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本編
7.アルシェ公爵家の教育への疑念
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次の日の勉強の時間、わたくしはクラリス嬢へ手紙を書いた。
文字はしっかり覚えているのだが、問題は安定しないわたくしの手首だ。五歳児の手首はペンを上手に持てるようにはできていない。安定しない中で書いていると文字がぐにゃぐにゃになってしまう。
一文字一文字気合を入れて書いていくしかないのだが、そうするとペンを握り締めてしまって手首だけでなく肩や首まで痛くなってくる。
五歳のときに勉強が苦手だった理由はこれかもしれない。
五歳児の体はあまりにも疲れやすかった。
小さな字が書けなくて、大きな字で便箋何枚にも渡って書いた手紙を家庭教師はチェックしていた。
『クラリスおねえさまへ。ほんをおしえてくださってありがとうございます。わたくしよんでみましたが、おとなのれんあいはむずかしかったです。どんなところがすばらしいのか、くらりすおねえさまにきいてみたいです。おしえてください。アデライド・バルテルミー』
一生懸命書いた手紙は家庭教師に問題なしと判断されたようだった。
「旦那様と奥様に目を通していただいて、クラリス様のところに送っていただきましょう」
わたくしの言動は貴族の令嬢としてきちんと教育がされているか両親からも家庭教師からも見られている立場なのだ。五歳という年齢にそぐわないようにしつつ、両親のチェックも家庭教師のチェックも通るような手紙を書くのは、文字を書くのは難しかったが、内容的には十三歳のわたくしの記憶があるので平気だ。
勉強をひと段落させていたお義兄様もわたくしの手紙に興味を持っているようだった。
「アデリーがどんな手紙を書いたか、見せてもらえないか?」
「字も随分お上手になられました。文章は問題なく書けております」
家庭教師が便箋をお義兄様に渡すと、お義兄様は目を通してわたくしの髪を撫でる。
「最近字を覚えたとは思えない上達ぶりだよ。素晴らしい。本の素晴らしさは分からなくてもいいんじゃないかな」
「わたくしが小さいから分からないのでしょうか。クラリスお姉様は素晴らしいと思ってこの本を勧めてくださったと思うので、どこが素晴らしいのか聞いてみたいのです」
「それなら止めはしないけれど、アデリーはアデリーの感覚のままでいいと思うよ」
それにしても、とお義兄様が続ける。
「クラリス嬢がアデリーの手紙の練習相手になっているのはちょっと羨ましいかな。わたしはアデリーに手紙をもらったことがないのに」
「お義兄様は一緒に住んでいるから、お手紙を書こうなんて思いませんでした」
「アデリーの可愛い手紙をわたしも何か書いてほしいな」
お義兄様にそんなことを言われると、わたくしもやる気になる。
手首や腕や肩は痛かったが、ペンを持って便箋に向かった。
『マクシミリアンおにいさまへ。まいにちやさしいおにいさまがだいすきです。おにいさまのいもうとでよかったとおもっています。おべんきょうとけんじゅつのれんしゅう、がんばってください。アデライドより』
簡単だが手紙を書いてお義兄様に渡すと、お義兄様はあまり動かない表情を動かして微笑んで読んで、大事にポケットに入れていた。
こんなことで喜んでもらえるのならばもっと早くにお義兄様に手紙を書いておけばよかった。
クラリス嬢へのわたくしの手紙は、両親のチェックを受けてクラリス嬢のところに送られた。返事が来たのは翌日のことだった。
朝食の席で受け取った手紙はもう封が切られていて、両親が読んだことは明らかだった。
五歳児なのだし、お義兄様の婚約者とやり取りをするのだから、クラリス嬢の手紙もチェックされていたも仕方がない。
糧食を食べながらわたくしはお義父様とお義母様に手紙の内容を聞いてみた。
「クラリスお姉様は何て書いていらっしゃったの?」
「そのままアデライドに見せていいものか迷ったのだが」
「アルシェ家の家庭教師も公爵も公爵夫人も何も言わなかったのでしょうか」
「やはりあの本もアデライドには相応しくなかったかもしれない」
「そうですわね。アデライド、あの本に傾倒するのではないですよ」
クラリス嬢の手紙の内容はお義父様とお義母様が眉を顰めるようなものだったようだ。
朝食を食べ終えてからわたくしはお散歩の前に手紙を読んでしまう。
『アデライド嬢へ。
アデライド嬢はまだお小さいので分からなかったのかもしれませんが、あの物語には運命の恋が出てきます。婚約を破棄された相手とは運命で結ばれていなかったのです。わたくしも運命の相手に出会うことがあるでしょうか。そんな日を心密かに待っている気がするのです。わたくしの運命の相手は世界のどこかにいる。あ、これは空想の話です。でも、そんなことがあったら素敵だなぁとアデライド嬢は思いませんか? わたくし、運命の相手とだったら貧しい生活でも幸せになれると思うのです。
クラリス・アルシェより』
運命の相手!?
この手紙を家庭教師も公爵も公爵夫人もチェックしてからバルテルミー家に送らせたのだろうか。
空想の話とは言っているが、お義兄様という婚約者がいるのにクラリス嬢は運命の相手に憧れている。運命の相手だなんて夢見がちを通り越して、頭がお花畑だとしか思えない。
貴族として結婚の意味も教育されていないクラリス嬢がお義兄様の元に嫁いでくるのを、お義父様とお義母様も不安に思ったのではないだろうか。
この手紙大丈夫なのですか!?
アルシェ公爵家、ご令嬢の教育に失敗していません?
思い切り突っ込みたかったけれど、乳母のバズレールさんもこんな話を聞いたら驚いてしまうのでそっと口を閉じていた。
天気がよかったのでお義兄様との約束通りお散歩をした。日照時間が短い日が多いので、体を健康に保つためにある程度お日様を浴びなければいけないというのがこの国の風習となっている。
晴れの日は庭で剣術の稽古をしているお義兄様は毎日のようにお日様の光は浴びていた。
お散歩が終わると勉強室に移動する。汗を拭いて着替えをしたお義兄様も勉強室に来ていた。
わたくしは文字が分からないふりをしてお義兄様に手紙を見せてみた。
「お義兄様、この単語はなんて書いてあるのですか?」
「これは『運命』だね」
「『運命』、どういう意味か辞書で調べてみますね」
「調べなくていいよ。クラリス嬢はこんなことを考えているのか」
心底呆れた様子のお義兄様に、わたくしは内心でガッツポーズをする。
クラリス嬢の公爵令嬢教育が順調に失敗していることをお義兄様も実感しているに違いない。
「アルシェ公爵と公爵夫人は何を考えているのか。娘にこんな本を安易に買い与えて」
「お義兄様、この本は嫌い?」
「アデリーの教育にあまりよくないと思っているだけだよ。アデリーはこんな本に影響されるタイプじゃないとは信じているけれど」
お義兄様はわたくしを信頼してくださってる。
クラリス嬢よりわたくしの方が好感度だけじゃなくて信頼度も高いなんて、これを裏切っちゃ駄目よ、アデライド!
わたくしは自分を力付けるように心の中で言うのだった。
本の続きを読むまでもなくわたくしは内容が現実味のないものだと分かって、次の本に移っていた。
次は『お転婆令嬢の田舎暮らし』だ。
この話は型破りなお転婆令嬢が田舎で暮らすうちに平民と思われて、領主に声を掛けられて、一緒に過ごすうちに恋に落ちていくという物語だ。
平民のような暮らしをしている令嬢は、一人で町に出て行くし、釣りをしたり、畑を作ったりして、元気に暮らすのだ。
クラリス嬢はこんな暮らしに憧れているのだろうか。
「お義兄様、町に行ったことがある?」
「わたしはまだ十歳だし、護衛がいなくては町には行けないので、お父様とお母様と行く以外では行ったことがないよ」
「このお話では、貴族の令嬢が一人で出かけて行くし、釣りにも行くし、畑も作るの」
「貴族の令嬢が?」
そんな暮らしを貴族の令嬢がするはずがないという顔をしているお義兄様に、わたくしも不思議そうな顔で首を傾げてみせる。
こんな現実味のない物語にクラリス嬢は憧れているのだろうか。
この点に関してもわたくしはクラリス嬢に聞いてみたかった。
文字はしっかり覚えているのだが、問題は安定しないわたくしの手首だ。五歳児の手首はペンを上手に持てるようにはできていない。安定しない中で書いていると文字がぐにゃぐにゃになってしまう。
一文字一文字気合を入れて書いていくしかないのだが、そうするとペンを握り締めてしまって手首だけでなく肩や首まで痛くなってくる。
五歳のときに勉強が苦手だった理由はこれかもしれない。
五歳児の体はあまりにも疲れやすかった。
小さな字が書けなくて、大きな字で便箋何枚にも渡って書いた手紙を家庭教師はチェックしていた。
『クラリスおねえさまへ。ほんをおしえてくださってありがとうございます。わたくしよんでみましたが、おとなのれんあいはむずかしかったです。どんなところがすばらしいのか、くらりすおねえさまにきいてみたいです。おしえてください。アデライド・バルテルミー』
一生懸命書いた手紙は家庭教師に問題なしと判断されたようだった。
「旦那様と奥様に目を通していただいて、クラリス様のところに送っていただきましょう」
わたくしの言動は貴族の令嬢としてきちんと教育がされているか両親からも家庭教師からも見られている立場なのだ。五歳という年齢にそぐわないようにしつつ、両親のチェックも家庭教師のチェックも通るような手紙を書くのは、文字を書くのは難しかったが、内容的には十三歳のわたくしの記憶があるので平気だ。
勉強をひと段落させていたお義兄様もわたくしの手紙に興味を持っているようだった。
「アデリーがどんな手紙を書いたか、見せてもらえないか?」
「字も随分お上手になられました。文章は問題なく書けております」
家庭教師が便箋をお義兄様に渡すと、お義兄様は目を通してわたくしの髪を撫でる。
「最近字を覚えたとは思えない上達ぶりだよ。素晴らしい。本の素晴らしさは分からなくてもいいんじゃないかな」
「わたくしが小さいから分からないのでしょうか。クラリスお姉様は素晴らしいと思ってこの本を勧めてくださったと思うので、どこが素晴らしいのか聞いてみたいのです」
「それなら止めはしないけれど、アデリーはアデリーの感覚のままでいいと思うよ」
それにしても、とお義兄様が続ける。
「クラリス嬢がアデリーの手紙の練習相手になっているのはちょっと羨ましいかな。わたしはアデリーに手紙をもらったことがないのに」
「お義兄様は一緒に住んでいるから、お手紙を書こうなんて思いませんでした」
「アデリーの可愛い手紙をわたしも何か書いてほしいな」
お義兄様にそんなことを言われると、わたくしもやる気になる。
手首や腕や肩は痛かったが、ペンを持って便箋に向かった。
『マクシミリアンおにいさまへ。まいにちやさしいおにいさまがだいすきです。おにいさまのいもうとでよかったとおもっています。おべんきょうとけんじゅつのれんしゅう、がんばってください。アデライドより』
簡単だが手紙を書いてお義兄様に渡すと、お義兄様はあまり動かない表情を動かして微笑んで読んで、大事にポケットに入れていた。
こんなことで喜んでもらえるのならばもっと早くにお義兄様に手紙を書いておけばよかった。
クラリス嬢へのわたくしの手紙は、両親のチェックを受けてクラリス嬢のところに送られた。返事が来たのは翌日のことだった。
朝食の席で受け取った手紙はもう封が切られていて、両親が読んだことは明らかだった。
五歳児なのだし、お義兄様の婚約者とやり取りをするのだから、クラリス嬢の手紙もチェックされていたも仕方がない。
糧食を食べながらわたくしはお義父様とお義母様に手紙の内容を聞いてみた。
「クラリスお姉様は何て書いていらっしゃったの?」
「そのままアデライドに見せていいものか迷ったのだが」
「アルシェ家の家庭教師も公爵も公爵夫人も何も言わなかったのでしょうか」
「やはりあの本もアデライドには相応しくなかったかもしれない」
「そうですわね。アデライド、あの本に傾倒するのではないですよ」
クラリス嬢の手紙の内容はお義父様とお義母様が眉を顰めるようなものだったようだ。
朝食を食べ終えてからわたくしはお散歩の前に手紙を読んでしまう。
『アデライド嬢へ。
アデライド嬢はまだお小さいので分からなかったのかもしれませんが、あの物語には運命の恋が出てきます。婚約を破棄された相手とは運命で結ばれていなかったのです。わたくしも運命の相手に出会うことがあるでしょうか。そんな日を心密かに待っている気がするのです。わたくしの運命の相手は世界のどこかにいる。あ、これは空想の話です。でも、そんなことがあったら素敵だなぁとアデライド嬢は思いませんか? わたくし、運命の相手とだったら貧しい生活でも幸せになれると思うのです。
クラリス・アルシェより』
運命の相手!?
この手紙を家庭教師も公爵も公爵夫人もチェックしてからバルテルミー家に送らせたのだろうか。
空想の話とは言っているが、お義兄様という婚約者がいるのにクラリス嬢は運命の相手に憧れている。運命の相手だなんて夢見がちを通り越して、頭がお花畑だとしか思えない。
貴族として結婚の意味も教育されていないクラリス嬢がお義兄様の元に嫁いでくるのを、お義父様とお義母様も不安に思ったのではないだろうか。
この手紙大丈夫なのですか!?
アルシェ公爵家、ご令嬢の教育に失敗していません?
思い切り突っ込みたかったけれど、乳母のバズレールさんもこんな話を聞いたら驚いてしまうのでそっと口を閉じていた。
天気がよかったのでお義兄様との約束通りお散歩をした。日照時間が短い日が多いので、体を健康に保つためにある程度お日様を浴びなければいけないというのがこの国の風習となっている。
晴れの日は庭で剣術の稽古をしているお義兄様は毎日のようにお日様の光は浴びていた。
お散歩が終わると勉強室に移動する。汗を拭いて着替えをしたお義兄様も勉強室に来ていた。
わたくしは文字が分からないふりをしてお義兄様に手紙を見せてみた。
「お義兄様、この単語はなんて書いてあるのですか?」
「これは『運命』だね」
「『運命』、どういう意味か辞書で調べてみますね」
「調べなくていいよ。クラリス嬢はこんなことを考えているのか」
心底呆れた様子のお義兄様に、わたくしは内心でガッツポーズをする。
クラリス嬢の公爵令嬢教育が順調に失敗していることをお義兄様も実感しているに違いない。
「アルシェ公爵と公爵夫人は何を考えているのか。娘にこんな本を安易に買い与えて」
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お義兄様はわたくしを信頼してくださってる。
クラリス嬢よりわたくしの方が好感度だけじゃなくて信頼度も高いなんて、これを裏切っちゃ駄目よ、アデライド!
わたくしは自分を力付けるように心の中で言うのだった。
本の続きを読むまでもなくわたくしは内容が現実味のないものだと分かって、次の本に移っていた。
次は『お転婆令嬢の田舎暮らし』だ。
この話は型破りなお転婆令嬢が田舎で暮らすうちに平民と思われて、領主に声を掛けられて、一緒に過ごすうちに恋に落ちていくという物語だ。
平民のような暮らしをしている令嬢は、一人で町に出て行くし、釣りをしたり、畑を作ったりして、元気に暮らすのだ。
クラリス嬢はこんな暮らしに憧れているのだろうか。
「お義兄様、町に行ったことがある?」
「わたしはまだ十歳だし、護衛がいなくては町には行けないので、お父様とお母様と行く以外では行ったことがないよ」
「このお話では、貴族の令嬢が一人で出かけて行くし、釣りにも行くし、畑も作るの」
「貴族の令嬢が?」
そんな暮らしを貴族の令嬢がするはずがないという顔をしているお義兄様に、わたくしも不思議そうな顔で首を傾げてみせる。
こんな現実味のない物語にクラリス嬢は憧れているのだろうか。
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