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僕が抱かれるはずがない! ~僕の可愛いひと~
僕の可愛いひと 2
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両親のヘイミッシュとスコット、兄のラクラン、ハワード家の里子でラクランの夫になった理人、それに愛する伴侶のジェイムズ。興味のほとんどは彼らにあるエルドレッドだが、友人がいないわけではない。
学校の同級生にも友人はいなかったわけではないが、どちらかといえば年上との方が付き合いやすいのは、幼い頃からエルドレッドが頭が良く、ラクランやヘイミッシュやスコットと同等に話していたからかもしれない。
大学の教授とは仲良くできるのだが、ゼミの同級生は若干苦手だったりする。
「エルドレッドと結婚した相手が羨ましいな。毎晩、この美形を泣かせてるんだろう?」
声をかけてくる同級生にうんざりとするのも、いつものこと。整った顔立ちは目を引きやすいようで、結婚前には男女問わず全く嬉しくないお誘いがたくさん来たし、年上の男性と結婚したと聞けば男性から下卑た想像を交えたお誘いが来る。その男性の脳内でエルドレッドが喘いで泣いているのを妄想されているのも鳥肌が立つほど気持ち悪かったが、逆にジェイムズの可愛い姿を妄想でもされた日には、外見はヘイミッシュに似たが腕力はスコット似のエルドレッドだ、殴り掛かって病院送りにしない自信がなかった。
「馬鹿げた妄想で僕を劣情の玩具にしないで欲しいね。そういうのを、セクハラって言うんだけど、下半身にしか栄養が行ってない男は、理解できないんだろうね。そもそも、僕は愛するひと以外に発情するような、ケダモノ以下の知能じゃないんでね」
絶対零度の眼差しを向けて言い放ち、エルドレッドは教授の指導を受けるべく、部屋に入っていく。ドアを開けると、なぜかジェイムズが両手で顔を覆って、しゃがみ込んでいる。一緒に暮らし始めて、食生活を改善してからかなり不摂生はなくなったが、その名残で気分でも悪くなったのかと覗き込めば、ジェイムズは耳まで真っ赤になっていた。
「君、時々すごく男らしくてかっこいいよね」
「そう? 僕にとってはジェイムズが男らしくてかっこよくて可愛いけど」
立つのに手を貸していると、部屋の奥にいた教授が二人の惚気に苦笑していた。
結婚後も大学でジェイムズは教授の助手をしながら、研究を続けている。その教授に、エルドレッドも師事していた。
大学時代はヘイミッシュと同級生だったという教授は、エルドレッドを見るときにその穏やかな瞳に懐かしさが宿る。身長はエルドレッドの方が少しだけ低いが、顔立ちはよく似ていると祖父母にも言われていた。
「ヘイミッシュとスコットの二人を思い出すよ」
大学の同級生が開いた結婚のお祝いパーティーで、飲み物に薬物が混ぜられていて、大騒ぎになっている間にスコットの姿が見えなくなって、遅れてきたヘイミッシュが話を聞いて助けに行ったという二人。そういうことがあった話を聞いていたせいか、ジェイムズとエルドレッドは、結婚お祝いのパーティーを開いてくれるという話は断っていた。
「二人みたいな万年新婚夫婦になるつもりです」
ジェイムズの腕に腕を絡ませてにっと微笑むと、ジェイムズが慌てて顔を真っ赤にして、教授が「二人は相変わらずか」と朗らかに笑う。21歳のエルドレッドは、二人が結婚した年よりも一つ上になっていた。
車を二台使うのはガソリンの効率が悪いのもあるし、どうせならばジェイムズと一緒に帰りたいというエルドレッドの気持ちもあって、片方が極端に遅くなる日と休みの日以外は、図書館で待ち合わせをしてエルドレッドが車を運転して帰っていた。
「少しくらい付き合ってもいいだろう。一杯だけで開放するから」
「僕の大事なひとが待っているんで、お断りするよ」
「その大事なひとの話を聞きたいんだよ。ほら、彼ものすごく綺麗だし、若いし、凄いんじゃないの?」
授業が終わって図書館に入ろうとしたところで、入り口付近で話し声がして、エルドレッドは足を止めた。片方の声は間違いなくエルドレッドの愛するひと、ジェイムズのものに違いない。もう片方は、ジェイムズの同僚だろうか。
「へぇ、君は同僚の結婚相手を、そういう目で見るのか。そういうのを、なんて言うか知ってるか? 下衆っていうんだよ、出直して来い!」
ガンッと壁を蹴る音がして、怯えた様子の男性が図書館から走り出てくる。
「ジェイムズさん、図書館ではお静かに」
司書職員が声をかけるのに「すみません」と穏やかに謝るジェイムズの声に、エルドレッドはその場に座り込んでしまった。
どちらかといえばボーッとしている印象で、いつもふわふわにこにこしていて、時々盛大な勘違いをする可愛い印象のジェイムズが、エルドレッドが関わると怒りを露わにするなんて。そんな姿は見たことがなくて、心臓が早鐘のように打って、耳が熱い。
昼間に教授の部屋で、ジェイムズが座り込んでいた理由が、エルドレッドにはようやく分かった気がした。
「エルドレッド? もしかして、今出て行った男に、なにか言われた?」
図書館から出てきたジェイムズが、座り込んでいるエルドレッドに気付いて、守るように抱き締めて、周囲を伺う。
「そうじゃなくて……ジェイムズ、かっこいい。どうしよう、抱きたい」
ぎゅっとその胸に縋り付いて、興奮に潤んだ瞳で至近距離から焦げ茶色の目を見上げれば、ジェイムズも耳まで真っ赤になってきょろきょろと周囲を伺い、人気がないことを確認してから、口付けてくれた。
「家に、帰ってから」
「帰ろう、ジェイムズ」
腕を絡めて歩いて、駐車場まで行く。車に乗り込んでからも、ときめきに動悸が抑えられず、エルドレッドは信号待ちで停車した隙に、ジェイムズのスラックスの上から膝を撫でた。
「あっ……っ、エルドレッド!」
思わずといった風情で漏れ出た甘い声に、期待に喉が鳴る。
お互いに腰を抱いてコンシェルジュに挨拶をして通り過ぎて、エレベーターの扉が閉まるや否や、抱き合って口付けあった。
普段ならば夕食を優先するのに、我慢ができる気がせずに、エレベーターが止まって、玄関を潜ってドアに鍵を閉めると、絡み合うようにしてバスルームに入る。
熱いシャワーを浴びながら、お互いに手で泡立てたボディソープを体に擦り付けあうのも、そのついでに悪戯に中心に触れるのも、興奮を高めるだけで、バスローブを纏って、ベッドに雪崩れ込んだときには、エルドレッドの中心もジェイムズの中心も、そそり立っていた。
「愛してる、ジェイムズ。僕の可愛いひと」
「んっ、エルドレッドの、方が……あぁっ!」
豊かな大胸筋を揉んで、胸の尖りをくりくりと捏ねると、ジェイムズの唇から嬌声が漏れる。ほの赤く色付いてエルドレッドを誘うようだったそこは、何度も可愛がっているうちに、前よりもぷっくりと主張してきて、ますます触って欲しそうに見える。
きゅっと指で摘むと、ジェイムズの腰が跳ね、白い胸が弓なりに反った。
腹のあたりに濡れた感触がして、エルドレッドはジェイムズの中心を握る。白濁を吐き出したすぐのそこは、力を失っていた。
「胸だけでイけるようになったの?」
「き、君が、たくさん触るから……」
恥ずかしいのか涙目になっているジェイムズは、その表情がエルドレッドを煽るだけとは知らない。滑る白濁を指で掬って、ジェイムズの双丘に狭間に指を這わせると、何度も抱いて慣れたそこは、既に滑りを帯びていた。
後孔の滑りとジェイムズの白濁を混ぜて塗り込むように指を滑り込ませると、ジェイムズが腰を浮かせて、物欲しげにきゅうきゅうと指を締め付ける。前で達しても、後ろに刺激がなければ満足できない体になっていることに、ジェイムズは気付いているのだろうか。
「可愛い僕のジェイムズ、よく見えるように、脚を持ってて?」
「やっ……エルドレッド、焦らさないで」
半泣きになりながらも、自ら脚を支えて、後孔を晒すジェイムズの姿は煽情的過ぎて、エルドレッドも我慢の限界だった。引き締まった腰を捉えて、後孔に先端を宛てがい、一気に貫く。
「ひっ、ーーーーーーっ!」
「いき、してる? ジェイムズ、きつい……はっ……きつくて、気持ちいいよ?」
息を詰めたジェイムズは声も出ないのだろう、中が蠢いて締め付けるのが悦過ぎて、持っていかれそうになるのを、エルドレッドは歯を食いしばって耐えた。ぼろぼろとジェイムズの目から溢れるのは、快感の涙。それを舌で舐めとり、ゆっくりと腰を動かす。
「あっ! あぁっ! んっ、ぁっ!」
最奥を突くたびに、短い嬌声を上げるジェイムズが、快楽の波に溺れているのは、明らかだった。胸の尖りにかりりと噛み付くと、締め付けが一層強くなる。
ジェイムズの可愛い声を聞きながら、エルドレッドは最奥で欲望を解き放っていた。
「セックスなんていらないって、最初二人とも言ってたのに、もう、君に抱かれない人生なんて考えられない」
欲望のままに体を交わして、どろどろになった二人は、シャワーを浴びて、バスローブでソファに座っていた。後ろに腰かけたジェイムズの脚の間に、エルドレッドが座るような格好で、後ろから抱き締められている。背中にジェイムズの分厚い胸板を感じて、エルドレッドは事後の気怠さで目を閉じて、体の力を抜いて完全にリラックスしきっていた。
「ジェイムズが、選んでくれたからだよ」
最初が運命だったとしても、お互いに抱く方しか想定してなかった二人を、深く結びつけたのは、ジェイムズの英断だったとしか言えない。
「それは……そうさせても良いってくらい、エルドレッドが、僕のこと愛してるって分からせてくれたからだよ」
そんな評価をもらえるのならば、慣れない料理を習って、ジェイムズを甘やかした甲斐があるというもの。
きゅるると可愛く鳴き出した二人の腹の虫に、エルドレッドは目を開け、ジェイムズと顔を見合わせて笑い合う。
「デリバリーで何か食べよっか」
「僕がデブになっても、変わらず愛してよね?」
毎食規則正しく食べているうちに、食べないとお腹が空くことを思い出したというジェイムズに、エルドレッドの返事は「もちろん」以外なかった。
後日、エルドレッドに下卑たことを言って誘いをかけてきた同級生が、「お前の旦那、超怖い」と震えて逃げていったのに、エルドレッドは目を丸くすることになる。
自分に絡んできた相手と同様に、ジェイムズはエルドレッドに誘いをかけるあいてにも、壁を足で蹴るようなことをしたようで、それが噂になって、エルドレッドが大学で声をかけられることはなくなった。
嫉妬深くて、男らしくて、かっこよくて、可愛い、エルドレッドの運命のひと。
学校の同級生にも友人はいなかったわけではないが、どちらかといえば年上との方が付き合いやすいのは、幼い頃からエルドレッドが頭が良く、ラクランやヘイミッシュやスコットと同等に話していたからかもしれない。
大学の教授とは仲良くできるのだが、ゼミの同級生は若干苦手だったりする。
「エルドレッドと結婚した相手が羨ましいな。毎晩、この美形を泣かせてるんだろう?」
声をかけてくる同級生にうんざりとするのも、いつものこと。整った顔立ちは目を引きやすいようで、結婚前には男女問わず全く嬉しくないお誘いがたくさん来たし、年上の男性と結婚したと聞けば男性から下卑た想像を交えたお誘いが来る。その男性の脳内でエルドレッドが喘いで泣いているのを妄想されているのも鳥肌が立つほど気持ち悪かったが、逆にジェイムズの可愛い姿を妄想でもされた日には、外見はヘイミッシュに似たが腕力はスコット似のエルドレッドだ、殴り掛かって病院送りにしない自信がなかった。
「馬鹿げた妄想で僕を劣情の玩具にしないで欲しいね。そういうのを、セクハラって言うんだけど、下半身にしか栄養が行ってない男は、理解できないんだろうね。そもそも、僕は愛するひと以外に発情するような、ケダモノ以下の知能じゃないんでね」
絶対零度の眼差しを向けて言い放ち、エルドレッドは教授の指導を受けるべく、部屋に入っていく。ドアを開けると、なぜかジェイムズが両手で顔を覆って、しゃがみ込んでいる。一緒に暮らし始めて、食生活を改善してからかなり不摂生はなくなったが、その名残で気分でも悪くなったのかと覗き込めば、ジェイムズは耳まで真っ赤になっていた。
「君、時々すごく男らしくてかっこいいよね」
「そう? 僕にとってはジェイムズが男らしくてかっこよくて可愛いけど」
立つのに手を貸していると、部屋の奥にいた教授が二人の惚気に苦笑していた。
結婚後も大学でジェイムズは教授の助手をしながら、研究を続けている。その教授に、エルドレッドも師事していた。
大学時代はヘイミッシュと同級生だったという教授は、エルドレッドを見るときにその穏やかな瞳に懐かしさが宿る。身長はエルドレッドの方が少しだけ低いが、顔立ちはよく似ていると祖父母にも言われていた。
「ヘイミッシュとスコットの二人を思い出すよ」
大学の同級生が開いた結婚のお祝いパーティーで、飲み物に薬物が混ぜられていて、大騒ぎになっている間にスコットの姿が見えなくなって、遅れてきたヘイミッシュが話を聞いて助けに行ったという二人。そういうことがあった話を聞いていたせいか、ジェイムズとエルドレッドは、結婚お祝いのパーティーを開いてくれるという話は断っていた。
「二人みたいな万年新婚夫婦になるつもりです」
ジェイムズの腕に腕を絡ませてにっと微笑むと、ジェイムズが慌てて顔を真っ赤にして、教授が「二人は相変わらずか」と朗らかに笑う。21歳のエルドレッドは、二人が結婚した年よりも一つ上になっていた。
車を二台使うのはガソリンの効率が悪いのもあるし、どうせならばジェイムズと一緒に帰りたいというエルドレッドの気持ちもあって、片方が極端に遅くなる日と休みの日以外は、図書館で待ち合わせをしてエルドレッドが車を運転して帰っていた。
「少しくらい付き合ってもいいだろう。一杯だけで開放するから」
「僕の大事なひとが待っているんで、お断りするよ」
「その大事なひとの話を聞きたいんだよ。ほら、彼ものすごく綺麗だし、若いし、凄いんじゃないの?」
授業が終わって図書館に入ろうとしたところで、入り口付近で話し声がして、エルドレッドは足を止めた。片方の声は間違いなくエルドレッドの愛するひと、ジェイムズのものに違いない。もう片方は、ジェイムズの同僚だろうか。
「へぇ、君は同僚の結婚相手を、そういう目で見るのか。そういうのを、なんて言うか知ってるか? 下衆っていうんだよ、出直して来い!」
ガンッと壁を蹴る音がして、怯えた様子の男性が図書館から走り出てくる。
「ジェイムズさん、図書館ではお静かに」
司書職員が声をかけるのに「すみません」と穏やかに謝るジェイムズの声に、エルドレッドはその場に座り込んでしまった。
どちらかといえばボーッとしている印象で、いつもふわふわにこにこしていて、時々盛大な勘違いをする可愛い印象のジェイムズが、エルドレッドが関わると怒りを露わにするなんて。そんな姿は見たことがなくて、心臓が早鐘のように打って、耳が熱い。
昼間に教授の部屋で、ジェイムズが座り込んでいた理由が、エルドレッドにはようやく分かった気がした。
「エルドレッド? もしかして、今出て行った男に、なにか言われた?」
図書館から出てきたジェイムズが、座り込んでいるエルドレッドに気付いて、守るように抱き締めて、周囲を伺う。
「そうじゃなくて……ジェイムズ、かっこいい。どうしよう、抱きたい」
ぎゅっとその胸に縋り付いて、興奮に潤んだ瞳で至近距離から焦げ茶色の目を見上げれば、ジェイムズも耳まで真っ赤になってきょろきょろと周囲を伺い、人気がないことを確認してから、口付けてくれた。
「家に、帰ってから」
「帰ろう、ジェイムズ」
腕を絡めて歩いて、駐車場まで行く。車に乗り込んでからも、ときめきに動悸が抑えられず、エルドレッドは信号待ちで停車した隙に、ジェイムズのスラックスの上から膝を撫でた。
「あっ……っ、エルドレッド!」
思わずといった風情で漏れ出た甘い声に、期待に喉が鳴る。
お互いに腰を抱いてコンシェルジュに挨拶をして通り過ぎて、エレベーターの扉が閉まるや否や、抱き合って口付けあった。
普段ならば夕食を優先するのに、我慢ができる気がせずに、エレベーターが止まって、玄関を潜ってドアに鍵を閉めると、絡み合うようにしてバスルームに入る。
熱いシャワーを浴びながら、お互いに手で泡立てたボディソープを体に擦り付けあうのも、そのついでに悪戯に中心に触れるのも、興奮を高めるだけで、バスローブを纏って、ベッドに雪崩れ込んだときには、エルドレッドの中心もジェイムズの中心も、そそり立っていた。
「愛してる、ジェイムズ。僕の可愛いひと」
「んっ、エルドレッドの、方が……あぁっ!」
豊かな大胸筋を揉んで、胸の尖りをくりくりと捏ねると、ジェイムズの唇から嬌声が漏れる。ほの赤く色付いてエルドレッドを誘うようだったそこは、何度も可愛がっているうちに、前よりもぷっくりと主張してきて、ますます触って欲しそうに見える。
きゅっと指で摘むと、ジェイムズの腰が跳ね、白い胸が弓なりに反った。
腹のあたりに濡れた感触がして、エルドレッドはジェイムズの中心を握る。白濁を吐き出したすぐのそこは、力を失っていた。
「胸だけでイけるようになったの?」
「き、君が、たくさん触るから……」
恥ずかしいのか涙目になっているジェイムズは、その表情がエルドレッドを煽るだけとは知らない。滑る白濁を指で掬って、ジェイムズの双丘に狭間に指を這わせると、何度も抱いて慣れたそこは、既に滑りを帯びていた。
後孔の滑りとジェイムズの白濁を混ぜて塗り込むように指を滑り込ませると、ジェイムズが腰を浮かせて、物欲しげにきゅうきゅうと指を締め付ける。前で達しても、後ろに刺激がなければ満足できない体になっていることに、ジェイムズは気付いているのだろうか。
「可愛い僕のジェイムズ、よく見えるように、脚を持ってて?」
「やっ……エルドレッド、焦らさないで」
半泣きになりながらも、自ら脚を支えて、後孔を晒すジェイムズの姿は煽情的過ぎて、エルドレッドも我慢の限界だった。引き締まった腰を捉えて、後孔に先端を宛てがい、一気に貫く。
「ひっ、ーーーーーーっ!」
「いき、してる? ジェイムズ、きつい……はっ……きつくて、気持ちいいよ?」
息を詰めたジェイムズは声も出ないのだろう、中が蠢いて締め付けるのが悦過ぎて、持っていかれそうになるのを、エルドレッドは歯を食いしばって耐えた。ぼろぼろとジェイムズの目から溢れるのは、快感の涙。それを舌で舐めとり、ゆっくりと腰を動かす。
「あっ! あぁっ! んっ、ぁっ!」
最奥を突くたびに、短い嬌声を上げるジェイムズが、快楽の波に溺れているのは、明らかだった。胸の尖りにかりりと噛み付くと、締め付けが一層強くなる。
ジェイムズの可愛い声を聞きながら、エルドレッドは最奥で欲望を解き放っていた。
「セックスなんていらないって、最初二人とも言ってたのに、もう、君に抱かれない人生なんて考えられない」
欲望のままに体を交わして、どろどろになった二人は、シャワーを浴びて、バスローブでソファに座っていた。後ろに腰かけたジェイムズの脚の間に、エルドレッドが座るような格好で、後ろから抱き締められている。背中にジェイムズの分厚い胸板を感じて、エルドレッドは事後の気怠さで目を閉じて、体の力を抜いて完全にリラックスしきっていた。
「ジェイムズが、選んでくれたからだよ」
最初が運命だったとしても、お互いに抱く方しか想定してなかった二人を、深く結びつけたのは、ジェイムズの英断だったとしか言えない。
「それは……そうさせても良いってくらい、エルドレッドが、僕のこと愛してるって分からせてくれたからだよ」
そんな評価をもらえるのならば、慣れない料理を習って、ジェイムズを甘やかした甲斐があるというもの。
きゅるると可愛く鳴き出した二人の腹の虫に、エルドレッドは目を開け、ジェイムズと顔を見合わせて笑い合う。
「デリバリーで何か食べよっか」
「僕がデブになっても、変わらず愛してよね?」
毎食規則正しく食べているうちに、食べないとお腹が空くことを思い出したというジェイムズに、エルドレッドの返事は「もちろん」以外なかった。
後日、エルドレッドに下卑たことを言って誘いをかけてきた同級生が、「お前の旦那、超怖い」と震えて逃げていったのに、エルドレッドは目を丸くすることになる。
自分に絡んできた相手と同様に、ジェイムズはエルドレッドに誘いをかけるあいてにも、壁を足で蹴るようなことをしたようで、それが噂になって、エルドレッドが大学で声をかけられることはなくなった。
嫉妬深くて、男らしくて、かっこよくて、可愛い、エルドレッドの運命のひと。
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