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ウエディングドレスの仮縫いのために麓の街より大きな町に来たカマルが、仕立て職人の店でまだ刺繍の入っていない光沢のある純白のドレスを試着して、恥ずかし気に出てきたのを見てセイジは顔面が崩れ落ちそうになっていた。
あまりにも美しくて可愛い姿ににやけようとする顔を引き締めて、カマルに微笑みかける。
「カマルさん、とても綺麗だ」
「まだ仮縫いの状態で、仕付け糸で留めている段階みたいなんですけど……それでも、ドレスを着ると実感がわきますね」
自分はセイジと結婚するのだという実感がわいてくるというカマルに、セイジはにやけを押さえられなくなりそうになる。ぐっと奥歯を噛んで我慢すると厳めしい顔つきになってしまった。
濃い蜜を流したような褐色の肌に艶やかな黒髪、睫毛の長い金色の目に、輝くような純白がとてもよく似合う。美しすぎてセイジはカマルがまばゆいほどだった。
「これで仕上げてしまいますね」
「よろしくお願いします」
カマルの身体にぴったりと合ったドレスは非常に魅力的で、セイジは結婚式が待ち遠しかった。
町の神殿にも挨拶に行ったが、神官たちはカマルに興味津々だった。結婚の打ち合わせをしたいのに、カマルはすぐに囲まれてしまう。
「聖女様、お渡しした聖典は読まれましたか?」
「神殿に足をお運びくださってありがとうございます」
「カマルさんは俺のだ! 散れ!」と言いたい気持ちをぐっと抑えて、セイジが我慢していると、カマルは穏やかに答えている。
「聖典には目を通させていただきました。ただ、私は聖女と言われても、魔王と聖女との間の子どもで、半分は魔族の血が入っています。神殿で何かできるような身分ではありません」
「魔族の血が入っていようとも聖女様は聖女様です」
「神聖魔術をぜひ習って欲しい」
神聖魔術をカマルが習って神殿に仕えるようになるということは、セイジとの結婚は反故にされるということだ。神に仕える神官たちは皆未婚でなければいけない。それが分かっているだけに、セイジは神殿から招かれざる空気を感じ取っていた。
「カマルさんは神殿に仕える聖女にはならない」
「聖女様のお力が必要なのです」
「魔物たちの毒や病魔に侵されたものたちがいるのです。呪いの魔術に侵されたものも。そういうものたちに聖女様のお慈悲をくださいませ」
頼まれると心優しいカマルが断ることができないのとセイジは知っていた。やはり神殿に来たのは間違いだったか。神殿で結婚式を挙げることは諦めようかとセイジは考え始めていた。
「私にできるのは聖なる水源を探すことだけです」
「その聖なる水が必要なのです」
懇願されてカマルがセイジの方を見る。
「一度だけ、力を貸しましょう。私はセイジさんの妻となる身、神殿にお仕えはできません。困っている方がいるならば、聖なる水源を探してみましょう」
たった一度だけ。
その聖なる水源を探し出して絶やすことなく守っていれば、魔物の毒や病魔、呪いの魔術に侵されたものも救い出すことができる。
カマルの折衷案に渋々だが神官たちは納得したようだった。
「セイジさん、ついて来てくれますか?」
聖水の湧き出る場所を探して、カマルは首にかけていたアメジストのペンデュラムを外して手に持った。
町の外れには人工的に引かれた水路と田畑が広がっている。それよりも外に出ると、林の中の石畳の道に出る。石畳から離れてカマルは林の中に入っていく。寄り添うセイジと、遅れて付いてくる神官たち。
カマルは小声でペンデュラムに問いかけて、問いかけに応じてペンデュラムがくるくると回っているのが分かった。
しばらく林の中を歩いてから、カマルは岩場に出た。近くに川があるのか、水音が聞こえて湿った冷たい空気が流れてくる。一つの岩の上に立ってカマルはペンデュラムを手から吊り下げていた。
ぐるぐると力強くアメジストのペンデュラムが回っている。
「セイジさん、この岩を割ることができますか?」
「できるよ。カマルさん、少し下がって」
神官たちにも下がってもらって、カマルの指定した岩を魔術で真っ二つに割ると、そこから清らかな水が流れてくる。
「これは聖なる水源!」
「これで助かるものが!」
神官たちが駆け寄って水を汲むのを見ながら、セイジはその岩の周辺に結界を張り始めていた。
「これはオマケだ。これ以上カマルさんを神殿に誘おうとするなよ」
「カマルさんは俺のだ」と主張しながら、セイジはカマルの探し当てた聖なる水源に悪しき者が近寄れないように結界を張った。
これでカマルの周辺は静かになるのだと信じて。
カマルの元に国王陛下からではない使者が来たのは、聖なる水源を探し当てて神官たちを黙らせて山の中の小屋に戻ろうとしたときだった。大きな羽音が聞こえて、上空から何かが降りてくる。
大勢の背中に翼の生えた魔族が降りて来て、カマルを取り囲んでいた。
「カマル様、魔族の居住地では、次の指導者を求めております」
「魔王の血を引くあなたこそが、我らの女王に相応しい」
神官たちを黙らせたと思ったら次に来たのは魔族である。
セイジは若干うんざりしていた。
「私は魔王の血を引いていますが、ひとを導くような器ではありません」
「誰もがカマル様が最適だと言っております」
「どうか、我らの女王になってくださいませ」
頭を下げられてカマルが困惑しているのが分かる。魔王が退治される前には、魔王を暴走させないための贄として差し出されていたカマルが、今は手の平を返したように女王になれと言われている。
「それは虫がよすぎる話じゃないのか? カマルさんはずっと魔王の元で苦しんで来た。一人の女性として幸せになってもいいんじゃないか?」
「魔族には今、指導者がいないのです。このままでは魔族はバラバラになってしまう」
「この国の国王は和睦を受け入れたけれど、魔族を心の底ではさげすんでいるのです。対等に話ができる相手が必要なのです」
頭を下げ続ける魔族たちに、カマルが恐る恐る答える。
「それは私よりも適任者がいると思います。私はそんなことできません、それに……」
「カマルさん、はっきり言っていいんだよ」
「はい。私はセイジさんと二人で静かに暮らしたいのです」
聖女としてでもなく、魔族の女王としてでもなく、カマルは一人の女性としての幸せを望んでいる。はっきりとそれを告げられてしまえば、魔族たちもこれ以上カマルに願いを押し付けることはできなかった。
「気が変わったらいつでも戻って来てください」
「あなたは我らの王の血を引くお方なのですから」
魔族たちの言葉にカマルが眉根を寄せているのが分かった。自分が魔族であるという事実は、カマルにとってはあまり受け入れがたいことなのだろう。聖女であるということもまた、カマルにとっては受け入れがたい。
どちらもカマルが選んで生まれて来たわけではないのだが、そのせいで神殿からは神に仕えるようにお願いされ、魔族からは女王になるようにお願いされる。
それがカマルにとっては不本意であることをセイジは気付いていた。
「カマルさんは、カマルさんのなりたいものになればいい」
小屋の前に移転の魔術で戻って来てカマルの肩を抱くと、カマルがセイジの肩にこてんと頭を乗せる。
「私がなりたいのは、セイジさんの妻で、イオくんのお母さんです」
「俺の妻になりたいってはっきり言ってくれるのは嬉しいな。イオの母親っていうのは微妙だけど」
「イオくんのお母さんになりたいと思うのはいけないことですか?」
真剣な眼差しで問いかけるカマルの頬を撫でて、セイジはそこに口付ける。
「いけなくはないよ。あんな大きな息子がいると、ちょっとカマルさんに手を出しにくくなるなぁって思うだけで」
「せ、セイジさんったら」
「ほら、笑って。ずっと困った顔してる。俺はカマルさんの笑顔が好きなんだ」
啄むように顔中に口付けを落とすと、カマルの下がっていた眉が元に戻って、くすくすと笑いだす。
「セイジさんのことは夫として愛してます。イオくんのことも、息子のように大事なんです」
「そうだな、俺たちは家族だからな」
イオには一度も家族などという言葉は使ったことがなかったが、セイジは自分がイオを家族のように思っていることに口にしてから気が付いた。イオに言えば「師匠は気付くのが遅いのです」と言われそうだった。
あまりにも美しくて可愛い姿ににやけようとする顔を引き締めて、カマルに微笑みかける。
「カマルさん、とても綺麗だ」
「まだ仮縫いの状態で、仕付け糸で留めている段階みたいなんですけど……それでも、ドレスを着ると実感がわきますね」
自分はセイジと結婚するのだという実感がわいてくるというカマルに、セイジはにやけを押さえられなくなりそうになる。ぐっと奥歯を噛んで我慢すると厳めしい顔つきになってしまった。
濃い蜜を流したような褐色の肌に艶やかな黒髪、睫毛の長い金色の目に、輝くような純白がとてもよく似合う。美しすぎてセイジはカマルがまばゆいほどだった。
「これで仕上げてしまいますね」
「よろしくお願いします」
カマルの身体にぴったりと合ったドレスは非常に魅力的で、セイジは結婚式が待ち遠しかった。
町の神殿にも挨拶に行ったが、神官たちはカマルに興味津々だった。結婚の打ち合わせをしたいのに、カマルはすぐに囲まれてしまう。
「聖女様、お渡しした聖典は読まれましたか?」
「神殿に足をお運びくださってありがとうございます」
「カマルさんは俺のだ! 散れ!」と言いたい気持ちをぐっと抑えて、セイジが我慢していると、カマルは穏やかに答えている。
「聖典には目を通させていただきました。ただ、私は聖女と言われても、魔王と聖女との間の子どもで、半分は魔族の血が入っています。神殿で何かできるような身分ではありません」
「魔族の血が入っていようとも聖女様は聖女様です」
「神聖魔術をぜひ習って欲しい」
神聖魔術をカマルが習って神殿に仕えるようになるということは、セイジとの結婚は反故にされるということだ。神に仕える神官たちは皆未婚でなければいけない。それが分かっているだけに、セイジは神殿から招かれざる空気を感じ取っていた。
「カマルさんは神殿に仕える聖女にはならない」
「聖女様のお力が必要なのです」
「魔物たちの毒や病魔に侵されたものたちがいるのです。呪いの魔術に侵されたものも。そういうものたちに聖女様のお慈悲をくださいませ」
頼まれると心優しいカマルが断ることができないのとセイジは知っていた。やはり神殿に来たのは間違いだったか。神殿で結婚式を挙げることは諦めようかとセイジは考え始めていた。
「私にできるのは聖なる水源を探すことだけです」
「その聖なる水が必要なのです」
懇願されてカマルがセイジの方を見る。
「一度だけ、力を貸しましょう。私はセイジさんの妻となる身、神殿にお仕えはできません。困っている方がいるならば、聖なる水源を探してみましょう」
たった一度だけ。
その聖なる水源を探し出して絶やすことなく守っていれば、魔物の毒や病魔、呪いの魔術に侵されたものも救い出すことができる。
カマルの折衷案に渋々だが神官たちは納得したようだった。
「セイジさん、ついて来てくれますか?」
聖水の湧き出る場所を探して、カマルは首にかけていたアメジストのペンデュラムを外して手に持った。
町の外れには人工的に引かれた水路と田畑が広がっている。それよりも外に出ると、林の中の石畳の道に出る。石畳から離れてカマルは林の中に入っていく。寄り添うセイジと、遅れて付いてくる神官たち。
カマルは小声でペンデュラムに問いかけて、問いかけに応じてペンデュラムがくるくると回っているのが分かった。
しばらく林の中を歩いてから、カマルは岩場に出た。近くに川があるのか、水音が聞こえて湿った冷たい空気が流れてくる。一つの岩の上に立ってカマルはペンデュラムを手から吊り下げていた。
ぐるぐると力強くアメジストのペンデュラムが回っている。
「セイジさん、この岩を割ることができますか?」
「できるよ。カマルさん、少し下がって」
神官たちにも下がってもらって、カマルの指定した岩を魔術で真っ二つに割ると、そこから清らかな水が流れてくる。
「これは聖なる水源!」
「これで助かるものが!」
神官たちが駆け寄って水を汲むのを見ながら、セイジはその岩の周辺に結界を張り始めていた。
「これはオマケだ。これ以上カマルさんを神殿に誘おうとするなよ」
「カマルさんは俺のだ」と主張しながら、セイジはカマルの探し当てた聖なる水源に悪しき者が近寄れないように結界を張った。
これでカマルの周辺は静かになるのだと信じて。
カマルの元に国王陛下からではない使者が来たのは、聖なる水源を探し当てて神官たちを黙らせて山の中の小屋に戻ろうとしたときだった。大きな羽音が聞こえて、上空から何かが降りてくる。
大勢の背中に翼の生えた魔族が降りて来て、カマルを取り囲んでいた。
「カマル様、魔族の居住地では、次の指導者を求めております」
「魔王の血を引くあなたこそが、我らの女王に相応しい」
神官たちを黙らせたと思ったら次に来たのは魔族である。
セイジは若干うんざりしていた。
「私は魔王の血を引いていますが、ひとを導くような器ではありません」
「誰もがカマル様が最適だと言っております」
「どうか、我らの女王になってくださいませ」
頭を下げられてカマルが困惑しているのが分かる。魔王が退治される前には、魔王を暴走させないための贄として差し出されていたカマルが、今は手の平を返したように女王になれと言われている。
「それは虫がよすぎる話じゃないのか? カマルさんはずっと魔王の元で苦しんで来た。一人の女性として幸せになってもいいんじゃないか?」
「魔族には今、指導者がいないのです。このままでは魔族はバラバラになってしまう」
「この国の国王は和睦を受け入れたけれど、魔族を心の底ではさげすんでいるのです。対等に話ができる相手が必要なのです」
頭を下げ続ける魔族たちに、カマルが恐る恐る答える。
「それは私よりも適任者がいると思います。私はそんなことできません、それに……」
「カマルさん、はっきり言っていいんだよ」
「はい。私はセイジさんと二人で静かに暮らしたいのです」
聖女としてでもなく、魔族の女王としてでもなく、カマルは一人の女性としての幸せを望んでいる。はっきりとそれを告げられてしまえば、魔族たちもこれ以上カマルに願いを押し付けることはできなかった。
「気が変わったらいつでも戻って来てください」
「あなたは我らの王の血を引くお方なのですから」
魔族たちの言葉にカマルが眉根を寄せているのが分かった。自分が魔族であるという事実は、カマルにとってはあまり受け入れがたいことなのだろう。聖女であるということもまた、カマルにとっては受け入れがたい。
どちらもカマルが選んで生まれて来たわけではないのだが、そのせいで神殿からは神に仕えるようにお願いされ、魔族からは女王になるようにお願いされる。
それがカマルにとっては不本意であることをセイジは気付いていた。
「カマルさんは、カマルさんのなりたいものになればいい」
小屋の前に移転の魔術で戻って来てカマルの肩を抱くと、カマルがセイジの肩にこてんと頭を乗せる。
「私がなりたいのは、セイジさんの妻で、イオくんのお母さんです」
「俺の妻になりたいってはっきり言ってくれるのは嬉しいな。イオの母親っていうのは微妙だけど」
「イオくんのお母さんになりたいと思うのはいけないことですか?」
真剣な眼差しで問いかけるカマルの頬を撫でて、セイジはそこに口付ける。
「いけなくはないよ。あんな大きな息子がいると、ちょっとカマルさんに手を出しにくくなるなぁって思うだけで」
「せ、セイジさんったら」
「ほら、笑って。ずっと困った顔してる。俺はカマルさんの笑顔が好きなんだ」
啄むように顔中に口付けを落とすと、カマルの下がっていた眉が元に戻って、くすくすと笑いだす。
「セイジさんのことは夫として愛してます。イオくんのことも、息子のように大事なんです」
「そうだな、俺たちは家族だからな」
イオには一度も家族などという言葉は使ったことがなかったが、セイジは自分がイオを家族のように思っていることに口にしてから気が付いた。イオに言えば「師匠は気付くのが遅いのです」と言われそうだった。
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