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転生したらまた魔女の男子だった件
3.僕と妹の一歳の誕生日
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まだはいはいの方が移動速度は速いけれど、僕は遂に歩けるようになった。
立って歩くとこんなにも視界が広くなるなんて驚きだった。セイラン様とレイリ様は人間の姿が普通のひとよりも頭一つくらい大きいので、探し出すのも簡単である。
セイラン様のところにぽてぽてと歩いて行って、足元で両手を広げると、セイラン様が抱き上げてくれる。
銀色と黒の混じった真っすぐな髪を背中で括っているセイラン様。水色の穏やかな目を見ていると、僕は落ち着いてくる。
セイラン様に抱っこされると僕は視界が広くなる。遠くまで見通せるセイラン様の抱っこは大好きだったし、セイラン様に抱っこされていれば殺される恐怖もなくて僕は安心していられた。
リラはレイリ様に抱っこされている。
レイリ様はくすんだ白と濃い灰色の混じる少し癖のある髪で、水色の穏やかな目はセイラン様と同じだった。リラはレイリ様の胸をぺしぺしと叩いて、行きたい場所に連れて行ってもらっている。
僕とリラの双子にも差が出て来た。
僕は紫色の目で真っすぐな黒髪なのだが、リラは金色の目でふわふわくるくるの髪をしている。リラの髪は伸ばすために前髪が上で花の飾りで結んであって、白いおでこが露わになっている。
そのおでこには赤い封印の模様が描かれていた。
僕の黒い前髪に隠れたおでこにも同じ模様が描かれている。
僕とリラは初夏に生まれたようだ。
一歳の誕生日にはマオさんがご馳走を作ってくれた。
僕とリラの大好きなおにぎりと具沢山の味噌汁と煮魚、それにフライパンで作ったふんわりとした黄金色のカステラだ。
大好物を前にして、僕もリラも涎が止まらなかった。
もう自分の手で掴めるようになっているので、掴んで食べるが、力加減が難しくておにぎりは握り潰してしまうし、口に運ぼうとしてほっぺたにつけてしまうこともある。
自分の体が思い通りに動かせないというのは本当にもどかしかった。
最終的には自分で食べるのに疲れてしまった僕はセイラン様に食べさせてもらって、リラはレイリ様に食べさせてもらう。小さな体は少し動いただけでも疲れるのが困りものだった。
「ママー! ママー!」
セイラン様と言いたいのに、どうしても上手く言えなくて、「ママ」になってしまう。子どもが母親のことを「ママ」と呼ぶのは、「ま」という音が発音しやすいからなのだと僕は痛感していた。
「ママではないのだがな」
苦笑しながらもセイラン様は僕の口を拭いて着替えさせてくれる。食べればどうしても出るものは出るので、セイラン様は僕のうんちも嫌がらずに替えてくれて、お尻を洗ってすっきりした僕にオムツをはかせてくれる。
僕の食べ零しを気にせず膝の上に乗せてくれたり、おしっこもうんちも気にせずオムツを替えてお尻を洗ってくれるセイラン様は、まさに僕の親だった。
レイリ様もリラの排泄や食べ零しを嫌がることはない。
白虎族で成人した神族のセイラン様とレイリ様は特に食事を取る必要がない。
酒と肴くらいで、僕とリラが眠った後で寛いでいるのを僕は知っている。歩けるようになってから、夜中にセイラン様がベッドにいなくて僕は泣いてしまって、部屋から出てセイラン様を探したことがあるのだ。
泣き声に気付いたセイラン様が来てくれて、抱っこして居間に連れて行ってくれて、レイリ様と一緒に飲んでいるのに混じったことがある。
食事の必要はないが、セイラン様とレイリ様は僕とリラが食べるものは一口食べてみてくれている。
火の通り具合や味付け、毒見の意味もあるのだろう。
マオさんを疑うわけではないが、魔女たちがどこで食材に手を加えていてもおかしくはないのだ。
僕とリラの命を最優先にしてくれるセイラン様とレイリ様には感謝してもしきれないくらいだった。
セイラン様とレイリ様は隣接する魔女の森にも見回りに行っているようだった。
マオさんの笛の音を聞くと、自然とお尻を振って踊り出してしまう僕とリラを見ながら、セイラン様とレイリ様が話している。
「魔女の森の上空に靄のような邪気が生まれておる」
「ラーイのせいではないと思うのですがね」
「レイリも気にしておったか」
「気になってはいました。あれは魔女の森から出ているように見えます」
魔女の森から出ているのならば、その邪気は僕とは関係ない。
僕は隣接する土地の土地神様の社で穏やかに幸せに暮らしているからだ。僕が魔女を憎んでいないかと言えば嘘になるが、セイラン様に愛されて育っている今、手を出してこないのならば魔女とは関わりにならないだけでよかった。
復讐をしたい気持ちがないわけではない。
けれど、あれは前世の話。
今世では僕の母親は土地神様に僕とリラを預けて、僕とリラは土地神様の元で自由に生きている。病弱で寝込むこともなく、土地神様のお乳をもらって、魔力も補充できている。
今の僕が魔女の森に僕と妹と母を殺した魔女を探しに行く理由はなかった。
夏になるとセイラン様とレイリ様は僕とリラに水着を誂えさせてくれた。半袖と半ズボンの水着を着て、川の中に入ると冷たくて心地よい。
場所も木陰になっていて、日の光は強く当たらなかった。
流されるのが怖くてセイラン様のたくし上げた着流しの裾をぎゅっと握っている僕に、セイラン様が微笑みながら手を差し伸べてくれる。セイラン様の大きな手と手を繋いでいると、水遊びも楽しい。
「リラー!?」
一人でざぶざぶと川に入って行ったリラが流されているのに、レイリ様が白虎の姿になってリラを咥えて川岸に戻ってくる。
溺れて咳き込んでいるリラに、レイリ様が言い聞かせる。
「一人で行ってはいけませんよ」
「びえええええ!」
「流れが速い遠くに行ってはいけません」
「ふぇ……」
「僕と遊びましょう」
白虎の姿のレイリ様と水の中に入って行くリラはやっと泣き止んでいた。レイリ様はリラを背中に乗せて水の中に身体をつけている。リラはレイリ様の背中の上で、足をバタバタさせて水を跳ね上げていた。
「リラ様、私と遊びますか?」
マオさんに誘われてリラがマオさんと一緒に水に入る。
「えい! えい!」
「きゃっ! やりましたね」
マオさんと水をかけあっているリラは楽しそうだ。
僕がリラとマオさんを見ていると、足元を大きな魚が通った。僕が小さいので大きく見えるだけかもしれないが、これは鮎ではないだろうか。
じっと見ていると、僕はその鮎が捕まえられそうな気になってくる。
「おたかま! ママー!」
手を伸ばして両手で太い鮎の身体を掴むと、跳ねて逃げようとする。
逃げるなと念じれば、鮎は大人しくなる。
じんと額が熱くなった気がした。
「ラーイ、捕まえたのか?」
「おたかま!」
セイラン様に褒められたくて鮎を差し出すと、セイラン様は僕の前髪を上げて何かを確認している。
「消えかかっておる……そなた、魔法を使ったな?」
使ってしまった。
いけないと言われていたのに、僕は魔法を使ってしまった。
鮎を捕まえてセイラン様に褒めて欲しかっただけなのに、僕は無意識のうちに魔法を使っていた。
気付くと涙が溢れて来る。
「うぇぇぇ! ママー!」
「泣くでない。怒っておらぬよ」
「ごめちゃい」
「それだけ鮎が欲しかったのだな。ラーイは魚が好きだものな」
セイラン様をがっかりさせたことが悲しくて涙が止まらない。
泣いている僕をセイラン様は抱き上げてあやしてくれた。
「そなたが悪いのではない。魔法を封じねばならない現状が悪いのだ。そなたが何も隠すことなく生きていけるようにしてやれぬ親ですまぬ」
謝られてしまったがセイラン様が悪いわけではない。
僕も悪くなければ、セイラン様も悪くない。
悪いのは魔女族の掟なのだ。
僕は魔法を使うのが息をするのと同じくらい当然のことになっている。僕に魔法を使わせないことをセイラン様も心苦しく思っている。
復讐したいわけではないが、僕は魔女族にどうしてそんな掟ができたのかを知りたくなっていた。
男性の子どもができたら魔女族を滅ぼす災厄の子となるから殺せ。
その掟さえなければ、僕もセイラン様も自由に生きられる。
掟の根源を探すには、僕はまだ幼すぎた。
立って歩くとこんなにも視界が広くなるなんて驚きだった。セイラン様とレイリ様は人間の姿が普通のひとよりも頭一つくらい大きいので、探し出すのも簡単である。
セイラン様のところにぽてぽてと歩いて行って、足元で両手を広げると、セイラン様が抱き上げてくれる。
銀色と黒の混じった真っすぐな髪を背中で括っているセイラン様。水色の穏やかな目を見ていると、僕は落ち着いてくる。
セイラン様に抱っこされると僕は視界が広くなる。遠くまで見通せるセイラン様の抱っこは大好きだったし、セイラン様に抱っこされていれば殺される恐怖もなくて僕は安心していられた。
リラはレイリ様に抱っこされている。
レイリ様はくすんだ白と濃い灰色の混じる少し癖のある髪で、水色の穏やかな目はセイラン様と同じだった。リラはレイリ様の胸をぺしぺしと叩いて、行きたい場所に連れて行ってもらっている。
僕とリラの双子にも差が出て来た。
僕は紫色の目で真っすぐな黒髪なのだが、リラは金色の目でふわふわくるくるの髪をしている。リラの髪は伸ばすために前髪が上で花の飾りで結んであって、白いおでこが露わになっている。
そのおでこには赤い封印の模様が描かれていた。
僕の黒い前髪に隠れたおでこにも同じ模様が描かれている。
僕とリラは初夏に生まれたようだ。
一歳の誕生日にはマオさんがご馳走を作ってくれた。
僕とリラの大好きなおにぎりと具沢山の味噌汁と煮魚、それにフライパンで作ったふんわりとした黄金色のカステラだ。
大好物を前にして、僕もリラも涎が止まらなかった。
もう自分の手で掴めるようになっているので、掴んで食べるが、力加減が難しくておにぎりは握り潰してしまうし、口に運ぼうとしてほっぺたにつけてしまうこともある。
自分の体が思い通りに動かせないというのは本当にもどかしかった。
最終的には自分で食べるのに疲れてしまった僕はセイラン様に食べさせてもらって、リラはレイリ様に食べさせてもらう。小さな体は少し動いただけでも疲れるのが困りものだった。
「ママー! ママー!」
セイラン様と言いたいのに、どうしても上手く言えなくて、「ママ」になってしまう。子どもが母親のことを「ママ」と呼ぶのは、「ま」という音が発音しやすいからなのだと僕は痛感していた。
「ママではないのだがな」
苦笑しながらもセイラン様は僕の口を拭いて着替えさせてくれる。食べればどうしても出るものは出るので、セイラン様は僕のうんちも嫌がらずに替えてくれて、お尻を洗ってすっきりした僕にオムツをはかせてくれる。
僕の食べ零しを気にせず膝の上に乗せてくれたり、おしっこもうんちも気にせずオムツを替えてお尻を洗ってくれるセイラン様は、まさに僕の親だった。
レイリ様もリラの排泄や食べ零しを嫌がることはない。
白虎族で成人した神族のセイラン様とレイリ様は特に食事を取る必要がない。
酒と肴くらいで、僕とリラが眠った後で寛いでいるのを僕は知っている。歩けるようになってから、夜中にセイラン様がベッドにいなくて僕は泣いてしまって、部屋から出てセイラン様を探したことがあるのだ。
泣き声に気付いたセイラン様が来てくれて、抱っこして居間に連れて行ってくれて、レイリ様と一緒に飲んでいるのに混じったことがある。
食事の必要はないが、セイラン様とレイリ様は僕とリラが食べるものは一口食べてみてくれている。
火の通り具合や味付け、毒見の意味もあるのだろう。
マオさんを疑うわけではないが、魔女たちがどこで食材に手を加えていてもおかしくはないのだ。
僕とリラの命を最優先にしてくれるセイラン様とレイリ様には感謝してもしきれないくらいだった。
セイラン様とレイリ様は隣接する魔女の森にも見回りに行っているようだった。
マオさんの笛の音を聞くと、自然とお尻を振って踊り出してしまう僕とリラを見ながら、セイラン様とレイリ様が話している。
「魔女の森の上空に靄のような邪気が生まれておる」
「ラーイのせいではないと思うのですがね」
「レイリも気にしておったか」
「気になってはいました。あれは魔女の森から出ているように見えます」
魔女の森から出ているのならば、その邪気は僕とは関係ない。
僕は隣接する土地の土地神様の社で穏やかに幸せに暮らしているからだ。僕が魔女を憎んでいないかと言えば嘘になるが、セイラン様に愛されて育っている今、手を出してこないのならば魔女とは関わりにならないだけでよかった。
復讐をしたい気持ちがないわけではない。
けれど、あれは前世の話。
今世では僕の母親は土地神様に僕とリラを預けて、僕とリラは土地神様の元で自由に生きている。病弱で寝込むこともなく、土地神様のお乳をもらって、魔力も補充できている。
今の僕が魔女の森に僕と妹と母を殺した魔女を探しに行く理由はなかった。
夏になるとセイラン様とレイリ様は僕とリラに水着を誂えさせてくれた。半袖と半ズボンの水着を着て、川の中に入ると冷たくて心地よい。
場所も木陰になっていて、日の光は強く当たらなかった。
流されるのが怖くてセイラン様のたくし上げた着流しの裾をぎゅっと握っている僕に、セイラン様が微笑みながら手を差し伸べてくれる。セイラン様の大きな手と手を繋いでいると、水遊びも楽しい。
「リラー!?」
一人でざぶざぶと川に入って行ったリラが流されているのに、レイリ様が白虎の姿になってリラを咥えて川岸に戻ってくる。
溺れて咳き込んでいるリラに、レイリ様が言い聞かせる。
「一人で行ってはいけませんよ」
「びえええええ!」
「流れが速い遠くに行ってはいけません」
「ふぇ……」
「僕と遊びましょう」
白虎の姿のレイリ様と水の中に入って行くリラはやっと泣き止んでいた。レイリ様はリラを背中に乗せて水の中に身体をつけている。リラはレイリ様の背中の上で、足をバタバタさせて水を跳ね上げていた。
「リラ様、私と遊びますか?」
マオさんに誘われてリラがマオさんと一緒に水に入る。
「えい! えい!」
「きゃっ! やりましたね」
マオさんと水をかけあっているリラは楽しそうだ。
僕がリラとマオさんを見ていると、足元を大きな魚が通った。僕が小さいので大きく見えるだけかもしれないが、これは鮎ではないだろうか。
じっと見ていると、僕はその鮎が捕まえられそうな気になってくる。
「おたかま! ママー!」
手を伸ばして両手で太い鮎の身体を掴むと、跳ねて逃げようとする。
逃げるなと念じれば、鮎は大人しくなる。
じんと額が熱くなった気がした。
「ラーイ、捕まえたのか?」
「おたかま!」
セイラン様に褒められたくて鮎を差し出すと、セイラン様は僕の前髪を上げて何かを確認している。
「消えかかっておる……そなた、魔法を使ったな?」
使ってしまった。
いけないと言われていたのに、僕は魔法を使ってしまった。
鮎を捕まえてセイラン様に褒めて欲しかっただけなのに、僕は無意識のうちに魔法を使っていた。
気付くと涙が溢れて来る。
「うぇぇぇ! ママー!」
「泣くでない。怒っておらぬよ」
「ごめちゃい」
「それだけ鮎が欲しかったのだな。ラーイは魚が好きだものな」
セイラン様をがっかりさせたことが悲しくて涙が止まらない。
泣いている僕をセイラン様は抱き上げてあやしてくれた。
「そなたが悪いのではない。魔法を封じねばならない現状が悪いのだ。そなたが何も隠すことなく生きていけるようにしてやれぬ親ですまぬ」
謝られてしまったがセイラン様が悪いわけではない。
僕も悪くなければ、セイラン様も悪くない。
悪いのは魔女族の掟なのだ。
僕は魔法を使うのが息をするのと同じくらい当然のことになっている。僕に魔法を使わせないことをセイラン様も心苦しく思っている。
復讐したいわけではないが、僕は魔女族にどうしてそんな掟ができたのかを知りたくなっていた。
男性の子どもができたら魔女族を滅ぼす災厄の子となるから殺せ。
その掟さえなければ、僕もセイラン様も自由に生きられる。
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