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2021年5月 2021年5月の微生物学ボーイと元ヤンデレ歯学生
第6話 『平凡な薬学生の私ですが、俺様イケメン医学生に束縛されて困ってます』
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それから数日の間に、俺は人生で初めて小説を最初から最後まで書くことができた。
美波を題材にするものの美波の後輩が読む以上は絶対にモデルとなった人物に気づかれてはならない。
そのことを念頭に置き、俺は小説を書き続けた。
ショートショートで済ませるつもりが最終的には数万字の中編小説になってしまったが、クオリティには中々の自信が持てた。
その内容は……
――――
『平凡な薬学生の私ですが、俺様イケメン医学生に束縛されて困ってます』 作・セイバーMM
大阪府内の医療系大学の薬学部薬学科に通う私、羽間静子は顔面偏差値52ぐらいの平凡な薬学生。
無事に6年間で卒業して素敵な薬剤師さんになるため、今日も真面目に大学に通っています。
「羽間さん、この前話してたミニ水彩画がいくつか描けたんだ。ちょっと部室に見にきてくれない?」
「そうなの? 行く行く! どんな風なのか楽しみだなあ~」
美術部仲間で同じく薬学部の男子学生に誘われて、私は活動のない日に美術部室を訪問しました。
部室には誰もいなくて、男子学生は落ちついた環境で私にいくつもの小さな水彩画を見せてくれました。
その時。
「おい、俺の静子に何やってくれてんだよ」
美術部室の扉を蹴破って、長身の男子学生が室内に飛び込んできたのです。
彼は同じ大学の医学部医学科に通う土岐田三成君で、私が今付き合っている彼氏です。
三成君は私のスマホに監視アプリをインストールさせているから、活動のない日なのにここにいることがすぐに分かったのでしょう。
「お前、誰もいない部室に人の彼女呼び出すなんて何考えてんだ! もし静子に何かあったらお前の全身をぐちゃぐちゃにして……」
「ひいっ! 俺本当に何もしてません!!」
「やめて三成君、私は部活の用事でここに来てただけで」
「静子、俺はお前を愛してるからここまでやるんだよ。お前は俺のことが好きじゃないのか!?」
「そんなことないよ。だけど……」
――――
それから1か月と少しが経ち、6月20日に近畿圏の緊急事態宣言が解除されたことで畿内医科薬科大学では2021年になってから初めてクラブ活動が再開された。
結局はその後8月2日に大阪府に再び緊急事態宣言が発出されクラブ活動も再びの中止を余儀なくされるのだが、ともかく文芸研究会はそれまでの間に新たな部誌を刊行することができた。
その部誌には俺が書いた数万字に及ぶ中編恋愛小説「平凡な薬学生の私ですが、俺様イケメン医学生に束縛されて困ってます」の全文が掲載されており、俺が初めて小説を寄稿した結果いつもより分厚い部誌になったことは部内でも評判になっていた。
美波は刊行された部誌を早速畿内歯科大学に持ち込んで後輩に見せたらしく、その日の帰宅後に感想を伝えてくれた。
「まれ君、あの小説すっごく面白かったって! もうちょっと長かったら小説のコンテストに出しても受賞できそうって言ってたよ。私もちゃんと全部読んだけど、本当に面白かった。あんなに彼女を大事にしてくれる男の子は日本中の女子大生の憧れだと思う」
「そうか、それは良かった。……ああ、本当に……」
作中に登場した束縛系医学生の土岐田三成は目の前にいる美波がモデルであり俺が昔美波にされたストーカー一歩手前の行為は全て作品に盛り込んだのだが、幸いにも美波は元ネタに気づいていないようだった。
かなり危ない橋を渡ったが、最終的に美波の後輩を満足させられたので結果オーライだと思うことにした。
美波を題材にするものの美波の後輩が読む以上は絶対にモデルとなった人物に気づかれてはならない。
そのことを念頭に置き、俺は小説を書き続けた。
ショートショートで済ませるつもりが最終的には数万字の中編小説になってしまったが、クオリティには中々の自信が持てた。
その内容は……
――――
『平凡な薬学生の私ですが、俺様イケメン医学生に束縛されて困ってます』 作・セイバーMM
大阪府内の医療系大学の薬学部薬学科に通う私、羽間静子は顔面偏差値52ぐらいの平凡な薬学生。
無事に6年間で卒業して素敵な薬剤師さんになるため、今日も真面目に大学に通っています。
「羽間さん、この前話してたミニ水彩画がいくつか描けたんだ。ちょっと部室に見にきてくれない?」
「そうなの? 行く行く! どんな風なのか楽しみだなあ~」
美術部仲間で同じく薬学部の男子学生に誘われて、私は活動のない日に美術部室を訪問しました。
部室には誰もいなくて、男子学生は落ちついた環境で私にいくつもの小さな水彩画を見せてくれました。
その時。
「おい、俺の静子に何やってくれてんだよ」
美術部室の扉を蹴破って、長身の男子学生が室内に飛び込んできたのです。
彼は同じ大学の医学部医学科に通う土岐田三成君で、私が今付き合っている彼氏です。
三成君は私のスマホに監視アプリをインストールさせているから、活動のない日なのにここにいることがすぐに分かったのでしょう。
「お前、誰もいない部室に人の彼女呼び出すなんて何考えてんだ! もし静子に何かあったらお前の全身をぐちゃぐちゃにして……」
「ひいっ! 俺本当に何もしてません!!」
「やめて三成君、私は部活の用事でここに来てただけで」
「静子、俺はお前を愛してるからここまでやるんだよ。お前は俺のことが好きじゃないのか!?」
「そんなことないよ。だけど……」
――――
それから1か月と少しが経ち、6月20日に近畿圏の緊急事態宣言が解除されたことで畿内医科薬科大学では2021年になってから初めてクラブ活動が再開された。
結局はその後8月2日に大阪府に再び緊急事態宣言が発出されクラブ活動も再びの中止を余儀なくされるのだが、ともかく文芸研究会はそれまでの間に新たな部誌を刊行することができた。
その部誌には俺が書いた数万字に及ぶ中編恋愛小説「平凡な薬学生の私ですが、俺様イケメン医学生に束縛されて困ってます」の全文が掲載されており、俺が初めて小説を寄稿した結果いつもより分厚い部誌になったことは部内でも評判になっていた。
美波は刊行された部誌を早速畿内歯科大学に持ち込んで後輩に見せたらしく、その日の帰宅後に感想を伝えてくれた。
「まれ君、あの小説すっごく面白かったって! もうちょっと長かったら小説のコンテストに出しても受賞できそうって言ってたよ。私もちゃんと全部読んだけど、本当に面白かった。あんなに彼女を大事にしてくれる男の子は日本中の女子大生の憧れだと思う」
「そうか、それは良かった。……ああ、本当に……」
作中に登場した束縛系医学生の土岐田三成は目の前にいる美波がモデルであり俺が昔美波にされたストーカー一歩手前の行為は全て作品に盛り込んだのだが、幸いにも美波は元ネタに気づいていないようだった。
かなり危ない橋を渡ったが、最終的に美波の後輩を満足させられたので結果オーライだと思うことにした。
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