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転生したらまた魔女の男子だった件
47.婚約の宴
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婚約の宴が開かれる。
土と木で作られた家の中は、絨毯が敷かれて、クッションがたくさん置かれている。綺麗に織ってある絨毯にも前回のときには目が行かなかったのに、僕は夢中になってしまっている。クッションにも綺麗に刺繍が施されていたが、どれも魔法は込められていない。
白虎族自体が神族で強い神力を持っているので魔法の守りは必要ないのだろう。
セイラン様のお膝に僕が抱っこされて、レイリ様のお膝にリラが抱っこされて座っていると、お茶とドライフルーツとナッツが運ばれて来る。
「ご馳走を今準備していますから、まずはこれでも摘まんでいてください」
「白虎族の長のお血筋にセイラン様とレイリ様が、魔女族の伴侶を得るとはめでたいことです」
襟高の刺繍の細かい服を着た白虎族のひとたちは、僕とリラが幼いことを笑わずに、祝ってくれていた。
リラはレイリ様の膝から身を乗り出してドライフルーツを掴んでいる。
「レイリ様、これ、杏じゃない?」
「お茶と合うと思いますよ。食べていいですよ」
「甘い! やっぱり杏だわ」
果物好きなリラはお茶をちびちび飲みながらドライフルーツを齧って食べている。
前回来たときには焼かれた肉とヤギの乳で入れたミルクティーしかなかった。焼かれた肉は癖が強かったし、硬くて噛み千切れなかった。ヤギの乳で入れたミルクティーは味が特徴的で、濃すぎて飲めなかった。
それをセイラン様とレイリ様が言ってくれているのか、今回のお茶はお湯で煮出したもので、吹き冷ませば飲むことができるし、料理も何か凝ったものを出してくれるようだ。
厨房からはいい香りがしてきている。
「ラーイとリラは七歳か。七歳までは神の子と言うが、よく育てたものだな」
「私たちもセイランとレイリが七つになるまでは、いつ死んでもおかしくはないと思いながら育てていましたね」
「幼子はよく死ぬもの。それを超えて育てたのならば、可愛いのもよく分かる」
人間の姿になって絨毯の上に座っているセイラン様とレイリ様のご両親は、お母上がセイラン様に、お父上がレイリ様によく似ていた。目を細めながら僕とリラを見詰めて来るその表情には、愛情が籠っている。
僕もリラもセイラン様とレイリ様と婚約できるとは思っていなかったし、結婚の話も反対されておかしくなかったから、セイラン様とレイリ様のご両親に深く感謝していた。
「セイラン様とレイリ様のお父上とお母上は、どうして僕とセイラン様の婚約を許してくださるのですか?」
「私も、レイリ様と婚約できて嬉しいけど、どうして?」
問いかける僕とリラに、セイラン様とレイリ様のご両親は微笑んだ。
「これまで結婚と言えば拒んで来たセイランとレイリがやっとその気になったのだ。これを逃す手はない」
「少しラーイもリラも小さいですが、これから大きくなります。我々神族にとっては一瞬の時間です」
「セイランとレイリには幸せになってほしかった。結婚だけが幸せとは思わぬが、セイランとレイリが望むときに結婚できるのが一番だと思っておる」
「二人とも奥手ですからね。これまで浮いた話もなかったのですよ。きっと一途にラーイとリラを愛してくれると思います」
セイラン様もレイリ様もこれまで全く恋愛経験がないということを、お母上は言っている。それは僕にとっては嬉しいことだった。セイラン様にとって僕が初めての男になれるなんて、ものすごい幸福なことではないか。
料理が次々と出て来る。
セイラン様とレイリ様に僕とリラは指差して聞く。
「あれは何ですか?」
「茹で餃子だよ」
「あれはなぁに?」
「魚のフライです」
「あっちのお皿の上のものは?」
「豆のペーストだ」
「こっちの深皿は?」
「羊肉の炒飯ですよ」
どれもいい香りがして美味しそうでお腹が空いてくる。
セイラン様とレイリ様が僕とリラのためにお皿に取り分けてくれて、僕もリラも箸を使って食べ始めた。もりもりと食べていると、他のひとたちが食べずに僕とリラを見ているのに気付く。
神族には食事が必ずしも必要ではない。
それはセイラン様とレイリ様を見ていて知っていた。
「神族は食事をしないのですか?」
「幼い頃はするが、成人してからは食事は楽しみとしてしかしないな」
「食べ物からの栄養が必要なくなりますからね。僕たちは自然から力を得て、神力に変えて生きています」
「他の白虎族の方々も?」
「食べる必要はないので、ラーイとリラが存分に食べていいぞ」
この豪華な料理は僕とリラのために作られたものだった。
遠慮なく食べていると、白虎族の子どもが宴に混じってくる。子どもは皿に料理をもらって食べていた。
ころころと可愛い白虎の姿の子どもたち。
僕も大きくなったらセイラン様との間にあんな子どもが生まれるのだろうか。
にこにこしながら見ていると、声をかけられる。
「ごこんやく、おめめとーごじゃます!」
「こんやく、なぁに?」
「おおちくなったら、けこんちるのよ」
双子の白虎らしき子どもが話している姿が微笑ましい。
お祝いをされて僕は深々と頭を下げてお礼を言った。
「ありがとうございます」
「ありがとう!」
リラもお礼を言う。
この小さな白虎の双子も大きくなったらどこかの土地神様になって、土地に実りをもたらすのだろうか。
白虎族にとっては大事な子どもたちなのだろう。たっぷりと料理を食べさせられていた。
白虎族の村から帰ろうとするセイラン様とレイリ様に跨った僕とリラに声をかけて来たのは、いつぞやの白虎の兄妹だった。悔しそうな顔でセイラン様とレイリ様に詰め寄る。
「そんな小さな子と結婚すると言って、逃げたおつもりなのでしょう?」
「逃がしはしないからな」
「必ず我らとお二人の結婚、成し遂げてみせます」
「そんな子どもに何ができる!」
セイラン様とレイリ様から僕とリラを降ろそうとする、兄妹に、リラが拳を握り締める。
「何ができるか、味わってみる?」
びくりと兄の方の肩が震えた。前回のときに、兄の方はリラに蹴られて、痛い思いをしている。
「抵抗しないのは、子どもだからだぞ。本当はどうなってもおかしくないんだからな!」
「僕の可愛いリラに髪の毛一筋傷でもつけたら、どうなるか、お分かりですね?」
脅す兄の方に、ゆらりと人間の姿になってレイリ様が立ち上がった。あまりの迫力に兄の方も妹の方も腰が抜けてしまう。
「レイリ様、私を守ってくれるのね」
「リラのことは守りますよ」
リラを抱き上げたレイリ様に、リラが鼻息荒く兄妹を見下ろしていた。
社に帰った僕とリラは、マオさんに報告していた。
「すごい宴だったのよ。最初にドライフルーツとナッツがいっぱい出てきて食べ放題だったし」
「お料理もすごくごうかだったんだ。茹で餃子に、魚のフライに、豆のペーストに、羊肉の炒飯、それにスープもあったんだよ」
「そこで、私とレイリ様が婚約したのよ」
「僕とセイラン様も婚約したんだ」
話し出すと止まらないリラと僕の言葉を聞いてから、マオさんが微笑んで僕とリラを抱き締める。
「婚約なさったんですね。おめでとうございます」
「レイリ様のお父様とお母様が認めてくれたの」
「セイラン様のお父上とお母上でもあるけどね」
「本当によかったです。ラーイ様もリラ様も、ずっと想っていらっしゃいましたものね」
マオさんには僕とリラの気持ちは分かっていた。
分かった上で祝福してくれている。
眠くなってしまって、お風呂に入ると、僕はセイラン様のベッドに向かった。セイラン様に縋り付くと、眠いのにお腹が空いてくる。
「セイラン様、お乳がほしいです」
「今日は魔女の森には行っておらぬからな」
仕方なく着物の袷を広げてブラジャーを外してくれるセイラン様。豊かなふかふかの胸に顔を埋めて、お乳を飲むと甘い味に、心地よさが加わって更に眠くなる。
眠いけど飲みたい。飲みたいけど眠い。
疲れていた僕は飲みながら眠ってしまった。
土と木で作られた家の中は、絨毯が敷かれて、クッションがたくさん置かれている。綺麗に織ってある絨毯にも前回のときには目が行かなかったのに、僕は夢中になってしまっている。クッションにも綺麗に刺繍が施されていたが、どれも魔法は込められていない。
白虎族自体が神族で強い神力を持っているので魔法の守りは必要ないのだろう。
セイラン様のお膝に僕が抱っこされて、レイリ様のお膝にリラが抱っこされて座っていると、お茶とドライフルーツとナッツが運ばれて来る。
「ご馳走を今準備していますから、まずはこれでも摘まんでいてください」
「白虎族の長のお血筋にセイラン様とレイリ様が、魔女族の伴侶を得るとはめでたいことです」
襟高の刺繍の細かい服を着た白虎族のひとたちは、僕とリラが幼いことを笑わずに、祝ってくれていた。
リラはレイリ様の膝から身を乗り出してドライフルーツを掴んでいる。
「レイリ様、これ、杏じゃない?」
「お茶と合うと思いますよ。食べていいですよ」
「甘い! やっぱり杏だわ」
果物好きなリラはお茶をちびちび飲みながらドライフルーツを齧って食べている。
前回来たときには焼かれた肉とヤギの乳で入れたミルクティーしかなかった。焼かれた肉は癖が強かったし、硬くて噛み千切れなかった。ヤギの乳で入れたミルクティーは味が特徴的で、濃すぎて飲めなかった。
それをセイラン様とレイリ様が言ってくれているのか、今回のお茶はお湯で煮出したもので、吹き冷ませば飲むことができるし、料理も何か凝ったものを出してくれるようだ。
厨房からはいい香りがしてきている。
「ラーイとリラは七歳か。七歳までは神の子と言うが、よく育てたものだな」
「私たちもセイランとレイリが七つになるまでは、いつ死んでもおかしくはないと思いながら育てていましたね」
「幼子はよく死ぬもの。それを超えて育てたのならば、可愛いのもよく分かる」
人間の姿になって絨毯の上に座っているセイラン様とレイリ様のご両親は、お母上がセイラン様に、お父上がレイリ様によく似ていた。目を細めながら僕とリラを見詰めて来るその表情には、愛情が籠っている。
僕もリラもセイラン様とレイリ様と婚約できるとは思っていなかったし、結婚の話も反対されておかしくなかったから、セイラン様とレイリ様のご両親に深く感謝していた。
「セイラン様とレイリ様のお父上とお母上は、どうして僕とセイラン様の婚約を許してくださるのですか?」
「私も、レイリ様と婚約できて嬉しいけど、どうして?」
問いかける僕とリラに、セイラン様とレイリ様のご両親は微笑んだ。
「これまで結婚と言えば拒んで来たセイランとレイリがやっとその気になったのだ。これを逃す手はない」
「少しラーイもリラも小さいですが、これから大きくなります。我々神族にとっては一瞬の時間です」
「セイランとレイリには幸せになってほしかった。結婚だけが幸せとは思わぬが、セイランとレイリが望むときに結婚できるのが一番だと思っておる」
「二人とも奥手ですからね。これまで浮いた話もなかったのですよ。きっと一途にラーイとリラを愛してくれると思います」
セイラン様もレイリ様もこれまで全く恋愛経験がないということを、お母上は言っている。それは僕にとっては嬉しいことだった。セイラン様にとって僕が初めての男になれるなんて、ものすごい幸福なことではないか。
料理が次々と出て来る。
セイラン様とレイリ様に僕とリラは指差して聞く。
「あれは何ですか?」
「茹で餃子だよ」
「あれはなぁに?」
「魚のフライです」
「あっちのお皿の上のものは?」
「豆のペーストだ」
「こっちの深皿は?」
「羊肉の炒飯ですよ」
どれもいい香りがして美味しそうでお腹が空いてくる。
セイラン様とレイリ様が僕とリラのためにお皿に取り分けてくれて、僕もリラも箸を使って食べ始めた。もりもりと食べていると、他のひとたちが食べずに僕とリラを見ているのに気付く。
神族には食事が必ずしも必要ではない。
それはセイラン様とレイリ様を見ていて知っていた。
「神族は食事をしないのですか?」
「幼い頃はするが、成人してからは食事は楽しみとしてしかしないな」
「食べ物からの栄養が必要なくなりますからね。僕たちは自然から力を得て、神力に変えて生きています」
「他の白虎族の方々も?」
「食べる必要はないので、ラーイとリラが存分に食べていいぞ」
この豪華な料理は僕とリラのために作られたものだった。
遠慮なく食べていると、白虎族の子どもが宴に混じってくる。子どもは皿に料理をもらって食べていた。
ころころと可愛い白虎の姿の子どもたち。
僕も大きくなったらセイラン様との間にあんな子どもが生まれるのだろうか。
にこにこしながら見ていると、声をかけられる。
「ごこんやく、おめめとーごじゃます!」
「こんやく、なぁに?」
「おおちくなったら、けこんちるのよ」
双子の白虎らしき子どもが話している姿が微笑ましい。
お祝いをされて僕は深々と頭を下げてお礼を言った。
「ありがとうございます」
「ありがとう!」
リラもお礼を言う。
この小さな白虎の双子も大きくなったらどこかの土地神様になって、土地に実りをもたらすのだろうか。
白虎族にとっては大事な子どもたちなのだろう。たっぷりと料理を食べさせられていた。
白虎族の村から帰ろうとするセイラン様とレイリ様に跨った僕とリラに声をかけて来たのは、いつぞやの白虎の兄妹だった。悔しそうな顔でセイラン様とレイリ様に詰め寄る。
「そんな小さな子と結婚すると言って、逃げたおつもりなのでしょう?」
「逃がしはしないからな」
「必ず我らとお二人の結婚、成し遂げてみせます」
「そんな子どもに何ができる!」
セイラン様とレイリ様から僕とリラを降ろそうとする、兄妹に、リラが拳を握り締める。
「何ができるか、味わってみる?」
びくりと兄の方の肩が震えた。前回のときに、兄の方はリラに蹴られて、痛い思いをしている。
「抵抗しないのは、子どもだからだぞ。本当はどうなってもおかしくないんだからな!」
「僕の可愛いリラに髪の毛一筋傷でもつけたら、どうなるか、お分かりですね?」
脅す兄の方に、ゆらりと人間の姿になってレイリ様が立ち上がった。あまりの迫力に兄の方も妹の方も腰が抜けてしまう。
「レイリ様、私を守ってくれるのね」
「リラのことは守りますよ」
リラを抱き上げたレイリ様に、リラが鼻息荒く兄妹を見下ろしていた。
社に帰った僕とリラは、マオさんに報告していた。
「すごい宴だったのよ。最初にドライフルーツとナッツがいっぱい出てきて食べ放題だったし」
「お料理もすごくごうかだったんだ。茹で餃子に、魚のフライに、豆のペーストに、羊肉の炒飯、それにスープもあったんだよ」
「そこで、私とレイリ様が婚約したのよ」
「僕とセイラン様も婚約したんだ」
話し出すと止まらないリラと僕の言葉を聞いてから、マオさんが微笑んで僕とリラを抱き締める。
「婚約なさったんですね。おめでとうございます」
「レイリ様のお父様とお母様が認めてくれたの」
「セイラン様のお父上とお母上でもあるけどね」
「本当によかったです。ラーイ様もリラ様も、ずっと想っていらっしゃいましたものね」
マオさんには僕とリラの気持ちは分かっていた。
分かった上で祝福してくれている。
眠くなってしまって、お風呂に入ると、僕はセイラン様のベッドに向かった。セイラン様に縋り付くと、眠いのにお腹が空いてくる。
「セイラン様、お乳がほしいです」
「今日は魔女の森には行っておらぬからな」
仕方なく着物の袷を広げてブラジャーを外してくれるセイラン様。豊かなふかふかの胸に顔を埋めて、お乳を飲むと甘い味に、心地よさが加わって更に眠くなる。
眠いけど飲みたい。飲みたいけど眠い。
疲れていた僕は飲みながら眠ってしまった。
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