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第一部
3.皇帝陛下の反応
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部屋に留め置かれて、私は逃げることもできなかった。
部屋の入り口にはシャムス様が連れて来た兵士が立っていて、私が妙なことをしないように見張っている。
自害すらも許されない立場なのだ。
日の国では、失態を冒したときに自害することで家の名誉を守れる。それは武士であり、当主である女性のことなのだが、前世の記憶が蘇って混乱している私は、男女の価値観がおかしくなっていた。
腹を切ってでも皇帝陛下にお詫びしなければいけない。
「皇帝陛下のお渡りがあります。千里様のお部屋に佐野殿もいらっしゃるようにと仰っています」
シャムス様の部下の兵士が走って来て私に伝える。
千里様の部屋に昼間から皇帝陛下が来るということは、それだけ重大なことと今回の小説が思われたのだ。
やはり男性同士の恋愛を、男性が希少なこの世界で書くのはあまりにも無謀だった。書きたくて書いたわけではないから、字も汚かったし、皇帝陛下はどれほどお怒りなのだろう。
千里様の部屋に兵士と共に行くと、シャムス様と皇帝陛下が小説を手に話していた。
「男同士が性行為をしておる。知っておったか、シャムス。男同士では香油を使うのだと」
「いいえ、知りませんでした」
「尻に香油を塗って交わるなど、全く知らなかった」
興味深そうに話し合っている皇帝陛下に千里様が私の姿を見て話しかけられる。
「アッザーム、我が君、佐野伝達が来ましたよ」
アッザームとは皇帝陛下の名前だ。千里様は皇帝陛下の名前を親しく呼び捨てにすることを許されているのだ。
それもそのはず、千里様は次の皇帝陛下の父親であり、もう一人のお子の父親でもある。
「佐野伝達、来たか」
「お許しください。その物語は、捨てるつもりで書いたもの。皇帝陛下の目に入るとは思わなかったのです」
「これを間違いなくそなたが書いたのよな?」
「書いたのは間違いなく私ですが、千里様には何の関係も御座いません。処分は私だけにしてください」
目の奥が熱くなって涙が零れて来る。
私は千里様をお支えするために後宮に入ったのに、千里様の足を引っ張るようなことをしてしまった。後悔に涙が止まらない。
床の上に膝をつくと、それが美しく織られた絨毯だということが分かる。千里様はこんな美しいものを足に敷いて暮らすほど皇帝陛下に愛されている。
その寵愛を取り戻すために私は日の国からやって来たのに、全く役に立たないどころか、千里様を窮地に立たせている。
「とても展開がエッチで最高だった」
「は、はいぃ?」
しみじみと小説を胸に抱いて述べる皇帝陛下に、私は思考がついて行かない。
「後宮に召し上げられる男と、その男をずっと慕っていた使用人の恋。召し上げられる前の最後の晩に二人は激しく抱き合う……そして、切ない別れ。泣いたぞ! なんと切なくエッチで素晴らしいのだ!」
熱く語る皇帝陛下に、シャムス様も深く頷いている。
「これを読んだ瞬間、私の体に電流が走りました。このような素晴らしいもの、皇帝陛下に見せねばならないと思ったのです」
「シャムス! そなたは誠に私の最高の親友だ。このような素晴らしい物語を捨てさせるわけにはいかない」
「その通りでございます。皇帝陛下の大変な政務の気休めになると思ったのです」
「最高だ……これを毎日読むことはできぬのか!?」
大誤算だった。
前世でも「解せぬ」と思いながら書いていたボーイズラブが、私の作品の中では一番リアリティがあって素晴らしいと評されていた。
今世でも皇帝陛下にもシャムス様にも、私のボーイズラブは好評だった。
「佐野伝達、皇帝陛下を満足させられる物語を書けるなど、私もそなたの主として誇らしいぞ」
「あの、千里様はどうか、それを読まないでくださいませ……」
「皇帝陛下が絶賛するものなのだ、絶対に読む」
まさか千里様にまで私のボーイズラブ小説を読まれてしまうとは。
ショックを受けている場合ではない。
ボーイズラブ小説が認められるというかなり異例の事態になってしまったが、ことは思惑通りに進んでいると言っていい。このまま皇帝陛下を説得するのだ。
「皇帝陛下、私はしばらくの間は書けるかもしれませんが、恐らく、このままではネタ切れになって、物語を書くことができなくなるでしょう」
「そうなのか、伝達? そなたのような才能豊かなものでも、書けなくなるのか?」
皇帝陛下の中では既に私は才能豊かと認識されている。皇帝陛下の好みの物語を書くにはどうすればいいのか。私は語った。
「物語を書くには、取材というものが必須になります」
「取材? それは何なのだ?」
「物語の着想を得たり、物語にリアリティを持たせて面白くするための行為で、色んな場所に出向き、色んな書物を読み、実際の感覚に触れねばなりません」
「つまり、どうしたいのだ?」
「城の書庫を自由に使わせていただきたいのと、城の中……できれば許可を取ってそれ以外の場所も自由に行き来させてほしいのです。そして、出会ったものに話しを聞く許可をいただきたい」
それが通るかどうかは皇帝陛下次第だった。
後宮という限られた場所に閉じ込められて、部屋から出られないからこそ、後宮の男性が不貞を働いていないことが証明される。後宮の男性が皇帝陛下以外と関係を持って皇帝陛下に病気でも移せば、それは国家的な問題になる。
「どう思う、シャムス」
「佐野伝達殿の安全を考えると賛成しかねます」
「だが、この素晴らしい物語が読めなくなるのだぞ? リアリティがなくなって、ネタがつまらなくなって、エッチがマンネリになって……そんなのは私は我慢できない!」
苦悩する皇帝陛下にシャムス様が名乗りを上げた。
「それならば、私をお使いください」
「シャムス、やってくれるか?」
「私は決して皇帝陛下に逆らいません。私が後宮の部屋から出た時点から、部屋に戻るまで、一瞬たりとも佐野伝達殿から離れずに、護衛いたしましょう」
「そなたは騎士団においても中隊を率いる上級職。それをいいのか?」
「皇帝陛下のためならば、私はどんな仕事でもいたします」
皇帝陛下とシャムス様との間で話が纏まった。
その日の夜、天井がドーム状になった広間に後宮の男性が全て集められた。
戸惑う男性たちのざわめきに、中二階に立つ皇帝陛下が、隣りに立つ私を紹介する。
「この者は佐野伝達。日の国から来た吟遊詩人だ」
吟遊詩人!?
この世界に作家という概念はなかった気がするので、そうなるのは仕方がないのかもしれない。
「今後、シャムスと共にこの者は後宮を自由に歩き回る。後宮のみならず、城中を歩き回る。それは取材のためだ」
「しゅざい? しゅざいとは何ですか?」
困惑して聞いているのは側室の中でも位の高い男性だろう。褐色の肌から月の帝国の出身だと憶測される。
「物語を書くためには欠かせぬことなのだ。物語の着想を得たり、物語にリアリティを持たせるために必要なことだ。そのために、そなたらは佐野伝達に聞かれたことは、嘘偽りなく正直に話すのだ」
自分の読みたい物語のためならば、皇帝陛下は手段を選ばなかった。それだけ皇帝陛下の心に私の書いたボーイズラブが響いたということなのだろうが、それはそれで非常に複雑な気持ちになってしまう。
「佐野伝達とは、私よりも身分が低い者ではないですか。なぜ私が……」
「佐野伝達には今より、私、皇帝付きの吟遊詩人の座を与える」
「な、なんですと!?」
「皇帝陛下専属の吟遊詩人ということですか!?」
「その通りだ。佐野伝達の問いかけることは、私の問いかけと思って答えるように」
ものすごい地位をいただいてしまった。
皇帝陛下付きの吟遊詩人ということは、皇帝陛下のためだけに物語を書き、皇帝陛下に捧げ続けなければいけない。
後宮を自由に歩き回り、書庫の文献を探るために小説で皇帝陛下を懐柔しようという私の策は、思ったより上手くいきすぎた。
「伝達、書いたものは千里の部屋に届けよ。私は物語を読みに行くという口実で千里の部屋に行ける」
「皇帝陛下……」
「私が一番心安らぐのは千里の部屋なのだ。子どもも見せたいしな」
柔らかく微笑む皇帝陛下には皇帝陛下の思惑があったようだ。
その日、私は皇帝陛下直属の吟遊詩人に任じられた。
部屋の入り口にはシャムス様が連れて来た兵士が立っていて、私が妙なことをしないように見張っている。
自害すらも許されない立場なのだ。
日の国では、失態を冒したときに自害することで家の名誉を守れる。それは武士であり、当主である女性のことなのだが、前世の記憶が蘇って混乱している私は、男女の価値観がおかしくなっていた。
腹を切ってでも皇帝陛下にお詫びしなければいけない。
「皇帝陛下のお渡りがあります。千里様のお部屋に佐野殿もいらっしゃるようにと仰っています」
シャムス様の部下の兵士が走って来て私に伝える。
千里様の部屋に昼間から皇帝陛下が来るということは、それだけ重大なことと今回の小説が思われたのだ。
やはり男性同士の恋愛を、男性が希少なこの世界で書くのはあまりにも無謀だった。書きたくて書いたわけではないから、字も汚かったし、皇帝陛下はどれほどお怒りなのだろう。
千里様の部屋に兵士と共に行くと、シャムス様と皇帝陛下が小説を手に話していた。
「男同士が性行為をしておる。知っておったか、シャムス。男同士では香油を使うのだと」
「いいえ、知りませんでした」
「尻に香油を塗って交わるなど、全く知らなかった」
興味深そうに話し合っている皇帝陛下に千里様が私の姿を見て話しかけられる。
「アッザーム、我が君、佐野伝達が来ましたよ」
アッザームとは皇帝陛下の名前だ。千里様は皇帝陛下の名前を親しく呼び捨てにすることを許されているのだ。
それもそのはず、千里様は次の皇帝陛下の父親であり、もう一人のお子の父親でもある。
「佐野伝達、来たか」
「お許しください。その物語は、捨てるつもりで書いたもの。皇帝陛下の目に入るとは思わなかったのです」
「これを間違いなくそなたが書いたのよな?」
「書いたのは間違いなく私ですが、千里様には何の関係も御座いません。処分は私だけにしてください」
目の奥が熱くなって涙が零れて来る。
私は千里様をお支えするために後宮に入ったのに、千里様の足を引っ張るようなことをしてしまった。後悔に涙が止まらない。
床の上に膝をつくと、それが美しく織られた絨毯だということが分かる。千里様はこんな美しいものを足に敷いて暮らすほど皇帝陛下に愛されている。
その寵愛を取り戻すために私は日の国からやって来たのに、全く役に立たないどころか、千里様を窮地に立たせている。
「とても展開がエッチで最高だった」
「は、はいぃ?」
しみじみと小説を胸に抱いて述べる皇帝陛下に、私は思考がついて行かない。
「後宮に召し上げられる男と、その男をずっと慕っていた使用人の恋。召し上げられる前の最後の晩に二人は激しく抱き合う……そして、切ない別れ。泣いたぞ! なんと切なくエッチで素晴らしいのだ!」
熱く語る皇帝陛下に、シャムス様も深く頷いている。
「これを読んだ瞬間、私の体に電流が走りました。このような素晴らしいもの、皇帝陛下に見せねばならないと思ったのです」
「シャムス! そなたは誠に私の最高の親友だ。このような素晴らしい物語を捨てさせるわけにはいかない」
「その通りでございます。皇帝陛下の大変な政務の気休めになると思ったのです」
「最高だ……これを毎日読むことはできぬのか!?」
大誤算だった。
前世でも「解せぬ」と思いながら書いていたボーイズラブが、私の作品の中では一番リアリティがあって素晴らしいと評されていた。
今世でも皇帝陛下にもシャムス様にも、私のボーイズラブは好評だった。
「佐野伝達、皇帝陛下を満足させられる物語を書けるなど、私もそなたの主として誇らしいぞ」
「あの、千里様はどうか、それを読まないでくださいませ……」
「皇帝陛下が絶賛するものなのだ、絶対に読む」
まさか千里様にまで私のボーイズラブ小説を読まれてしまうとは。
ショックを受けている場合ではない。
ボーイズラブ小説が認められるというかなり異例の事態になってしまったが、ことは思惑通りに進んでいると言っていい。このまま皇帝陛下を説得するのだ。
「皇帝陛下、私はしばらくの間は書けるかもしれませんが、恐らく、このままではネタ切れになって、物語を書くことができなくなるでしょう」
「そうなのか、伝達? そなたのような才能豊かなものでも、書けなくなるのか?」
皇帝陛下の中では既に私は才能豊かと認識されている。皇帝陛下の好みの物語を書くにはどうすればいいのか。私は語った。
「物語を書くには、取材というものが必須になります」
「取材? それは何なのだ?」
「物語の着想を得たり、物語にリアリティを持たせて面白くするための行為で、色んな場所に出向き、色んな書物を読み、実際の感覚に触れねばなりません」
「つまり、どうしたいのだ?」
「城の書庫を自由に使わせていただきたいのと、城の中……できれば許可を取ってそれ以外の場所も自由に行き来させてほしいのです。そして、出会ったものに話しを聞く許可をいただきたい」
それが通るかどうかは皇帝陛下次第だった。
後宮という限られた場所に閉じ込められて、部屋から出られないからこそ、後宮の男性が不貞を働いていないことが証明される。後宮の男性が皇帝陛下以外と関係を持って皇帝陛下に病気でも移せば、それは国家的な問題になる。
「どう思う、シャムス」
「佐野伝達殿の安全を考えると賛成しかねます」
「だが、この素晴らしい物語が読めなくなるのだぞ? リアリティがなくなって、ネタがつまらなくなって、エッチがマンネリになって……そんなのは私は我慢できない!」
苦悩する皇帝陛下にシャムス様が名乗りを上げた。
「それならば、私をお使いください」
「シャムス、やってくれるか?」
「私は決して皇帝陛下に逆らいません。私が後宮の部屋から出た時点から、部屋に戻るまで、一瞬たりとも佐野伝達殿から離れずに、護衛いたしましょう」
「そなたは騎士団においても中隊を率いる上級職。それをいいのか?」
「皇帝陛下のためならば、私はどんな仕事でもいたします」
皇帝陛下とシャムス様との間で話が纏まった。
その日の夜、天井がドーム状になった広間に後宮の男性が全て集められた。
戸惑う男性たちのざわめきに、中二階に立つ皇帝陛下が、隣りに立つ私を紹介する。
「この者は佐野伝達。日の国から来た吟遊詩人だ」
吟遊詩人!?
この世界に作家という概念はなかった気がするので、そうなるのは仕方がないのかもしれない。
「今後、シャムスと共にこの者は後宮を自由に歩き回る。後宮のみならず、城中を歩き回る。それは取材のためだ」
「しゅざい? しゅざいとは何ですか?」
困惑して聞いているのは側室の中でも位の高い男性だろう。褐色の肌から月の帝国の出身だと憶測される。
「物語を書くためには欠かせぬことなのだ。物語の着想を得たり、物語にリアリティを持たせるために必要なことだ。そのために、そなたらは佐野伝達に聞かれたことは、嘘偽りなく正直に話すのだ」
自分の読みたい物語のためならば、皇帝陛下は手段を選ばなかった。それだけ皇帝陛下の心に私の書いたボーイズラブが響いたということなのだろうが、それはそれで非常に複雑な気持ちになってしまう。
「佐野伝達とは、私よりも身分が低い者ではないですか。なぜ私が……」
「佐野伝達には今より、私、皇帝付きの吟遊詩人の座を与える」
「な、なんですと!?」
「皇帝陛下専属の吟遊詩人ということですか!?」
「その通りだ。佐野伝達の問いかけることは、私の問いかけと思って答えるように」
ものすごい地位をいただいてしまった。
皇帝陛下付きの吟遊詩人ということは、皇帝陛下のためだけに物語を書き、皇帝陛下に捧げ続けなければいけない。
後宮を自由に歩き回り、書庫の文献を探るために小説で皇帝陛下を懐柔しようという私の策は、思ったより上手くいきすぎた。
「伝達、書いたものは千里の部屋に届けよ。私は物語を読みに行くという口実で千里の部屋に行ける」
「皇帝陛下……」
「私が一番心安らぐのは千里の部屋なのだ。子どもも見せたいしな」
柔らかく微笑む皇帝陛下には皇帝陛下の思惑があったようだ。
その日、私は皇帝陛下直属の吟遊詩人に任じられた。
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