筋弛緩モニターに1や2といった数値が表示されている場合は患者さんの筋弛緩が解けてきていることを意味するのでロクロニウムを追加で投与する必要があるが、これについても手術があと10分で終了するといった場合は追加で投与すると術後の覚醒が遅れるデメリットの方が大きくなるのでやはり機械的に投与してはならない。

 近年では麻酔管理にAI人工知能の導入も検討されているというが術中の全身管理はただ単に何かの数値が高い/低いからこれを投与するというアルゴリズムだけで行える訳ではなく、どれだけ時代が進んでも薬剤の投与は結局のところ人間の医師がやらなければならないのではないかと思う。

 術中管理に必要なのは当然薬剤の投与だけではなく、呼吸モニターに表示される酸素濃度が低下してくれば呼吸器を操作して投与酸素量の増加や呼吸回数の上昇を行うし長時間の手術の場合は尿道カテーテルから尿パックに排泄されている患者の尿を測量した上でバケツに捨て、それを廃棄場所まで捨てに行くこともある。このように麻酔科研修医が術中に行う仕事は多岐にわたるので仕事中にスマホを見たり小説を読んだりするのは論外ということになるが、個人的には1年目麻酔科研修医の一体どこにスマホを見たり小説を読んだりする時間的・精神的余裕があるのかとは不思議に思う。

俺「すみません、まだ腹腔鏡が入ってたのでロクロニウム20mg投与しちゃいました……」
麻酔科准助教石森先生「消化器外科のヘルニアの手術ではメッシュが入り始めたら手術終了が近いんだよ。経験を積んで覚えていこうね」


 6.手術終了前~抜管

麻酔科レジデント浜内先生「ここだけのアドバイスだけど、アセリオを15分で投与したい時はミッ○ーマウ○マーチのリズムで点滴を落とすといいよ!」
俺「そうなんですか!?」


 手術が終了したら患者さんの筋弛緩を解いて覚醒させ、自発呼吸再開が確認できれば麻酔終了となるが当然手術が完全終了するまで待っていては時間がかかるので事前に準備を始める。

 研修医が手術終了が近くなったと判断すれば指導医の先生に電話連絡し、大抵は非常に有名な鎮痛薬のアセトアミノフェンの点滴バージョンであるアセリオの投与を指示される。アセリオは基本的に15分きっかりの時間をかけて投与する必要があり、15分間より早すぎても遅すぎてもいけない。なお、患者さんが感じる疼痛が強い手術の場合はアセリオに加えて麻酔薬のフェンタニルを投与することもある。

 開腹手術であれば閉創が終了し、手術がほぼ終了という段階になれば筋弛緩薬のロクロニウムの拮抗薬であるブリディオンを点滴投与する。これにより患者さんは筋弛緩が解けて自発呼吸を始めるので、呼びかけや揺さぶりなどで患者さんの意識が戻ったことを確認すれば気管チューブを抜いて(=抜管して)人工呼吸管理が終了となる。

 高齢の患者さんの場合はこの時にせん妄を起こして暴れ始めたりシバリングという現象を起こして寒さに震え始めたりする場合があり、高齢患者さんの手術の場合は自発呼吸が再開しても決して気は抜けない。

俺「うわっ、大丈夫ですか△△さん!?」
看護師さん「シバリングを起こしてます! すぐに毛布を持ってくるので研修医の先生は手術台から落ちないように支えてあげてください!!」


 7.退出時の見送り~手術麻酔終了

看護師さん「先生抜針ってやったことあります?」
俺「いえ、まだないです」
看護師さん「一緒にやってみて覚えましょうね☆」


 抜管した後も患者さんには引き続き酸素マスクから酸素を吸って頂き、このまま病棟に戻っても問題ないと判断されれば手術室の看護師さんが病棟にお迎えを依頼する。

 病棟の看護師さんが病棟から移動式ベッド(手術前に患者さんが載せられていたベッド)を運んできてくれるがこのまま患者さんを送り返してはならず、研修医から病棟の看護師さんに術後の酸素投与の量(1分辺り何リットルか)と投与時間、術後のバイタルサイン測定をどの頻度で行うかを伝える必要がある。なお、この指示については事前に手術室の電子カルテで入力しておく必要がある。

 この間に必要に応じて確保していた静脈路の解除(抜針)を行い、患者さんが自力で移動可能であれば手術台から病棟のベッドに移動して頂き、不可能ならその場にいる医療スタッフが協力して患者さんを手術台から病棟のベッドに移す。

 病棟のベッドには必ず酸素ボンベが設置されているので酸素マスクの酸素供給元を手術室の麻酔器から酸素ボンベに移し、酸素モニターも麻酔器につながっているものから携帯式の酸素モニター(病棟の看護師さんが持参してくれる)に取り替える。Aラインが確保されたまま帰室となる場合はAラインの接続先も麻酔器から携帯式のモニターに付け替える。

 麻酔科医は患者さんの退室を手術棟を出るまでは見送る必要があり、麻酔科研修医と麻酔科指導医と病棟の看護師さんが協力して手術棟の出口までベッドに載せられた患者さんを運ぶ。

 これで一連の手術麻酔は終了と思ってはならず、その後は元いた手術室に戻って余った薬剤の廃棄や手術麻酔カルテへの必要事項の記載を行う必要がある。ただし麻薬であるレミフェンタニルやフェンタニルといった一部の麻酔薬は残薬の量を記録した上で返却する必要があり、ここで研修医が誤って残薬を廃棄してしまうと大騒ぎになるので最後まで気が抜けない。

 畿内医科薬科大学病院は清掃業者と契約しているので散らかった手術室の片付けや機材の再配置は研修医が行わなくてもよいが、麻酔カートの上ぐらいは綺麗にしておくと親切だろう。

麻酔科准助教峰原先生「麻酔科研修医のお仕事は言ってしまえばルーチンワークの繰り返しです。今はまだ大変だと思うけどあと2週間もすれば絶対慣れるから頑張って!!」
俺「ははは……どうにか頑張ります……」


 ここまで高度な責任を伴うルーチンワークに医師生活1か月目で放り込まれるのが、大学病院の研修医なのだった。
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