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転生したらまた魔女の男子だった件
175.それから三年
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三年のときが経って、フレーズちゃんは六歳、スリーズちゃんは十二歳になった。
二年早く小学校に入学しているスリーズちゃんはもう高等学校の二年生だった。
フレーズちゃんは小学校に入学した。
燕の姿のままで人間の姿になれないフレーズちゃんだったが、小学校の先生はきちんと受け入れを考えてくれた。フレーズちゃんのために止まり木の席を作ってくれて、毎日フレーズちゃんのお手伝いの係が変わるようにしてくれて、お手伝いの係の子はフレーズちゃんのために教科書を捲ったり、お手洗いに連れて行ってくれたりする。
小さな燕の姿のままで入学式を迎えたフレーズちゃんに心配していなかったわけではないけれど、僕が初めての男の子の魔法使いとして入学してきたときにも柔軟に迎え入れてくれた小学校に僕は信頼を持っていた。
「リクとライラが六歳になったら魔法使いの街の小学校に入学させましょう?」
「ラーイの後輩になるのだな」
「僕も通っていたので安心です」
「白虎の姿のままでも受け入れてくれるであろう。それに、リクとライラは半分は魔法使いの血を引いておる」
フレーズちゃんを受け入れてくれたように、リクとライラも小学校に受け入れてもらえる。それを僕は確信していた。
「ママー! ライラがあむちたー!」
「リクがあむちたのよー!」
「リクじゃなくて、レンー!」
レンくんが噛んだのに間違えてリクに仕返しをされて、泣き顔でリクが僕に引っ付いてくる。抱き上げると毛皮が若干乱れていた。そこが噛まれたところなのだろう。
白虎の姿のままだけれど、僕はリクとライラの表情を少しは読めるようになっていた。父親だから当然なのかもしれない。
リクを抱き上げて噛まれたところを撫でていると、ライラがきゅーんきゅーんと鳴いて謝っている。
「まちがえたの。ごめちゃい」
「噛まれたらすぐに噛み返すんじゃなくてどうしてそんなことをするのかをお話ししないと」
「むつかち!」
三歳児にとってはまだ話し合いは難しかった。
泣き顔になって反省しているライラも抱き上げると、リクがライラの頭を舐めて仲直りをする。喧嘩をしてもすぐに仲直りできるのが双子のいいところだった。
一歳を越してから分かったことだが、リクもライラも紫色の目をしていた。
セイラン様は水色の目で、僕が紫色の目だからリクもライラも目の色は僕に似たようなのだ。
レンくんとリリちゃんはリラと同じ金色の目をしていた。目の色以外はそっくりなので、ライラがレンくんとリクを見間違えたのも仕方がない。
「レンくんにお話ししに行こうか」
「ママ、きて」
「うん、一緒に行こう」
レンくんのところにライラとリクを抱っこしたまま話に行くと、レンくんは部屋の隅でおしっこを漏らしていた。雑巾でおしっこを拭いて、レンくんの体も洗って綺麗に拭くと、レンくんがふるふると震えているのが分かる。
「リリとあとんでたら、わからなくなったった」
「興奮して訳が分からなくなっちゃったのかな?」
「そうなの……ごめちゃい」
「もうかまないでね?」
「あい」
レンくんはリリちゃんと遊んでいるうちに興奮してしまって、訳が分からなくなってライラを噛んだようだ。小さな子どもにはよくあることだ。怒られるのが怖くて部屋の隅で漏らしてしまうくらいだったのだから、僕も許さなくてはいけなくなる。
「ママ、おはなちでちた」
「お話しできたね。ライラ、よかったね」
「あい。らーも、あむちない」
「噛まないように気を付けてね」
噛み付きは白虎族の本能がある限りは仕方がないことではあるが、小学校に上がる年になる前には僕はなんとはリクとライラ、レンくんとリリちゃんの噛み付きの癖を直したいところだった。
リクもライラも三歳になったのでセイラン様とは体を重ねることを再開していた。
三歳になるまではお互いに舐めて処理し合ったり、セイラン様に扱いてもらったりしていたのだが、晴れてリクとライラの三歳のお誕生日を過ぎてからは再び体を重ねるようになった。
セイラン様も相当我慢していらしたし、僕も我慢していたので、最初の頃は僕の腰が立たなくなるまで貪られることが多かった。腰が立たなくなるとリクとライラのお世話もできないし、母の店にも行くことができないので、手加減してもらおうとするのだが、セイラン様はなかなか止まってくれなかった。
「ずっとラーイが欲しかったのだ。これだけ我慢したのだから存分に与えてくれ」
「セイランさまっ! もうだめ! でないぃ!」
白濁が出なくなるまで搾り取られても許してもらえず、僕はベッドの上で何度も泣かされた。泣き腫らした顔でセイラン様に抱かれて居間に連れて来られるので、リクとライラも何事かと最初は怯えていた。
「ママ、いちゃい?」
「ママ、おびょーき?」
「アンナマリおばたま、いく?」
「アンナマリおばたま、よぶ?」
定期健診でアンナマリ姉さんのところにはリクとライラを連れて行っているので、病気や怪我のときにはアンナマリ姉さんの診療所に行くのだと二人とも理解していた。
紫色の僕に似た目に涙を溜めて心配してくれるリクとライラに、睦み合い過ぎたからこうなったのだなどといえず、僕は言葉を濁したのだった。
リクとライラのお誕生日から少し経った秋ごろにはセイラン様も落ち着いてきた。
「すまなかった。私は発情していたのではないかと思うのだ」
「へ!?」
「体がラーイを求めて仕方がなかった」
セイラン様が発情状態になるということは結婚前にセイラン様とレイリ様のご両親から聞いていたけれど、あんなに激しいものだとは全く思っていなかった。セイラン様も恥ずかしそうにしているが、僕はセイラン様が落ち着いてよかったと胸を撫で下ろしていた。
母の店では、僕は結婚式中心のオーダーを受けていた。
母のウエディングドレスからアマンダ姉さんのカクテルドレス、アンナマリ姉さんのウエディングドレス、アナ姉さんのカクテルドレス、それらが魔法使いの森でものすごく評判になっていたのだ。
毎日のように来るウエディングドレスとタキシードのオーダーに僕は応えきれていなかった。
ウエディングドレスは一着を作るのにどうしても時間がかかってしまう。タキシードも一緒となると更に時間がかかる。
オーダーを一度に複数は受けられなくて、一件ずつ受けて行くのだが、それではとても間に合わないオーダーの量だった。
「今は注文が詰まっておりますので、母のアマリエに頼んでもらえますか?」
「注文が空くまで待ちます」
「注文が空くのは一年以上先ですよ」
注文待ちが大量に発生していて、僕の予定は一年先までみっしりと詰まっていた。
「それでも構いません。この仕立て屋の男の魔法使いにウエディングドレスを縫ってもらうと必ず幸せになれるし、子宝にも恵まれると言われているのです」
「え!? そんな付与魔法はかけていませんよ? 幸せになれるようには願っていますが……」
「土地神様の伴侶でいらっしゃるのでしょう? きっとご加護があるのです」
僕の作るウエディングドレスには加護があるという噂が立っているようだった。
そんな付与魔法をかけたつもりはないのだが、土地神様の伴侶であるのは確かだし、僕も早くに子宝に恵まれているので、もしかするとそんな加護もあるのかもしれない。
結婚する花嫁と花婿が幸せになるように願いはかけているけれど、それは付与魔法とはちょっと違う。
社に帰って僕は膝の上に甘えて来るリクとライラを撫でながら、セイラン様に聞いてみた。
「僕が作ったウエディングドレスを着て結婚すると幸せになるし、子宝に恵まれると言われたんです」
「そうなのか」
「セイラン様、僕に何かそんな加護を付ける能力があるのですか?」
セイラン様は少し考えて、リクとライラを撫でながら答えた。
「ラーイも神族になっておる。そのような能力が備わっていてもおかしくはないな」
「神族の効果ですか!?」
「神族には祝福を授ける能力があるものがおる。ラーイはそれなのかもしれぬ」
セイラン様に言われて僕は自分のことを考える。
神族になったのはセイラン様と結婚してからなので、それより前に作ったウエディングドレスにそんな加護が付いていたわけではなくて、母やアマンダ姉さんやアンナマリ姉さんが自分たちで築いた幸せと子宝なのだが、アナ姉さんに関してはどうなのだろう。
まだ分からないけれど、僕にそんな力があるのならば、たくさんのひとを幸せに導きたいと思っていた。
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フレーズちゃんは小学校に入学した。
燕の姿のままで人間の姿になれないフレーズちゃんだったが、小学校の先生はきちんと受け入れを考えてくれた。フレーズちゃんのために止まり木の席を作ってくれて、毎日フレーズちゃんのお手伝いの係が変わるようにしてくれて、お手伝いの係の子はフレーズちゃんのために教科書を捲ったり、お手洗いに連れて行ってくれたりする。
小さな燕の姿のままで入学式を迎えたフレーズちゃんに心配していなかったわけではないけれど、僕が初めての男の子の魔法使いとして入学してきたときにも柔軟に迎え入れてくれた小学校に僕は信頼を持っていた。
「リクとライラが六歳になったら魔法使いの街の小学校に入学させましょう?」
「ラーイの後輩になるのだな」
「僕も通っていたので安心です」
「白虎の姿のままでも受け入れてくれるであろう。それに、リクとライラは半分は魔法使いの血を引いておる」
フレーズちゃんを受け入れてくれたように、リクとライラも小学校に受け入れてもらえる。それを僕は確信していた。
「ママー! ライラがあむちたー!」
「リクがあむちたのよー!」
「リクじゃなくて、レンー!」
レンくんが噛んだのに間違えてリクに仕返しをされて、泣き顔でリクが僕に引っ付いてくる。抱き上げると毛皮が若干乱れていた。そこが噛まれたところなのだろう。
白虎の姿のままだけれど、僕はリクとライラの表情を少しは読めるようになっていた。父親だから当然なのかもしれない。
リクを抱き上げて噛まれたところを撫でていると、ライラがきゅーんきゅーんと鳴いて謝っている。
「まちがえたの。ごめちゃい」
「噛まれたらすぐに噛み返すんじゃなくてどうしてそんなことをするのかをお話ししないと」
「むつかち!」
三歳児にとってはまだ話し合いは難しかった。
泣き顔になって反省しているライラも抱き上げると、リクがライラの頭を舐めて仲直りをする。喧嘩をしてもすぐに仲直りできるのが双子のいいところだった。
一歳を越してから分かったことだが、リクもライラも紫色の目をしていた。
セイラン様は水色の目で、僕が紫色の目だからリクもライラも目の色は僕に似たようなのだ。
レンくんとリリちゃんはリラと同じ金色の目をしていた。目の色以外はそっくりなので、ライラがレンくんとリクを見間違えたのも仕方がない。
「レンくんにお話ししに行こうか」
「ママ、きて」
「うん、一緒に行こう」
レンくんのところにライラとリクを抱っこしたまま話に行くと、レンくんは部屋の隅でおしっこを漏らしていた。雑巾でおしっこを拭いて、レンくんの体も洗って綺麗に拭くと、レンくんがふるふると震えているのが分かる。
「リリとあとんでたら、わからなくなったった」
「興奮して訳が分からなくなっちゃったのかな?」
「そうなの……ごめちゃい」
「もうかまないでね?」
「あい」
レンくんはリリちゃんと遊んでいるうちに興奮してしまって、訳が分からなくなってライラを噛んだようだ。小さな子どもにはよくあることだ。怒られるのが怖くて部屋の隅で漏らしてしまうくらいだったのだから、僕も許さなくてはいけなくなる。
「ママ、おはなちでちた」
「お話しできたね。ライラ、よかったね」
「あい。らーも、あむちない」
「噛まないように気を付けてね」
噛み付きは白虎族の本能がある限りは仕方がないことではあるが、小学校に上がる年になる前には僕はなんとはリクとライラ、レンくんとリリちゃんの噛み付きの癖を直したいところだった。
リクもライラも三歳になったのでセイラン様とは体を重ねることを再開していた。
三歳になるまではお互いに舐めて処理し合ったり、セイラン様に扱いてもらったりしていたのだが、晴れてリクとライラの三歳のお誕生日を過ぎてからは再び体を重ねるようになった。
セイラン様も相当我慢していらしたし、僕も我慢していたので、最初の頃は僕の腰が立たなくなるまで貪られることが多かった。腰が立たなくなるとリクとライラのお世話もできないし、母の店にも行くことができないので、手加減してもらおうとするのだが、セイラン様はなかなか止まってくれなかった。
「ずっとラーイが欲しかったのだ。これだけ我慢したのだから存分に与えてくれ」
「セイランさまっ! もうだめ! でないぃ!」
白濁が出なくなるまで搾り取られても許してもらえず、僕はベッドの上で何度も泣かされた。泣き腫らした顔でセイラン様に抱かれて居間に連れて来られるので、リクとライラも何事かと最初は怯えていた。
「ママ、いちゃい?」
「ママ、おびょーき?」
「アンナマリおばたま、いく?」
「アンナマリおばたま、よぶ?」
定期健診でアンナマリ姉さんのところにはリクとライラを連れて行っているので、病気や怪我のときにはアンナマリ姉さんの診療所に行くのだと二人とも理解していた。
紫色の僕に似た目に涙を溜めて心配してくれるリクとライラに、睦み合い過ぎたからこうなったのだなどといえず、僕は言葉を濁したのだった。
リクとライラのお誕生日から少し経った秋ごろにはセイラン様も落ち着いてきた。
「すまなかった。私は発情していたのではないかと思うのだ」
「へ!?」
「体がラーイを求めて仕方がなかった」
セイラン様が発情状態になるということは結婚前にセイラン様とレイリ様のご両親から聞いていたけれど、あんなに激しいものだとは全く思っていなかった。セイラン様も恥ずかしそうにしているが、僕はセイラン様が落ち着いてよかったと胸を撫で下ろしていた。
母の店では、僕は結婚式中心のオーダーを受けていた。
母のウエディングドレスからアマンダ姉さんのカクテルドレス、アンナマリ姉さんのウエディングドレス、アナ姉さんのカクテルドレス、それらが魔法使いの森でものすごく評判になっていたのだ。
毎日のように来るウエディングドレスとタキシードのオーダーに僕は応えきれていなかった。
ウエディングドレスは一着を作るのにどうしても時間がかかってしまう。タキシードも一緒となると更に時間がかかる。
オーダーを一度に複数は受けられなくて、一件ずつ受けて行くのだが、それではとても間に合わないオーダーの量だった。
「今は注文が詰まっておりますので、母のアマリエに頼んでもらえますか?」
「注文が空くまで待ちます」
「注文が空くのは一年以上先ですよ」
注文待ちが大量に発生していて、僕の予定は一年先までみっしりと詰まっていた。
「それでも構いません。この仕立て屋の男の魔法使いにウエディングドレスを縫ってもらうと必ず幸せになれるし、子宝にも恵まれると言われているのです」
「え!? そんな付与魔法はかけていませんよ? 幸せになれるようには願っていますが……」
「土地神様の伴侶でいらっしゃるのでしょう? きっとご加護があるのです」
僕の作るウエディングドレスには加護があるという噂が立っているようだった。
そんな付与魔法をかけたつもりはないのだが、土地神様の伴侶であるのは確かだし、僕も早くに子宝に恵まれているので、もしかするとそんな加護もあるのかもしれない。
結婚する花嫁と花婿が幸せになるように願いはかけているけれど、それは付与魔法とはちょっと違う。
社に帰って僕は膝の上に甘えて来るリクとライラを撫でながら、セイラン様に聞いてみた。
「僕が作ったウエディングドレスを着て結婚すると幸せになるし、子宝に恵まれると言われたんです」
「そうなのか」
「セイラン様、僕に何かそんな加護を付ける能力があるのですか?」
セイラン様は少し考えて、リクとライラを撫でながら答えた。
「ラーイも神族になっておる。そのような能力が備わっていてもおかしくはないな」
「神族の効果ですか!?」
「神族には祝福を授ける能力があるものがおる。ラーイはそれなのかもしれぬ」
セイラン様に言われて僕は自分のことを考える。
神族になったのはセイラン様と結婚してからなので、それより前に作ったウエディングドレスにそんな加護が付いていたわけではなくて、母やアマンダ姉さんやアンナマリ姉さんが自分たちで築いた幸せと子宝なのだが、アナ姉さんに関してはどうなのだろう。
まだ分からないけれど、僕にそんな力があるのならば、たくさんのひとを幸せに導きたいと思っていた。
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