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悪阻のせいでキッチンに立てなくなったカマルの代わりに、セイジが食事を全部作るようにまた戻ったが、イオはカマルと一緒のときしか作らない約束だったし、イオに一人で料理を作らせると材料を際限なく使われそうで、セイジは何も文句は言わなかった。
食べ物の匂いに吐き気がしてしまうカマルは空いていたリビングのスペースにソファを置いて寛いでもらっていて、少しでも食べられそうなものがあったら食べてもらうようにしていた。
「セイジさん、すみません。何もかもやってもらって」
「気にしなくていいのですよ! お母さんは元気な赤ちゃんを産むことだけを考えていればいいのです」
「それ、俺のセリフ」
カマルのためにセイジが淹れたミルクティーを運んで行ったり、甲斐甲斐しくイオが世話を焼いているのもそれだけカマルに心を許しているのだろう。セイジは幸いイオと出会ってから六年間体調も崩したことはなかったが、体調を崩してもイオに叩き起こされて食事を作らされていただろう気がする。
他人のことなど視界に入れないイオがカマルだけはしっかりと見ている。セイジと話しても会話が成り立たないことが多いイオが、カマルが自分を大事にしていないことを指摘した日も、セイジはイオの様子がカマルに対しては全く違うことに気付いてはいた。
セイジにとってもだが、イオにとっても「お母さん」と呼びたいくらいカマルは特別な存在なのだろう。
「カマルさん、ゼリーとパン粥作ったけど、少しでも食べられるか?」
「吐いても食べた方がいいって、お医者様も言っていました。食べます」
妊娠前のようにイオの隣りに座ると、大量の食べ物の匂いで気分が悪くなってしまうので、カマルは少し離れたソファに座ってそこにセイジが持ってきたものだけを食べていた。
冷たいフルーツのゼリーとパン粥は食べやすいようでカマルも大抵の場合食べられる。パン粥は特に幼い頃から食べ慣れているので、身体が受け付けやすいようだ。
それでも吐いてしまうことがあるのだから、妊娠とは女性の体に大きな負担になるものなのだとセイジは万全を期すつもりだった。
「結婚式、赤ちゃんが産まれてからにするか?」
「いえ、結婚式は挙げたいです。まだ体型は変わってないですから、今のうちに」
お腹が目立ってウエディングドレスに直しが入る前に結婚したいというカマルの意思を汲んで、セイジは早めに結婚式を挙げる決意をした。
麓の街とは違う大きな町の神殿で挙げようと思っていたが、神殿からの干渉も煩わしくなっていたし、カマルが少しでも楽なようにセイジは麓の街の料理店を貸し切ることにした。
綺麗な庭のある料理店に交渉すると、天気がよければ庭にテーブルセットを出して料理を運んでくれると言ってくれた。
「魔王を退治された勇者様のご一行の魔術師様と聖女様のご結婚をうちで祝えるなんて光栄です」
「料理は大量に作ってもらえるか?」
「三人だけではないのですか?」
「まぁ、十人前くらい」
それを食べるのはほとんどイオなのだがそれはそれでいいこととする。ちょっと料理の量を多くするだけでイオが満足して大人しくしてくれているならば、セイジには文句はなかった。
料理の量が少ないのと出て来るのが遅いのと、国王陛下の妙な発言に怒って、イオが王宮のテーブルを真っ二つにして帰って来た話は、勇者の武勇伝の一つとして王都から遠いこの小さな街にも語り継がれている。
貧しい者たちに魔族からの慰謝料が行き届くように勇者が取り計らったのだという美談になっているが、それを実行しなかった場合、イオが王城だけを瓦礫に変えてしまうような苛烈な性格だと知っているだけに、セイジはそれをただのいい話だとは思えなかった。
やっていることは概ね正しいのだが、行動があまりにも力の制御がされていなくて激しいイオに、セイジは六年間悩まされてきた。
大きな町の仕立て職人の店からドレスを引き取って来たセイジに、イオが問いかけてくる。
「お母さんのウエディングドレスはいいのですが……師匠は何を着るのですか?」
「え? 俺の衣装は何でもよくないか?」
セイジの答えに、イオは沈痛な面持ちになった。
「師匠、そういうところですよ?」
「へ?」
「お母さんだけ着飾らせて、師匠はみすぼらしいいつもの格好なんて……イオは恥ずかしいのです」
「みすぼらしい!? お前、俺のいつもの格好をそんな風に思っていたのか!?」
イオと暮らし始めて六年以上、セイジはその日初めてイオが自分の格好をみすぼらしいと思っていたことを知った。
王宮にいた頃の服を渋々取り出すと、カマルが金色の目を輝かせてセイジを見つめている。
「カマルさんも、俺の格好がみすぼらしいと思っていたのか?」
「いいえ、そんなことはないです。ですが、結婚式に私だけがドレスを着て、セイジさんが着飾らないのは寂しいとは思っていました」
言えなかったがカマルも結婚式にはセイジに着飾って欲しいと思っていたようだ。そうであるならばセイジも努力しないわけにはいかない。
刺繍の入った襟高のシャツとシンプルな無地のスラックスに、王宮で渡された藍色のローブを羽織る。
「セイジさん、素敵です」
特殊な東方の民族衣装を模したローブはカマルにも好評だった。
「まぁ、及第点ですね」
イオが辛口なのはいつものことなので、セイジは気にしないことにした。
冬の始めの日に、セイジとカマルは結婚式を挙げた。
寒さはあったがその日はよく晴れていて、セイジとカマルはイオだけを招いて、三人だけの結婚式を麓の街の料理店の庭で行った。勇者の一行の聖女と魔術師の結婚式ということで、庭を覗いて様子を見に来るものもいたが、皆、温かくセイジとカマルを見守ってくれていた。
「神様の前ではないですが、誓います。私はセイジさんの妻となり、生涯共に暮らしていきます」
「神様にだってカマルさんは渡さない。カマルさんは俺のもので、俺はカマルさんのもの。これは一生変わらない」
「死が二人を別つまで」
「いや、死が二人を別っても、俺はカマルさんを愛し続けるし、カマルさんにも俺を愛し続けて欲しい」
死後の世界があるのかはセイジにも分からない。
死んだ人間がアンデッドとして蘇って魔物になる事例はあるが、あれは本人とは全くの別物だ。死んだ人間は生き返ることはないし、死んだ後の世界がどうなっているのか生きている人間には知ることができない。
それでも、セイジは自分が死んだ後もカマルには自分を愛し続けて欲しかったし、カマルが死んだ後も自分はカマルを愛し続けるつもりだった。
「死んでからも愛し続けるなんて……嬉しいです。私もセイジさんを愛し続けます」
金色の目に涙を浮かべるカマルは身体にぴったりとしたマーメイドラインのウエディングドレスに透ける刺繍の入ったベールを被ってとても美しかった。胸元にはアメジストのペンデュラムが輝いている。
ベールを捲って、セイジはカマルに誓いの口付けをした。
その後のことはセイジは浮かれすぎていてあまり覚えていない。イオが大量に料理をお代わりして食べていたのと、庭のまだ残る緑が日の光に映えて美しかったこと、カマルが喜びで泣いてしまったこと。全てが美しい思い出だった。
庭の周囲に集まっていたひとたちも、二人の結婚を拍手で祝ってくれていた。
その日、カマルとセイジは正式な夫婦になった。
「神殿で結婚式を挙げても、私は神様に祝福されなかった気がします」
何度か通って打ち合わせをした大きな町の神殿だったが、カマルが聖女ということにばかり拘って、カマルとセイジの仲を歓迎しているとは思えなかった。それが顕著になったのは、カマルの妊娠が分かった日だ。あのとき、カマルは聖女としての力を失うかもしれないことばかり気にかける神官たちに不信感を覚えたのだろう。
「師匠の見通しが甘いのです。お母さんを神殿になんて連れて行ったらどうなるか、分かっていたことではないですか!」
「確かに、俺が悪かったよ。カマルさんにはつらい思いをさせたな」
イオの言うことも最もなので謝るセイジに、カマルがゆるゆると首を振る。
「いいえ。セイジさんは私のために最高の結婚式を挙げさせてくれました。麓の街のひとたちは、これから私や生まれてくる子どもとも繋がりが深くなるひとたちでしょう? そのひとたちに祝われて結婚式が挙げられてよかったです」
神殿に連れて行ってしまったせいでカマルを悩ませたことに関して、カマルはセイジを一切責めなかった。そうではなく、麓の街で結婚式が挙げられたことの喜びを伝えてくる。
「そうだな。子どもたちは、麓の街の学校に行くかもしれないからな」
「子どもたち?」
「カマルさんが平気なら、何人でも産んで欲しいよ」
甘く囁いてカマルの肩を抱くと、カマルはセイジの肩に頬を寄せた。
食べ物の匂いに吐き気がしてしまうカマルは空いていたリビングのスペースにソファを置いて寛いでもらっていて、少しでも食べられそうなものがあったら食べてもらうようにしていた。
「セイジさん、すみません。何もかもやってもらって」
「気にしなくていいのですよ! お母さんは元気な赤ちゃんを産むことだけを考えていればいいのです」
「それ、俺のセリフ」
カマルのためにセイジが淹れたミルクティーを運んで行ったり、甲斐甲斐しくイオが世話を焼いているのもそれだけカマルに心を許しているのだろう。セイジは幸いイオと出会ってから六年間体調も崩したことはなかったが、体調を崩してもイオに叩き起こされて食事を作らされていただろう気がする。
他人のことなど視界に入れないイオがカマルだけはしっかりと見ている。セイジと話しても会話が成り立たないことが多いイオが、カマルが自分を大事にしていないことを指摘した日も、セイジはイオの様子がカマルに対しては全く違うことに気付いてはいた。
セイジにとってもだが、イオにとっても「お母さん」と呼びたいくらいカマルは特別な存在なのだろう。
「カマルさん、ゼリーとパン粥作ったけど、少しでも食べられるか?」
「吐いても食べた方がいいって、お医者様も言っていました。食べます」
妊娠前のようにイオの隣りに座ると、大量の食べ物の匂いで気分が悪くなってしまうので、カマルは少し離れたソファに座ってそこにセイジが持ってきたものだけを食べていた。
冷たいフルーツのゼリーとパン粥は食べやすいようでカマルも大抵の場合食べられる。パン粥は特に幼い頃から食べ慣れているので、身体が受け付けやすいようだ。
それでも吐いてしまうことがあるのだから、妊娠とは女性の体に大きな負担になるものなのだとセイジは万全を期すつもりだった。
「結婚式、赤ちゃんが産まれてからにするか?」
「いえ、結婚式は挙げたいです。まだ体型は変わってないですから、今のうちに」
お腹が目立ってウエディングドレスに直しが入る前に結婚したいというカマルの意思を汲んで、セイジは早めに結婚式を挙げる決意をした。
麓の街とは違う大きな町の神殿で挙げようと思っていたが、神殿からの干渉も煩わしくなっていたし、カマルが少しでも楽なようにセイジは麓の街の料理店を貸し切ることにした。
綺麗な庭のある料理店に交渉すると、天気がよければ庭にテーブルセットを出して料理を運んでくれると言ってくれた。
「魔王を退治された勇者様のご一行の魔術師様と聖女様のご結婚をうちで祝えるなんて光栄です」
「料理は大量に作ってもらえるか?」
「三人だけではないのですか?」
「まぁ、十人前くらい」
それを食べるのはほとんどイオなのだがそれはそれでいいこととする。ちょっと料理の量を多くするだけでイオが満足して大人しくしてくれているならば、セイジには文句はなかった。
料理の量が少ないのと出て来るのが遅いのと、国王陛下の妙な発言に怒って、イオが王宮のテーブルを真っ二つにして帰って来た話は、勇者の武勇伝の一つとして王都から遠いこの小さな街にも語り継がれている。
貧しい者たちに魔族からの慰謝料が行き届くように勇者が取り計らったのだという美談になっているが、それを実行しなかった場合、イオが王城だけを瓦礫に変えてしまうような苛烈な性格だと知っているだけに、セイジはそれをただのいい話だとは思えなかった。
やっていることは概ね正しいのだが、行動があまりにも力の制御がされていなくて激しいイオに、セイジは六年間悩まされてきた。
大きな町の仕立て職人の店からドレスを引き取って来たセイジに、イオが問いかけてくる。
「お母さんのウエディングドレスはいいのですが……師匠は何を着るのですか?」
「え? 俺の衣装は何でもよくないか?」
セイジの答えに、イオは沈痛な面持ちになった。
「師匠、そういうところですよ?」
「へ?」
「お母さんだけ着飾らせて、師匠はみすぼらしいいつもの格好なんて……イオは恥ずかしいのです」
「みすぼらしい!? お前、俺のいつもの格好をそんな風に思っていたのか!?」
イオと暮らし始めて六年以上、セイジはその日初めてイオが自分の格好をみすぼらしいと思っていたことを知った。
王宮にいた頃の服を渋々取り出すと、カマルが金色の目を輝かせてセイジを見つめている。
「カマルさんも、俺の格好がみすぼらしいと思っていたのか?」
「いいえ、そんなことはないです。ですが、結婚式に私だけがドレスを着て、セイジさんが着飾らないのは寂しいとは思っていました」
言えなかったがカマルも結婚式にはセイジに着飾って欲しいと思っていたようだ。そうであるならばセイジも努力しないわけにはいかない。
刺繍の入った襟高のシャツとシンプルな無地のスラックスに、王宮で渡された藍色のローブを羽織る。
「セイジさん、素敵です」
特殊な東方の民族衣装を模したローブはカマルにも好評だった。
「まぁ、及第点ですね」
イオが辛口なのはいつものことなので、セイジは気にしないことにした。
冬の始めの日に、セイジとカマルは結婚式を挙げた。
寒さはあったがその日はよく晴れていて、セイジとカマルはイオだけを招いて、三人だけの結婚式を麓の街の料理店の庭で行った。勇者の一行の聖女と魔術師の結婚式ということで、庭を覗いて様子を見に来るものもいたが、皆、温かくセイジとカマルを見守ってくれていた。
「神様の前ではないですが、誓います。私はセイジさんの妻となり、生涯共に暮らしていきます」
「神様にだってカマルさんは渡さない。カマルさんは俺のもので、俺はカマルさんのもの。これは一生変わらない」
「死が二人を別つまで」
「いや、死が二人を別っても、俺はカマルさんを愛し続けるし、カマルさんにも俺を愛し続けて欲しい」
死後の世界があるのかはセイジにも分からない。
死んだ人間がアンデッドとして蘇って魔物になる事例はあるが、あれは本人とは全くの別物だ。死んだ人間は生き返ることはないし、死んだ後の世界がどうなっているのか生きている人間には知ることができない。
それでも、セイジは自分が死んだ後もカマルには自分を愛し続けて欲しかったし、カマルが死んだ後も自分はカマルを愛し続けるつもりだった。
「死んでからも愛し続けるなんて……嬉しいです。私もセイジさんを愛し続けます」
金色の目に涙を浮かべるカマルは身体にぴったりとしたマーメイドラインのウエディングドレスに透ける刺繍の入ったベールを被ってとても美しかった。胸元にはアメジストのペンデュラムが輝いている。
ベールを捲って、セイジはカマルに誓いの口付けをした。
その後のことはセイジは浮かれすぎていてあまり覚えていない。イオが大量に料理をお代わりして食べていたのと、庭のまだ残る緑が日の光に映えて美しかったこと、カマルが喜びで泣いてしまったこと。全てが美しい思い出だった。
庭の周囲に集まっていたひとたちも、二人の結婚を拍手で祝ってくれていた。
その日、カマルとセイジは正式な夫婦になった。
「神殿で結婚式を挙げても、私は神様に祝福されなかった気がします」
何度か通って打ち合わせをした大きな町の神殿だったが、カマルが聖女ということにばかり拘って、カマルとセイジの仲を歓迎しているとは思えなかった。それが顕著になったのは、カマルの妊娠が分かった日だ。あのとき、カマルは聖女としての力を失うかもしれないことばかり気にかける神官たちに不信感を覚えたのだろう。
「師匠の見通しが甘いのです。お母さんを神殿になんて連れて行ったらどうなるか、分かっていたことではないですか!」
「確かに、俺が悪かったよ。カマルさんにはつらい思いをさせたな」
イオの言うことも最もなので謝るセイジに、カマルがゆるゆると首を振る。
「いいえ。セイジさんは私のために最高の結婚式を挙げさせてくれました。麓の街のひとたちは、これから私や生まれてくる子どもとも繋がりが深くなるひとたちでしょう? そのひとたちに祝われて結婚式が挙げられてよかったです」
神殿に連れて行ってしまったせいでカマルを悩ませたことに関して、カマルはセイジを一切責めなかった。そうではなく、麓の街で結婚式が挙げられたことの喜びを伝えてくる。
「そうだな。子どもたちは、麓の街の学校に行くかもしれないからな」
「子どもたち?」
「カマルさんが平気なら、何人でも産んで欲しいよ」
甘く囁いてカマルの肩を抱くと、カマルはセイジの肩に頬を寄せた。
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