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三章 甥の誕生と六年目まで
18.子睿と麗夏の結婚式
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夏が過ぎて、秋には子睿と麗夏の結婚式が行われた。
子睿と麗夏は結婚に際してよく話し合った様子だった。
「子睿殿下は玉を交換することを望まれましたが、わたくしはそれはやめておきましょうとお伝えしました」
「麗夏殿は出産で母君を亡くされているのです。もし自分がそんなことになったときに、わたしには生きて子どもを育ててほしいと言ってくださったのです」
出産は医療がそこそこ進んでいる志龍王国でも命がけである。出産で麗夏が命を落としすとき、玉を交換していれば子睿も命を落とすので麗夏はそれだけ慎重になっているようだった。
夫婦の取り決めなのでそれには龍王もヨシュアも口出しはしなかった。
「龍王陛下が王配陛下に玉を捧げられたことによって、市井でも結婚式の際には玉を交換するものが増えているといいます。玉を交換すると、相性がよくなり子どもも生まれやすくなるので、最近の出生率は上がってきているようですよ」
龍王に子種もなく、結婚もしていなかった時期には、王族は非常に少なかった。そのため人々は暗い気持ちになり子どもの出生率も落ちていたのだと聞く。
龍王の妹である梓晴が結婚し、龍王の跡取りともなれる子どもを出産、浩然も王族入りして、子睿もハタッカ王国から保護されて、婚約者の麗夏も今回の結婚で王族の一員となる。
明るい話題に国は沸いて、国民は志龍王国の未来は明るいと子作りを再開したようなのだ。
志龍王国が栄えるのはヨシュアにとっても純粋に嬉しい。
ヨシュアがいい知らせに龍王を見ると、龍王もヨシュアを見上げていた。
「志龍王国はこれからも栄えていきますね」
「わたしが龍王である間はしっかりと水の恵みを行き渡らせて栄えさせます」
「ご立派です」
ヨシュアが龍王に微笑めば、龍王もヨシュアに微笑み返した。
子睿と麗夏の結婚の儀は盛大に執り行われた。
美しい衣装を纏った子睿の養父母も呼ばれて、立派な姿の子睿が結婚式を挙げるのを涙を流して喜んでいた。
「子睿殿下、麗夏殿下とお幸せに」
「お二人が幸せになることがわたしたちの何よりの喜びです」
「ありがとうございます、お父さん、お母さん」
「わたくしもお義父様、お義母様と呼ばせていただいてよろしいでしょうか?」
「わたくし共でよければ喜んで」
「恐れ多いことです」
お祝いを述べに行った子睿の養父母は麗夏に義父母と呼ばれるのを驚き、喜んでいた。
「ハタッカ王国で捨てられていた赤ん坊のわたしを両親が拾ってくれました。髪の色も目の色も同じだったので、本当の両親と思って育ったのです。わたしにとっては本当の両親以上に大切な両親です。麗夏殿も一緒に親孝行してくださると嬉しいです」
「もちろん致します。お義父様、お義母様、赤栄殿に菜園を作ったら一緒に野菜を育ててくださいますか?」
「喜んでお伺いします」
「龍王陛下にお願いしてみます」
子睿と麗夏と養父母の関係も円満のようだった。
結婚の儀の宴が終わると、子睿と麗夏は早めに赤栄殿に下がっていった。花嫁と花婿は酔う前に先に下がるのが慣例となっている。その後は二人で時間を過ごすのだ。
残りの祝いの客は龍王とヨシュアの方に押しかけてきていた。
「龍王陛下、子睿殿下と麗夏殿下にお子がお生まれになったら、わたくしの家系から侍従を出させてください」
「王配陛下、侍従が妊娠、出産で休んでいると聞きます。ご不便はないでしょうか? 我が家の娘はよく働きます」
まだ生まれてもいない子睿と麗夏の子どもについて話してきたり、ヨシュアが望まない侍従に関して話してきたりすることに対して、龍王は不機嫌を露わにしていた。
「子睿と麗夏はまだ結婚したばかり。子の話をするなど、気が早すぎる。我が王配の侍従も間に合っているので必要ない。そんなことを考えるより、国を豊かにする政策の一つでも考えてほしいものだ」
龍王の怒りに話しかけてきた貴族は縮こまっていた。
宴が終わると龍王とヨシュアは青陵殿に戻って湯殿に行った。
二人で湯あみをすると、一日の疲れが取れる気がする。
毎日の終わりにはヨシュアは龍王と湯あみをしているので、これはもう日課になっている。
湯船に入ると龍王がヨシュアの胸に寄りかかってくる。
「今日は疲れました」
「お疲れ様。星宇は龍王としてよく勤めているよ」
龍王のおかげで国は明るくなった。玉を交換するのが流行っているのも、悪い傾向ではない。龍族の子どもが増えるのはヨシュアにとっても純粋にめでたいできごとだった。
ヨシュアが龍王のもとに嫁いでくるまでは、王族は龍王と梓晴と前王妃しかいなかった。前王妃はもう子どもを産むことはないし、龍王は子種がない。子どもを産む可能性があるのは梓晴だけだった。
そのために次代龍王の父親の座を狙って、四大臣家の黄家の当主の弟がいらないことを企んできたのもヨシュアの手でつぶしたが、それでも王家は風前の灯火に思えた。
そこに龍王の従兄弟である子睿が保護されてきて、王族が増え、梓晴が浩然と結婚して俊宇も産んだ。結婚してから百年以上子どもに恵まれなかった前王妃の例もあるので龍王もヨシュアも無駄に梓晴に圧力をかけるものがいないように目を配っていたのだが、梓晴はそんなことを気にせずに健やかに子どもを産み落とした。
前王妃がなくなって王族は減ったが、最初に比べれば確実に増えている。
これからまた梓晴が子どもを産むこともあるだろうし、麗夏が子どもを産むこともあるだろう。
王族の数が増えるのは国の安定にも関わることだった。
「子睿と麗夏が平和で幸せに暮らしてくれればいいと思っています」
「そのためにも、煩わしいことはおれたちが請け負ってやらないといけないな」
「子睿の養父母とジャックを青陵殿の小屋から赤栄殿の庭に自由に移動する許可も与えないと」
「子睿殿下と麗夏殿下が望んでいたな」
温かい湯に浸かりながら龍王と話す時間がヨシュアは一番肩の力を抜ける。龍王も力を抜いてヨシュアに寄りかかっている。
「ヨシュア、龍族の王族には発情期があると言ったらどうします?」
「どれくらいの期間なんだ?」
「期間は半月ほどですが、その間普段の二、三倍の精力で相手を求めてしまうのです」
龍族に発情期があるとは知らなかったが、王族だけなので隠されているのかもしれない。
ヨシュアは龍王と暮らし始めて五年になるが、これまでそんなそぶりは全く見せていなかったので龍王の言葉に少し驚いてもいた。
「どれくらいの頻度で訪れるものなのか?」
「最初の発情期は体が完全に成熟してから訪れます。わたしにとっては、発情期が訪れれば、それが最初になります。それ以降は十年から三十年に一度くらいの頻度で訪れるでしょうか」
十年から三十年に一度。しかも龍王は発情期が起きれば今回が初めてとなる。
「ヨシュアに負担を強いたくないので、その時期は褥を別にしても構いません」
「そんな寂しいことは言うなよ。おれは頑丈だから、簡単には壊れないよ」
それにしても、普段から五回から七回は注がれているのに、その二倍、三倍となってくるとさすがのヨシュアでも体力が持つか心配になる。何よりも、そんなことを半月も続けたら龍王の体力が持たなくなるだろう。
「発情期を抑制する薬とかないのか?」
「一応ありますし、飲もうとも思っていますが、それでも、二、三日は発情状態が続くかもしれません」
申し訳なさそうに言う龍王にヨシュアはその肩を抱く。
「二、三日なら政務にも問題はなさそうだな。しっかり休んで、乗り切ろう」
「いいんですか?」
「これが毎年となるなら大変だけど、十年から三十年に一度なら、何とかなるだろう」
自分の体力を信じるしかない。
ヨシュアは初めて閨で龍王に負けそうな予感を覚えていた。
子睿と麗夏は結婚に際してよく話し合った様子だった。
「子睿殿下は玉を交換することを望まれましたが、わたくしはそれはやめておきましょうとお伝えしました」
「麗夏殿は出産で母君を亡くされているのです。もし自分がそんなことになったときに、わたしには生きて子どもを育ててほしいと言ってくださったのです」
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夫婦の取り決めなのでそれには龍王もヨシュアも口出しはしなかった。
「龍王陛下が王配陛下に玉を捧げられたことによって、市井でも結婚式の際には玉を交換するものが増えているといいます。玉を交換すると、相性がよくなり子どもも生まれやすくなるので、最近の出生率は上がってきているようですよ」
龍王に子種もなく、結婚もしていなかった時期には、王族は非常に少なかった。そのため人々は暗い気持ちになり子どもの出生率も落ちていたのだと聞く。
龍王の妹である梓晴が結婚し、龍王の跡取りともなれる子どもを出産、浩然も王族入りして、子睿もハタッカ王国から保護されて、婚約者の麗夏も今回の結婚で王族の一員となる。
明るい話題に国は沸いて、国民は志龍王国の未来は明るいと子作りを再開したようなのだ。
志龍王国が栄えるのはヨシュアにとっても純粋に嬉しい。
ヨシュアがいい知らせに龍王を見ると、龍王もヨシュアを見上げていた。
「志龍王国はこれからも栄えていきますね」
「わたしが龍王である間はしっかりと水の恵みを行き渡らせて栄えさせます」
「ご立派です」
ヨシュアが龍王に微笑めば、龍王もヨシュアに微笑み返した。
子睿と麗夏の結婚の儀は盛大に執り行われた。
美しい衣装を纏った子睿の養父母も呼ばれて、立派な姿の子睿が結婚式を挙げるのを涙を流して喜んでいた。
「子睿殿下、麗夏殿下とお幸せに」
「お二人が幸せになることがわたしたちの何よりの喜びです」
「ありがとうございます、お父さん、お母さん」
「わたくしもお義父様、お義母様と呼ばせていただいてよろしいでしょうか?」
「わたくし共でよければ喜んで」
「恐れ多いことです」
お祝いを述べに行った子睿の養父母は麗夏に義父母と呼ばれるのを驚き、喜んでいた。
「ハタッカ王国で捨てられていた赤ん坊のわたしを両親が拾ってくれました。髪の色も目の色も同じだったので、本当の両親と思って育ったのです。わたしにとっては本当の両親以上に大切な両親です。麗夏殿も一緒に親孝行してくださると嬉しいです」
「もちろん致します。お義父様、お義母様、赤栄殿に菜園を作ったら一緒に野菜を育ててくださいますか?」
「喜んでお伺いします」
「龍王陛下にお願いしてみます」
子睿と麗夏と養父母の関係も円満のようだった。
結婚の儀の宴が終わると、子睿と麗夏は早めに赤栄殿に下がっていった。花嫁と花婿は酔う前に先に下がるのが慣例となっている。その後は二人で時間を過ごすのだ。
残りの祝いの客は龍王とヨシュアの方に押しかけてきていた。
「龍王陛下、子睿殿下と麗夏殿下にお子がお生まれになったら、わたくしの家系から侍従を出させてください」
「王配陛下、侍従が妊娠、出産で休んでいると聞きます。ご不便はないでしょうか? 我が家の娘はよく働きます」
まだ生まれてもいない子睿と麗夏の子どもについて話してきたり、ヨシュアが望まない侍従に関して話してきたりすることに対して、龍王は不機嫌を露わにしていた。
「子睿と麗夏はまだ結婚したばかり。子の話をするなど、気が早すぎる。我が王配の侍従も間に合っているので必要ない。そんなことを考えるより、国を豊かにする政策の一つでも考えてほしいものだ」
龍王の怒りに話しかけてきた貴族は縮こまっていた。
宴が終わると龍王とヨシュアは青陵殿に戻って湯殿に行った。
二人で湯あみをすると、一日の疲れが取れる気がする。
毎日の終わりにはヨシュアは龍王と湯あみをしているので、これはもう日課になっている。
湯船に入ると龍王がヨシュアの胸に寄りかかってくる。
「今日は疲れました」
「お疲れ様。星宇は龍王としてよく勤めているよ」
龍王のおかげで国は明るくなった。玉を交換するのが流行っているのも、悪い傾向ではない。龍族の子どもが増えるのはヨシュアにとっても純粋にめでたいできごとだった。
ヨシュアが龍王のもとに嫁いでくるまでは、王族は龍王と梓晴と前王妃しかいなかった。前王妃はもう子どもを産むことはないし、龍王は子種がない。子どもを産む可能性があるのは梓晴だけだった。
そのために次代龍王の父親の座を狙って、四大臣家の黄家の当主の弟がいらないことを企んできたのもヨシュアの手でつぶしたが、それでも王家は風前の灯火に思えた。
そこに龍王の従兄弟である子睿が保護されてきて、王族が増え、梓晴が浩然と結婚して俊宇も産んだ。結婚してから百年以上子どもに恵まれなかった前王妃の例もあるので龍王もヨシュアも無駄に梓晴に圧力をかけるものがいないように目を配っていたのだが、梓晴はそんなことを気にせずに健やかに子どもを産み落とした。
前王妃がなくなって王族は減ったが、最初に比べれば確実に増えている。
これからまた梓晴が子どもを産むこともあるだろうし、麗夏が子どもを産むこともあるだろう。
王族の数が増えるのは国の安定にも関わることだった。
「子睿と麗夏が平和で幸せに暮らしてくれればいいと思っています」
「そのためにも、煩わしいことはおれたちが請け負ってやらないといけないな」
「子睿の養父母とジャックを青陵殿の小屋から赤栄殿の庭に自由に移動する許可も与えないと」
「子睿殿下と麗夏殿下が望んでいたな」
温かい湯に浸かりながら龍王と話す時間がヨシュアは一番肩の力を抜ける。龍王も力を抜いてヨシュアに寄りかかっている。
「ヨシュア、龍族の王族には発情期があると言ったらどうします?」
「どれくらいの期間なんだ?」
「期間は半月ほどですが、その間普段の二、三倍の精力で相手を求めてしまうのです」
龍族に発情期があるとは知らなかったが、王族だけなので隠されているのかもしれない。
ヨシュアは龍王と暮らし始めて五年になるが、これまでそんなそぶりは全く見せていなかったので龍王の言葉に少し驚いてもいた。
「どれくらいの頻度で訪れるものなのか?」
「最初の発情期は体が完全に成熟してから訪れます。わたしにとっては、発情期が訪れれば、それが最初になります。それ以降は十年から三十年に一度くらいの頻度で訪れるでしょうか」
十年から三十年に一度。しかも龍王は発情期が起きれば今回が初めてとなる。
「ヨシュアに負担を強いたくないので、その時期は褥を別にしても構いません」
「そんな寂しいことは言うなよ。おれは頑丈だから、簡単には壊れないよ」
それにしても、普段から五回から七回は注がれているのに、その二倍、三倍となってくるとさすがのヨシュアでも体力が持つか心配になる。何よりも、そんなことを半月も続けたら龍王の体力が持たなくなるだろう。
「発情期を抑制する薬とかないのか?」
「一応ありますし、飲もうとも思っていますが、それでも、二、三日は発情状態が続くかもしれません」
申し訳なさそうに言う龍王にヨシュアはその肩を抱く。
「二、三日なら政務にも問題はなさそうだな。しっかり休んで、乗り切ろう」
「いいんですか?」
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