気分は基礎医学

輪島ライ

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2019年8月 病理学基本コース

149 高校入学組の青春

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 私に初めて彼氏ができたのは高校1年生の秋で、私が処女を失ったのはその1年後だった。


 生まれ育った西宮市の公立中学校を卒業した私は母の勧めで受験した宝塚市の飛燕ひえん高校に入学し、その後は地元の塾に週2回通いつつそれ以外の日は演劇部の活動に励んでいた。

 私の父は地元の公立病院で働く消化器内科医だけど日々の激務のせいで私と弟の面倒を見る余裕はなく、子供2人の教育は専ら美容師である母の担当だった。


 私は小学生の頃はあまり勉強ができなかったので中学受験はしなかったが中学2年生になったぐらいから突然クラスで最上位の成績を取るようになり、両親はその頃から私を医師にしたいと考え始めたらしい。

 とはいっても運動音痴のせいで体育の内申点が「2」しか取れない私は副教科を重視する兵庫県公立高校の入試制度から完全に見放されており、結局は自宅から楽に通えてそこそこの進学実績のある飛燕高校に入学することになった。


 幼稚園の段階から附属校があることもあり、飛燕高校では伝統的に難関大を受験する生徒よりも地元の名門私立大学に指定校推薦で進学する生徒が多かった。

 ここ10年で飛躍的に進学実績が伸びてきているとはいえ医学部医学科に進学する生徒は大抵浪人していたが、それでも医学部に行けないレベルの高校ではないというだけで両親は安心できたらしい。


 それはそれとして、中学校に文化部が美術部と吹奏楽部しかなかった影響で部活というものに全く縁がなかった私は飛燕高校では演劇部の活動にのめり込むようになっていた。

 飛燕高校演劇部はそこそこ歴史が長いので部員数もそれだけ多く、附属中学校や小学校、中には幼稚園からエスカレーター式に進学してきた同級生も多い中で私は部活のおかげで様々な友達と仲良くなれた。
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