135 / 181
割り込み連載 雇用・利子および女子高生の一般りろん3
そのはち 業務自動化
しおりを挟む
東京都千代田区にある私立ケインズ女子高校は本来の意味でリベラルな学校で、在学生には(後略)
「こんにちは、特製ラーメンチャーシュー抜きでお願いします!」
「じゃあ、私は普通の特製ラーメンで……」
「いらっしゃいお嬢ちゃんたち。抜いた分のチャーシューはそっちのお嬢ちゃんのラーメンに入れとくよ!」
「ありがとうございます……」
ある日の放課後、私は硬式テニス部所属の2年生である宇津田志乃先輩と一緒にお気に入りのラーメン屋さんに来ていた。
「灰田さん、やっぱり常連客なのね。私もチャーシュー増えて嬉しいわ……」
「本当にありがたいですよね。あっ、早速できたみたいですよ」
店長さんのちょっとしたサービスに感謝していると、2人分の特製ラーメンは早速カウンターに置かれていた。
お互いラーメンをテーブルに移し、志乃先輩はカウンターにある割り箸を一つ取って割った。
「あれ、何かあったんですか? そんな暗い顔されて……」
「灰田さん……この割り箸なんだけど、また失敗しちゃった……」
志乃先輩が見せてくれた割り箸は片方の箸の頭がもう片方の箸にくっ付いた状態で割れており、確かにあまり綺麗に割れていなかった。
「これでもう10回連続なの。私がこんな割り箸もまともに割れないような女だってミト君に知られたら、お育ちが悪いって思われて振られちゃうかも。あああ、私は本当にどうしようもない女なのよ……」
「先輩、お店の迷惑になりますからテーブルに突っ伏して泣くのはやめましょうよ……」
相変わらず変なことで悩んでいる志乃先輩をなだめてどうにかお互いラーメンを食べ終わり、買いたい参考書があるということなので私は志乃先輩に付いてそのまま近場の書店へと足を運んだ。
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい、今日は皆様に特別商品のご案内です。書店のレシートをお持ちの方には何と500円引きでご提供致しますよ!!」
「志乃先輩、あれは……」
書店の前では書店員さんらしき若い男性が謎の機械を売っていて、志乃先輩は機械に貼られている説明書きを見ると書店員さんの所へと駆け寄っていった。
「どうも、こちらの商品にご興味がおありですか? 地元の工場の試作品『全自動箸割り機』は今なら税込み2000円、お嬢さんにはサービスで1500円でご提供致しましょう! いかがですか?」
「ぜひ買わせてください。どっちみち後で参考書買いますし、1500円で……」
志乃先輩は謎の機械「全自動箸割り機」を即決で購入し、明日部室まで持ってきて見せてくれることになった。
そして翌日の放課後……
「宇津田先輩、これが噂に聞く『全自動箸割り機』なのですね。動く所を見せて貰えませんか?」
「ええ、もちろん。せっかくだからカップ麺でも作ってみてくれない? 灰田さん、3人分よろしく……」
硬式テニス部所属の1年生である三島右子ちゃんは志乃先輩が持ってきた全自動箸割り機を見て目を輝かせており、私は先輩の指示を受けて部室の湯沸かしポットでカップラーメンを3人分作った。
ラーメンが完成するタイミングで志乃先輩は全自動箸割り機に割り箸を突っ込み、スイッチをひねると割り箸は両側から引っ張られ、綺麗に2つに割れた。
「これは素晴らしいですね、まさしく身近な業務自動化です!」
「やっぱり機械で割った割り箸で食べるラーメンは美味しいわね。これでミト君にも恥ずかしくないわ……」
「そ、そうですよね……」
カップラーメンの味は全く変わった気がしないけど、志乃先輩も右子ちゃんも全自動箸割り機の性能には大満足のようだった。
3人でラーメンを食べ終えた後は全自動箸割り機を部室の戸棚にしまっておくことにして、片付けが終わった所で部長である3年生の出羽ののか先輩が部室に入ってきた。
「あら、ラーメンみたいな香りがするわね。皆で食べてたの?」
「ええ、ちょっと事情がありまして。良かったら出羽先輩も後でどうぞ」
「ありがとう。そういえば昨日近くの本屋さんで見たんだけど、何か『全自動箸割り機』とかいうのが売られてて爆笑しちゃったわ。割り箸なんて自分の手があればすぐ割れるのに、あんなバカみたいな機械買う人なんているのかしらね? 綺麗に割れるっていうけど割り箸なんて適当に割っても使えるし、本当に何やってんだかって感じよねぬぐぐぐぐぐぐぐぐぐ」
「志乃先輩、首は駄目です首は!!」
全自動箸割り機に率直な感想を述べたののか先輩に志乃先輩は無言で激怒すると力ずくで黙らせにかかり、私は業務自動化は必要性を考慮しないと残念な結果になるなあと思った。
(続く)
「こんにちは、特製ラーメンチャーシュー抜きでお願いします!」
「じゃあ、私は普通の特製ラーメンで……」
「いらっしゃいお嬢ちゃんたち。抜いた分のチャーシューはそっちのお嬢ちゃんのラーメンに入れとくよ!」
「ありがとうございます……」
ある日の放課後、私は硬式テニス部所属の2年生である宇津田志乃先輩と一緒にお気に入りのラーメン屋さんに来ていた。
「灰田さん、やっぱり常連客なのね。私もチャーシュー増えて嬉しいわ……」
「本当にありがたいですよね。あっ、早速できたみたいですよ」
店長さんのちょっとしたサービスに感謝していると、2人分の特製ラーメンは早速カウンターに置かれていた。
お互いラーメンをテーブルに移し、志乃先輩はカウンターにある割り箸を一つ取って割った。
「あれ、何かあったんですか? そんな暗い顔されて……」
「灰田さん……この割り箸なんだけど、また失敗しちゃった……」
志乃先輩が見せてくれた割り箸は片方の箸の頭がもう片方の箸にくっ付いた状態で割れており、確かにあまり綺麗に割れていなかった。
「これでもう10回連続なの。私がこんな割り箸もまともに割れないような女だってミト君に知られたら、お育ちが悪いって思われて振られちゃうかも。あああ、私は本当にどうしようもない女なのよ……」
「先輩、お店の迷惑になりますからテーブルに突っ伏して泣くのはやめましょうよ……」
相変わらず変なことで悩んでいる志乃先輩をなだめてどうにかお互いラーメンを食べ終わり、買いたい参考書があるということなので私は志乃先輩に付いてそのまま近場の書店へと足を運んだ。
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい、今日は皆様に特別商品のご案内です。書店のレシートをお持ちの方には何と500円引きでご提供致しますよ!!」
「志乃先輩、あれは……」
書店の前では書店員さんらしき若い男性が謎の機械を売っていて、志乃先輩は機械に貼られている説明書きを見ると書店員さんの所へと駆け寄っていった。
「どうも、こちらの商品にご興味がおありですか? 地元の工場の試作品『全自動箸割り機』は今なら税込み2000円、お嬢さんにはサービスで1500円でご提供致しましょう! いかがですか?」
「ぜひ買わせてください。どっちみち後で参考書買いますし、1500円で……」
志乃先輩は謎の機械「全自動箸割り機」を即決で購入し、明日部室まで持ってきて見せてくれることになった。
そして翌日の放課後……
「宇津田先輩、これが噂に聞く『全自動箸割り機』なのですね。動く所を見せて貰えませんか?」
「ええ、もちろん。せっかくだからカップ麺でも作ってみてくれない? 灰田さん、3人分よろしく……」
硬式テニス部所属の1年生である三島右子ちゃんは志乃先輩が持ってきた全自動箸割り機を見て目を輝かせており、私は先輩の指示を受けて部室の湯沸かしポットでカップラーメンを3人分作った。
ラーメンが完成するタイミングで志乃先輩は全自動箸割り機に割り箸を突っ込み、スイッチをひねると割り箸は両側から引っ張られ、綺麗に2つに割れた。
「これは素晴らしいですね、まさしく身近な業務自動化です!」
「やっぱり機械で割った割り箸で食べるラーメンは美味しいわね。これでミト君にも恥ずかしくないわ……」
「そ、そうですよね……」
カップラーメンの味は全く変わった気がしないけど、志乃先輩も右子ちゃんも全自動箸割り機の性能には大満足のようだった。
3人でラーメンを食べ終えた後は全自動箸割り機を部室の戸棚にしまっておくことにして、片付けが終わった所で部長である3年生の出羽ののか先輩が部室に入ってきた。
「あら、ラーメンみたいな香りがするわね。皆で食べてたの?」
「ええ、ちょっと事情がありまして。良かったら出羽先輩も後でどうぞ」
「ありがとう。そういえば昨日近くの本屋さんで見たんだけど、何か『全自動箸割り機』とかいうのが売られてて爆笑しちゃったわ。割り箸なんて自分の手があればすぐ割れるのに、あんなバカみたいな機械買う人なんているのかしらね? 綺麗に割れるっていうけど割り箸なんて適当に割っても使えるし、本当に何やってんだかって感じよねぬぐぐぐぐぐぐぐぐぐ」
「志乃先輩、首は駄目です首は!!」
全自動箸割り機に率直な感想を述べたののか先輩に志乃先輩は無言で激怒すると力ずくで黙らせにかかり、私は業務自動化は必要性を考慮しないと残念な結果になるなあと思った。
(続く)
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最近の女子高生は思想が強い ~雇用・利子および女子高生の一般りろん~
輪島ライ
大衆娯楽
東京都千代田区にある私立ケインズ女子高校は本来の意味でリベラルな学校で、在学生には寛容の精神と資本主義思想が教え込まれている。
社会派ドタバタポリティカルコメディ、ここでも開幕!!
※この作品は「小説家になろう」「アルファポリス」「カクヨム」「エブリスタ」に投稿しています。
※これは架空の物語です。過去、あるいは現在において、たまたま実在する人物、出来事と類似していても、それは偶然に過ぎません。
※姉妹作「天然女子高生のためのそーかつ」を並行連載中です。(内容に一部重複があります)
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ!
コバひろ
大衆娯楽
格闘技を通して、男と女がリングで戦うことの意味、ジェンダー論を描きたく思います。また、それによる両者の苦悩、家族愛、宿命。
性差とは何か?
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる