8 / 30
8.
しおりを挟む
小屋に戻って水を調べると、浄化の魔術システムも正常に動いていて、澄んだ水がシャワーからもキッチンの水場からも出るようになっていた。水をコップに汲んで、よく成分を魔術で見定めてから、セイジは料理を始めた。氷室に入れておいた街で買ったサーモンを切り身にして、塩で味をなじませて、小麦粉を薄くつけてバターで焼いていく。ついでにパプリカとズッキーニとエリンギとしめじもバター炒めにした。
卵スープを作ってパンと一緒に出すと、イオは躊躇いなく三切れお皿に取って、パプリカとズッキーニとエリンギとしめじのパター炒めも山盛り皿に取る。スープは深皿に分けていたのだが、いつもの習慣でセイジは自然とイオのものを一番多くしていた。
パンは家で焼いているのだが、一斤がすぐになくなってしまう。イオは半分は食べるし、セイジも二枚は食べる。カマルは薄く切った一枚を大事に食べていた。
サーモンのムニエルも一番小さいひと切れを取るし、パプリカとズッキーニとエリンギとしめじのバター炒めもあまり量は取らないカマルに、セイジは心配になってしまう。
「それだけで足りているか?」
「毎食たくさん食べていますよ?」
どうしてもイオと比べてしまうからいけないのだろうが、セイジはそのことに気付いていなかった。女性の食事の量などセイジにはよく分からない。
セイジもサーモンのムニエルを二切れ取って、パプリカとズッキーニとエリンギとしめじのバター炒めは残りを全部もらった。
食べている間はイオはとても大人しい。ものすごい勢いでなくなっていく料理に、イオが満足しているのはセイジも長年の付き合いなのでなんとなく分かる。
「セイジ様、シャワーを浴びたら、お部屋に伺ってもよろしいですか?」
食事を終えたイオが二階のセイジの部屋に入ったのを見計らって、カマルが思い詰めた表情で告げるのに、セイジは落ち着かない気分になりながら、「待っている」と答えた。
今日はあまりにも色んなことがありすぎた。
魔王の手先によって川の水が汚染された事件から、川の魔物によってカマルと共に汚染された川に落ちてしまった。正確には川の魔物を倒そうとしたイオの放った衝撃波の余波に巻き込まれてなのだが、その辺を深く追求するとイオとはやっていけない。
この件に関してはイオにこってりと説教をするつもりだった。
「イオ、お前はもうちょっと自分の力の制御を覚えなさい。今回はカマルさんが聖なる水源を見つけられたから良かったけれど、カマルさんの命も俺の命も危なかったんだからな」
「師匠、サーモンのムニエルの量が少なかったのです。やっぱり、デザートが欲しいのです」
「話を聞け! 自分がしたことに対して、何か感想はないのか」
「三切れでは足りなかったのです」
「サーモンの話じゃない!」
相変わらずひとの話を全く聞かない弟子である。それでもカマルがシャワーを浴びるときにはリビングとバスルームが直結していて暖簾で区切られているだけなので、イオも遠慮して二階のセイジの部屋に入っている。その辺の配慮はできるのに、戦うとなると全く力加減ができなくなるのがセイジには不思議でならなかった。
魔王を倒すと出かけて行ったとき、セイジはやっと一人で隠居できるという安心感と、これからイオが自分の力を制御できないままに生きていって大丈夫かという心配が半々だったが、戻って来たイオにまた振り回されているのを考えると、どこか自分の知らないところで魔物退治でもして名を上げて欲しいという気持ちと、制御できない力で他人から迫害されないかという心配が沸き起こる。
突き放してしまいたい気持ちはあるのだが、それをするにはセイジはあまりにもイオという弟子と過ごした時間が長く、見放せなくなっていた。
「カマルさんに何を作ってもらおうかな。イオは甘くて美味しいものが食べたいのです」
「カマルさんは俺と話があるんだ」
「師匠だけ作ってもらうんですか!? ずるいのです!」
噛み合わない会話にもセイジは慣れ切っていた。
カマルの話とはなんだろう。
昼間に口付けたことが嫌だったとか、ここを出て行くとかそんな話ではないのだろうか。
急に不安になってきたセイジに、部屋のドアが叩かれた。
濡れた髪でネグリジェを着て部屋に入って来たカマルに、イオがデザートを強請る前に「イオもシャワーを浴びて来い」と追い出した。部屋の中にはカマルとセイジの二人だけになる。
胸に下げたアメジストのペンデュラムを握り締めて、カマルが口を開いた。
「セイジ様のお好きなように……」
「え?」
「私は、それくらいしかできません。セイジ様が求めるのであれば、私の身体は好きにしてくださって構いません」
出て行くとか、キスが嫌だったとかそういう次元の話でなくなっている。
セイジは少なからず慌ててしまった。
カマルはセイジがキスをしたことに対して、自分の体を要求しているのだと勘違いしている。
「違うんだ、キスをしたのはそういうのじゃない」
「私、初めてで面白くないかもしれませんが、できるだけ楽しませるように頑張ります」
「いやいや、落ち着いて、カマルさん」
思いつめた表情のカマルも必死になりすぎてセイジの言葉が届いていない。アメジストのペンデュラムと握り締めるカマルの手が震えていた。
「け、経験はありませんが、魔王は私に見せつけるように女性とそういうことをしていました。た、多分、できると思うんです」
「魔王が、カマルさんに見せつけていた?」
「魔王の私に対する執着は異常で……姉だからという理性はあったのでしょうが、私にそういう行為をしている自分を見ろと言って……。とても嫌だったけれど、従わなければ、私は……」
魔王に支配されて逃げることもできないカマルは、魔王が他の女性の魔族と陸み合う現場を見せられていた。食事は制限され、閉じ込められて自由もなく、水源を探させて汚染するように命じられて、行為まで見せつけられていたのならば、カマルが命を絶ってでも自由になりたかったという気持ちがセイジにはよく分かった。自分の弟の行為を見せられるなど拷問に近かっただろう。
「カマルさん、俺はそんなこと望んで……なくはないけど、カマルさんが望まないのに無理強いはしたくない」
「セイジ様……。セイジ様は私によくしてくれます。半分とはいえ魔族の私と暮らすのは大変でしょう。今日だって、魔王が川を汚染して迷惑をかけました」
自分がいるから魔王はこの小屋に手出しをしてくるのだとカマルには分かっている。その通りなのだろうが、世界最強の魔術師のセイジにとって魔王程度怖い存在ではなかったし、川を汚染されたのは面倒だったが解決できる程度の問題だった。
「俺に迷惑をかけているから、俺に身を差し出すようなことはやめてくれ」
「セイジ様……私にキスをしたのは?」
あれはカマルが欲しかったからではないかとカマルに問われれば、セイジは返答に困ってしまう。
「俺はずっと他人に頼ったことなんかなかった。カマルさんは視力を失った俺を、自分の苦しさを我慢して助けようとしてくれた。俺はカマルさんに愛しさを感じて口付けた」
正直に白状したセイジにカマルの金色の目が見開かれる。
「愛しさ、と言いますと?」
「カマルさんに惚れているんだ、多分」
どうしても断定できないのにはセイジの自信のなさがあった。これまで女性と遊んでは来たが、本気になったことはない。本気の恋をセイジは経験したことがない。
これが本当の恋なのか、愛なのか、セイジにはまだ分かっていなかった。聖なる水源の傍でカマルに口付けたのは、カマルが愛しいと思ったからに違いなかったが、それが肉欲とどう違うのかと言われれば、セイジには上手く説明ができない。
「多分、ですか……」
「他人にこんな感情を抱いたのは初めてなんだ。俺にもよく分からない」
「私はセイジ様になら何をされてもいい。それは覚えていてください」
今日は失礼しますと言って部屋から出て行くカマルを、セイジは衝動的に抱き締めたくてたまらなかった。しかし、ここで抱き締めてしまえばカマルはただの肉欲だけを求められたと思いはしないだろうか。
伸ばした手は宙を掴み、部屋のドアは無情にも閉まったのだった。
卵スープを作ってパンと一緒に出すと、イオは躊躇いなく三切れお皿に取って、パプリカとズッキーニとエリンギとしめじのパター炒めも山盛り皿に取る。スープは深皿に分けていたのだが、いつもの習慣でセイジは自然とイオのものを一番多くしていた。
パンは家で焼いているのだが、一斤がすぐになくなってしまう。イオは半分は食べるし、セイジも二枚は食べる。カマルは薄く切った一枚を大事に食べていた。
サーモンのムニエルも一番小さいひと切れを取るし、パプリカとズッキーニとエリンギとしめじのバター炒めもあまり量は取らないカマルに、セイジは心配になってしまう。
「それだけで足りているか?」
「毎食たくさん食べていますよ?」
どうしてもイオと比べてしまうからいけないのだろうが、セイジはそのことに気付いていなかった。女性の食事の量などセイジにはよく分からない。
セイジもサーモンのムニエルを二切れ取って、パプリカとズッキーニとエリンギとしめじのバター炒めは残りを全部もらった。
食べている間はイオはとても大人しい。ものすごい勢いでなくなっていく料理に、イオが満足しているのはセイジも長年の付き合いなのでなんとなく分かる。
「セイジ様、シャワーを浴びたら、お部屋に伺ってもよろしいですか?」
食事を終えたイオが二階のセイジの部屋に入ったのを見計らって、カマルが思い詰めた表情で告げるのに、セイジは落ち着かない気分になりながら、「待っている」と答えた。
今日はあまりにも色んなことがありすぎた。
魔王の手先によって川の水が汚染された事件から、川の魔物によってカマルと共に汚染された川に落ちてしまった。正確には川の魔物を倒そうとしたイオの放った衝撃波の余波に巻き込まれてなのだが、その辺を深く追求するとイオとはやっていけない。
この件に関してはイオにこってりと説教をするつもりだった。
「イオ、お前はもうちょっと自分の力の制御を覚えなさい。今回はカマルさんが聖なる水源を見つけられたから良かったけれど、カマルさんの命も俺の命も危なかったんだからな」
「師匠、サーモンのムニエルの量が少なかったのです。やっぱり、デザートが欲しいのです」
「話を聞け! 自分がしたことに対して、何か感想はないのか」
「三切れでは足りなかったのです」
「サーモンの話じゃない!」
相変わらずひとの話を全く聞かない弟子である。それでもカマルがシャワーを浴びるときにはリビングとバスルームが直結していて暖簾で区切られているだけなので、イオも遠慮して二階のセイジの部屋に入っている。その辺の配慮はできるのに、戦うとなると全く力加減ができなくなるのがセイジには不思議でならなかった。
魔王を倒すと出かけて行ったとき、セイジはやっと一人で隠居できるという安心感と、これからイオが自分の力を制御できないままに生きていって大丈夫かという心配が半々だったが、戻って来たイオにまた振り回されているのを考えると、どこか自分の知らないところで魔物退治でもして名を上げて欲しいという気持ちと、制御できない力で他人から迫害されないかという心配が沸き起こる。
突き放してしまいたい気持ちはあるのだが、それをするにはセイジはあまりにもイオという弟子と過ごした時間が長く、見放せなくなっていた。
「カマルさんに何を作ってもらおうかな。イオは甘くて美味しいものが食べたいのです」
「カマルさんは俺と話があるんだ」
「師匠だけ作ってもらうんですか!? ずるいのです!」
噛み合わない会話にもセイジは慣れ切っていた。
カマルの話とはなんだろう。
昼間に口付けたことが嫌だったとか、ここを出て行くとかそんな話ではないのだろうか。
急に不安になってきたセイジに、部屋のドアが叩かれた。
濡れた髪でネグリジェを着て部屋に入って来たカマルに、イオがデザートを強請る前に「イオもシャワーを浴びて来い」と追い出した。部屋の中にはカマルとセイジの二人だけになる。
胸に下げたアメジストのペンデュラムを握り締めて、カマルが口を開いた。
「セイジ様のお好きなように……」
「え?」
「私は、それくらいしかできません。セイジ様が求めるのであれば、私の身体は好きにしてくださって構いません」
出て行くとか、キスが嫌だったとかそういう次元の話でなくなっている。
セイジは少なからず慌ててしまった。
カマルはセイジがキスをしたことに対して、自分の体を要求しているのだと勘違いしている。
「違うんだ、キスをしたのはそういうのじゃない」
「私、初めてで面白くないかもしれませんが、できるだけ楽しませるように頑張ります」
「いやいや、落ち着いて、カマルさん」
思いつめた表情のカマルも必死になりすぎてセイジの言葉が届いていない。アメジストのペンデュラムと握り締めるカマルの手が震えていた。
「け、経験はありませんが、魔王は私に見せつけるように女性とそういうことをしていました。た、多分、できると思うんです」
「魔王が、カマルさんに見せつけていた?」
「魔王の私に対する執着は異常で……姉だからという理性はあったのでしょうが、私にそういう行為をしている自分を見ろと言って……。とても嫌だったけれど、従わなければ、私は……」
魔王に支配されて逃げることもできないカマルは、魔王が他の女性の魔族と陸み合う現場を見せられていた。食事は制限され、閉じ込められて自由もなく、水源を探させて汚染するように命じられて、行為まで見せつけられていたのならば、カマルが命を絶ってでも自由になりたかったという気持ちがセイジにはよく分かった。自分の弟の行為を見せられるなど拷問に近かっただろう。
「カマルさん、俺はそんなこと望んで……なくはないけど、カマルさんが望まないのに無理強いはしたくない」
「セイジ様……。セイジ様は私によくしてくれます。半分とはいえ魔族の私と暮らすのは大変でしょう。今日だって、魔王が川を汚染して迷惑をかけました」
自分がいるから魔王はこの小屋に手出しをしてくるのだとカマルには分かっている。その通りなのだろうが、世界最強の魔術師のセイジにとって魔王程度怖い存在ではなかったし、川を汚染されたのは面倒だったが解決できる程度の問題だった。
「俺に迷惑をかけているから、俺に身を差し出すようなことはやめてくれ」
「セイジ様……私にキスをしたのは?」
あれはカマルが欲しかったからではないかとカマルに問われれば、セイジは返答に困ってしまう。
「俺はずっと他人に頼ったことなんかなかった。カマルさんは視力を失った俺を、自分の苦しさを我慢して助けようとしてくれた。俺はカマルさんに愛しさを感じて口付けた」
正直に白状したセイジにカマルの金色の目が見開かれる。
「愛しさ、と言いますと?」
「カマルさんに惚れているんだ、多分」
どうしても断定できないのにはセイジの自信のなさがあった。これまで女性と遊んでは来たが、本気になったことはない。本気の恋をセイジは経験したことがない。
これが本当の恋なのか、愛なのか、セイジにはまだ分かっていなかった。聖なる水源の傍でカマルに口付けたのは、カマルが愛しいと思ったからに違いなかったが、それが肉欲とどう違うのかと言われれば、セイジには上手く説明ができない。
「多分、ですか……」
「他人にこんな感情を抱いたのは初めてなんだ。俺にもよく分からない」
「私はセイジ様になら何をされてもいい。それは覚えていてください」
今日は失礼しますと言って部屋から出て行くカマルを、セイジは衝動的に抱き締めたくてたまらなかった。しかし、ここで抱き締めてしまえばカマルはただの肉欲だけを求められたと思いはしないだろうか。
伸ばした手は宙を掴み、部屋のドアは無情にも閉まったのだった。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる