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27.ファビアンの正直な気持ち

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 夕食を食べてから、ファビアンは万里生と一緒にバスルームに入った。
 見せつけるように後孔をシャワーで流して、ローションを塗り込めていくのは、万里生を誘っている自覚がファビアンにはあった。万里生に欲情して欲しい。ファビアンを抱きたいと求めて欲しい。
 音を響かせるようにぐちぐちと万里生に尻を向けてタイルの壁に片手を突きながら、ローションを塗り込めていると、万里生が後ろから覆い被さって来た。
 こういう情熱的な仕草がファビアンには嬉しくて堪らない。

「ファビアン、めちゃくちゃエロい……入れたい」
「お薬は?」
「あ、あれは、後で」

 一回だけバスルームでしたいという万里生のおねだりはファビアンには可愛いものだった。タイルに手を突いて尻を突き出すようにすると、腰に手を当てて万里生が後ろから押し入ってくる。
 ずんずんと突き上げる動作はいつもと違って、ファビアンの悦い場所を掠めてとても気持ちがいい。

「ひぁっ! マリオ、悦いよ」
「んっ! ふぁっ! でる! でちゃう!」
「奥に出して?」

 気持ちがよくて締め付けすぎたのか万里生は早く絶頂を迎えたが、それもファビアンには嬉しいことだった。それだけ万里生がファビアンの体で感じてくれているということである。
 絶頂が早ければ早いほど、万里生とファビアンの体の相性はいいという結論になる。
 奥まで突きあげて来た万里生が白濁を吐き出す。
 今までに到達しなかった奥の奥まで突きあげられて、ファビアンも快感で声を上げていた。

「うぁぁぁぁっ! マリオ、すごいぃ!」
「ファビアン、しまる! あぁっ! きもちいっ!」
「んんっ! おく、でてる! あついの、でてるぅ!」

 最高の快楽を味わった後でも、ファビアンはまだまだ足りていなかった。
 バスルームから出ると、バスタオルを腰に巻いただけの格好で小瓶を手に取る。ちらりと万里生を見ると期待した目をしているのが分かる。
 小瓶の蓋を開けて一気に飲み干すと、体が芯からかっと熱くなるのが分かった。
 快楽を与えられた後孔が疼いて万里生を求めている。

「あぁ……マリオ、覚悟してね?」

 堪えきれずファビアンは寝室に万里生を連れ込んでベッドに押し倒していた。バスタオルを剥ぎ取ると万里生の中心が雫を浮かべて勃ち上がっているのが分かる。
 先端にキスをするようにして雫を吸い取ると、ファビアンは万里生の股座に座り込んで上目遣いに万里生を見た。

「ここ、気持ちよくさせてあげる」
「ふぁ、ファビアン……いつも気持ちいいけど……」
「これ、してあげたことなかったでしょう?」

 喉の奥まで万里生の中心を咥え込んでしまうと、万里生が息を飲んだのが分かる。男同士なのでどうすれば気持ちいいかくらいは分かっている。
 スライドさせながら喉奥で先端を締めると、万里生の口から泣き声が聞こえる。

「あっ! あぁぁっ! でるぅ!」
「んふっ! 僕の口で出す? それとも、中で出す?」
「なかで! なかがいいぃ!」

 泣いてしまった万里生も可愛くて、ファビアンは焦らすのは勘弁してあげた。細い腰に跨って、いきり立っている中心を後孔に宛がってずぶずぶと飲み込んでいく。
 内壁を擦り上げる快感に身もだえして、奥に到達したときにはファビアンは体を反らせて快感に耐えていた。
 きゅうっと奥を締めると中で万里生の中心が弾ける。熱い飛沫に胎を濡らされるのがとてつもなく気持ちいい。
 万里生ばかりが感じているように見えるが、ファビアンも深い快感を覚えていた。

「ふぇ……でちゃったぁ……」
「まだだよ。マリオ、もっと僕を満たしてくれないと」
「ひっ! あぁんっ! まだイったばかりぃ!?」

 まだまだ足りないと萎えた万里生の中心を咥え込んだまま腰を振り立てると、万里生が泣いている。
 ファビアンに精力増強剤を飲ませた時点でこうなることは分かっていたはずなのに、万里生は搾り取られる間、ずっと泣いていた。

「ファビアン、もう、むりぃ! でないぃ! でないよぉ!」
「まだ僕は満足してないよ? マリオ、がんばれ、がんばれ!」
「ふぇぇぇっ! むりぃ!」

 萎えた万里生をくちくちと中で刺激していると、万里生の中心が膨れ上がるのが分かる。絶頂が来たのだと身構えたファビアンの中で、万里生はぷしゃぁっと大量の液体を迸っていた。

「で、でちゃったぁ! ファビアンのなかで、おもらし、しちゃったぁ!」

 泣き喚く万里生にファビアンはぼたぼたと後孔から液体を零しながらも、万里生の頬に手を当ててキスをしながら優しく諭す。

「違うんだよ。これはそういうのじゃないんだ」
「ち、ちがうのぉ? ファビアン、おこってない?」

 ぐすぐすと泣いている万里生にファビアンはその頬を撫でる。

「これは潮吹きって言って、おもらしじゃないんだよ」
「ほんとうに?」
「そうだよ」

 怒っていないことを告げると万里生は落ち着いたようだった。
 びしょびしょになったシーツは剥がして洗濯機に入れて、新しいシーツを敷き直してからファビアンは万里生を抱き上げてバスルームに行った。
 体を流してバスタブに万里生を座らせると、まだ万里生は泣いている。

「ファビアンが興奮して乱れるかと思ったのにぃ」
「僕はいつもすごく気持ちよくて興奮してるよ?」
「ファビアン、いつも余裕じゃないか。俺ばかり気持ちよくて、ファビアンが気持ちよくないんじゃないかと不安だったんだ」

 不安な心の内を吐露されてファビアンは驚いてしまう。ずっとファビアンは万里生に抱かれて気持ちよかった。確かに万里生は達するのが早いときがあるけれど、それもまたファビアンには嬉しかった。
 言葉にしていないとはこういうことなのだ。全く通じていなかった。

 反省してファビアンはゆっくりと自分の気持ちを口に出す。

「僕はずっと気持ちよかったよ。何より、マリオが僕の体で感じてくれるのが嬉しかった。僕とマリオは運命だと確認できるような気がしてたんだ。マリオ、不安にさせてごめんね」
「ずっと、気持ちよかった? 俺が感じるのが嬉しかった?」
「マリオは早いのを気にしてたかもしれないけど、それは、それだけ僕の体が気持ちよくて感じてくれてるってことでしょう? 僕は最高に嬉しかったよ」

 素直な感想を口にすると万里生の目から涙が消える。赤い目を擦って抱き付いてきた万里生をファビアンは胸に深く抱き締めた。

「ねぇ、ファビアン、潮吹きって何?」
「えーっと、気持ちよすぎて精液じゃない液体が大量に出ちゃうことかな。女性に多いみたいなんだけど、男性も潮吹きをするらしいよ?」
「なんでそんなこと知ってるのか?」
「高校や大学でそういう話題で盛り上がってる連中に吹き込まれたんだよ。言っとくけど、僕は運命の相手以外とそういうことはしたくないから、未経験だよ?」
「分かってるけど……」

 なんかちょっと妬ける。
 万里生の呟きが可愛くてファビアンは万里生を抱き締めて耳を甘く噛んだ。

「そんなこと言うと、もう一戦始めちゃうよ?」
「もう無理! 出ない! 出ないからな!」

 必死に言う万里生にくすりと笑って、ファビアンは万里生の唇にキスをした。

 万里生に潮吹きをさせるまで交わったので、ファビアンの薬も切れたようだ。ベッドに入るころには程よい眠気が襲って来ていた。

「マリオがああいう薬に興味があるなら、会社の試薬をもらってくるけど」
「興味はないよ。もう十分」
「そう?」
「ファビアンがいつも余裕でいるのが不安だっただけ。それもちゃんと話したら分かったから、もういらない」

 万里生はファビアンが体を交わした後も元気で、交わしている最中も余裕があるので感じていないのではないかと不安だったようだ。ファビアンが話したことにより万里生の不安は取り除かれた。

「マリオ、僕は本当に気持ちよくて最高のセックスをしていると思うよ」
「ファビアンもイってるのか?」
「前でイってないから目立たないけど、中でちゃんとイってるよ」

 元々ファビアンは性欲の強い方ではないと自分で思っていたが、抱かれる方になってみると、ものすごく性欲が強いことを自覚していた。万里生が出なくなるまで何度も何度も搾り取ってしまうくらいファビアンは夜の営みに強い。

「運命の相手だからかなぁ」
「え?」
「運命の相手じゃなかったら、僕は何度もしたいと思わなかったし、感じもしなかったんだろうなぁと思ったんだ」

 ベッドで万里生を胸に抱きながら呟くと万里生が胸に顔を埋めて来る。

「俺も運命の相手じゃなかったら、抱きたいと思わなかったよ」
「マリオ、愛してる」
「俺も、ファビアン」

 抱き締め合って、愛を確かめ合って、ファビアンと万里生は眠りについた。
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