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転生したらまた魔女の男子だった件
61.ナンシーちゃんの家に遊びに行く
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新年はセイラン様と僕はお揃いの服を着て、レイリ様とリラがお揃いの服を着て、マオさんも新しい服を着て土地のひとたちから挨拶を受けた。
毎年のことなのだが新年には土地のひとたちが社にやってくる。社はお供え物で山積みになっていた。
その中に大きな尾頭付きの鯛が一匹あって、僕もリラもわくわくしていた。
新鮮な鯛ならばお刺身で食べられるかもしれない。これだけ大きければ煮つけにしても大量に食べられるだろう。
「土地神様のご一家で食べてください」
「今年も安全な漁業ができるように、お守りください」
尾頭付きの鯛をくれたのは海沿いの街に住んでいるひとのようだ。わざわざ山を越えて新年の挨拶に来てくれたのだ。
「息子のラーイも娘のリラも魚は大好物だ」
「感謝します。今年もあなたたちの安全を守りましょう」
セイラン様とレイリ様に言われて、海沿いの街のひとは平伏するようにして頭を下げていた。
大陸で起きた土地神と貴族との騒動は、この島国には飛び火していなかったが、土地のひとたちの考えを改めさせたようだ。これまで以上に土地神様を崇めていこうという気持ちが籠っている。
セイラン様に抱っこされた僕と、レイリ様に抱っこされたリラも、深く頭を下げられてぺこぺことお辞儀をしていた。
「鯛はお刺身と煮つけとどっちも作りましょうね」
マオさんが鯛を捌いてお刺身と煮つけを作ってくれた。煮つけは刺身になる部位以外の場所で、牛蒡と茄子と豆腐も一緒に煮てある。味の染みた牛蒡と茄子と豆腐はとても美味しいのだ。
僕もリラも晩ご飯が待ちきれなかった。
晩ご飯はセイラン様とレイリ様も煮つけを食べて、お酒を飲んでいた。僕とリラはお刺身とご飯とお味噌汁と煮つけをお腹いっぱい食べた。
冬休みが終わって小学校に行くと、僕はクラスの子に造花を配って行った。リラもお揃いの造花の髪飾りをつけている。
「これ、ラーイくんが作ったの?」
「お母さんに手伝ってもらったけど、できるだけ僕がしたよ」
「ラーイくんの手は魔法の手ね」
お母さん程技術はないが、褒められると嬉しいものである。にこにこしていると、ミネルヴァ先生が教室に入って来た。
僕はミネルヴァ先生にも造花を手渡した。
「僕と母からのお礼です。僕が死にかけていたときに、祈りの時間を設けてくれて、魔力を届けてくれてありがとうございました」
「お礼などいいのに」
「クラスのみんなとお揃いなんです。もらってください」
「そこまで言われると貰わないわけにはいきませんね。ありがとうございます、ラーイくん」
自分は担任として当然のことをしただけだ。
そう言うミネルヴァ先生だが、その祈りがなければ僕は生きていなかったかもしれない。どれだけミネルヴァ先生に感謝すればいいのか、僕は本当にミネルヴァ先生にお礼をしたかったのだ。
その日はクラスの子はみんなお揃いの髪飾りを着けていた。
花びらの色を染める染料を若干変えていたので、一人一人花の色が微妙に違う。かかっている魔法は全て病気や怪我から身を守る魔法だった。
「ラーイくん、リラちゃんと話していたのよ。春休みに、うちに遊びに来ない?」
誘ってくれたのはナンシーちゃんだった。リラが僕の紫色の目を覗き込む。
「お友達のお家に遊びに行ったことがないから、行ってみたいの。一人じゃダメって言われそうだから、お兄ちゃん、一緒に来てよ」
「僕が行っても邪魔じゃない?」
「どうして邪魔になるの?」
リラは理解していないようだが、僕は男の子でリラとナンシーちゃんは女の子だ。遊ぶ方法も違うだろうし、男の子の僕がナンシーちゃんと言う女の子の家に遊びに行っていいのだろうか。
「お父さんが、男の子の魔女に興味があるのよ。お父さんもその日は家にいてくれる約束をしているの」
ナンシーちゃんも僕が遊びに行くことに疑問は持っていないようだ。それどころか、お父さんも一緒にいてくれるという。家族ぐるみで歓迎されているのならば、僕が行かない理由はない。
「帰ったらセイラン様とレイリ様に聞いてみるよ」
「いいお返事待ってるわ」
ナンシーちゃんは目を輝かせて言っていた。
社に帰ってセイラン様とレイリ様に話しをすると、お二人は真剣に話し合っていた。
「リラとラーイの友達ならば、挨拶をするべきであろうな」
「僕とセイラン兄上で送って行きましょうか?」
「いや、それでは威圧感を与えるかもしれぬ。我らは土地神だ」
「それなら、アマリエに任せますか?」
「それでは私たちが挨拶をできない」
話し合いが纏まらないで困っていると、僕とリラを送って来た母が名乗りを上げた。
「私が挨拶をするよ。土地神様は何か手土産でも用意しておけばいいんじゃないかな?」
直接行かなくても挨拶ができて威圧感を与えない方法を母は考えてくれた。
セイラン様とレイリ様は筆をとる。小さな紙に守りの術を書いて、お守り袋に入れて母に渡した。
「土地神の守護だ。そのご家族に渡してくれるか?」
「家族三人の分と、安産のお守りも入っています」
「ナーダは次の子どもを考えていた。よく気付いたね、土地神様」
「夫婦が揃っているなら、必要かもしれないと思ったのです」
ナンシーちゃんのお母さんであるナーダさんのために安産のお守りも入っているお守り四つを、母は丁寧に紙に包んで受け取った。
春休みになると、僕とリラはナンシーちゃんの家に遊びに行った。
母が送ってくれて、ナンシーちゃんの家の前でご両親に挨拶をする。
「今日はうちのラーイとリラをよろしくお願いするよ」
「魔女の長様の息子さんと娘さん、大事にお預かりします」
「ラーイくん、リラちゃん、ナンシーと遊んであげてね」
ナンシーちゃんの方が二歳も年上なのにナンシーちゃんのお父さんは僕とリラに言う。僕とリラが遊んでもらうわけではないのだ。
「これは土地神様からのご挨拶だよ。ラーイとリラをよろしくと」
「土地神様のお守りではないですか」
「ナーダ、安産のお守りが入っているよ」
「土地神様は私の妊娠に気付かれていたのかしら」
ナーダさんは妊娠しているようだ。
その事実に僕は驚いてしまう。
レイリ様の予測が当たったことになる。
「ナーダさん、赤ちゃんがいるの?」
「そうなのよ。絶対にこのひととの間に二人目も欲しかったから、本当に嬉しいの」
「ナーダが私を望んでくれて、待っていてくれたことが嬉しい。ナンシーも妹ができるかもしれないと喜んでいるんだ」
「妹じゃないかもしれないわ。弟かもしれない」
「そうだったな。魔女の森は開かれたから、男の子が生まれる可能性があるのだよな」
そうだった。
これまでは魔女の森は男性と交わっても、男性の要素のない魔女の複写のような子どもしか生まれなかったが、これからは違う。これから生まれてくる子どもは、父親の要素がある、男性かもしれないのだ。
「男性の魔女が僕だけじゃなくなるのか……」
「それを考えて、お父さんにはラーイくんに会ってほしかったのよ」
「私はナンシーの父親で、男の子の父親になったことはないからね」
「僕でよければ、何でも聞いてください」
ナンシーちゃんもナーダさんもナンシーちゃんのお父さんも、男の子が生まれたら初めての経験になるはずだ。それを僕の話で安心させることができるのならば、僕にできることは何でもする。
「果樹園で林檎がたくさんなっているんだ。ナーダがクレープを作っている」
「林檎のジャムをたっぷり乗せて食べてね」
果樹園で働いているナンシーちゃんのお父さんの収穫した林檎のジャムを乗せたクレープを食べながら僕は話をすることにした。
「正直、私はナンシーが生まれたときにも関われなかったし、今回のナーダの出産が赤ん坊と接する初めての経験になるんだ」
「僕は土地神様のセイラン様とレイリ様に育てられました。二人とも男性だったけれど、オムツを替えるのも、着替えさせるのも、寝かしつけるのも、何でも男性でできます」
「私にもできるだろうか」
「できると思います。赤ちゃんに関わろうとすることが、赤ちゃんからの信頼を得られる一番の手段だと思います」
クレープに林檎のジャムをたっぷりと乗せて、クリームも乗せて食べる僕に、リラも真似をしてクリームを盛大に零してしまっている。シャツを汚してしまったリラは、ナンシーちゃんに連れられて着替えに行っていた。
「ナンシーちゃんはリラが二歳年下で小学校に入学してきて、下半身を全部脱がないとお手洗いにいけないときに、リラが恥ずかしくないように、着替えている間クラスの女の子と壁になって守ってくれました。ナンシーちゃんはいいお姉ちゃんになると思います」
ナンシーちゃんと一緒ならば、ナンシーちゃんのお父さんも大丈夫なのではないかと僕は思っていた。
毎年のことなのだが新年には土地のひとたちが社にやってくる。社はお供え物で山積みになっていた。
その中に大きな尾頭付きの鯛が一匹あって、僕もリラもわくわくしていた。
新鮮な鯛ならばお刺身で食べられるかもしれない。これだけ大きければ煮つけにしても大量に食べられるだろう。
「土地神様のご一家で食べてください」
「今年も安全な漁業ができるように、お守りください」
尾頭付きの鯛をくれたのは海沿いの街に住んでいるひとのようだ。わざわざ山を越えて新年の挨拶に来てくれたのだ。
「息子のラーイも娘のリラも魚は大好物だ」
「感謝します。今年もあなたたちの安全を守りましょう」
セイラン様とレイリ様に言われて、海沿いの街のひとは平伏するようにして頭を下げていた。
大陸で起きた土地神と貴族との騒動は、この島国には飛び火していなかったが、土地のひとたちの考えを改めさせたようだ。これまで以上に土地神様を崇めていこうという気持ちが籠っている。
セイラン様に抱っこされた僕と、レイリ様に抱っこされたリラも、深く頭を下げられてぺこぺことお辞儀をしていた。
「鯛はお刺身と煮つけとどっちも作りましょうね」
マオさんが鯛を捌いてお刺身と煮つけを作ってくれた。煮つけは刺身になる部位以外の場所で、牛蒡と茄子と豆腐も一緒に煮てある。味の染みた牛蒡と茄子と豆腐はとても美味しいのだ。
僕もリラも晩ご飯が待ちきれなかった。
晩ご飯はセイラン様とレイリ様も煮つけを食べて、お酒を飲んでいた。僕とリラはお刺身とご飯とお味噌汁と煮つけをお腹いっぱい食べた。
冬休みが終わって小学校に行くと、僕はクラスの子に造花を配って行った。リラもお揃いの造花の髪飾りをつけている。
「これ、ラーイくんが作ったの?」
「お母さんに手伝ってもらったけど、できるだけ僕がしたよ」
「ラーイくんの手は魔法の手ね」
お母さん程技術はないが、褒められると嬉しいものである。にこにこしていると、ミネルヴァ先生が教室に入って来た。
僕はミネルヴァ先生にも造花を手渡した。
「僕と母からのお礼です。僕が死にかけていたときに、祈りの時間を設けてくれて、魔力を届けてくれてありがとうございました」
「お礼などいいのに」
「クラスのみんなとお揃いなんです。もらってください」
「そこまで言われると貰わないわけにはいきませんね。ありがとうございます、ラーイくん」
自分は担任として当然のことをしただけだ。
そう言うミネルヴァ先生だが、その祈りがなければ僕は生きていなかったかもしれない。どれだけミネルヴァ先生に感謝すればいいのか、僕は本当にミネルヴァ先生にお礼をしたかったのだ。
その日はクラスの子はみんなお揃いの髪飾りを着けていた。
花びらの色を染める染料を若干変えていたので、一人一人花の色が微妙に違う。かかっている魔法は全て病気や怪我から身を守る魔法だった。
「ラーイくん、リラちゃんと話していたのよ。春休みに、うちに遊びに来ない?」
誘ってくれたのはナンシーちゃんだった。リラが僕の紫色の目を覗き込む。
「お友達のお家に遊びに行ったことがないから、行ってみたいの。一人じゃダメって言われそうだから、お兄ちゃん、一緒に来てよ」
「僕が行っても邪魔じゃない?」
「どうして邪魔になるの?」
リラは理解していないようだが、僕は男の子でリラとナンシーちゃんは女の子だ。遊ぶ方法も違うだろうし、男の子の僕がナンシーちゃんと言う女の子の家に遊びに行っていいのだろうか。
「お父さんが、男の子の魔女に興味があるのよ。お父さんもその日は家にいてくれる約束をしているの」
ナンシーちゃんも僕が遊びに行くことに疑問は持っていないようだ。それどころか、お父さんも一緒にいてくれるという。家族ぐるみで歓迎されているのならば、僕が行かない理由はない。
「帰ったらセイラン様とレイリ様に聞いてみるよ」
「いいお返事待ってるわ」
ナンシーちゃんは目を輝かせて言っていた。
社に帰ってセイラン様とレイリ様に話しをすると、お二人は真剣に話し合っていた。
「リラとラーイの友達ならば、挨拶をするべきであろうな」
「僕とセイラン兄上で送って行きましょうか?」
「いや、それでは威圧感を与えるかもしれぬ。我らは土地神だ」
「それなら、アマリエに任せますか?」
「それでは私たちが挨拶をできない」
話し合いが纏まらないで困っていると、僕とリラを送って来た母が名乗りを上げた。
「私が挨拶をするよ。土地神様は何か手土産でも用意しておけばいいんじゃないかな?」
直接行かなくても挨拶ができて威圧感を与えない方法を母は考えてくれた。
セイラン様とレイリ様は筆をとる。小さな紙に守りの術を書いて、お守り袋に入れて母に渡した。
「土地神の守護だ。そのご家族に渡してくれるか?」
「家族三人の分と、安産のお守りも入っています」
「ナーダは次の子どもを考えていた。よく気付いたね、土地神様」
「夫婦が揃っているなら、必要かもしれないと思ったのです」
ナンシーちゃんのお母さんであるナーダさんのために安産のお守りも入っているお守り四つを、母は丁寧に紙に包んで受け取った。
春休みになると、僕とリラはナンシーちゃんの家に遊びに行った。
母が送ってくれて、ナンシーちゃんの家の前でご両親に挨拶をする。
「今日はうちのラーイとリラをよろしくお願いするよ」
「魔女の長様の息子さんと娘さん、大事にお預かりします」
「ラーイくん、リラちゃん、ナンシーと遊んであげてね」
ナンシーちゃんの方が二歳も年上なのにナンシーちゃんのお父さんは僕とリラに言う。僕とリラが遊んでもらうわけではないのだ。
「これは土地神様からのご挨拶だよ。ラーイとリラをよろしくと」
「土地神様のお守りではないですか」
「ナーダ、安産のお守りが入っているよ」
「土地神様は私の妊娠に気付かれていたのかしら」
ナーダさんは妊娠しているようだ。
その事実に僕は驚いてしまう。
レイリ様の予測が当たったことになる。
「ナーダさん、赤ちゃんがいるの?」
「そうなのよ。絶対にこのひととの間に二人目も欲しかったから、本当に嬉しいの」
「ナーダが私を望んでくれて、待っていてくれたことが嬉しい。ナンシーも妹ができるかもしれないと喜んでいるんだ」
「妹じゃないかもしれないわ。弟かもしれない」
「そうだったな。魔女の森は開かれたから、男の子が生まれる可能性があるのだよな」
そうだった。
これまでは魔女の森は男性と交わっても、男性の要素のない魔女の複写のような子どもしか生まれなかったが、これからは違う。これから生まれてくる子どもは、父親の要素がある、男性かもしれないのだ。
「男性の魔女が僕だけじゃなくなるのか……」
「それを考えて、お父さんにはラーイくんに会ってほしかったのよ」
「私はナンシーの父親で、男の子の父親になったことはないからね」
「僕でよければ、何でも聞いてください」
ナンシーちゃんもナーダさんもナンシーちゃんのお父さんも、男の子が生まれたら初めての経験になるはずだ。それを僕の話で安心させることができるのならば、僕にできることは何でもする。
「果樹園で林檎がたくさんなっているんだ。ナーダがクレープを作っている」
「林檎のジャムをたっぷり乗せて食べてね」
果樹園で働いているナンシーちゃんのお父さんの収穫した林檎のジャムを乗せたクレープを食べながら僕は話をすることにした。
「正直、私はナンシーが生まれたときにも関われなかったし、今回のナーダの出産が赤ん坊と接する初めての経験になるんだ」
「僕は土地神様のセイラン様とレイリ様に育てられました。二人とも男性だったけれど、オムツを替えるのも、着替えさせるのも、寝かしつけるのも、何でも男性でできます」
「私にもできるだろうか」
「できると思います。赤ちゃんに関わろうとすることが、赤ちゃんからの信頼を得られる一番の手段だと思います」
クレープに林檎のジャムをたっぷりと乗せて、クリームも乗せて食べる僕に、リラも真似をしてクリームを盛大に零してしまっている。シャツを汚してしまったリラは、ナンシーちゃんに連れられて着替えに行っていた。
「ナンシーちゃんはリラが二歳年下で小学校に入学してきて、下半身を全部脱がないとお手洗いにいけないときに、リラが恥ずかしくないように、着替えている間クラスの女の子と壁になって守ってくれました。ナンシーちゃんはいいお姉ちゃんになると思います」
ナンシーちゃんと一緒ならば、ナンシーちゃんのお父さんも大丈夫なのではないかと僕は思っていた。
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