26 / 30
26.
しおりを挟む
目が覚めたとき、世界が輝いている感覚がセイジに満ちていた。世界中がこんなにも生命力を持って活き活きと輝いているものなのかと驚く。
これまでカマルと何度も身体を交わした。カマルの鼓動を聞いて深く眠った。それが今になって大きく作用して来た気がしていた。
先に起きていたカマルが母屋でイオと朝食を作っている。着替えてリビングに来たセイジは、キッチンに立つ二人をぼんやりと見つめていた。
「クレープに何を巻いてもいいのですね」
「ソーセージや、ハムや、豚肉のキャベツ炒めも、フルーツもどっちも美味しいですよ。イオくんはどっちを食べますか?」
カマルに聞かれてクレープを焼いていたイオが元気よく答える。
「全部食べるのです!」
食欲に満ちたイオの言葉すら、セイジにはきらきらと輝いて感じられた。
世界はこんなにも美しかったのか。世界はこんなにも眩しく輝いていたのか。
愛を知るとひとはこんなにも変われるのだとセイジは実感していた。
高く積み重ねられたクレープと具をテーブルに置いて、イオがさっそくお皿に取って巻き始めている。具もたくさん包んでいるのをもしゅもしゅと食べているイオに、カマルがほっぺたに付いたレタスの端切れを取っている。
「イオくん、落ち着いて食べて平気ですよ。いっぱい焼きましたからね」
「カマルさんと二人で焼いたのです! 師匠も食べていいですよ!」
誇らしげな顔で告げられてセイジも皿にクレープを取った。豚肉のキャベツ炒めを巻いて食べるとクレープのバターの香りがよく合って美味しい。カマルはハムとレタスを巻いて食べている。
カマルが具を少なめにして三枚食べて、セイジが五枚食べて、残りの山盛りになっているクレープは全部イオが食べ終えた。空っぽになった皿をカマルとイオが片付けて、洗っている姿も親子のようで微笑ましい。
「カマルさん……やっぱり、イオはカマルさんのことを……」
「なんですか、イオくん。何でも言っていいですよ」
「お、『お母さん』って、呼んでもいいですか?」
一度は断ったカマルを「お母さん」と呼ぶことを、イオは遂に決意したようだった。じっと青い目で見つめてくるイオに、カマルは優しく微笑みかける。
「とても嬉しいです」
答えるカマルにイオはパッと明るい表情になった。
「お母さん……イオのお母さんなのです」
「イオくんのお母さんですよ」
「俺はどうなんだ?」
和む光景にセイジが口を挟もうとすると、イオの表情が引き締まった。
「師匠のことは、ときが来たら呼んであげるのです」
「ときが来たら?」
「そうですよ。今は師匠を『お父さん』と呼ぶときではないのです」
未来視ができるのではないかと思っているイオの言うことは、時々セイジには理解できないことがある。今は違うとイオが言うのならばそうなのだろうとセイジは納得するしかなかった。
イオに逆らうと面倒くさいし、イオが魔王の腕をもぎ取って帰ってくるくらい恐ろしい弟子であることはセイジにはよく分かっている。
「俺は別にイオになんて呼ばれてても構わないからな」
「そんなことを言って、カマルさんが羨ましい……いや、イオがカマルさんに告白するかと思ってどっきりしたんでしょう?」
図星を突かれてセイジは口ごもってしまう。
イオが「カマルさんのことを」と口にしたときに、セイジの頭をそのことが過らなかったわけではなかった。セイジはカマルを愛しているし、カマルもセイジを愛してくれているが、イオが本気になってカマルを奪って行こうとしたら、セイジは勝てる気がしない。
世界最強の魔術師なのに、セイジは弟子のイオの理解できない能力が怖くて堪らないのだ。
初めて会った六歳のときから、世界最強の魔術師のセイジにイオは生まれ持った能力だけで勝っていた。魔術と言う分野を限定すればセイジの方が能力も制御力も高いのだが、その他の見抜く目や衝撃波を放つ力に関しては、セイジはイオに勝つことができない。
セイジが世界最強の魔術師ならば、魔王を退治した今、イオは世界最強の勇者だった。
魔族とカマルの話し合いが行われたのは、その日の午後のことだった。
使者として庭に降り立った魔族たちにカマルが議会制の本を手渡して説明をする。
「王政で、一人の魔王という存在に捉われていたからこそ、魔族はずっと圧政に苦しめられてきたのだと思います。本当は人間と争いたくないという魔族の方も、魔王に従いたくないという魔族の方もおられたでしょう?」
結界を緩めて山に入ることを許された魔族たちは七名ほどで、魔族の中でも力が強く魔王に反発していた者たちが使者としてやってきたのだろう。力が強くなければセイジが結界を緩めた程度ではこの山に入ることはできない。
「退治された魔王も、先代の魔王も、私たちとは相いれぬ存在でした」
「従える魔族の女性に対しても酷い扱いだった……カマル様はそれを見せられて、傷付かれたことでしょう」
「我らは魔王に従いたくなくて、離反していましたが、正面から魔王と戦って勝つだけの力はなかった」
告げる魔族たちにカマルはセイジから受け取った議会制の書かれた本を差し出した。魔族の一人が受け取って、なんのことか戸惑っているのが分かる。
「議会制という制度を採用している国があるそうなのです。セイジさんに教えていただいたのですが」
「議会制?」
「魔族の中から議員を選んで、選ばれた議員で会議をして国の指針を決めるのです。魔王たった一人の独裁にはなりませんし、色んな意見を持つ魔族がいるでしょう。そのひとたちの意見を取り入れて国を運営することができます」
魔族が来るまでにカマルは議会制の本を読み、セイジにも質問してよく考えて理解していた。それを口に出して説明している様子に、セイジは見惚れてしまう。
議会制という初めての単語を聞いて、魔族たちは戸惑っているようだった。
「魔族の中から議員を選ぶ……それはどうやって?」
「我こそはというものが立候補して、魔族の中で投票してもらうのです。票が多かったものを、人数を決めて採用して、議員にして、魔王城を議会に変えて、会議を開くのです」
これまでやったことがないことを始めるのは、魔族たちにも抵抗があるだろう。このままでは魔族はバラバラになってしまいかねないし、新しい制度に踏み出さなければいけないときだということは、使者の七名も分かっているようだった。
「この本は大事に持ち帰らせていただきます」
「魔族の中で話し合いを行いたいと思っております。カマル様が提案されたことならば、ほとんどの魔族が賛成することでしょう」
「魔王に従わされない国を作りたいとずっと思っていました」
持ち帰り話し合いをするようだが、魔族の居住区の政治はこれから変わって生きそうな気配がしていた。
使者たちが帰るとカマルが長く息を吐く。手を握ってセイジはカマルを小屋の中に導いた。
小屋の中に入ったカマルにミルクティーを淹れてセイジは労った。
「カマルさん立派だったよ。本当に女王みたいだった」
「私は女王なんかじゃないですよ」
ミルクティーのカップを受け取って両手で包み込むカマルに、セイジが隣りに座ってミルクティーを一口飲む。
「カマルさんは、聖女だったんだなって思ったよ」
「え?」
「今日、起きたら世界が輝いて感じられた。カマルさんといることによって、俺は世界の美しさに気付いた」
これまでは膜にでも覆われていたかのように、セイジは自分と世界との間に隔たりを感じていた。強い魔力を持って生まれただけに、幼い頃からセイジは他人と距離を置いて生きて来た。強すぎる魔力は他人を傷付けることも、他人から利用されることもある。
世界から離れて生きて来たセイジの膜を破ったのは、カマルの存在だった。
「ずっと他人と距離を置いてきた俺が、カマルさんには全く距離を取ろうとは思えない。もっと近付きたいと思っている。それが俺の殻を破ったんだろうな」
自分がずっと殻に閉じこもっていたことすら知らず、セイジは生きて来た。カマルに遭って初めて自分がイオにすら心を許していなかった事実に気付いた。
「私も……多分、ずっと殻に閉じこもって自分を守って来たのだと思います」
魔王に束縛されて、嫌なものを見せられて、心を閉ざしていたカマルは、セイジとの出会いで解放されたと言ってくれる。
互いが互いを開放するために出会ったのだったら、これを運命と言わずして何と言えばいいのだろう。
これまでカマルと何度も身体を交わした。カマルの鼓動を聞いて深く眠った。それが今になって大きく作用して来た気がしていた。
先に起きていたカマルが母屋でイオと朝食を作っている。着替えてリビングに来たセイジは、キッチンに立つ二人をぼんやりと見つめていた。
「クレープに何を巻いてもいいのですね」
「ソーセージや、ハムや、豚肉のキャベツ炒めも、フルーツもどっちも美味しいですよ。イオくんはどっちを食べますか?」
カマルに聞かれてクレープを焼いていたイオが元気よく答える。
「全部食べるのです!」
食欲に満ちたイオの言葉すら、セイジにはきらきらと輝いて感じられた。
世界はこんなにも美しかったのか。世界はこんなにも眩しく輝いていたのか。
愛を知るとひとはこんなにも変われるのだとセイジは実感していた。
高く積み重ねられたクレープと具をテーブルに置いて、イオがさっそくお皿に取って巻き始めている。具もたくさん包んでいるのをもしゅもしゅと食べているイオに、カマルがほっぺたに付いたレタスの端切れを取っている。
「イオくん、落ち着いて食べて平気ですよ。いっぱい焼きましたからね」
「カマルさんと二人で焼いたのです! 師匠も食べていいですよ!」
誇らしげな顔で告げられてセイジも皿にクレープを取った。豚肉のキャベツ炒めを巻いて食べるとクレープのバターの香りがよく合って美味しい。カマルはハムとレタスを巻いて食べている。
カマルが具を少なめにして三枚食べて、セイジが五枚食べて、残りの山盛りになっているクレープは全部イオが食べ終えた。空っぽになった皿をカマルとイオが片付けて、洗っている姿も親子のようで微笑ましい。
「カマルさん……やっぱり、イオはカマルさんのことを……」
「なんですか、イオくん。何でも言っていいですよ」
「お、『お母さん』って、呼んでもいいですか?」
一度は断ったカマルを「お母さん」と呼ぶことを、イオは遂に決意したようだった。じっと青い目で見つめてくるイオに、カマルは優しく微笑みかける。
「とても嬉しいです」
答えるカマルにイオはパッと明るい表情になった。
「お母さん……イオのお母さんなのです」
「イオくんのお母さんですよ」
「俺はどうなんだ?」
和む光景にセイジが口を挟もうとすると、イオの表情が引き締まった。
「師匠のことは、ときが来たら呼んであげるのです」
「ときが来たら?」
「そうですよ。今は師匠を『お父さん』と呼ぶときではないのです」
未来視ができるのではないかと思っているイオの言うことは、時々セイジには理解できないことがある。今は違うとイオが言うのならばそうなのだろうとセイジは納得するしかなかった。
イオに逆らうと面倒くさいし、イオが魔王の腕をもぎ取って帰ってくるくらい恐ろしい弟子であることはセイジにはよく分かっている。
「俺は別にイオになんて呼ばれてても構わないからな」
「そんなことを言って、カマルさんが羨ましい……いや、イオがカマルさんに告白するかと思ってどっきりしたんでしょう?」
図星を突かれてセイジは口ごもってしまう。
イオが「カマルさんのことを」と口にしたときに、セイジの頭をそのことが過らなかったわけではなかった。セイジはカマルを愛しているし、カマルもセイジを愛してくれているが、イオが本気になってカマルを奪って行こうとしたら、セイジは勝てる気がしない。
世界最強の魔術師なのに、セイジは弟子のイオの理解できない能力が怖くて堪らないのだ。
初めて会った六歳のときから、世界最強の魔術師のセイジにイオは生まれ持った能力だけで勝っていた。魔術と言う分野を限定すればセイジの方が能力も制御力も高いのだが、その他の見抜く目や衝撃波を放つ力に関しては、セイジはイオに勝つことができない。
セイジが世界最強の魔術師ならば、魔王を退治した今、イオは世界最強の勇者だった。
魔族とカマルの話し合いが行われたのは、その日の午後のことだった。
使者として庭に降り立った魔族たちにカマルが議会制の本を手渡して説明をする。
「王政で、一人の魔王という存在に捉われていたからこそ、魔族はずっと圧政に苦しめられてきたのだと思います。本当は人間と争いたくないという魔族の方も、魔王に従いたくないという魔族の方もおられたでしょう?」
結界を緩めて山に入ることを許された魔族たちは七名ほどで、魔族の中でも力が強く魔王に反発していた者たちが使者としてやってきたのだろう。力が強くなければセイジが結界を緩めた程度ではこの山に入ることはできない。
「退治された魔王も、先代の魔王も、私たちとは相いれぬ存在でした」
「従える魔族の女性に対しても酷い扱いだった……カマル様はそれを見せられて、傷付かれたことでしょう」
「我らは魔王に従いたくなくて、離反していましたが、正面から魔王と戦って勝つだけの力はなかった」
告げる魔族たちにカマルはセイジから受け取った議会制の書かれた本を差し出した。魔族の一人が受け取って、なんのことか戸惑っているのが分かる。
「議会制という制度を採用している国があるそうなのです。セイジさんに教えていただいたのですが」
「議会制?」
「魔族の中から議員を選んで、選ばれた議員で会議をして国の指針を決めるのです。魔王たった一人の独裁にはなりませんし、色んな意見を持つ魔族がいるでしょう。そのひとたちの意見を取り入れて国を運営することができます」
魔族が来るまでにカマルは議会制の本を読み、セイジにも質問してよく考えて理解していた。それを口に出して説明している様子に、セイジは見惚れてしまう。
議会制という初めての単語を聞いて、魔族たちは戸惑っているようだった。
「魔族の中から議員を選ぶ……それはどうやって?」
「我こそはというものが立候補して、魔族の中で投票してもらうのです。票が多かったものを、人数を決めて採用して、議員にして、魔王城を議会に変えて、会議を開くのです」
これまでやったことがないことを始めるのは、魔族たちにも抵抗があるだろう。このままでは魔族はバラバラになってしまいかねないし、新しい制度に踏み出さなければいけないときだということは、使者の七名も分かっているようだった。
「この本は大事に持ち帰らせていただきます」
「魔族の中で話し合いを行いたいと思っております。カマル様が提案されたことならば、ほとんどの魔族が賛成することでしょう」
「魔王に従わされない国を作りたいとずっと思っていました」
持ち帰り話し合いをするようだが、魔族の居住区の政治はこれから変わって生きそうな気配がしていた。
使者たちが帰るとカマルが長く息を吐く。手を握ってセイジはカマルを小屋の中に導いた。
小屋の中に入ったカマルにミルクティーを淹れてセイジは労った。
「カマルさん立派だったよ。本当に女王みたいだった」
「私は女王なんかじゃないですよ」
ミルクティーのカップを受け取って両手で包み込むカマルに、セイジが隣りに座ってミルクティーを一口飲む。
「カマルさんは、聖女だったんだなって思ったよ」
「え?」
「今日、起きたら世界が輝いて感じられた。カマルさんといることによって、俺は世界の美しさに気付いた」
これまでは膜にでも覆われていたかのように、セイジは自分と世界との間に隔たりを感じていた。強い魔力を持って生まれただけに、幼い頃からセイジは他人と距離を置いて生きて来た。強すぎる魔力は他人を傷付けることも、他人から利用されることもある。
世界から離れて生きて来たセイジの膜を破ったのは、カマルの存在だった。
「ずっと他人と距離を置いてきた俺が、カマルさんには全く距離を取ろうとは思えない。もっと近付きたいと思っている。それが俺の殻を破ったんだろうな」
自分がずっと殻に閉じこもっていたことすら知らず、セイジは生きて来た。カマルに遭って初めて自分がイオにすら心を許していなかった事実に気付いた。
「私も……多分、ずっと殻に閉じこもって自分を守って来たのだと思います」
魔王に束縛されて、嫌なものを見せられて、心を閉ざしていたカマルは、セイジとの出会いで解放されたと言ってくれる。
互いが互いを開放するために出会ったのだったら、これを運命と言わずして何と言えばいいのだろう。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる