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カマルの妊娠中にマタニティブルーになったのは、セイジの方だった。
お腹が大きくなるにつれて動くのが大変そうなカマルが、「お医者様に運動した方がいいと言われたので」と散歩に行くのもぴったりとくっ付いて行ったし、カマルが医者に診てもらうのも毎回セイジが連れて行って診察に立ち会った。
大きなお腹でカマルが眠りにくそうにしていると、むくんでしまった足を摩ったり、きつそうな腰を摩ったり甲斐甲斐しく世話を焼いたし、食事も悪阻が治まって食べられるようになってきたカマルの好きなものばかり作った。
それでもセイジは不安で不安でたまらなかったのだ。
「カマルさんは出産でお母さんを亡くしている。カマルさんに何かあったらどうしよう。カマルさんが無事に産めたとしても、標準より小さいと言われている双子の赤ちゃんを俺がちゃんと面倒みられるだろうか」
不安になるたびにカマルはセイジの手を取って穏やかに答えてくれる。
「セイジさんはイオくんを六歳から育てたんですよ。自信を持ってください。新生児は初めてかもしれないけど、セイジさんは一人じゃありません」
「カマルさんの身に何かあったら、俺は生きていけない」
「お医者様は順調だって言ってます。それに、何かあっても、赤ちゃんのためにセイジさんは生きてください」
「カマルさんが無事に産めても、俺は役立たずの父親にならないだろうか? 俺の両親は俺を育児放棄した。俺もそうならないか」
「なりません。セイジさんはイオくんの面倒も見た。魔王の異母姉である私のことも受け入れて守ってくれた。セイジさんは気付いてないかもしれないですが、セイジさんはとても面倒見がいいんですよ」
立ち上がってお腹を重そうにしながらもカマルがセイジを抱き締めてくれる。
「大丈夫です。セイジさんはきっといいお父さんになります」
不安定になりそうになるたびに、カマルはセイジを支えてくれた。セイジは自分のできる精一杯のことでカマルを支えた。
そして迎えた夏の近付く春の終わり頃、カマルは可愛い赤ちゃんを二人、無事に産み落とした。
苦しそうにカマルが赤ん坊を産んでいる間も背中を摩り、手を握り、ずっと傍に付き添っていたセイジは、生まれて来た二人の赤ん坊が元気に産声を上げているのを聞いて泣いてしまった。
「あぁ、可愛い……こっちは俺そっくりで、もう一人はカマルさんそっくりだ」
黒髪に金色の目に白い肌の男の子はセイジに似ていて、黒髪に黒い目に褐色の肌の女の子はカマルによく似ている。生まれて来た男女の双子を見て感極まって泣くセイジを、出産後の疲れの中、眠りに落ちながらもカマルが優しく見守っていてくれた。
生まれて来た赤ん坊の名前については、セイジがカマルにお願いした。
「カマルさんが付けてくれないか? カマルさんの付けた名前ならば、俺は絶対に愛せると思う」
「イオもお母さんが付けるのがいいと思うのです。師匠はセンスがないですからね」
「俺が何かに名前を付けたことがあったか?」
イオの物言いにいちいち怒っていても仕方がないのだが、つい言い返してしまうセイジをカマルは笑って見つめていた。
ベビーベッドに寝かされた褐色肌と白い肌の双子の赤ん坊を見て、カマルが名付ける。
「セイジさんに似ている方が、セイガ、私に似ている方が、セイランでどうでしょう?」
「セイガとセイラン……? カマルさん要素がないじゃないか」
「私の世界で一番好きな相手から取った名前ですよ。文句がありますか?」
堂々と言われてしまうと、嬉しさと照れくささでセイジは何も言えなくなってしまう。イオがセイガの白い小さなお手手に指を差しだすと、セイガはぎゅっとその指を握る。
「セイガくんとセイランちゃん。とても可愛いのです」
うっとりと赤ん坊を見つめているイオに、どっちがイオの運命なのかなど、怖くて聞けないセイジだった。
セイガとセイランはカマルの母乳をよく飲んですくすくと育った。
二年のときが経って、セイガとセイランは二歳になっていた。イオは十四歳で変わらずセイジの小屋を離れずに、セイガとセイランを可愛がっている。
「おー! おー!」
「いーおー!」
ぽてぽてと歩いてイオを追いかけていくセイガとセイランに、イオが手加減してゆっくり前を歩いて行くのはいつもの光景だ。セイガとセイランがイオの元に辿り着くと、イオは両腕を広げてセイガとセイランを抱き締めた。
子育てについて生まれる前は不安だらけだったセイジだが、生まれてみるとこんなに可愛い赤ん坊はいないとすぐに愛しさを感じられたし、母乳は上げられなかったが、お風呂やオムツ替えや離乳食など、できることはなんでもした。お陰でセイガもセイランもセイジによく懐いていて、可愛さは限りない。
「セイガ、セイラン、そろそろ寝る時間ですよ。ねんねですよ」
「まっま!」
「ぱっぱ!」
先にセイジがセイガとセイランとシャワーを浴びて、カマルがゆっくりシャワーを浴びられるように待っている間、セイジとセイランはイオと追いかけっこをして遊んでいた。
そろそろ体力の限界で眠くなっているのか、セイジとセイランは欠伸が多くなってきている。
「おー! あとぶー!」
「いーおー! いっと!」
眠くてもまだ遊ぶと駄々をこねるセイガをカマルが抱っこして、セイランをセイジが抱っこすると、眠たさが限界だったのかぐすぐすと泣き出すが大人しくなる。
「また明日遊びましょうね、セイガくん、セイランちゃん」
手を振るイオにぐずりながらも手を振ったセイガとセイランは、セイジとカマルの部屋に連れて行ってベビーベッドに寝かせると親指をしゃぶってすやすやと眠り始めた。二人が眠ったのを確かめて、カマルがセイジの手を取ってベッドに招く。
「セイジ……そろそろ、いいんじゃないですか?」
上目遣いに見られてセイジはこくりと喉を鳴らした。
双子の出産だったし、出産後も育児に追われていて、特に母乳をあげていたカマルは眠る間もないような期間がかなり続いた。二人とも無事に二歳になって、長時間眠るようになったのだが、セイジはまだカマルを抱く覚悟ができていなかった。
「また赤ん坊ができたら大変だし……」
「私ももう三十二ですよ。できれば早いうちに産みたいです」
「カマルさんの負担になるかもしれないし……」
言い訳をするセイジにカマルが眉を下げる。
「セイジにとって、私はそういう対象ではなくなってしまいましたか?」
「え!?」
「セイガとセイランの母親としか見られなくなってしまいましたか?」
悲し気に問いかけるカマルの身体をセイジは抱き締める。
「そんなことはない! 俺はずっと我慢してた。カマルさんのことを抱きたかった」
二年間も我ながらよく我慢できたものだとセイジは思う。カマルの魅力的な肢体が傍にありながらも、セイジはカマルの身体のことを考えて禁欲生活を送っていた。
それがようやく解放されようとしている。
「俺にとってはカマルさんはいつまでも最高の女性だ。カマルさんを抱きたくなくなることなんてない」
宣言するとカマルが恥ずかしそうに長い睫毛を伏せる。
「よかったです。私だけがセイジを欲しかったのかと思っていました」
「カマルも、我慢してたのか?」
「私だって欲望はあるんですよ」
首に腕を絡めて来て、そっと口付けるカマルに、セイジは口付けを返す。軽く触れるだけの口付けが段々深くなっていく。ネグリジェ越しに触れるカマルの肌が熱く、カマルもまたセイジを求めて高ぶっているのが分かる。
「愛してる、カマル」
「私も愛しています、セイジ」
二年ぶりの交わりは濃厚なものになった。
抱き合った後シャワーで身体を流して、シーツを替えたベッドに横たわっていると、ベビーベッドから泣き声が聞こえる。
セイガが泣き出すと、つられてセイランも泣く。セイランが泣き出すと、つられてセイガも泣く。双子とはそういうものらしいとこの二年間でセイジもカマルも理解していた。
「オムツでしょうか」
「カマルさんは休んでて。俺が替えてくる」
立ち上がってベビーベッドのところに行って、セイジはセイガとセイランのオムツを順番に見た。二人ともおしっこでオムツが汚れていたので取り換える。
「空気読んで、俺とカマルがいいことしてる間は寝てるとか、いい子だな」
悪戯っぽく微笑むと、オムツを替えてもらってすっきりしたセイガとセイランはまた眠り始めた。
それにしても、セイガとセイラン、どちらがイオの運命なのか。
世界最強の魔術師といえども、恐ろしい弟子に聞くことはできないのだった。
お腹が大きくなるにつれて動くのが大変そうなカマルが、「お医者様に運動した方がいいと言われたので」と散歩に行くのもぴったりとくっ付いて行ったし、カマルが医者に診てもらうのも毎回セイジが連れて行って診察に立ち会った。
大きなお腹でカマルが眠りにくそうにしていると、むくんでしまった足を摩ったり、きつそうな腰を摩ったり甲斐甲斐しく世話を焼いたし、食事も悪阻が治まって食べられるようになってきたカマルの好きなものばかり作った。
それでもセイジは不安で不安でたまらなかったのだ。
「カマルさんは出産でお母さんを亡くしている。カマルさんに何かあったらどうしよう。カマルさんが無事に産めたとしても、標準より小さいと言われている双子の赤ちゃんを俺がちゃんと面倒みられるだろうか」
不安になるたびにカマルはセイジの手を取って穏やかに答えてくれる。
「セイジさんはイオくんを六歳から育てたんですよ。自信を持ってください。新生児は初めてかもしれないけど、セイジさんは一人じゃありません」
「カマルさんの身に何かあったら、俺は生きていけない」
「お医者様は順調だって言ってます。それに、何かあっても、赤ちゃんのためにセイジさんは生きてください」
「カマルさんが無事に産めても、俺は役立たずの父親にならないだろうか? 俺の両親は俺を育児放棄した。俺もそうならないか」
「なりません。セイジさんはイオくんの面倒も見た。魔王の異母姉である私のことも受け入れて守ってくれた。セイジさんは気付いてないかもしれないですが、セイジさんはとても面倒見がいいんですよ」
立ち上がってお腹を重そうにしながらもカマルがセイジを抱き締めてくれる。
「大丈夫です。セイジさんはきっといいお父さんになります」
不安定になりそうになるたびに、カマルはセイジを支えてくれた。セイジは自分のできる精一杯のことでカマルを支えた。
そして迎えた夏の近付く春の終わり頃、カマルは可愛い赤ちゃんを二人、無事に産み落とした。
苦しそうにカマルが赤ん坊を産んでいる間も背中を摩り、手を握り、ずっと傍に付き添っていたセイジは、生まれて来た二人の赤ん坊が元気に産声を上げているのを聞いて泣いてしまった。
「あぁ、可愛い……こっちは俺そっくりで、もう一人はカマルさんそっくりだ」
黒髪に金色の目に白い肌の男の子はセイジに似ていて、黒髪に黒い目に褐色の肌の女の子はカマルによく似ている。生まれて来た男女の双子を見て感極まって泣くセイジを、出産後の疲れの中、眠りに落ちながらもカマルが優しく見守っていてくれた。
生まれて来た赤ん坊の名前については、セイジがカマルにお願いした。
「カマルさんが付けてくれないか? カマルさんの付けた名前ならば、俺は絶対に愛せると思う」
「イオもお母さんが付けるのがいいと思うのです。師匠はセンスがないですからね」
「俺が何かに名前を付けたことがあったか?」
イオの物言いにいちいち怒っていても仕方がないのだが、つい言い返してしまうセイジをカマルは笑って見つめていた。
ベビーベッドに寝かされた褐色肌と白い肌の双子の赤ん坊を見て、カマルが名付ける。
「セイジさんに似ている方が、セイガ、私に似ている方が、セイランでどうでしょう?」
「セイガとセイラン……? カマルさん要素がないじゃないか」
「私の世界で一番好きな相手から取った名前ですよ。文句がありますか?」
堂々と言われてしまうと、嬉しさと照れくささでセイジは何も言えなくなってしまう。イオがセイガの白い小さなお手手に指を差しだすと、セイガはぎゅっとその指を握る。
「セイガくんとセイランちゃん。とても可愛いのです」
うっとりと赤ん坊を見つめているイオに、どっちがイオの運命なのかなど、怖くて聞けないセイジだった。
セイガとセイランはカマルの母乳をよく飲んですくすくと育った。
二年のときが経って、セイガとセイランは二歳になっていた。イオは十四歳で変わらずセイジの小屋を離れずに、セイガとセイランを可愛がっている。
「おー! おー!」
「いーおー!」
ぽてぽてと歩いてイオを追いかけていくセイガとセイランに、イオが手加減してゆっくり前を歩いて行くのはいつもの光景だ。セイガとセイランがイオの元に辿り着くと、イオは両腕を広げてセイガとセイランを抱き締めた。
子育てについて生まれる前は不安だらけだったセイジだが、生まれてみるとこんなに可愛い赤ん坊はいないとすぐに愛しさを感じられたし、母乳は上げられなかったが、お風呂やオムツ替えや離乳食など、できることはなんでもした。お陰でセイガもセイランもセイジによく懐いていて、可愛さは限りない。
「セイガ、セイラン、そろそろ寝る時間ですよ。ねんねですよ」
「まっま!」
「ぱっぱ!」
先にセイジがセイガとセイランとシャワーを浴びて、カマルがゆっくりシャワーを浴びられるように待っている間、セイジとセイランはイオと追いかけっこをして遊んでいた。
そろそろ体力の限界で眠くなっているのか、セイジとセイランは欠伸が多くなってきている。
「おー! あとぶー!」
「いーおー! いっと!」
眠くてもまだ遊ぶと駄々をこねるセイガをカマルが抱っこして、セイランをセイジが抱っこすると、眠たさが限界だったのかぐすぐすと泣き出すが大人しくなる。
「また明日遊びましょうね、セイガくん、セイランちゃん」
手を振るイオにぐずりながらも手を振ったセイガとセイランは、セイジとカマルの部屋に連れて行ってベビーベッドに寝かせると親指をしゃぶってすやすやと眠り始めた。二人が眠ったのを確かめて、カマルがセイジの手を取ってベッドに招く。
「セイジ……そろそろ、いいんじゃないですか?」
上目遣いに見られてセイジはこくりと喉を鳴らした。
双子の出産だったし、出産後も育児に追われていて、特に母乳をあげていたカマルは眠る間もないような期間がかなり続いた。二人とも無事に二歳になって、長時間眠るようになったのだが、セイジはまだカマルを抱く覚悟ができていなかった。
「また赤ん坊ができたら大変だし……」
「私ももう三十二ですよ。できれば早いうちに産みたいです」
「カマルさんの負担になるかもしれないし……」
言い訳をするセイジにカマルが眉を下げる。
「セイジにとって、私はそういう対象ではなくなってしまいましたか?」
「え!?」
「セイガとセイランの母親としか見られなくなってしまいましたか?」
悲し気に問いかけるカマルの身体をセイジは抱き締める。
「そんなことはない! 俺はずっと我慢してた。カマルさんのことを抱きたかった」
二年間も我ながらよく我慢できたものだとセイジは思う。カマルの魅力的な肢体が傍にありながらも、セイジはカマルの身体のことを考えて禁欲生活を送っていた。
それがようやく解放されようとしている。
「俺にとってはカマルさんはいつまでも最高の女性だ。カマルさんを抱きたくなくなることなんてない」
宣言するとカマルが恥ずかしそうに長い睫毛を伏せる。
「よかったです。私だけがセイジを欲しかったのかと思っていました」
「カマルも、我慢してたのか?」
「私だって欲望はあるんですよ」
首に腕を絡めて来て、そっと口付けるカマルに、セイジは口付けを返す。軽く触れるだけの口付けが段々深くなっていく。ネグリジェ越しに触れるカマルの肌が熱く、カマルもまたセイジを求めて高ぶっているのが分かる。
「愛してる、カマル」
「私も愛しています、セイジ」
二年ぶりの交わりは濃厚なものになった。
抱き合った後シャワーで身体を流して、シーツを替えたベッドに横たわっていると、ベビーベッドから泣き声が聞こえる。
セイガが泣き出すと、つられてセイランも泣く。セイランが泣き出すと、つられてセイガも泣く。双子とはそういうものらしいとこの二年間でセイジもカマルも理解していた。
「オムツでしょうか」
「カマルさんは休んでて。俺が替えてくる」
立ち上がってベビーベッドのところに行って、セイジはセイガとセイランのオムツを順番に見た。二人ともおしっこでオムツが汚れていたので取り換える。
「空気読んで、俺とカマルがいいことしてる間は寝てるとか、いい子だな」
悪戯っぽく微笑むと、オムツを替えてもらってすっきりしたセイガとセイランはまた眠り始めた。
それにしても、セイガとセイラン、どちらがイオの運命なのか。
世界最強の魔術師といえども、恐ろしい弟子に聞くことはできないのだった。
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