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魔女(男)とこねこ(虎)たん
56.レオシュの悪癖
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夏が終わって季節は秋に移り変わっていく。晴れた日は毎日のように外で遊んでいるレオシュとフベルトもそんなに汗をかかなくなってきた。
雨が降っている日はルカーシュとイロナは二階のルカーシュの部屋のベランダに計量カップを出しておいた。一時間で授業の休憩をもらって、計量カップを見に行くと溜まっている雨の量を、ルカーシュとイロナは春からずっと記録し続けていた。
「ぼく、あめがふっているじかんは、ぜんぶでどれくらいかも、かぞえたかったけど、よどおしふるあめもあって、それはむりだったんです」
「雨の記録を見せてもらえますか?」
「じかんをはかれたときには、それもかいているのよ」
「よく書けていますね」
画用紙何枚にも纏められた雨量のレポートをヘルミーナが目を通していく。
「ここから何を考えましたか?」
「なつは、あめがおおいです。ふってるじかんもながくて、あめのりょうもおおい」
「はるはなつよりすくなかったわ。あきはこれからしらべるの」
「雪が降る頃まで計測を続けて、結論を纏めましょうか」
「はい、ヘルミーナせんせい!」
ルカーシュとイロナが雨が降る日には続けている研究の結果も纏まりそうだった。
「今年だけのデータではまだ差が出て来るかもしれないので、来年も再来年も続けて、より正確な記録が出来上がるといいですね」
「はい、あめのかんさつ、つづけます」
「あめのひは、あめをかんさつできるけど、はれてるひにかんさつできるものはないのかしら」
最初は雪の結晶の観察だったが、次は雨の観察になり、イロナはその次は腫れている日の観察を考えている。
「晴れている日は難しいですね。太陽を直接見ると目が焼かれてしまいますからね。何か方法を考えましょう」
「ことしのふゆは、ゆきのけっしょうをかんさつするだけじゃないこともしたいんです」
ルカーシュも雪の結晶以外の研究もしたいと考えているようだった。
「積雪量を測ってはどうでしょう? 雪かきをした場所に、次の日の観察の時間までにどれだけの高さの雪が積もるかを調べるのです」
「すごくおもしろそう!」
「やってみたいです!」
ヘルミーナの提案に、イロナもルカーシュも身を乗り出して賛成していた。秋までは雨の観測を続けて、冬からは積雪量の観測になりそうだ。
「ゆきはとけたらあめとおなじ、みずになりますよね」
「いいところに目をつけましたね」
「とけたみずのりょうをはかったら、あめとおなじ、ふったりょうをすいりょうでくらべられるんじゃないでしょうか」
「積雪の高さと同時に、計量カップと同じ面積に降った雪を溶かして水量を比べるのもいいと思います」
これから始まる新しい研究にルカーシュもイロナも意欲満々だった。
部屋の中で遊んでいるレオシュとフベルトは、フェルトで作った具材を鍋やフライパンで混ぜて、おままごとをしていた。無邪気に遊んでいる姿にアデーラが目を細めていると、レオシュがお腹を押さえる。
きゅるきゅるとお腹の虫が鳴いた。
「おなかすいてきちゃった」
「れーくん、おままごとのごはんをたべちゃだめだよ?」
「れーのつくったチャーハン、おいしそうじゃない?」
「おいしそうだけどぉ……おいしそう……」
フベルトのお腹もきゅるきゅると鳴いている。これはまずいとアデーラはキッチンに走った。パンの上にトマトソースを塗って、切ったハムと玉ねぎとゆで卵の輪切りを乗せて、チーズをたっぷりと乗せてオーブンでカリッと焼く。
野菜スープも作ってアデーラは大急ぎでレオシュとフベルトの元に戻って来た。レオシュとフベルトは今にもフェルトの具材を口に入れそうになっていた。
「お昼ご飯だよ。手を洗っておいで!」
「ごはん!」
「おなかすいた!」
元気におままごと道具を片付けて、レオシュとフベルトが手を洗いに行く。ルカーシュとイロナも午前中の勉強を終えて、休憩に入っていた。
「お腹空いた! あー! ピザパンじゃない。美味しそう」
「これ、ピザパンっていうんですか?」
「そうよ。うちではよく食べてたわ」
ダーシャが店舗から戻ってきてヘドヴィカに説明している。
「だー、おててをあらうんだよ」
「へーねぇね、おててー!」
「はいはい。レオシュはいつまで私のことを『だー』呼びなのかしら」
「だーはだー!」
レオシュとフベルトに言われて、ダーシャはヘドヴィカと手を洗いに行く。全員が揃うとお昼ご飯が始まった。とろとろに蕩けたチーズが糸を引く熱々のピザパンを、全員が拭き冷ましながら齧りついている。レオシュとフベルトとイロナとルカーシュの分は半分に切ってあったが、レオシュとフベルトは食べるのに苦労しているようだった。
「んむむむむ!」
「んんんんん!」
チーズが長く伸びて千切れないで困っているレオシュのチーズをアデーラが切ってやって、フベルトの分はヘルミーナが切っている。野菜スープも全部飲んでしまって、レオシュとフベルトはお腹がいっぱいになって床の上にひっくり返っていた。
「レオシュ、お着換えしようか」
「フベルト、着替えましょう」
「あい、まっま!」
「はーい、ママ」
アデーラがレオシュを着替えさせて、ヘルミーナがフベルトを着替えさせて子ども部屋のベッドに連れて行く。レオシュを降ろそうとしたアデーラだが、レオシュの手がアデーラの胸に伸びた。
「だ、ダメ、レオシュ!」
「ふぇぇぇぇ! おっぱいー!」
「ダメ!」
「びえええええ!」
大声で泣きながらアデーラの胸を探るレオシュに、何事かと起き上がってフベルトがレオシュとアデーラを見詰めている。ヘルミーナの視線も、イロナの視線も痛い。
ダメだと何回言ってもレオシュは眠くて何も聞かなくなっていて、泣き喚きながら、結局アデーラのシャツを捲り上げて胸を吸っていた。
「れーくん……」
「フベルト、レオシュくんは、うまれてすぐにおかあさんをなくしているのよ」
「まっまがこいしいのか……ふーも、パパがこいしい」
フベルトにもイロナにもしっかりと見られていて、ヘルミーナも目を逸らしてくれているが見ていないはずはないし、ヘドヴィカも見ている。アデーラは恥ずかしさに穴に入りたいような気になりながら、顔を伏せてレオシュに胸を吸われていた。
レオシュが完全に眠りにつくとベッドに降ろせたのだが、吸われた胸は濡れているし、じんじんと疼きを持っている。
「実は、レオシュが小さい頃からずっとこういうことをしてきているのです。赤ん坊のときに母乳を与えられなかったせいかと思っているのですが、こういうことを急に止めさせると、成長に歪みが出て来るといいます」
「そうですね……む、難しい問題です」
言い訳をするようにヘルミーナに話したが、アデーラの心の中では「何で男の胸を吸うわけ!?」と疑問でいっぱいだったし、ヘルミーナも同じだっただろう。男のアデーラの胸にレオシュがどんな魅力を感じているのか少しも理解できない。
「指吸はしないのですか?」
「しませんね」
「フベルトは、寝るときに親指を吸います。そろそろやめさせなければと思っているのですが、自然にやめるときまで放っておいた方がいいのかもしれないのかとも思っています」
「自然にやめるときまで……」
フベルトは4歳になったが、まだ親指を吸っているという。レオシュももうすぐ4歳になるがアデーラの胸を吸うことはやめない。無理やりにやめさせなくても、いつかは自然とやめるときが来るのかもしれない。
「気長に待つしかないんでしょうね」
「私はそう思っています」
子育ての先輩であるヘルミーナに話しを聞いて、アデーラはレオシュが胸を吸うのもしばらくは我慢しなければいけないのかもしれないと思い始めていた。
いつになったらレオシュは胸を吸うのをやめるのか。それができるだけ早い段階であってほしい。そうでないと、小さい頃に男の胸を吸っていたなどという嫌な記憶がレオシュに残ってしまうかもしれない。
吸われ続けている乳首も前よりも一回りくらいぷっくりしてきたような気がするのだが、それは気のせいだと思いたいアデーラだった。
雨が降っている日はルカーシュとイロナは二階のルカーシュの部屋のベランダに計量カップを出しておいた。一時間で授業の休憩をもらって、計量カップを見に行くと溜まっている雨の量を、ルカーシュとイロナは春からずっと記録し続けていた。
「ぼく、あめがふっているじかんは、ぜんぶでどれくらいかも、かぞえたかったけど、よどおしふるあめもあって、それはむりだったんです」
「雨の記録を見せてもらえますか?」
「じかんをはかれたときには、それもかいているのよ」
「よく書けていますね」
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「ここから何を考えましたか?」
「なつは、あめがおおいです。ふってるじかんもながくて、あめのりょうもおおい」
「はるはなつよりすくなかったわ。あきはこれからしらべるの」
「雪が降る頃まで計測を続けて、結論を纏めましょうか」
「はい、ヘルミーナせんせい!」
ルカーシュとイロナが雨が降る日には続けている研究の結果も纏まりそうだった。
「今年だけのデータではまだ差が出て来るかもしれないので、来年も再来年も続けて、より正確な記録が出来上がるといいですね」
「はい、あめのかんさつ、つづけます」
「あめのひは、あめをかんさつできるけど、はれてるひにかんさつできるものはないのかしら」
最初は雪の結晶の観察だったが、次は雨の観察になり、イロナはその次は腫れている日の観察を考えている。
「晴れている日は難しいですね。太陽を直接見ると目が焼かれてしまいますからね。何か方法を考えましょう」
「ことしのふゆは、ゆきのけっしょうをかんさつするだけじゃないこともしたいんです」
ルカーシュも雪の結晶以外の研究もしたいと考えているようだった。
「積雪量を測ってはどうでしょう? 雪かきをした場所に、次の日の観察の時間までにどれだけの高さの雪が積もるかを調べるのです」
「すごくおもしろそう!」
「やってみたいです!」
ヘルミーナの提案に、イロナもルカーシュも身を乗り出して賛成していた。秋までは雨の観測を続けて、冬からは積雪量の観測になりそうだ。
「ゆきはとけたらあめとおなじ、みずになりますよね」
「いいところに目をつけましたね」
「とけたみずのりょうをはかったら、あめとおなじ、ふったりょうをすいりょうでくらべられるんじゃないでしょうか」
「積雪の高さと同時に、計量カップと同じ面積に降った雪を溶かして水量を比べるのもいいと思います」
これから始まる新しい研究にルカーシュもイロナも意欲満々だった。
部屋の中で遊んでいるレオシュとフベルトは、フェルトで作った具材を鍋やフライパンで混ぜて、おままごとをしていた。無邪気に遊んでいる姿にアデーラが目を細めていると、レオシュがお腹を押さえる。
きゅるきゅるとお腹の虫が鳴いた。
「おなかすいてきちゃった」
「れーくん、おままごとのごはんをたべちゃだめだよ?」
「れーのつくったチャーハン、おいしそうじゃない?」
「おいしそうだけどぉ……おいしそう……」
フベルトのお腹もきゅるきゅると鳴いている。これはまずいとアデーラはキッチンに走った。パンの上にトマトソースを塗って、切ったハムと玉ねぎとゆで卵の輪切りを乗せて、チーズをたっぷりと乗せてオーブンでカリッと焼く。
野菜スープも作ってアデーラは大急ぎでレオシュとフベルトの元に戻って来た。レオシュとフベルトは今にもフェルトの具材を口に入れそうになっていた。
「お昼ご飯だよ。手を洗っておいで!」
「ごはん!」
「おなかすいた!」
元気におままごと道具を片付けて、レオシュとフベルトが手を洗いに行く。ルカーシュとイロナも午前中の勉強を終えて、休憩に入っていた。
「お腹空いた! あー! ピザパンじゃない。美味しそう」
「これ、ピザパンっていうんですか?」
「そうよ。うちではよく食べてたわ」
ダーシャが店舗から戻ってきてヘドヴィカに説明している。
「だー、おててをあらうんだよ」
「へーねぇね、おててー!」
「はいはい。レオシュはいつまで私のことを『だー』呼びなのかしら」
「だーはだー!」
レオシュとフベルトに言われて、ダーシャはヘドヴィカと手を洗いに行く。全員が揃うとお昼ご飯が始まった。とろとろに蕩けたチーズが糸を引く熱々のピザパンを、全員が拭き冷ましながら齧りついている。レオシュとフベルトとイロナとルカーシュの分は半分に切ってあったが、レオシュとフベルトは食べるのに苦労しているようだった。
「んむむむむ!」
「んんんんん!」
チーズが長く伸びて千切れないで困っているレオシュのチーズをアデーラが切ってやって、フベルトの分はヘルミーナが切っている。野菜スープも全部飲んでしまって、レオシュとフベルトはお腹がいっぱいになって床の上にひっくり返っていた。
「レオシュ、お着換えしようか」
「フベルト、着替えましょう」
「あい、まっま!」
「はーい、ママ」
アデーラがレオシュを着替えさせて、ヘルミーナがフベルトを着替えさせて子ども部屋のベッドに連れて行く。レオシュを降ろそうとしたアデーラだが、レオシュの手がアデーラの胸に伸びた。
「だ、ダメ、レオシュ!」
「ふぇぇぇぇ! おっぱいー!」
「ダメ!」
「びえええええ!」
大声で泣きながらアデーラの胸を探るレオシュに、何事かと起き上がってフベルトがレオシュとアデーラを見詰めている。ヘルミーナの視線も、イロナの視線も痛い。
ダメだと何回言ってもレオシュは眠くて何も聞かなくなっていて、泣き喚きながら、結局アデーラのシャツを捲り上げて胸を吸っていた。
「れーくん……」
「フベルト、レオシュくんは、うまれてすぐにおかあさんをなくしているのよ」
「まっまがこいしいのか……ふーも、パパがこいしい」
フベルトにもイロナにもしっかりと見られていて、ヘルミーナも目を逸らしてくれているが見ていないはずはないし、ヘドヴィカも見ている。アデーラは恥ずかしさに穴に入りたいような気になりながら、顔を伏せてレオシュに胸を吸われていた。
レオシュが完全に眠りにつくとベッドに降ろせたのだが、吸われた胸は濡れているし、じんじんと疼きを持っている。
「実は、レオシュが小さい頃からずっとこういうことをしてきているのです。赤ん坊のときに母乳を与えられなかったせいかと思っているのですが、こういうことを急に止めさせると、成長に歪みが出て来るといいます」
「そうですね……む、難しい問題です」
言い訳をするようにヘルミーナに話したが、アデーラの心の中では「何で男の胸を吸うわけ!?」と疑問でいっぱいだったし、ヘルミーナも同じだっただろう。男のアデーラの胸にレオシュがどんな魅力を感じているのか少しも理解できない。
「指吸はしないのですか?」
「しませんね」
「フベルトは、寝るときに親指を吸います。そろそろやめさせなければと思っているのですが、自然にやめるときまで放っておいた方がいいのかもしれないのかとも思っています」
「自然にやめるときまで……」
フベルトは4歳になったが、まだ親指を吸っているという。レオシュももうすぐ4歳になるがアデーラの胸を吸うことはやめない。無理やりにやめさせなくても、いつかは自然とやめるときが来るのかもしれない。
「気長に待つしかないんでしょうね」
「私はそう思っています」
子育ての先輩であるヘルミーナに話しを聞いて、アデーラはレオシュが胸を吸うのもしばらくは我慢しなければいけないのかもしれないと思い始めていた。
いつになったらレオシュは胸を吸うのをやめるのか。それができるだけ早い段階であってほしい。そうでないと、小さい頃に男の胸を吸っていたなどという嫌な記憶がレオシュに残ってしまうかもしれない。
吸われ続けている乳首も前よりも一回りくらいぷっくりしてきたような気がするのだが、それは気のせいだと思いたいアデーラだった。
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