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二部 晃と霧恵編
弱いアルファでいいですか? 5
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柔らかくて、暖かくて、良い匂いがしている。ふにふにと手で揉むと、とても気持ちが良くて心が落ち着く。
幼い頃から、こんな風にして安らいだ気持ちで眠ったことはなかった。お腹が空いていたり、暑かったり、寒かったり、喉が渇いていたり、床が硬かったり、ジメジメした布団は嫌な臭いがしたり。
寝ぼけながら擦り寄ると、優しく髪を撫でられる。その手の暖かさに、晃はうっとりと溺れた。
眼が覚めるとベッドに一人きりで、泣きたいような胸が痛くなる感情に、晃は戸惑っていた。目が覚めて一人などずっとそうだったのに、霧恵の残り香のするふかふかのベッドは、本人がいなければ寂しい場所だった。
「朝ご飯よ、起きていらっしゃい」
リビングから聞こえた声に、萎んで涙が出そうだった気持ちが、ふわっと浮き上がる。
恋はひとをこんなにも些細なことで一喜一憂させる。
「おはよう、霧恵さん。朝ご飯、作ってくれたんか?」
「お腹空いてるでしょう? 顔洗っていらっしゃい」
リビングのテーブルの上には、フレンチトーストとサラダ、ソーセージと目玉焼き、カップスープの朝ご飯が用意されていた。コーヒーを淹れる霧恵が、顔を洗ってでてきた晃に問いかける。
「お砂糖とミルクは?」
「ミルクは半分」
苦いコーヒーをブラックでは飲めないことを、霧恵の前で恥ずかしがることはない。何も取り繕わずミルクとコーヒーが半々のカフェオレもどきを作ってもらって、朝ご飯と一緒に頂いた。
霧恵の作るフレンチトーストはチーズが乗っていて、胡椒と塩で味付けされたものだった。
「おいひいれす」
「ゆっくり食べても誰も盗らないわよ。飲み込んでから喋ってね」
「ふぁい」
もぐもぐと咀嚼して、飲み込んでから、カフェオレを飲んで息を吐く。朝からこんな豪華な食事は久しぶりだった。
「今日はあたしは休みなんだけど、アナタは?」
「昼からバイトが入ってるけど、それ以外はなんもない」
「それじゃあ、ショッピングに行きましょう」
朝食の食器を教えてもらって食洗機に入れると、霧恵の服の中で一番地味なものを着せられて、晃は車で街に連れ出された。駐車場で車を止めた霧恵は、慣れた様子で高級そうなショップに入っていく。
「このシャツ、可愛いんじゃない? これも悪くないわね。パンツはもうちょっと細いサイズがないかしら? 上着はジャケットよりもロングカーディガンかパーカーが良いかもしれないわ」
次々と渡される服を試着室で着て、店員が出してきたサイズのものも試して、気が付けば、シャツから下着から靴まで一式どころか、何種類も揃っていた。
値札を見れば、一枚が晃の買っていたものより、丸が一つ多い。
「こ、これ……」
「あたしに飼われるのに、みすぼらしい格好なんてさせないわよ」
さっさとカードを切られてしまって、晃は大量の服を車に詰め込んで、試着室で買ったばかりの服に着替えさせられていた。クルーネックのシャツは、生地が良いのか風通しが良くて着心地が良いし、ロングカーディガンはさらりとした肌触りで、全然暑くない。パンツも脚にぴったりとしていて、靴も靴下も履き心地が良い。
「バイト先はどこ? 送っていくついでに、ご挨拶しておくわ」
「大学近くのカフェなんやけど」
定期付きのICカードは、財布の中に入れていたので無事だったので電車で通えるのだが、霧恵が送ってくれるというから甘えることにした。クラシックな駅前のカフェは、高校時代からバイトしていて、店長とも仲良くなっていた。
「こんにちは、初めまして。舞園霧恵と申します。うちの子をどうぞよろしくお願いします」
名刺を渡されて、店長は驚いているようだった。
霧恵が帰ってから、昨日の不審火から家が水浸しになったことを話す。
「暑うて、バテてしもて、タンクトップと短パンで寝てたら、急にサイレンの音が聞こえて、何かと思うたら、消防車に家が囲まれてたんです」
貴重品を握り締めてなんとか逃げ出したが、水浸しの家には戻れず、ファミレスで過ごした4時間程度。心細くて、ずっと泣いていたのに、それを話しても全然辛くないのは、霧恵が一晩中抱き締めてくれて、そばにいてくれたおかげだろう。
小心者の晃を知っている店長は心配してくれたが、霧恵に保護されたことで安心したようだった。
「良かったなぁ。あのひとが晃くんの番になってくれたら良いのにな」
オーラもないし、怯えてばかりで、カフェに来るアルファにオメガと勘違いされてナンパされる始末なので、晃は店長にもオメガと思われている。バース性は繊細な問題なので、アルファでオーラがダダ漏れていない限り、公にしないものだが、そういえば、霧恵にはアルファのようなオーラがあった。
「霧恵さんの番に……そんな、大胆な!」
なれたら嬉しい。
なりたいが、霧恵にとって晃はペットである。それだけでも、そばに置いて可愛がってもらえて、幸せだ。
賄い目当てで入ったカフェのバイトは、夕飯も付いてくる。夕方までの仕事を終えて、電車で帰るとインターフォンを押したら霧恵がドアを開けてくれた。
紺の革のキーケースを渡されて、そこにこの部屋の鍵が入っていることに気付いて、晃は喜んでそれを受け取った。
「はぁん……同棲状態やないか。あかん、幸せすぎて、俺、死にそうや」
考えていたことが口から漏れていたようで、リビングでお酒を飲んでいた霧恵が噴き出した。グラスに黒い泡立った飲み物を持ってきてくれて、晃はそれを飲んで霧恵と一緒に摘みを食べる。
「なんやろ、これ。シュワシュワして、ほろ苦くて、良い香りがして……」
「アイスカプチーノの炭酸割りよ。黒ビールみたいにコクがあって美味しいけど、ノンアルコールなの」
「ほええ、大人の味や」
ほろ苦くはあるが、炭酸水と氷で薄めてあるので、飲めないわけではない。少し大人になったような気分で、それをちびちびと飲みながら、晃はキーケースの革を指先で撫でていた。
思い付いたのは、革製品のこと。
携帯電話で検索していると、霧恵が液晶画面を覗き込む。
「それ、あたしに付けるつもり?」
開いていたのは、オメガがうなじを噛まれないように着ける鍵付きのチョーカーで、それもしっかりとした革で作られていた。アルファの晃が、オメガの霧恵に番いが出来ないようにと、婚約の証に贈るのが一般的なのかもしれないが、晃はオーラもないアルファである。
「普通は5歳くらいでバース性の検査で分かるやろ? 俺、10歳くらいまで分からんかったんや。俺のアルファとしての因子は、そんだけ、分かりにくいくらい、薄いってことなんや」
オーラもない出来損ないのアルファ。
オメガと間違われることの多い晃が道場を辞めて大学に進むと決めたら、両親はそう言って罵った。
「俺は、出来損ないなんや」
「出来損ないだったら、大学に受かってないわよ。アルファらしい生き方なんて、そんなものないの。アナタらしく生きれば良いのよ」
出来損ない。
両親など気にもしていないはずなのに、晃の胸にはその言葉が刺さっていた気がする。
「俺は、両親に大事にされたことがない。アルファと分かるまでは、両親は俺を放置しとった。分かったら手の平を返したように、道場に通わせて、師範代の座を奪えって言われたけど、あのひとたちの思う通りになんて、生きたくなかった」
強い決意を持って、霧恵の作ってくれたアイスカプチーノの炭酸割りを一気に飲み干すと、晃はグラスをテーブルに置いた。氷がグラスの中でからんと音を立てる。
「俺に、首輪をつけてください。霧恵さんのペットの証をください」
アルファからオメガに贈るなんていう常識は、晃には必要なかった。はっきりと目立つ所有の証があれば、オメガと間違われたとしても、晃にはアルファの相手がいると勘違いされて、身を守ることができる。
「可愛い子」
霧恵の指が晃の顎を掬って、軽く口付けられる。深い口付けを求めて目を閉じた晃の唇を、霧恵の舌が舐めた。
「首輪は明日、買ってあげましょうね。それと、アナタ、車の免許を取りなさい」
「俺が、車の免許を?」
「バイクでも良いのだけれど、バイクは生身で乗るから、車の方が安全だものね」
「でも、俺、なんもかんも、霧恵さんに頼り切って、ヒモみたいや」
ペットであることも、所有されることも、嬉しいくらいだが、霧恵のお金をただ消費するのは申し訳ないとしょげ返る晃の頬を、霧恵が両手でぶにっと押さえ付ける。
「アタシ、モデル事務所の経営もしてるのよ。マネージャーはいるんだけど、有能なひとだから、新人のオメガの子にできるだけ付いてて欲しくて、人手不足で困ってるの」
晃が免許を取って、霧恵の送迎をしてくれたり、食事の準備や家のことをしてくれたりして、アシスタントになってくれれば助かると言われて、晃は驚きに目を瞬かせた。免許の習得資金も、携帯の料金も、アシスタントになれば全て経費で落ちるのだという。
「それをやったら、霧恵さんは、助かるんか?」
「大助かりよ」
「やります」
バイト料の話もしないままに契約を結んだ晃は、翌日には首にブルーの革のチョーカーを付けられて、学生兼霧恵のアシスタントとして雇われることになった。
バイト先のカフェの店長は晃の首のチョーカーを見て、涙を流さんばかりに喜んで「良かったなぁ。幸せになるんだよ」と快く送り出してくれたのだった。
幼い頃から、こんな風にして安らいだ気持ちで眠ったことはなかった。お腹が空いていたり、暑かったり、寒かったり、喉が渇いていたり、床が硬かったり、ジメジメした布団は嫌な臭いがしたり。
寝ぼけながら擦り寄ると、優しく髪を撫でられる。その手の暖かさに、晃はうっとりと溺れた。
眼が覚めるとベッドに一人きりで、泣きたいような胸が痛くなる感情に、晃は戸惑っていた。目が覚めて一人などずっとそうだったのに、霧恵の残り香のするふかふかのベッドは、本人がいなければ寂しい場所だった。
「朝ご飯よ、起きていらっしゃい」
リビングから聞こえた声に、萎んで涙が出そうだった気持ちが、ふわっと浮き上がる。
恋はひとをこんなにも些細なことで一喜一憂させる。
「おはよう、霧恵さん。朝ご飯、作ってくれたんか?」
「お腹空いてるでしょう? 顔洗っていらっしゃい」
リビングのテーブルの上には、フレンチトーストとサラダ、ソーセージと目玉焼き、カップスープの朝ご飯が用意されていた。コーヒーを淹れる霧恵が、顔を洗ってでてきた晃に問いかける。
「お砂糖とミルクは?」
「ミルクは半分」
苦いコーヒーをブラックでは飲めないことを、霧恵の前で恥ずかしがることはない。何も取り繕わずミルクとコーヒーが半々のカフェオレもどきを作ってもらって、朝ご飯と一緒に頂いた。
霧恵の作るフレンチトーストはチーズが乗っていて、胡椒と塩で味付けされたものだった。
「おいひいれす」
「ゆっくり食べても誰も盗らないわよ。飲み込んでから喋ってね」
「ふぁい」
もぐもぐと咀嚼して、飲み込んでから、カフェオレを飲んで息を吐く。朝からこんな豪華な食事は久しぶりだった。
「今日はあたしは休みなんだけど、アナタは?」
「昼からバイトが入ってるけど、それ以外はなんもない」
「それじゃあ、ショッピングに行きましょう」
朝食の食器を教えてもらって食洗機に入れると、霧恵の服の中で一番地味なものを着せられて、晃は車で街に連れ出された。駐車場で車を止めた霧恵は、慣れた様子で高級そうなショップに入っていく。
「このシャツ、可愛いんじゃない? これも悪くないわね。パンツはもうちょっと細いサイズがないかしら? 上着はジャケットよりもロングカーディガンかパーカーが良いかもしれないわ」
次々と渡される服を試着室で着て、店員が出してきたサイズのものも試して、気が付けば、シャツから下着から靴まで一式どころか、何種類も揃っていた。
値札を見れば、一枚が晃の買っていたものより、丸が一つ多い。
「こ、これ……」
「あたしに飼われるのに、みすぼらしい格好なんてさせないわよ」
さっさとカードを切られてしまって、晃は大量の服を車に詰め込んで、試着室で買ったばかりの服に着替えさせられていた。クルーネックのシャツは、生地が良いのか風通しが良くて着心地が良いし、ロングカーディガンはさらりとした肌触りで、全然暑くない。パンツも脚にぴったりとしていて、靴も靴下も履き心地が良い。
「バイト先はどこ? 送っていくついでに、ご挨拶しておくわ」
「大学近くのカフェなんやけど」
定期付きのICカードは、財布の中に入れていたので無事だったので電車で通えるのだが、霧恵が送ってくれるというから甘えることにした。クラシックな駅前のカフェは、高校時代からバイトしていて、店長とも仲良くなっていた。
「こんにちは、初めまして。舞園霧恵と申します。うちの子をどうぞよろしくお願いします」
名刺を渡されて、店長は驚いているようだった。
霧恵が帰ってから、昨日の不審火から家が水浸しになったことを話す。
「暑うて、バテてしもて、タンクトップと短パンで寝てたら、急にサイレンの音が聞こえて、何かと思うたら、消防車に家が囲まれてたんです」
貴重品を握り締めてなんとか逃げ出したが、水浸しの家には戻れず、ファミレスで過ごした4時間程度。心細くて、ずっと泣いていたのに、それを話しても全然辛くないのは、霧恵が一晩中抱き締めてくれて、そばにいてくれたおかげだろう。
小心者の晃を知っている店長は心配してくれたが、霧恵に保護されたことで安心したようだった。
「良かったなぁ。あのひとが晃くんの番になってくれたら良いのにな」
オーラもないし、怯えてばかりで、カフェに来るアルファにオメガと勘違いされてナンパされる始末なので、晃は店長にもオメガと思われている。バース性は繊細な問題なので、アルファでオーラがダダ漏れていない限り、公にしないものだが、そういえば、霧恵にはアルファのようなオーラがあった。
「霧恵さんの番に……そんな、大胆な!」
なれたら嬉しい。
なりたいが、霧恵にとって晃はペットである。それだけでも、そばに置いて可愛がってもらえて、幸せだ。
賄い目当てで入ったカフェのバイトは、夕飯も付いてくる。夕方までの仕事を終えて、電車で帰るとインターフォンを押したら霧恵がドアを開けてくれた。
紺の革のキーケースを渡されて、そこにこの部屋の鍵が入っていることに気付いて、晃は喜んでそれを受け取った。
「はぁん……同棲状態やないか。あかん、幸せすぎて、俺、死にそうや」
考えていたことが口から漏れていたようで、リビングでお酒を飲んでいた霧恵が噴き出した。グラスに黒い泡立った飲み物を持ってきてくれて、晃はそれを飲んで霧恵と一緒に摘みを食べる。
「なんやろ、これ。シュワシュワして、ほろ苦くて、良い香りがして……」
「アイスカプチーノの炭酸割りよ。黒ビールみたいにコクがあって美味しいけど、ノンアルコールなの」
「ほええ、大人の味や」
ほろ苦くはあるが、炭酸水と氷で薄めてあるので、飲めないわけではない。少し大人になったような気分で、それをちびちびと飲みながら、晃はキーケースの革を指先で撫でていた。
思い付いたのは、革製品のこと。
携帯電話で検索していると、霧恵が液晶画面を覗き込む。
「それ、あたしに付けるつもり?」
開いていたのは、オメガがうなじを噛まれないように着ける鍵付きのチョーカーで、それもしっかりとした革で作られていた。アルファの晃が、オメガの霧恵に番いが出来ないようにと、婚約の証に贈るのが一般的なのかもしれないが、晃はオーラもないアルファである。
「普通は5歳くらいでバース性の検査で分かるやろ? 俺、10歳くらいまで分からんかったんや。俺のアルファとしての因子は、そんだけ、分かりにくいくらい、薄いってことなんや」
オーラもない出来損ないのアルファ。
オメガと間違われることの多い晃が道場を辞めて大学に進むと決めたら、両親はそう言って罵った。
「俺は、出来損ないなんや」
「出来損ないだったら、大学に受かってないわよ。アルファらしい生き方なんて、そんなものないの。アナタらしく生きれば良いのよ」
出来損ない。
両親など気にもしていないはずなのに、晃の胸にはその言葉が刺さっていた気がする。
「俺は、両親に大事にされたことがない。アルファと分かるまでは、両親は俺を放置しとった。分かったら手の平を返したように、道場に通わせて、師範代の座を奪えって言われたけど、あのひとたちの思う通りになんて、生きたくなかった」
強い決意を持って、霧恵の作ってくれたアイスカプチーノの炭酸割りを一気に飲み干すと、晃はグラスをテーブルに置いた。氷がグラスの中でからんと音を立てる。
「俺に、首輪をつけてください。霧恵さんのペットの証をください」
アルファからオメガに贈るなんていう常識は、晃には必要なかった。はっきりと目立つ所有の証があれば、オメガと間違われたとしても、晃にはアルファの相手がいると勘違いされて、身を守ることができる。
「可愛い子」
霧恵の指が晃の顎を掬って、軽く口付けられる。深い口付けを求めて目を閉じた晃の唇を、霧恵の舌が舐めた。
「首輪は明日、買ってあげましょうね。それと、アナタ、車の免許を取りなさい」
「俺が、車の免許を?」
「バイクでも良いのだけれど、バイクは生身で乗るから、車の方が安全だものね」
「でも、俺、なんもかんも、霧恵さんに頼り切って、ヒモみたいや」
ペットであることも、所有されることも、嬉しいくらいだが、霧恵のお金をただ消費するのは申し訳ないとしょげ返る晃の頬を、霧恵が両手でぶにっと押さえ付ける。
「アタシ、モデル事務所の経営もしてるのよ。マネージャーはいるんだけど、有能なひとだから、新人のオメガの子にできるだけ付いてて欲しくて、人手不足で困ってるの」
晃が免許を取って、霧恵の送迎をしてくれたり、食事の準備や家のことをしてくれたりして、アシスタントになってくれれば助かると言われて、晃は驚きに目を瞬かせた。免許の習得資金も、携帯の料金も、アシスタントになれば全て経費で落ちるのだという。
「それをやったら、霧恵さんは、助かるんか?」
「大助かりよ」
「やります」
バイト料の話もしないままに契約を結んだ晃は、翌日には首にブルーの革のチョーカーを付けられて、学生兼霧恵のアシスタントとして雇われることになった。
バイト先のカフェの店長は晃の首のチョーカーを見て、涙を流さんばかりに喜んで「良かったなぁ。幸せになるんだよ」と快く送り出してくれたのだった。
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