俺は貴女に抱かれたい

秋月真鳥

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一部 玲と松利編

猫を助けたら美女に嫁に貰われた件 6

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 道場で汗をかいてくるので、玲と操は大抵、夕食の前にシャワーを浴びる。長い髪をときどきはちゃんと洗えているかチェックするために、操と一緒に入ることがあるのだが、松利とは時間が合わないので一緒に入れないことが玲は若干悔しかった。
 その日は松利が夕飯の当番で、炊き込みご飯と豚汁、鰆の西京焼きにもやしのナムルという献立だった。デザートには杏仁豆腐が付いてくる。

「師匠のご飯も美味しいけど、松利さんのご飯も、みさお、大好きなのです!」

 炊き込みご飯と豚汁をお代わりして、デザートまで食べ終えた操は、本日最後の猫のご飯をあげている。4回目だというのに、餌用の皿の前で、二匹はみゃうみゃうと甘えた声を出して待っていた。
 トイレも覚えて問題なくできるし、夜はリビングで自由にさせている。
 晩ご飯の片付けが終わって、松利がシャワーを浴びている間、玲は今夜のことで頭がいっぱいだった。発情期の間は毎日松利の部屋に行って抱き合っていた肉欲の日々を経て、松利がこの家に引っ越してきてくれた日から、ベッドが小さくて一緒に寝られないことに気付いて、玲は自分の失態に気付いた。
 客間に布団を敷いて二人で寝るのは良いのだが、隣りの部屋は操の部屋で、「可愛い声が聞こえてまうで?」と松利を抱いても良かったのだが、問題は夜に活発になる好奇心旺盛な子猫たちだった。
 客間は和室なので、障子は見事に破かれてしまった。そこから入ってくる子猫たちは、松利と玲の甘い雰囲気を読んでくれるはずもなく、布団に入り込み、松利の胸を踏み踏み揉み揉みして、玲の脚の間で寝る始末である。これではやることもできない。
 何よりあの豊かな松利の胸を、踏み踏み揉み揉みしているのが、玲には羨ましくてたまらない。
 速攻でキングサイズのベッドの購入を決めて、寝室に柵を付けて猫たちが入れないようにしたのだが、松利の体が大きいので、ベッドの規格が海外のものになってしまって、輸入と輸送に時間がかかるということで、結局一ヶ月の禁欲生活を強いられてしまった。
 それも今日で終わり。
 目が会うたびに頬を染めて目を伏せる松利は、明らかに「今夜は抱いてください」という顔をしていたし、漸く届いたベッドは松利が組み立てて寝室に設置してあるのだ。
 確認して、シワなくシーツの敷かれたベッドの上で跳ねてみたが、頑丈でスプリングがきいていて、かなり寝心地がいい。

「最高の夜になりそうや」

 にやける玲の顔を生ぬるく見守って、「もう寝ますね。おやすみなさい」と言いにきた操がそそくさと部屋に戻って行った。廊下で操とすれ違った松利が「おやすみ、操ちゃん」と声をかけて寝室に来る気配がする。
 ドアも閉めて猫用の柵も閉めて甘い香りを漂わせなから、松利が玲の座っているベッドに近付いてくる。簡単に浴衣を引っ掛けただけの玲と、パジャマを着た松利。甘いのはシャンプーやボディソープの香りだけではない。

「来て、松利さん」
「はい、玲さん」

 ベッドで並んで座った松利の手に、玲は真珠色のリボンのかかった小箱を手渡した。驚いて目を丸くしている松利の手の平の上でそれを開けると、中にはシンプルなプラチナの平形で、引っかからないようにパープルのサファイヤが一粒埋め込まれた指輪が一対入っていた。大きい方が松利のもの、小さい方が玲のものだ。

「注文してたのが、今日やっと出来上がったって連絡があったんよ。松利さん、うちと結婚しよね?」
「こ、これ……」
「サファイヤを指輪に付けた花嫁さんは幸せになるって言われてるんやて。松利さんの色やで」

 珍しいパープルのサファイヤは、松利の目をイメージしたものだった。手を取って指に嵌められて、潤んだ目で松利が玲を見詰める。その唇に軽くキスをして、玲も左手を差し出した。
 松利の大きな手が、玲の手に壊れ物のように丁寧に指輪を嵌める。

「愛してます、玲さん」
「うちも、愛してる」

 箱をサイドテーブルに置いて、抱き合いながら口付ける。互いに脱がせ合い、舌を絡めながら、それぞれの手が相手の肌を這う。

「ひぅっ!」

 パジャマのズボンを下ろして、下着も下ろして露わになった松利の形のいい尻を揉んで、玲は違和感に気付いた。双丘の狭間に指が入ると、そこが濡れているのが分かった。

「準備してくれたんか?」
「あ、の……恥ずかしいんですけど、玲さんが触るだろうから、綺麗にしておこうと洗ってたら……」

 自然と濡れてきたのだという。
 発情期ではない限り男性のオメガは濡れないので、ローションを用意して万全の体制だったはずだが、松利は丁寧に中まで洗っていたらそこが自然と滑りけを帯びてきたと真っ赤になって教えてくれた。
 まるで女性のような反応に、玲の喉がなる。
 視界に入ったのは、サイドテーブルの上の箱と真珠色のリボンだった。

「変、ですよね? 嫌、ですか?」
「うちのもんになったみたいで、うれしわぁ」

 くふりと笑って全て脱がせてしまうと、玲は松利の体をシーツの上に押し倒した。発情期のときに反応していた中心は、玲が松利に反応して生える男性の性器に相当するものと同じくらい逞しく立派である。

「ここ、うちに抱かれたとき、何度も達してたよなぁ?」
「き、もちよかった、ですから」

 真っ赤になりながらボソボソと答える松利に、しゅるりと玲は真珠色のリボンを伸ばして見せた。何をされるのかと紫がかった目で見ている松利の幹の根元に、くるくると巻き付けて、リボン結びにしてしまう。

「あぅっ……こ、れだと、出せない」
「松利さんは、ここをうちのここに入れたいって思う?」

 凶悪な大きさの一物の後ろには、玲の慎ましやかに閉じた女性器がある。そこを示す玲に、松利は目を見開いて驚いていた。
 アルファとして生まれて、そこを使うつもりは玲には全くなかった。何で生えるし、産んでもらえるのに、そちらを使わねばならないのか。
「いいえ、俺は、玲さんに抱かれたいです。ずっと俺のこと、抱いてください」
 真剣に、必死に懇願する松利は、逆を求められるかもしれないと怯えたのだろうか。不安そうな様子に、何度かキスをして宥めて、リボンで戒められた中心を撫でる。これからの夜の予感に、そこは勃ち上がりかけていたが、まだ育ちきってはいなかった。

「別に痛いことや怖いことをしたいわけやないんや。それは分かって欲しい。ただ、松利さんに、ほんまにうちだけのもんになって欲しいだけなんや」

 前で達することなく、中だけで玲を感じて欲しい。
 それは男性のオメガであるという松利を、完全な雌に変えてしまう方法だった。

「……中で、玲さんだけを感じて……分かりました。それで、あなたのものになれるのなら」
「どうしても痛くて我慢ができんようになったら教えてな? 傷付けたり、怖がらせたりしたいわけやないねん」

 ただ松利を自分だけのものにして、深く深く愛したいだけ。
 そう告げる玲に、松利は素直に頷いた。
 口付けを交わしながら、豊かな胸を揉むと、色付く胸の頂が尖ってくる。それを摘んで捏ねて、吸えば、松利の喉から「あぁ!」と快感の声が上がる。

「ちゃーちゃんと、はいちゃんが、遠慮なくここを揉んでるのに、どれだけうちがしたかったか」
「ちゃーちゃんと、はいちゃんは……あぁんっ! しかたなっ、ひぁ!」

 胸を捏ね回し、尖りを摘んで引っ張ると、松利の体が跳ねる。存分にそこに触れる頃には、堰き止められて達せない松利の中心は、苦しげにとろとろと透明な液体を腹に垂らしていた。

「痛くない?」
「少し……でも、平気、です。それより、こっち……」

 我慢ができないのか、脚を広げて露わにする後孔は、ぐっしょりと濡れている。腰が浮くくらいまで脚を曲げさせて、玲はそこに舌を這わせた。

「うぁっ! だ、めぇ! きたないぃ!」
「綺麗にしてくれたんやろ。松利さんに汚いところなんて、どっこもない」

 ぜぇんぶ可愛い。
 舌を差し込んでくちゅくちゅと舐め溶かして行くと、松利の目から涙が溢れる。前は堰き止められているし、後ろは舐められているし、苦しさと快感で訳が分からなくなってきたのだろう。

「いれ、てぇ! ください、れい、さん! れい、さぁん!」

 初めてのときに、欲しければ呼べと言った。それを忠実に守って、玲の名前を繰り返す松利に、舌を引き抜いて、玲は自らの中心を入り口に宛がった。はくはくと開閉するそこは、玲を飲み込もうとしている。

「今日はこれくらいにしとく?」
「へ、へいき。れいさんの、めすにしてぇ!」

 苦しげな中心のリボンを解こうとする玲の手を払って、きゅっと松利が入り口を締める。飲み込まれそうな先端が締め付けられて、玲はうっとりと微笑んだ。

「良い子や、松利さん。可愛いで」
「あぁっ! ひぁぁぁ!?」

 腰を掴んで一気に貫くと、松利の喉から悲鳴が漏れた。操の部屋とは離れているし、可愛い声が誰かに聞かれることもない。
 奥まで貫いて、ごりごりと最奥を先端で擦り上げると、松利の中心は既に萎えているのに、中がぐにぐにと蠢いて絶頂しているのが分かる。中だけで達しているのを確認して、絡み付く内壁を引き剥がすようにして玲は腰を引き、また奥まで貫く。
 肉のぶつかり合う音と、濡れた隠微な音に、松利の喘ぎ声が混じって、玲も最高潮に達しつつあった。

「なかで、出すで?」
「だしてぇ! れいさんの、いっぱいにしてぇ!」

 泣いて強請る松利の最奥まで突き上げて、そこで白濁を吐き出す。放たれたにのも絶頂したのだろう、ひくひくと松利の体が震えて、唇から唾液が伝っていた。
 絶頂の余韻に浸りながら松利の胸に倒れ込むと、逞しい腕に抱き締められる。

「れい、さん……おれ、じょうずに、できました?」

 萎えた中心からリボンを外しても、とぷりと透明な液が溢れただけで、前では達していないのを確かめて、玲は松利にキスをする。

「めっちゃ上手やった。可愛かったで」
「よかった……」

 ほろほろと涙を流す松利は可愛くて、繋がったままだった玲のものが中で力を取り戻す。再び動き出して内壁を擦り上げても、中だけで快感を拾えるようになった松利の中心は、透明な液を零すだけで、勃ち上がりもしなくなっていた。
 事後にはシャワーを浴びて、玲は松利のサイズで誂えさせた寝間着用の浴衣を松利に着せた。

「こういうの、俺、着るのが下手なのか、起きると帯だけになってるんですよね」
「うちもそんなもんやで。目が覚めたら、寝乱れた松利さんが見られるなんて、最高やない?」
「そ、そういう目的ですか!?」
「松利さんも、寝乱れたうちを、見たくない?」

 最初に抱き合った際に、胸に触れたがったことから、松利も普通の男性のように玲の胸に興味があるようだとは分かっていた。浴衣の袷から手を重ねて胸に導くと、柔くそこを揉まれる。

「うちのここ、好きやろ? 触ってもええで。倍返しで触るけど」

 ベッドに押し倒した松利の胸を、お返しに揉んでいるととろりと松利の目が情欲に蕩けてくる。

「もう一回、しはる?」

 道場の師範代である玲は体力には自信があるし、松利も営業で毎日歩き回って体力があった。明日も松利は会社には出なくて良い日の筈だ。
 頷いた松利の了承を得て、玲は再び松利の体を探り始めた。
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