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四章 結婚十年目
10.グドリャナ王国とジルキン王国にかけられた圧力
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龍王が玉を捧げるほど寵愛している王配が体調を崩して公の場に出てきていない。
その理由は明かされていないのに、グドリャナ王国とジルキン王国が龍王に妾妃を持てと促してきた。その時点でグドリャナ王国とジルキン王国のどちらかがヨシュアの記憶を奪ったに違いないということは龍王も気付いていた。
迅速に龍王は対処を決め、グドリャナ王国とジルキン王国にずっと続けていた食糧支援を打ち切ることを決め、使者にそれを伝えた。
それからグドリャナ王国とジルキン王国の国民が内乱を起こし始めたという知らせを受けたのはずぐのことだった。
それだけでなく、グドリャナ王国は龍王の王配を害したのはジルキン王国だとして密偵を出して探り始め、ジルキン王国も龍王の王配を害したのはグドリャナ王国だとして密偵を出して探りだした。
内乱も起きている中、二国間は一触即発状態になっていた。
剣術の稽古で汗だくになった龍王の髪と体を洗って、ヨシュアも自分の髪と体を洗って、水の加護の力で髪を乾かして新しい衣装に着替えて部屋に戻ると、護衛の魔術騎士のジョエルとサイモンが報告に来ていた。
報告を聞いてヨシュアと龍王は顔を見合わせる。
「呪術師の足取りはつかめたのか?」
「一度は獣人の国に逃げ込んだものと思われますが、その後、移転の魔術で自国に帰ったのではないかと捜索している魔術騎士も言っております」
「王配陛下に残された呪術の痕跡を追ってみても、もう獣人の国からは痕跡が見つからないようです」
獣人の国も協力して呪術師を探してくれているが、見つからないとなると、呪術師は雇い主のいる自国に戻ったのかもしれない。それがグドリャナ王国か、ジルキン王国か、二国が協力して雇ったのか、それが問題だ。
呪術師さえ捕らえられれば、ヨシュアにかかっている呪術を解いて、ヨシュアの記憶を取り戻すことができるかもしれない。
「これからどうしますか、星宇?」
「愚痴でもこぼしてみましょうか」
「愚痴を」
至極真面目に龍王が言うのにヨシュアは青い目を瞬かせる。龍王の計画はこうだった。
グドリャナ王国かジルキン王国の企みによって王配が害されてしまったことにより、現在水の加護が与えられている他国から水の加護がなくなる可能性が出てくる。志龍王国の全土に水の加護を行き渡らせることすら難しくなって、今年の実りは豊かなものにならないかもしれない。
そうなれば食糧支援をしている他国にも影響が出てくる。
「我が王配は体調不良ながら、水の加護の祈りを続けてくれているので、何とかなるとは思いたいのだが。いや、わたしの責任で何とかしなければいけない。だが、万が一……」
全ては王配を害した国があるために水の加護が滞ることになる。
そうやって使者に愚痴を漏らし、噂を流すことによって、グドリャナ王国とジルキン王国に圧力をかけていく。
龍王の策は静かに浸透して広がっていっていた。
ヨシュアが記憶をなくしてから三週間目、ラバン王国から国王一家がやってきた。
ラバン王国の国王一家には呪術を解く方法を調べてもらうために真実を話していたが、ヨシュアのことを心配して見舞いの訪問をしてくれたらしい。
金髪に青い目の十歳にならないくらいの男の子を見て、ヨシュアは一応聞いてみた。
「君は兄上の息子かな?」
「おれはジェレミー。ラバン王国国王の末っ子だよ。ヨシュア叔父上、本当に忘れちゃったんだね」
「すまない。十年間の記憶がないらしいんだ。ジェレミーは何歳だ?」
「おれは八歳。俊宇と同じだよ。俊宇が夏生まれで、おれが冬生まれ。冬には九歳になるよ」
「八歳か。ちょうどおれが忘れている間に生まれているんだな」
「おれは強いから平気だけど、ヨシュア叔父上がそんな感じだったら、俊宇は悲しんでたんじゃないか?」
指摘されて俊宇の気持ちを考えてみる。龍王の甥である俊宇はヨシュアを慕ってくれているようだった。ヨシュアが完全に俊宇のことを忘れていると知ったときには少なからず衝撃を受けたのではないだろうか。
「ジェレミー、ヨシュア義叔父上のお見舞い?」
「そうだよ、俊宇! ギデオンにも会いたいな」
「ギデオン、お喋りが上手になったんだよ。とても可愛いよ」
ジェレミーの姿を見ると駆け寄ってくる俊宇に、ジェレミーも駆け寄って飛びついて抱き締めている。同じ年の二人は仲がいいようだ。
「ヨシュア叔父上、わたくしは分かりますか?」
「もしかして、レベッカかな?」
「そうです。去年結婚しました」
「十歳だったレベッカが結婚……本当に十年経っているんだな」
ヨシュアにとってはレベッカはまだ小さい印象しかなかったが、もうすっかりと大人になっている。結婚したという話に驚きしか感じない。
「ヨシュア、大変なことになっているようじゃないか」
「兄上、おれは志龍王国に嫁いだのだな」
「志龍王国から王族の誰かを嫁がせるようにと命じられたとき、魔力の低いレイチェルでは役目を果たせそうにないし、レベッカは幼すぎた。男女を問わないということが書き加えられて、お前が自分で立候補したのだ」
「おれなら魔術騎士団を率いて志龍王国の役に立てそうだからな」
「龍王陛下とは色々とあったようだが、新婚旅行でラバン王国の国境に来て一緒に食事をしたときには、秘密も話して、打ち解けていたように見えた」
過去の話を兄であるマシューに聞かされると、ヨシュアならばそうしそうだというのは分かった。
「失われた記憶を蘇らせる方法は見つかってないのか?」
「ラバン王国の様々な文献をあたらせているが、呪術に対するものが少なすぎて役に立たないのだ」
魔術師の国、ラバン王国の文献にも呪術を解く方法は載っていない。そうなると呪術をかけた呪術師本人をどうにかして捕まえる外はない。
記憶がない状態でもヨシュアはそれほど不自由は感じていないのだが、龍王はヨシュアを公の場に出さないし、魔術騎士としても復帰させてくれない。十年間の記憶がない状態のヨシュアは青陵殿に引きこもらされていた。
「呪術師さえ捕まえられれば、おれにかかっている呪術も解けるだろうに」
「グドリャナ王国もジルキン王国も、互いに罪を擦り付け合っているが、そのうちに内乱を抑えきれなくなってどちらかが呪術師を突き出してくるだろう」
既にグドリャナ王国でもジルキン王国でも内乱が勃発している。
内乱を抑えきれずに新しい王朝に変わるのか、それとも二国が戦争を起こして血みどろの争いになって勝者が国を統一するのか、別の勢力が出てきて新しい国を作るのか。
どうなるのかは分からないが、最終的にはどうなっても志龍王国の豊かな恵みから支援してもらわなければ二国の国民がこの冬を越すことは難しいだろう。
大陸で一番大きく豊かで、この大陸の実りのほとんどを支えている志龍王国に逆らっては国が生き残る術はないのが現状なのだ。
グドリャナ王国とジルキン王国は志龍王国の国王たる龍王の逆鱗に触れた。
王配に命の危険はなかったとはいえ、結婚からの十年間の記憶を失わせた。
それは到底許されることではない。
政治的な話には、記憶を失っているヨシュアは関われないのだが、龍王がグドリャナ王国とジルキン王国に易姓革命を起こさせる勢いで怒りを覚えているのはひしひしと伝わってくる。
このままの王朝は残らずに、グドリャナ王国とジルキン王国は今の王朝を滅ぼして、新しい王朝を立てる以外に生き残る方法はなくなってきている。
王朝が変わろうと国民は変わらない。国を形作っているのは王朝ではなく国民だ。
その国民が王朝の無責任な政略のために飢え、冬を越せない状況になるのはあまりにも酷く、国民が怒りを覚えて内乱を起こすのも無理もない。
秋が終われば冬が来る。
北のグドリャナ王国とジルキン王国は特に厳しい冬になるだろう。
龍王は既に二国への支援を打ち切っている。
これから起きるできごとに、ヨシュアは一人でも傷付く民が少なくて、迅速にことが収束するのを願っていた。
その理由は明かされていないのに、グドリャナ王国とジルキン王国が龍王に妾妃を持てと促してきた。その時点でグドリャナ王国とジルキン王国のどちらかがヨシュアの記憶を奪ったに違いないということは龍王も気付いていた。
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それだけでなく、グドリャナ王国は龍王の王配を害したのはジルキン王国だとして密偵を出して探り始め、ジルキン王国も龍王の王配を害したのはグドリャナ王国だとして密偵を出して探りだした。
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報告を聞いてヨシュアと龍王は顔を見合わせる。
「呪術師の足取りはつかめたのか?」
「一度は獣人の国に逃げ込んだものと思われますが、その後、移転の魔術で自国に帰ったのではないかと捜索している魔術騎士も言っております」
「王配陛下に残された呪術の痕跡を追ってみても、もう獣人の国からは痕跡が見つからないようです」
獣人の国も協力して呪術師を探してくれているが、見つからないとなると、呪術師は雇い主のいる自国に戻ったのかもしれない。それがグドリャナ王国か、ジルキン王国か、二国が協力して雇ったのか、それが問題だ。
呪術師さえ捕らえられれば、ヨシュアにかかっている呪術を解いて、ヨシュアの記憶を取り戻すことができるかもしれない。
「これからどうしますか、星宇?」
「愚痴でもこぼしてみましょうか」
「愚痴を」
至極真面目に龍王が言うのにヨシュアは青い目を瞬かせる。龍王の計画はこうだった。
グドリャナ王国かジルキン王国の企みによって王配が害されてしまったことにより、現在水の加護が与えられている他国から水の加護がなくなる可能性が出てくる。志龍王国の全土に水の加護を行き渡らせることすら難しくなって、今年の実りは豊かなものにならないかもしれない。
そうなれば食糧支援をしている他国にも影響が出てくる。
「我が王配は体調不良ながら、水の加護の祈りを続けてくれているので、何とかなるとは思いたいのだが。いや、わたしの責任で何とかしなければいけない。だが、万が一……」
全ては王配を害した国があるために水の加護が滞ることになる。
そうやって使者に愚痴を漏らし、噂を流すことによって、グドリャナ王国とジルキン王国に圧力をかけていく。
龍王の策は静かに浸透して広がっていっていた。
ヨシュアが記憶をなくしてから三週間目、ラバン王国から国王一家がやってきた。
ラバン王国の国王一家には呪術を解く方法を調べてもらうために真実を話していたが、ヨシュアのことを心配して見舞いの訪問をしてくれたらしい。
金髪に青い目の十歳にならないくらいの男の子を見て、ヨシュアは一応聞いてみた。
「君は兄上の息子かな?」
「おれはジェレミー。ラバン王国国王の末っ子だよ。ヨシュア叔父上、本当に忘れちゃったんだね」
「すまない。十年間の記憶がないらしいんだ。ジェレミーは何歳だ?」
「おれは八歳。俊宇と同じだよ。俊宇が夏生まれで、おれが冬生まれ。冬には九歳になるよ」
「八歳か。ちょうどおれが忘れている間に生まれているんだな」
「おれは強いから平気だけど、ヨシュア叔父上がそんな感じだったら、俊宇は悲しんでたんじゃないか?」
指摘されて俊宇の気持ちを考えてみる。龍王の甥である俊宇はヨシュアを慕ってくれているようだった。ヨシュアが完全に俊宇のことを忘れていると知ったときには少なからず衝撃を受けたのではないだろうか。
「ジェレミー、ヨシュア義叔父上のお見舞い?」
「そうだよ、俊宇! ギデオンにも会いたいな」
「ギデオン、お喋りが上手になったんだよ。とても可愛いよ」
ジェレミーの姿を見ると駆け寄ってくる俊宇に、ジェレミーも駆け寄って飛びついて抱き締めている。同じ年の二人は仲がいいようだ。
「ヨシュア叔父上、わたくしは分かりますか?」
「もしかして、レベッカかな?」
「そうです。去年結婚しました」
「十歳だったレベッカが結婚……本当に十年経っているんだな」
ヨシュアにとってはレベッカはまだ小さい印象しかなかったが、もうすっかりと大人になっている。結婚したという話に驚きしか感じない。
「ヨシュア、大変なことになっているようじゃないか」
「兄上、おれは志龍王国に嫁いだのだな」
「志龍王国から王族の誰かを嫁がせるようにと命じられたとき、魔力の低いレイチェルでは役目を果たせそうにないし、レベッカは幼すぎた。男女を問わないということが書き加えられて、お前が自分で立候補したのだ」
「おれなら魔術騎士団を率いて志龍王国の役に立てそうだからな」
「龍王陛下とは色々とあったようだが、新婚旅行でラバン王国の国境に来て一緒に食事をしたときには、秘密も話して、打ち解けていたように見えた」
過去の話を兄であるマシューに聞かされると、ヨシュアならばそうしそうだというのは分かった。
「失われた記憶を蘇らせる方法は見つかってないのか?」
「ラバン王国の様々な文献をあたらせているが、呪術に対するものが少なすぎて役に立たないのだ」
魔術師の国、ラバン王国の文献にも呪術を解く方法は載っていない。そうなると呪術をかけた呪術師本人をどうにかして捕まえる外はない。
記憶がない状態でもヨシュアはそれほど不自由は感じていないのだが、龍王はヨシュアを公の場に出さないし、魔術騎士としても復帰させてくれない。十年間の記憶がない状態のヨシュアは青陵殿に引きこもらされていた。
「呪術師さえ捕まえられれば、おれにかかっている呪術も解けるだろうに」
「グドリャナ王国もジルキン王国も、互いに罪を擦り付け合っているが、そのうちに内乱を抑えきれなくなってどちらかが呪術師を突き出してくるだろう」
既にグドリャナ王国でもジルキン王国でも内乱が勃発している。
内乱を抑えきれずに新しい王朝に変わるのか、それとも二国が戦争を起こして血みどろの争いになって勝者が国を統一するのか、別の勢力が出てきて新しい国を作るのか。
どうなるのかは分からないが、最終的にはどうなっても志龍王国の豊かな恵みから支援してもらわなければ二国の国民がこの冬を越すことは難しいだろう。
大陸で一番大きく豊かで、この大陸の実りのほとんどを支えている志龍王国に逆らっては国が生き残る術はないのが現状なのだ。
グドリャナ王国とジルキン王国は志龍王国の国王たる龍王の逆鱗に触れた。
王配に命の危険はなかったとはいえ、結婚からの十年間の記憶を失わせた。
それは到底許されることではない。
政治的な話には、記憶を失っているヨシュアは関われないのだが、龍王がグドリャナ王国とジルキン王国に易姓革命を起こさせる勢いで怒りを覚えているのはひしひしと伝わってくる。
このままの王朝は残らずに、グドリャナ王国とジルキン王国は今の王朝を滅ぼして、新しい王朝を立てる以外に生き残る方法はなくなってきている。
王朝が変わろうと国民は変わらない。国を形作っているのは王朝ではなく国民だ。
その国民が王朝の無責任な政略のために飢え、冬を越せない状況になるのはあまりにも酷く、国民が怒りを覚えて内乱を起こすのも無理もない。
秋が終われば冬が来る。
北のグドリャナ王国とジルキン王国は特に厳しい冬になるだろう。
龍王は既に二国への支援を打ち切っている。
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