10 / 30
10.万里生は恐怖に震える
しおりを挟む
ファビアンが重大なことを言った気がする。ビジネスホテルで泣いていたので動揺していた万里生は聞き逃しそうになっていたが、それを聞き返した。
「それじゃ、あんた、その顔と体で、初めてなのか?」
「そうだよ。誰でも最初は初めてでしょう。おかしいことじゃないよ。マリオも初めてでしょう?」
友達も碌にいなかった万里生がそういう関係の相手がいなかったのは理解できるが、いかにも格好よくて、誰でも抱かれたいと思うような体格と容姿のファビアンが経験がないなんてことを、万里生は考えたこともなかった。
何なら、周囲の美形はみんな抱いているくらいの感覚でいた。
我に帰ると、自分も当然初めてだと言われていることに気付いて、万里生は耳まで熱くなる。
「そ、そんなこと聞くな!」
「初めて同士なら同じで安心だね」
何が安心なのか分からないが、にっこりと笑って言ってくるファビアンの股間のものを思い出して、万里生は全く安心できなかった。初めてで慣れていない相手からあんな凶悪なブツを捩じ込まれたら平気でいられるはずがない。
「俺は、あんたに抱かれたりしない! 俺はもっと違う……違う相手と……」
「マリオ、好きなひとがいるの?」
恐怖に身を縮こめながら言うのだが、万里生の頭の中にはもうファビアンのことしか入っていなかった。運命の相手としてファビアンを認めたわけではないが、離れていた間はずっとファビアンに会いたかった。
ファビアンに守られているのを実感して、ファビアンの作ってくれる居心地のいい場所に暮らしたいと思っていた。
もうファビアンは万里生の心の柔らかい場所に住み着いてしまって、出て行ってくれないのだ。
万里生の好きな相手はファビアンに違いなかった。
それを言うわけにもいかず、万里生は必死に誤魔化す。
「す、好きなやつなんて、い、いない」
「好きな相手がいてもいいよ。僕はマリオを口説き落とせるように頑張るだけだからね」
「俺があんた以外を好きになってもいいのかよ?」
「ひとの気持ちは止められないからね。でも、僕もマリオに好かれるように頑張るよ」
万里生に好きな相手がいると勘違いしてファビアンが慌てるかと思えば、ファビアンは落ち着いていた。万里生に好きな相手がいても好かれるように努力すると言っている。
好きな相手がいても平気というのは面白くなかったので、万里生はファビアンを試すようなことを口にした。
「俺に好きな相手がいてもいいとか、俺のこと好きなんじゃないんじゃないか?」
「いや、愛してるよ?」
返事が意外に重みのある真摯なもので、万里生は自分が聞いたのに動揺してしまう。
「な、なに恥ずかしいこと言ってるんだよ」
逃げるようにシンクに食器を持って行って、食べ終わった食器を洗った。
これまでは完全にファビアンに甘えていたが、自分はファビアンに頼りすぎていたのではないだろうか。ファビアンがいなければ生活できないほど万里生はファビアンに依存していた。
ファビアンは万里生を愛してくれている。
万里生もまだファビアンに告げることはできないが、ファビアンのことを想っている。
それならば万里生はファビアンと同等になりたかった。
ファビアンに甘やかされて生きるのは居心地がよかったが、ファビアンも万里生と一緒にいて居心地がいいと思ってくれるようにしなければいけない。そうでなければ、万里生とファビアンの仲が壊れてしまうような気がしたのだ。
万里生はシャワーを浴びたら必ずバスルームを掃除してから出るようになった。トイレを使ったらトイレは必ず掃除する。洗濯は洗濯機がやってくれるので、干すのと畳むのはファビアンと交代でする。食事の後は、料理はファビアンが作ってくれているので、食器は万里生が食洗機に入れて洗うようにした。
リビングや廊下などの共有部分は掃除機をかけるようにしたし、玄関も掃除するようにした。
自分にできることを始めると、どれだけファビアンが心を配って万里生が暮らしやすいようにしてくれていたかがよく分かる。
ゴミ捨て一つでも、燃えるゴミと燃えないゴミとペットボトルと缶などのリサイクルごみと、細かくファビアンは分別していた。やってみなければ万里生には分からないことだった。
「僕がするからいいのに」
「一緒に暮らしてるのに、一方的に世話になってるってのはよくないからな」
「マリオ、本当にありがとう」
最初は遠慮していたファビアンも、お礼を言って受け入れてくれる。万里生の家事が若干雑でも、ファビアンは大いに褒めてお礼を言ってくれるので、万里生はのびのびと家事ができていた。
夏休みも終わりかけの頃に万里生は勇気を出してファビアンを呼んだ。
「ふぁ、ファビアン……」
名前を呼んだのは初めてなのに、ファビアンは大きなリアクションをしなかったから、万里生は恥ずかしさが薄れて次も呼べる気がした。
「どうしたの?」
「今日は俺がご飯を作る」
「え? マリオが作ってくれるの?」
「俺の料理は食べられないっていうのか?」
「ううん、すごく嬉しいよ」
夕食を作る旨を伝えると、ファビアンは「何を作ってくれるのかな」と嬉しそうに目を細めている。何を作ってもファビアンは食べてくれそうだったが、失敗のないように中学校のときの調理実習で作った三色ご飯を作ることにした。
ふわふわの炒り卵を作って、鶏のミンチも甘辛く味付けしてそぼろにする。サヤインゲンを茹でてご飯の上に乗せた炒り卵と鶏のミンチのそぼろの境界線に切って添えた。
丼を二つ持ってキッチンから出て行くと、ファビアンが目を輝かせている。
「俺だって料理くらいできるんだ」
「すごく美味しいよ。マリオが三色ご飯を作ってくれたから、僕がお茶を淹れるね」
一口食べてファビアンが褒めてくれるのに万里生は得意げな顔になった。万里生だってやればできるのだ。
「これからは俺も料理を作る。お弁当も半々で作ろうな」
「一緒に作っちゃダメなの?」
「い、一緒に!? い、いいけど……」
広くないキッチンに万里生は大柄ではないとはいえ、ファビアンは大柄で、男性が二人入るというのはどうしても密着してしまう。
意識しているのは万里生だけかもしれないが、ファビアンと一緒にキッチンに立つのは胸が騒がしくなりそうだった。
夏休みが終わってから、万里生とファビアンは一緒にキッチンに立って料理をするようになった。
朝の忙しいときには、ファビアンの作ったおかずを万里生がお弁当箱に詰めて、おにぎりを握ってお弁当箱に入れる。意識しているのは万里生だけのようで、ファビアンは大らかに構えている。
朝食の後には万里生が食器を食洗機に入れて、ファビアンがお鍋やフライパンを洗う。
二人での役割分担ができて来たことに万里生は喜びを覚えていた。
「マリオ、行ってらっしゃい」
「行ってきます。ファビアンも行ってらっしゃい」
「帰りには車で迎えに行くよ」
「いいのか?」
大学からバイト先までは少し距離があるので、ファビアンが迎えに来てくれるとすぐに行けて助かる。
家事や料理は分担するようになったが、まだまだ万里生はファビアンに甘やかされていた。
ファビアンに抱かれることなく、このままの暮らしを続けたい。
しかし、運命の相手同士となると、どうしても性的なことが頭をよぎる。
抱かれたいとは全く思わないのだが、ファビアンは万里生を抱いて妊娠させて、子どもを産ませないといけない立場だ。
きっとドイツのファビアンの両親もファビアンにそれを望んでいる。
「今度ドイツから両親が来るんだ。会ってくれる?」
車で迎えに来てくれたファビアンにそう提案されたとき、万里生は心臓が飛び跳ねて口から出そうになっていた。
ファビアンの両親に会うということは、運命を受け入れてファビアンに抱かれるということになるのではないか。
「俺は……抱かれたくない」
「マリオ?」
「俺は、嫌なんだ」
ファビアンの凶悪なブツを後ろに捩じ込まれる恐怖に怯える万里生の背中をファビアンが優しく撫でる。
「マリオが納得するまで、僕はマリオを抱いたりしないよ」
怖いと思いながらも、そうしなければファビアンを失うかもしれない現実に、万里生は震えていた。
「それじゃ、あんた、その顔と体で、初めてなのか?」
「そうだよ。誰でも最初は初めてでしょう。おかしいことじゃないよ。マリオも初めてでしょう?」
友達も碌にいなかった万里生がそういう関係の相手がいなかったのは理解できるが、いかにも格好よくて、誰でも抱かれたいと思うような体格と容姿のファビアンが経験がないなんてことを、万里生は考えたこともなかった。
何なら、周囲の美形はみんな抱いているくらいの感覚でいた。
我に帰ると、自分も当然初めてだと言われていることに気付いて、万里生は耳まで熱くなる。
「そ、そんなこと聞くな!」
「初めて同士なら同じで安心だね」
何が安心なのか分からないが、にっこりと笑って言ってくるファビアンの股間のものを思い出して、万里生は全く安心できなかった。初めてで慣れていない相手からあんな凶悪なブツを捩じ込まれたら平気でいられるはずがない。
「俺は、あんたに抱かれたりしない! 俺はもっと違う……違う相手と……」
「マリオ、好きなひとがいるの?」
恐怖に身を縮こめながら言うのだが、万里生の頭の中にはもうファビアンのことしか入っていなかった。運命の相手としてファビアンを認めたわけではないが、離れていた間はずっとファビアンに会いたかった。
ファビアンに守られているのを実感して、ファビアンの作ってくれる居心地のいい場所に暮らしたいと思っていた。
もうファビアンは万里生の心の柔らかい場所に住み着いてしまって、出て行ってくれないのだ。
万里生の好きな相手はファビアンに違いなかった。
それを言うわけにもいかず、万里生は必死に誤魔化す。
「す、好きなやつなんて、い、いない」
「好きな相手がいてもいいよ。僕はマリオを口説き落とせるように頑張るだけだからね」
「俺があんた以外を好きになってもいいのかよ?」
「ひとの気持ちは止められないからね。でも、僕もマリオに好かれるように頑張るよ」
万里生に好きな相手がいると勘違いしてファビアンが慌てるかと思えば、ファビアンは落ち着いていた。万里生に好きな相手がいても好かれるように努力すると言っている。
好きな相手がいても平気というのは面白くなかったので、万里生はファビアンを試すようなことを口にした。
「俺に好きな相手がいてもいいとか、俺のこと好きなんじゃないんじゃないか?」
「いや、愛してるよ?」
返事が意外に重みのある真摯なもので、万里生は自分が聞いたのに動揺してしまう。
「な、なに恥ずかしいこと言ってるんだよ」
逃げるようにシンクに食器を持って行って、食べ終わった食器を洗った。
これまでは完全にファビアンに甘えていたが、自分はファビアンに頼りすぎていたのではないだろうか。ファビアンがいなければ生活できないほど万里生はファビアンに依存していた。
ファビアンは万里生を愛してくれている。
万里生もまだファビアンに告げることはできないが、ファビアンのことを想っている。
それならば万里生はファビアンと同等になりたかった。
ファビアンに甘やかされて生きるのは居心地がよかったが、ファビアンも万里生と一緒にいて居心地がいいと思ってくれるようにしなければいけない。そうでなければ、万里生とファビアンの仲が壊れてしまうような気がしたのだ。
万里生はシャワーを浴びたら必ずバスルームを掃除してから出るようになった。トイレを使ったらトイレは必ず掃除する。洗濯は洗濯機がやってくれるので、干すのと畳むのはファビアンと交代でする。食事の後は、料理はファビアンが作ってくれているので、食器は万里生が食洗機に入れて洗うようにした。
リビングや廊下などの共有部分は掃除機をかけるようにしたし、玄関も掃除するようにした。
自分にできることを始めると、どれだけファビアンが心を配って万里生が暮らしやすいようにしてくれていたかがよく分かる。
ゴミ捨て一つでも、燃えるゴミと燃えないゴミとペットボトルと缶などのリサイクルごみと、細かくファビアンは分別していた。やってみなければ万里生には分からないことだった。
「僕がするからいいのに」
「一緒に暮らしてるのに、一方的に世話になってるってのはよくないからな」
「マリオ、本当にありがとう」
最初は遠慮していたファビアンも、お礼を言って受け入れてくれる。万里生の家事が若干雑でも、ファビアンは大いに褒めてお礼を言ってくれるので、万里生はのびのびと家事ができていた。
夏休みも終わりかけの頃に万里生は勇気を出してファビアンを呼んだ。
「ふぁ、ファビアン……」
名前を呼んだのは初めてなのに、ファビアンは大きなリアクションをしなかったから、万里生は恥ずかしさが薄れて次も呼べる気がした。
「どうしたの?」
「今日は俺がご飯を作る」
「え? マリオが作ってくれるの?」
「俺の料理は食べられないっていうのか?」
「ううん、すごく嬉しいよ」
夕食を作る旨を伝えると、ファビアンは「何を作ってくれるのかな」と嬉しそうに目を細めている。何を作ってもファビアンは食べてくれそうだったが、失敗のないように中学校のときの調理実習で作った三色ご飯を作ることにした。
ふわふわの炒り卵を作って、鶏のミンチも甘辛く味付けしてそぼろにする。サヤインゲンを茹でてご飯の上に乗せた炒り卵と鶏のミンチのそぼろの境界線に切って添えた。
丼を二つ持ってキッチンから出て行くと、ファビアンが目を輝かせている。
「俺だって料理くらいできるんだ」
「すごく美味しいよ。マリオが三色ご飯を作ってくれたから、僕がお茶を淹れるね」
一口食べてファビアンが褒めてくれるのに万里生は得意げな顔になった。万里生だってやればできるのだ。
「これからは俺も料理を作る。お弁当も半々で作ろうな」
「一緒に作っちゃダメなの?」
「い、一緒に!? い、いいけど……」
広くないキッチンに万里生は大柄ではないとはいえ、ファビアンは大柄で、男性が二人入るというのはどうしても密着してしまう。
意識しているのは万里生だけかもしれないが、ファビアンと一緒にキッチンに立つのは胸が騒がしくなりそうだった。
夏休みが終わってから、万里生とファビアンは一緒にキッチンに立って料理をするようになった。
朝の忙しいときには、ファビアンの作ったおかずを万里生がお弁当箱に詰めて、おにぎりを握ってお弁当箱に入れる。意識しているのは万里生だけのようで、ファビアンは大らかに構えている。
朝食の後には万里生が食器を食洗機に入れて、ファビアンがお鍋やフライパンを洗う。
二人での役割分担ができて来たことに万里生は喜びを覚えていた。
「マリオ、行ってらっしゃい」
「行ってきます。ファビアンも行ってらっしゃい」
「帰りには車で迎えに行くよ」
「いいのか?」
大学からバイト先までは少し距離があるので、ファビアンが迎えに来てくれるとすぐに行けて助かる。
家事や料理は分担するようになったが、まだまだ万里生はファビアンに甘やかされていた。
ファビアンに抱かれることなく、このままの暮らしを続けたい。
しかし、運命の相手同士となると、どうしても性的なことが頭をよぎる。
抱かれたいとは全く思わないのだが、ファビアンは万里生を抱いて妊娠させて、子どもを産ませないといけない立場だ。
きっとドイツのファビアンの両親もファビアンにそれを望んでいる。
「今度ドイツから両親が来るんだ。会ってくれる?」
車で迎えに来てくれたファビアンにそう提案されたとき、万里生は心臓が飛び跳ねて口から出そうになっていた。
ファビアンの両親に会うということは、運命を受け入れてファビアンに抱かれるということになるのではないか。
「俺は……抱かれたくない」
「マリオ?」
「俺は、嫌なんだ」
ファビアンの凶悪なブツを後ろに捩じ込まれる恐怖に怯える万里生の背中をファビアンが優しく撫でる。
「マリオが納得するまで、僕はマリオを抱いたりしないよ」
怖いと思いながらも、そうしなければファビアンを失うかもしれない現実に、万里生は震えていた。
30
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが
なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です
酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります
攻
井之上 勇気
まだまだ若手のサラリーマン
元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい
でも翌朝には完全に記憶がない
受
牧野・ハロルド・エリス
天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司
金髪ロング、勇気より背が高い
勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん
ユウキにオヨメサンにしてもらいたい
同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる