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第4部 天然女子高生のための大そーかつ
第112話 作業管理
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東京都千代田区にある私立マルクス高等学校は今時珍しい革新系の学校で、在学生にはリベラルアーツ精神と左派系の思想が叩き込まれている。
『待ていっ! お前たちハンチセー軍団の野望はこの俺、マッカテンブレードが打ち砕く! マッカランサー展開!!』
『現れたなマッカテン! 今回貴様の相手をするのは貴様の弟、マッカテンイーヴィルだ! 兄弟同士で潰し合うがいい!』
「頑張れお兄ちゃん、じゃなくてマッカテンブレード!!」
「いけいけー、がんばれー!」
ある日の放課後、私、野掘真奈は硬式テニス部所属の2年生である赤城旗子先輩に誘われて高校近くの書店で行われているヒーローショーの見物に来ていた。
この書店では販促イベントの一つとして不定期でヒーローショーを開催しており、今回は人気テレビアニメ「宇宙の学徒マッカテンブレード」の主人公を書店員として働いている赤城点太郎さんが演じていた。
はたこ先輩のお兄さんでもある点太郎さんは様々な職業を転々とする中でヒーローショーのスーツアクターも経験しており、一緒に来ていたお隣さんの子供である村田蓮くんは目の前で繰り広げられているアクションを見て歓声を上げていた。
『ここからが俺の底力だ! 受けてみろ、必殺のボルマッカー!!』
ガシャン!!
『ぐわあっ!? 俺は兄さんには勝てないというのか……』
「ファッ!?」
「まなおねえちゃん、あれだいじょうぶなのかな?」
アニメの声優さんによりあらかじめ収録されている音声は流れ続けているが、点太郎さん演じるマッカテンブレードは台の上から飛び上がって空中で前転した直後に体勢を崩して背中から地面に激突し、そのまま動かなくなった点太郎さんに敵役の演者さんたちが駆け寄っていた。
その数日後……
「点太郎さん、大丈夫でしたか? 何かものすごく痛そうな落ち方でしたけど」
「野掘さん、お見舞いにまで来てくれて本当にありがとう。背骨にヒビが入ってたぐらいでそんなに重症じゃなかったけど、しばらくは入院生活になるらしいんだ。もちろん労災扱いになったけど、書店の仕事は大好きだったから残念で仕方ないよ」
「お兄ちゃんの落ち方見事すぎてYoutubeにアップロードされてたよ! 流石にあれだけどヒーロースーツ着てるし何法違反なのか分かんないよ」
果物セットを持って入院中の点太郎さんのお見舞いに行くと、点太郎さんはベッドに横たわって妹と会話している所だった。
「こういう事態は本来産業医さんが作業方法の管理で防ぐべきなんでしょうけど、書店のヒーローショーで怪我するっていう事態は中々想像できませんよね。再発防止策って取られてるんでしょうか?」
「実は来週ヒーローショーの再演があるんだけど、僕が出られないこともあって代替策を講じるらしいんだ。事故騒ぎで観客も少なそうだから、よかったら行ってあげて貰えないかな?」
「もちろん行きます。お大事にしてくださいね」
点太郎さんはこういう状況になっても職場に配慮しており、私は蓮くんを連れて再びヒーローショーに行ってみることにした。
そしてヒーローショー再演の当日……
『待ていっ! お前たちハンチセー軍団の野望はこの俺、マッカテンブレードが打ち砕く! マッカランサー展開!!』
『現れたなマッカテン! こんな所で戦うと人々の迷惑になるから、今すぐアニメーションディメンジョンに移動して戦うぞ! マッカー・イン!!』
怪人がそう言うと店内の天井からスクリーンが降りてきて、マッカテンブレードと怪人はプロジェクターで投影されたアニメ映像の中で死闘を繰り広げ始めた。
「すごいぞ、がんばれマッカテンー!!」
「確かに思い切った作業管理だね……」
ヒーローショーの意味がないような気もするが、これはこれで表現としてありかも知れないと私は思った。
(続く)
『待ていっ! お前たちハンチセー軍団の野望はこの俺、マッカテンブレードが打ち砕く! マッカランサー展開!!』
『現れたなマッカテン! 今回貴様の相手をするのは貴様の弟、マッカテンイーヴィルだ! 兄弟同士で潰し合うがいい!』
「頑張れお兄ちゃん、じゃなくてマッカテンブレード!!」
「いけいけー、がんばれー!」
ある日の放課後、私、野掘真奈は硬式テニス部所属の2年生である赤城旗子先輩に誘われて高校近くの書店で行われているヒーローショーの見物に来ていた。
この書店では販促イベントの一つとして不定期でヒーローショーを開催しており、今回は人気テレビアニメ「宇宙の学徒マッカテンブレード」の主人公を書店員として働いている赤城点太郎さんが演じていた。
はたこ先輩のお兄さんでもある点太郎さんは様々な職業を転々とする中でヒーローショーのスーツアクターも経験しており、一緒に来ていたお隣さんの子供である村田蓮くんは目の前で繰り広げられているアクションを見て歓声を上げていた。
『ここからが俺の底力だ! 受けてみろ、必殺のボルマッカー!!』
ガシャン!!
『ぐわあっ!? 俺は兄さんには勝てないというのか……』
「ファッ!?」
「まなおねえちゃん、あれだいじょうぶなのかな?」
アニメの声優さんによりあらかじめ収録されている音声は流れ続けているが、点太郎さん演じるマッカテンブレードは台の上から飛び上がって空中で前転した直後に体勢を崩して背中から地面に激突し、そのまま動かなくなった点太郎さんに敵役の演者さんたちが駆け寄っていた。
その数日後……
「点太郎さん、大丈夫でしたか? 何かものすごく痛そうな落ち方でしたけど」
「野掘さん、お見舞いにまで来てくれて本当にありがとう。背骨にヒビが入ってたぐらいでそんなに重症じゃなかったけど、しばらくは入院生活になるらしいんだ。もちろん労災扱いになったけど、書店の仕事は大好きだったから残念で仕方ないよ」
「お兄ちゃんの落ち方見事すぎてYoutubeにアップロードされてたよ! 流石にあれだけどヒーロースーツ着てるし何法違反なのか分かんないよ」
果物セットを持って入院中の点太郎さんのお見舞いに行くと、点太郎さんはベッドに横たわって妹と会話している所だった。
「こういう事態は本来産業医さんが作業方法の管理で防ぐべきなんでしょうけど、書店のヒーローショーで怪我するっていう事態は中々想像できませんよね。再発防止策って取られてるんでしょうか?」
「実は来週ヒーローショーの再演があるんだけど、僕が出られないこともあって代替策を講じるらしいんだ。事故騒ぎで観客も少なそうだから、よかったら行ってあげて貰えないかな?」
「もちろん行きます。お大事にしてくださいね」
点太郎さんはこういう状況になっても職場に配慮しており、私は蓮くんを連れて再びヒーローショーに行ってみることにした。
そしてヒーローショー再演の当日……
『待ていっ! お前たちハンチセー軍団の野望はこの俺、マッカテンブレードが打ち砕く! マッカランサー展開!!』
『現れたなマッカテン! こんな所で戦うと人々の迷惑になるから、今すぐアニメーションディメンジョンに移動して戦うぞ! マッカー・イン!!』
怪人がそう言うと店内の天井からスクリーンが降りてきて、マッカテンブレードと怪人はプロジェクターで投影されたアニメ映像の中で死闘を繰り広げ始めた。
「すごいぞ、がんばれマッカテンー!!」
「確かに思い切った作業管理だね……」
ヒーローショーの意味がないような気もするが、これはこれで表現としてありかも知れないと私は思った。
(続く)
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