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三章 甥の誕生と六年目まで
7.野盗騒ぎ
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バリエンダール共和国との国境の町に野盗が出るようになったとの報告が入った。
食糧支援は変わらず続けているが、まだ内政の安定しないバリエンダール共和国の民が、一部志龍王国に入ってきて、野盗となったようなのだ。寄せ集めの野盗ならば警備兵で対応できただろうが、その中の半数近くに、バリエンダール共和国の国境近くの砦を守っていた兵士が混じっているということで、警備兵には手に負えなくなったので魔術騎士団に助けが求められたのだ。
話を聞いていたヨシュアは、隣りに座る龍王の顔を見る。
「龍王陛下、魔術騎士団の出撃の許可を」
「許可しよう。すぐにバリエンダール共和国との国境に向かってください」
こういうときに以前だったらヨシュアの身を案じたり、ヨシュアがそばにいなくなることに不安を感じたりしていたが、結婚して四年の月日が経つとそれも信頼に変わっていた。
ヨシュアに任せておけば万事解決して来てくれるはずだ。
魔術騎士団の強さはそれだけ志龍王国にも知れ渡っていたし、周辺諸国にも知られている。
魔術騎士たちの中には、志龍王国で家庭を持ち、生涯を志龍王国に捧げることを決めているものも多くいるという。それだけ忠誠心のある魔術騎士団ならば、ヨシュアと共に行くのに相応しいと龍王は思っていた。
出発のために立ち上がったヨシュアが青陵殿に着替えに戻る途中で、誰かに引き留められている。
気になって、政務を一旦中断させてそっと近付くと、官吏の一人がヨシュアに話しかけていた。
「王配陛下、志龍王国に嫁いで来られた日からずっとお慕いしておりました。龍王陛下と仲睦まじいことは知っております。一度だけ、わたくしに思い出をくださらないでしょうか?」
「悪いが今急いでいる。何より、わたしが龍王陛下以外を愛することはない」
「一度だけ、お手を……お手を握らせてください!」
「くどい! 急いでいると言っているではないか」
「わたくしはこの後年上の豪商に婿入りさせられるのです。今しか時間はないのです」
「時間がないのはこちらも同じ。今この瞬間もバリエンダール共和国との国境の町の民は怯え、苦しんでいる。それなのに、そなたの勝手な感傷に付き合っている暇はない!」
鋭く言い放ったヨシュアに、官吏はその場に蹲って泣いているようだった。
それを無視してヨシュアは官吏の横を大股で通り過ぎて、青陵殿に向かっていた。
「我が王配に迫るとは、勇気があるのだな」
「りゅ、龍王陛下!? お許しください! 決して何もしようとは思っておりませんでした。一度だけ……一度だけお手に触れたかっただけです」
「そなたも官吏なら今の報告を聞いていなかったのか? 我が王配はバリエンダール共和国の国境に出る野盗を成敗しに行くところだったのだぞ。自分の気持ちを優先して、我が王配の脚を止めさせるなど許されない」
「わたくしは、明日には官吏を辞めさせられて、地方の豪商に婿入りさせられるのです。今しか王配陛下に話しかける機会はなかったのです」
どこまでも身勝手な官吏の言葉に龍王は怒りすらわいてこない。わいてくるのは憐れみだ。
野盗に虐げられている民を守るために急いでいるヨシュアの足を止めさせて、時間を使わせただけでなく、自分にもう機会がないからヨシュアの迷惑を考えず自分の都合を優先する考えには呆れる。
何もないときならばヨシュアも穏やかにそれを受け止めて、丁寧に断っていただろうが、今はそんな暇はなかった。
魔術騎士団として出撃を命じられた直後のできごとだった。
「そなたの顔は見たくない。即刻王宮から去るがいい」
ヨシュアの出動を邪魔した官吏に言い捨てると、龍王はまた玉座に戻って行った。
元は龍王だけの玉座が用意されていたが、今はヨシュアと二人で座れる椅子に変わっている。
その椅子もよく磨かれて飴色になった木で作られており、座る部分は布張りで座り心地がいいようになっている。椅子は横長で龍王とヨシュアが二人で座ってもゆっくりと余る広さがある。この椅子は龍王がヨシュアに玉を捧げて、ヨシュアが王配陛下として龍王と同じ地位を持つようになったときに作られて玉座に置かれた。
椅子に座って夕方まで政務を続けて、周辺諸国の様子や国内の様子の報告を受けて、龍王は一人で青陵殿に戻った。
野盗退治のためにヨシュアはバリエンダール共和国との国境で野盗の行方を追っていると知らせが来る。夕餉には間に合わないので先に食べていてほしいと魔術の通信で言われたが、そういう気にもならず、龍王は夕餉の仕度をさせずに、ネイサンに茶を入れてもらって飲んで寛いでいた。
普段は広さを感じないヨシュアの部屋が妙に広く感じられる。
一人でいると昼間のできごとを思い出してしまう。
あの官吏は整った顔立ちをしていたように思える。龍王もそこそこ整った顔立ちをしているのだが印象的には地味な部類に入る。あまり他人の頭に残らない顔立ちのようで、豪奢な服を着替えて、冠も外してしまうと、町に出ても誰も龍王が龍王だと気付かない様子である。
そのおかげでお忍びでの町歩きがヨシュアと一緒にできて嬉しいのだが、自分の顔立ちについて思うところがないわけではない。
あの官吏は可愛らしい顔だちをしていた気がする。男性に可愛らしいというのもおかしいかもしれないが、華奢で女性のような雰囲気があった。
ヨシュアは最初から龍王が望んでいるのだ抱かれてくれているが、誰かを抱きたいと思ったことはないのだろうか。
ヨシュアが望むなら龍王は抱かれる方をしても構わないと考えていたが、ヨシュアは一度もそんなことは口にしなかった。龍王が抱きたいと意思を示したから遠慮しているのだろうか。それとも龍王は抱く方としては好みではないのだろうか。
悩んでしまって部屋で唸っていると、ネイサンが龍王のお茶をつぎ足しながらそっと伝えた。
「これからお戻りになるそうです」
「そうなのか? わたしに直接連絡すればいいのに」
「もうこんな時間ですから、お休みになっていると思われたようです」
考え事をしながら茶を飲んでいるうちに夜は更けていた。龍王は朝が早いので夜に眠るのも早くなる。普段ならば眠っている時間に起きているのはヨシュアを待っているからに他ならない。
時刻に気付くと眠気が襲ってくるが、同時に空腹も感じて、龍王はヨシュアの帰りを一瞬でも早くならないかと心待ちにしてしまう。
戻ってきたヨシュアは部屋に顔を出して龍王を見て驚いた表情をしていた。
「まだ眠っていなかったのか?」
「ヨシュアがいなかったので食欲がなくて夕餉も摂っていません」
「血と土を落としてくるから、少し待っていて。戻ったら軽いものでも食べよう」
「わたしもまだ湯殿に行っていません。一緒に行っていいですか?」
「それなら、一緒に湯あみしよう」
ヨシュアは青い長衣に血しぶきが飛んでいて、土でも汚れていた。
野盗との戦いは激しかったようだ。
「死に物狂いでかかってくるから、こっちも容赦ができなかった。生け捕りにされても厳しい処罰がされる。それくらいなら死ぬ気でかかっていって、隙あらば逃げようとしていたようだ」
野盗団は十五名近くいたらしい。その半数が砦の兵士として訓練を受けたものだった。警備兵が苦戦するわけである。
「生け捕りにできればよかったんだが、抵抗が激しくて無理だった。一応、死体をバリエンダール共和国の砦に引き渡して、検分してもらうつもりだが、あっちは言い逃れをしようとするだろうな」
「バリエンダール共和国の兵士が志龍王国の国境の町を襲ったとなると、国際問題になりますからね」
「生け捕りにしたかった。相手は魔術が使えないと思って油断したかもしれない。すまない」
「ヨシュアのせいではないですよ。ヨシュアは我が国の領土を守ってくれました」
生け捕りにできればバリエンダール共和国を責めることもできたのだろうが、全員死んでしまっていては本当にその野盗がバリエンダール共和国から来たのかも調べられない。
バリエンダール共和国は白を切るに決まっている。
「ヨシュア、閨のことなのですが」
「唐突だな。どうした?」
優しく問いかけてくれるヨシュアに龍王ははっきりと聞いてみる。
「わたしがヨシュアを抱く形で今は閨が成立しているのですが、ヨシュアは抱きたくなるときってないですか?」
真剣な問いかけに、なぜかヨシュアが噎せた。
げほげほと咳き込んでから、息を整えてヨシュアが問い返す。
「急になんでそんなことを考えた?」
「昼間にヨシュアは可愛い顔の官吏に声を掛けられていたではないですか。わたしは可愛くはないし、どちらかといえば地味だし、抱く対象にならないから、ヨシュアは我慢して抱かれてくれているのかなと……」
湯船の中で俯いて告げると、ヨシュアに顎を持ち上げられる。
唇が重なって、温かいお湯の中で裸のままヨシュアと龍王は抱き締め合う。ヨシュアの膝の上に抱き上げられたような形になった龍王は、ヨシュアの中心が反応していないことに気付く。
「おれは星宇に抱かれたい。星宇に抱かれることに満足している。星宇に抱かれて気持ちいいと思っているよ」
唇に、頬に、額に啄むように口付けを落としながら言うヨシュアに、龍王は胸を撫で下ろす。
「わたしもヨシュアを抱いていて気持ちいいです。ヨシュアが、わたししか愛さないとあの官吏に言ってくれたことを嬉しく思っています」
「おれと星宇はお互いがお互いの唯一だろう? 玉を賜ったのだから、星宇以外と結ばれることは考えられないよ」
お湯の中で膝の上に抱き上げられて抱き締められて、龍王はヨシュアに蕩けた微笑みを向けた。
食糧支援は変わらず続けているが、まだ内政の安定しないバリエンダール共和国の民が、一部志龍王国に入ってきて、野盗となったようなのだ。寄せ集めの野盗ならば警備兵で対応できただろうが、その中の半数近くに、バリエンダール共和国の国境近くの砦を守っていた兵士が混じっているということで、警備兵には手に負えなくなったので魔術騎士団に助けが求められたのだ。
話を聞いていたヨシュアは、隣りに座る龍王の顔を見る。
「龍王陛下、魔術騎士団の出撃の許可を」
「許可しよう。すぐにバリエンダール共和国との国境に向かってください」
こういうときに以前だったらヨシュアの身を案じたり、ヨシュアがそばにいなくなることに不安を感じたりしていたが、結婚して四年の月日が経つとそれも信頼に変わっていた。
ヨシュアに任せておけば万事解決して来てくれるはずだ。
魔術騎士団の強さはそれだけ志龍王国にも知れ渡っていたし、周辺諸国にも知られている。
魔術騎士たちの中には、志龍王国で家庭を持ち、生涯を志龍王国に捧げることを決めているものも多くいるという。それだけ忠誠心のある魔術騎士団ならば、ヨシュアと共に行くのに相応しいと龍王は思っていた。
出発のために立ち上がったヨシュアが青陵殿に着替えに戻る途中で、誰かに引き留められている。
気になって、政務を一旦中断させてそっと近付くと、官吏の一人がヨシュアに話しかけていた。
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「悪いが今急いでいる。何より、わたしが龍王陛下以外を愛することはない」
「一度だけ、お手を……お手を握らせてください!」
「くどい! 急いでいると言っているではないか」
「わたくしはこの後年上の豪商に婿入りさせられるのです。今しか時間はないのです」
「時間がないのはこちらも同じ。今この瞬間もバリエンダール共和国との国境の町の民は怯え、苦しんでいる。それなのに、そなたの勝手な感傷に付き合っている暇はない!」
鋭く言い放ったヨシュアに、官吏はその場に蹲って泣いているようだった。
それを無視してヨシュアは官吏の横を大股で通り過ぎて、青陵殿に向かっていた。
「我が王配に迫るとは、勇気があるのだな」
「りゅ、龍王陛下!? お許しください! 決して何もしようとは思っておりませんでした。一度だけ……一度だけお手に触れたかっただけです」
「そなたも官吏なら今の報告を聞いていなかったのか? 我が王配はバリエンダール共和国の国境に出る野盗を成敗しに行くところだったのだぞ。自分の気持ちを優先して、我が王配の脚を止めさせるなど許されない」
「わたくしは、明日には官吏を辞めさせられて、地方の豪商に婿入りさせられるのです。今しか王配陛下に話しかける機会はなかったのです」
どこまでも身勝手な官吏の言葉に龍王は怒りすらわいてこない。わいてくるのは憐れみだ。
野盗に虐げられている民を守るために急いでいるヨシュアの足を止めさせて、時間を使わせただけでなく、自分にもう機会がないからヨシュアの迷惑を考えず自分の都合を優先する考えには呆れる。
何もないときならばヨシュアも穏やかにそれを受け止めて、丁寧に断っていただろうが、今はそんな暇はなかった。
魔術騎士団として出撃を命じられた直後のできごとだった。
「そなたの顔は見たくない。即刻王宮から去るがいい」
ヨシュアの出動を邪魔した官吏に言い捨てると、龍王はまた玉座に戻って行った。
元は龍王だけの玉座が用意されていたが、今はヨシュアと二人で座れる椅子に変わっている。
その椅子もよく磨かれて飴色になった木で作られており、座る部分は布張りで座り心地がいいようになっている。椅子は横長で龍王とヨシュアが二人で座ってもゆっくりと余る広さがある。この椅子は龍王がヨシュアに玉を捧げて、ヨシュアが王配陛下として龍王と同じ地位を持つようになったときに作られて玉座に置かれた。
椅子に座って夕方まで政務を続けて、周辺諸国の様子や国内の様子の報告を受けて、龍王は一人で青陵殿に戻った。
野盗退治のためにヨシュアはバリエンダール共和国との国境で野盗の行方を追っていると知らせが来る。夕餉には間に合わないので先に食べていてほしいと魔術の通信で言われたが、そういう気にもならず、龍王は夕餉の仕度をさせずに、ネイサンに茶を入れてもらって飲んで寛いでいた。
普段は広さを感じないヨシュアの部屋が妙に広く感じられる。
一人でいると昼間のできごとを思い出してしまう。
あの官吏は整った顔立ちをしていたように思える。龍王もそこそこ整った顔立ちをしているのだが印象的には地味な部類に入る。あまり他人の頭に残らない顔立ちのようで、豪奢な服を着替えて、冠も外してしまうと、町に出ても誰も龍王が龍王だと気付かない様子である。
そのおかげでお忍びでの町歩きがヨシュアと一緒にできて嬉しいのだが、自分の顔立ちについて思うところがないわけではない。
あの官吏は可愛らしい顔だちをしていた気がする。男性に可愛らしいというのもおかしいかもしれないが、華奢で女性のような雰囲気があった。
ヨシュアは最初から龍王が望んでいるのだ抱かれてくれているが、誰かを抱きたいと思ったことはないのだろうか。
ヨシュアが望むなら龍王は抱かれる方をしても構わないと考えていたが、ヨシュアは一度もそんなことは口にしなかった。龍王が抱きたいと意思を示したから遠慮しているのだろうか。それとも龍王は抱く方としては好みではないのだろうか。
悩んでしまって部屋で唸っていると、ネイサンが龍王のお茶をつぎ足しながらそっと伝えた。
「これからお戻りになるそうです」
「そうなのか? わたしに直接連絡すればいいのに」
「もうこんな時間ですから、お休みになっていると思われたようです」
考え事をしながら茶を飲んでいるうちに夜は更けていた。龍王は朝が早いので夜に眠るのも早くなる。普段ならば眠っている時間に起きているのはヨシュアを待っているからに他ならない。
時刻に気付くと眠気が襲ってくるが、同時に空腹も感じて、龍王はヨシュアの帰りを一瞬でも早くならないかと心待ちにしてしまう。
戻ってきたヨシュアは部屋に顔を出して龍王を見て驚いた表情をしていた。
「まだ眠っていなかったのか?」
「ヨシュアがいなかったので食欲がなくて夕餉も摂っていません」
「血と土を落としてくるから、少し待っていて。戻ったら軽いものでも食べよう」
「わたしもまだ湯殿に行っていません。一緒に行っていいですか?」
「それなら、一緒に湯あみしよう」
ヨシュアは青い長衣に血しぶきが飛んでいて、土でも汚れていた。
野盗との戦いは激しかったようだ。
「死に物狂いでかかってくるから、こっちも容赦ができなかった。生け捕りにされても厳しい処罰がされる。それくらいなら死ぬ気でかかっていって、隙あらば逃げようとしていたようだ」
野盗団は十五名近くいたらしい。その半数が砦の兵士として訓練を受けたものだった。警備兵が苦戦するわけである。
「生け捕りにできればよかったんだが、抵抗が激しくて無理だった。一応、死体をバリエンダール共和国の砦に引き渡して、検分してもらうつもりだが、あっちは言い逃れをしようとするだろうな」
「バリエンダール共和国の兵士が志龍王国の国境の町を襲ったとなると、国際問題になりますからね」
「生け捕りにしたかった。相手は魔術が使えないと思って油断したかもしれない。すまない」
「ヨシュアのせいではないですよ。ヨシュアは我が国の領土を守ってくれました」
生け捕りにできればバリエンダール共和国を責めることもできたのだろうが、全員死んでしまっていては本当にその野盗がバリエンダール共和国から来たのかも調べられない。
バリエンダール共和国は白を切るに決まっている。
「ヨシュア、閨のことなのですが」
「唐突だな。どうした?」
優しく問いかけてくれるヨシュアに龍王ははっきりと聞いてみる。
「わたしがヨシュアを抱く形で今は閨が成立しているのですが、ヨシュアは抱きたくなるときってないですか?」
真剣な問いかけに、なぜかヨシュアが噎せた。
げほげほと咳き込んでから、息を整えてヨシュアが問い返す。
「急になんでそんなことを考えた?」
「昼間にヨシュアは可愛い顔の官吏に声を掛けられていたではないですか。わたしは可愛くはないし、どちらかといえば地味だし、抱く対象にならないから、ヨシュアは我慢して抱かれてくれているのかなと……」
湯船の中で俯いて告げると、ヨシュアに顎を持ち上げられる。
唇が重なって、温かいお湯の中で裸のままヨシュアと龍王は抱き締め合う。ヨシュアの膝の上に抱き上げられたような形になった龍王は、ヨシュアの中心が反応していないことに気付く。
「おれは星宇に抱かれたい。星宇に抱かれることに満足している。星宇に抱かれて気持ちいいと思っているよ」
唇に、頬に、額に啄むように口付けを落としながら言うヨシュアに、龍王は胸を撫で下ろす。
「わたしもヨシュアを抱いていて気持ちいいです。ヨシュアが、わたししか愛さないとあの官吏に言ってくれたことを嬉しく思っています」
「おれと星宇はお互いがお互いの唯一だろう? 玉を賜ったのだから、星宇以外と結ばれることは考えられないよ」
お湯の中で膝の上に抱き上げられて抱き締められて、龍王はヨシュアに蕩けた微笑みを向けた。
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