つぐちゃんと真珠さん

秋月真鳥

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16.二度目

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 安増の件はこれから詰めていくとして、家に帰れば月神が待っていてくれる。
 新婚の幸せを享受すべく、真珠は仕事帰りに薬局に寄っていた。
 買ったのはローションだ。月神のことを考えて顔面が崩壊しないように力を込めて握っていたために、薬局のレジの店員が「ひぃ!?」と怯えたような気がしたが、それは忘れることにする。
 鞄にローションの容器を入れて、家に帰ると、月神はリビングにマットを敷いてストレッチをしていた。両腕をマットの上について、猫が伸びをするような格好に、心の中で真珠は鼻血を出す。幸い取り繕うのは得意なので、表情に出ることはなかった。

「真珠……ご飯にします、お風呂にします、それとも、僕? なんて、聞いてみちゃったりー! もちろん、お風呂は一緒に入るんだけどー!」

 その上そんなことを言われてしまっては、鞄も取り落としてしまうというものだ。

「し、真珠!? き、聞こえちゃいました!?」
「お風呂に一緒に入って、ご飯を食べて、月神さんも存分にいただきます」

 真顔で答えると、月神は可愛らしく「よ、よろしくお願いします」なんて言って来る。

 お風呂では月神をいただいてしまいたい気持ちをぐっと抑えていたが、月神を膝の上に抱え上げて洗っている間も、バスタブに浸かっている間も、中心が熱を持って痛いくらいだった。
 それでも夕食は食べなければいけない。
 空腹のままに月神を抱いてしまえば、月神の健康にも影響する。
 月神は歌手で体が資本なのだ、しっかりと食べなければいけない。

 夕食の準備は月神がしてくれていたので、真珠はアジフライを揚げるのと味噌汁の味噌を溶いて仕上げるのは自分でした。家事を分担するなど新婚っぽくて堪らないなどと思うがそれも表情には出さない。

 最後に揚げた、揚げたてのサクサクのアジフライは、月神のお皿の上に置いた。

「真珠?」
「月神さんは育ち盛りなんですから、しっかり食べてください」
「嬉しいです。結婚するなら、一番美味しいものを相手にあげたいって思うじゃないですか。真珠もそうなんですね」
「そうですよ。月神さんに一番美味しいものをたくさん食べて欲しいのです」

 育ち盛りの月神にはたくさん食べて欲しいし、一番美味しいものは月神に食べて欲しい。それは月神も同じ考えのようだった。
 嬉しそうにアジフライを食べる月神を見ているだけで胸が幸せでいっぱいになってくる。

 食後は少し休んでから、歯磨きをして月神をベッドに連れて行った。
 ベッドの上に降ろしてパジャマを脱がせると、白い華奢な体が露わになる。首筋には真珠が付けたキスマークが残っているし、眩しい白い薄い胸には淡く色付く乳首が見えて、可愛い膝小僧も、細い脚も全て真珠の欲望をかき立てる要素しかない。
 ベッドを買い替える話などで月神を早急に抱き過ぎないように気を付けるのだが、キスをすると月神が可愛いことを言って来るので理性が崩れそうになる。

「んっ……真珠……」
「月神さん、ずっと月神さんのことを考えてました」
「僕もです。真珠に抱かれることばかり考えてました」

 思わず月神の顎を指で掬って、食らい尽くすような口付けを交わしていた。口付けの後には月神の目がとろんと蕩けている。

「ふっ……あっ!」
「いけないひとですね。そんなに私を煽って」
「真珠ぅ……血をください」

 可愛く強請ってくる月神を膝の上に抱き上げると、首に腕を回してしがみ付いて来て、首筋に歯を立てる。
 首の皮膚を食い破られるのだから痛いはずなのに、それが快感に変わっていることに真珠は気付く。吸血鬼の吸血行動は求愛に似ているというが、伴侶に対するそれは特に快感を伴うのだろう。
 血を吸われている間も気持ちよさが勝って、中心に血が集まってくる。
 このままでは月神を優しく抱けないかもしれないと、真珠は焦って月神の体を引き剥がした。

 シーツの上に月神の体を降ろすと、月神がとろんとした瞳で真珠を見上げて来る。

「真珠……ひゃんっ!?」

 月神の体を返して、うつ伏せにして、尻を突き出すような格好にさせると、真珠はローションのボトルを取り出した。
 とろとろとローションを手の平に落として、温める。灯りを落とした寝室で、ローションの滑りが窓から入る月明かりに光って見える。

 指先でローションを掬うと、真珠は月神の後孔にそれを塗り込めていく。ぐちゅぐちゅと音を立てて後孔を拓いていくと、月神が真珠の指を痛いくらいに締め付けて来る。
 まだ一度だけしか交わったことがないので、月神のそこは慎ましく閉じていた。
 後孔のすぐ近くに小さなほくろがあるのを見付けて、真珠はほくそ笑んでしまう。こんな場所にあるほくろを知っているのは真珠だけだろう。
 ほくろの上にキスをすると、真珠は月神の中を探る指を動かす。

「あっ! あぁっ! しんじゅっ!」
「ここだったですよね?」
「ひぁぁっ!」

 前回覚えた一点を指で押せば、月神が嬌声を上げる。中の弱みを責めつつ、胸に回した手で月神の乳首を摘まめば、がくがくと月神の脚が震えるのが分かる。

「ひぁっ! あんっ!? そこばっかり、だめぇ!」
「気持ちいいんですね?」
「あぁっ! イっちゃう! ぼくだけ、イっちゃう!」

 腰をくねらせて逃げようとする月神を押さえ込んで、何度も弱みを撫でさすり、指の腹で押せば、ぴしゃりと月神の中心から白濁が零れたのが見えた。
 胸を弄っている手を外して、白濁を指で掬うと、月神が涙目になって真珠を振り向く。

「ぼくだけ……ふぇ……イっちゃった……」
「何度でもイかせてあげますよ?」

 月神の後孔には真珠の指が三本入るようになっていた。指を引き抜いて、後孔に中心の先端を宛がうと、ひくひくと月神の中が蠢いて、真珠を導くようにしている。

「こんなに私を欲しがって。いやらしい体ですね?」
「しんじゅっ! ほしい! しんじゅをください!」

 懇願する月神にのしかかるようにして、真珠は一気に腰を進める。

「あぁぁぁぁっ!?」

 貫かれて悲鳴を上げる月神を背中からしっかりと抱き締めて、真珠はその白いうなじにきつめに噛み付いた。
 月神の中が蠢いて、中で達しているのが分かる。

 最初に抱いて欲しいと言われたときに、月神はまだ精通が来ていなかった。真珠は月神の性の目覚めを全部自分が独占したかったから、月神の中に中心を入れなかったが、指で中を責め立てた。
 そのときに中で何度も達していたので、月神は素質があるのだろう。
 中で達している月神に構わず、腰を動かすと、月神がぼろぼろと涙を零す。

「だめっ! ひぁっ! あぁっ! イってる! イってるからぁ!」
「何度でもイかせてあげますと言ったじゃないですか」
「あぁっ!? しんじゅぅ!」

 腰を打ち付けると、月神は前からも白濁を零し、中も痙攣するように蠢いて達しているのが分かる。

「月神さん、私、自分の寝室で……家にすら、体の関係のある相手を連れてきたことがないんですよ?」
「し、しんじゅ? あぁぅ!?」
「必要がなかったから、キスをしたこともないし、男性とは抱き合ったこともない。口でしたのなんて、月神さんが初めてですよ?」

 月神は真珠に全ての初めてを捧げているかもしれないが、真珠も月神に相当初めてを捧げているのだ。
 聞こえているのか分からないが、後ろから責め立てながら、耳に噛み付いて囁きかける。

「月神さんの初めては全部私がもらいますけどね」
「しんじゅぅ! もらってぇ! ぼくの、ぜんぶ!」
「月神さんは全て私のものです」

 最奥まで突き上げて、奥で欲望をぶちまけると、月神が背を反らして快感に耐えている。

「うぁぁぁっ! しんじゅの、あついのが、なかにっ!」
「これで終わりませんよ?」

 全部受け止めてくださいね?

 抜かないままに芯を取り戻した中心で月神を突き上げると、月神の体がびくびくと跳ねる。月神の脚を抱え上げて、真珠は月神を膝の上に抱きかかえた。
 下から突き上げると、月神ががくがくと震える。
 月神の中を貪って、真珠は逆流するくらいまで月神の中に白濁を吐き出した。

 抱き合ってからシャワーを浴びて、月神の中から白濁を掻き出すと、月神がひんひんと泣くのが可愛い。
 シャワーのノズルを後孔に押し当てて熱いお湯で洗い流すのが、出されているようで感じるのだろう。

「しんじゅ、だめぇ! うぁっ! あぁっ! イっちゃう!」
「私以外のものでイくなんて、許せませんね?」
「だってぇ、しんじゅがぁ!」

 シャワーにすら嫉妬してしまうくらい真珠は月神を愛しているのだ。
 双丘の間からシャワーノズルを外して、真珠は月神の後孔に指を挿しこんだ。弱みを指の腹で撫でると、月神ががくがくと膝を崩れさせて真珠にもたれかかってくる。
 真珠の指で達したことを確かめて、真珠は月神の中を洗うのを再開するのだった。

 シャワーから出た月神はもうほとんど意識がなかった。
 真珠は月神の後孔がまだ柔らかいことを確かめて、そこに自身を埋める。

「マーキングは大事ですよね」

 その場所は真珠のものだと主張するように、真珠は月神の中に自身を納めたままで眠ったのだった。
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