501 / 528
最終章 わたくしの結婚一年目とクリスタの結婚
9.わたくしは才女?
しおりを挟む
ハインリヒ殿下のお誕生日の昼食会には、クリスタは王家の席で出席している。クリスタがハインリヒ殿下と婚約した十二歳のときからずっと王家の席で出席しているが、婚約者として出席するのは今年が最後で、来年からは皇太子妃として参加するのかと思うと感慨深い気持ちになる。
国王陛下が乾杯の音頭を取る。
「ハインリヒも学園を卒業し、私の執務を手伝ってくれるようになった。ハインリヒはよい国王になることだろう。私は学園を卒業と同時に国王になったが、ハインリヒは子どもが生まれ子育てが落ち着く時期までは私がしっかりと国王を務めてから王位を譲りたいと思っている。若いころに王位を譲られた私は苦労したのでな。この若き皇太子、ハインリヒに幸運があるように願って、乾杯としよう」
国王陛下がグラスを持ち上げると、椅子から立ち上がって待っていた貴族たち全員がグラスを持ち上げて乾杯をした。
成人はしているがわたくしは葡萄酒に蒸留酒を混ぜたものを飲まされて泥酔してしまった記憶があって、アルコールに対していい思い出がないので、注がれた葡萄酒は口を付けるだけにして、乾杯が終わると葡萄ジュースを持ってきてもらった。真っ赤な葡萄ジュースは葡萄酒とそっくりで、グラスも同じなので、どちらを飲んでいても咎められることはない。
葡萄ジュースを飲んで息をついていると、エクムント様に手を差し伸べられる。
「参りましょうか、エリザベート」
そうだった。
王家への挨拶は身分順に行われるのだが、アッペル大公となられたノルベルト殿下が一番で、この国で一番古い公爵家で国王陛下の親友で学友でもあるディッペル家の両親、続いて結婚しているリリエンタール家の公爵夫妻、そしてわたくしとエクムント様の順番で挨拶をしていたのだが、わたくしが結婚したことによって順番が変わったのだ。
ディッペル家の両親が二番なのはそのままだが、わたくしが結婚したので辺境伯家の方がリリエンタール家よりも古くから辺境を守っているので三番目になったのだ。それまではエクムント様は三番目でもよかったのだが、婚約者のわたくしが結婚していなかったので、リリエンタール家を先にしていたのだ。
慌ただしく立ち上がってハインリヒ殿下とクリスタの元に行くと、二人とも椅子から立ち上がってわたくしとエクムント様の挨拶を受けてくれる。
クリスタは今日は一日立ちっぱなしになって足が痛くなるであろうが、誰かバスタブに湯を張ってくれたり、足を揉むといいと教えてくれたりするのだろうか。
そういうことに気が付くエクムント様が夫でよかったと思うわたくしだった。
「ハインリヒ殿下、お誕生日おめでとうございます」
「国王陛下の宣言、聞かせていただきました。ハインリヒ殿下は安心して結婚ができますね」
「そうですね。父上が学園の卒業と同時に王位を譲られていたことは知っていましたが、同じ年齢になると、それがどれだけ大変だったのかを痛感します。私は父上に守られて皇太子でいられる時間を大事にしたいと思います」
「わたくしも、その期間にしっかりと皇太子妃としての務めを果たし、ハインリヒ殿下を支えていけたらと思っています」
まだ皇太子妃ではないが、クリスタは皇太子妃になったときのことをもう考えていて、しっかりと皇太子妃になる自覚がある。
「クリスタ、あなたはきっと素晴らしい皇太子妃になれると思います」
「そのときには、お姉様、辺境伯領からわたくしとハインリヒ殿下を支えてください」
「分かっていますよ」
「エクムント様もよろしくお願いします」
「心得ました」
ハインリヒ殿下とクリスタに挨拶をして席に戻ると、リリエンタール公爵夫妻が入れ替わりに挨拶に行っているのが分かる。リリエンタール公爵夫妻にはレーニ嬢もついて行っていた。
婚約者のフランツがまだ昼食会に出られないので、レーニ嬢は両親と行動を共にしているのだろう。
クリスタがハインリヒ殿下の婚約者になったときに、わたくしも仮の社交界デビューをして、昼食会に出るようになったが、そのときにはエクムント様が隣りにいてくださった。エクムント様が今も変わらず隣りにいてくださることをわたくしは幸福に感じていた。
「エリザベート、朝食のときに話した専門学校のことですが、授業料や寮の料金はどうするつもりでしたか?」
「成績優秀者は無料にしようと思っていました。それ以外にも、進学したいというもののハードルが下がるように、寮の料金は無料、授業料は奨学金を出して、卒業の後に働きながら返せるようにしたいと考えています」
「私もそういう制度があればいいと思っていたのです。私がはっきりと形にできなかったことをエリザベートは形にして言葉にしてくれましたね」
「エクムント様も考えていればすぐに思い付いたことだと思います」
「エリザベートはやはり素晴らしい才女だ。そんな妻を持てて心強いです」
才女!?
そんなことを言われてわたくしは驚いてしまう。
成績優秀者を無料にすることも、奨学金を出すことも、少し考えれば思い付くことだし、当たり前のことではないのだろうか。
「才女なんてとんでもないですわ。人材を育てるのこそが国を強くする根幹となります。教育がこれからの国を富ませていくのです」
「そういう考え方ができるのが素晴らしいと言っているのです。エリザベートは才女ですよ。学園でもずっと首席だったと聞きます。何より、私と話していて打てば響くような答えが返ってくるのですからね」
エリザベートと話していると本当にためになるし、楽しい。
エクムント様からそんなことを言われてしまってわたくしは驚いていた。
自分が才女なんて思いもしなかった。学園での成績は勉強をしていれば取れるものだし、わたくしのこれまでの発想だって、前世の記憶があってのことだ。夢の中のように朧げな記憶だが、こういうときには役に立ってくれるのだ。
だが、前世のことはエクムント様に話すことはできない。
わたくしに前世の記憶があったなんて話をされても、エクムント様は意味が分からないし、困るだけだろう。
この秘密はわたくしが墓場まで持って行くのだ。
「エクムント様にそう言っていただけると嬉しいですわ」
でも、わたくしは才女などと呼ばれるような存在ではありません。
そう付け加えたかったが、エクムント様と言い合っていても不毛な気がしてわたくしはそれ以上言わなかった。
昼食会からお茶会に会場が移動すると、フランツやマリアやデニス殿やゲオルグ殿やユリアーナ殿下がやってくる。
ユリアーナ殿下はノルベルト殿下の元に駆け寄っていた。
「ノルベルトお兄様、ノエル殿下は大丈夫ですか?」
「まだ出産予定日まで一か月はあるのだけれど、僕が心配でそばを離れられないだけだよ。今はミリヤムもいてくれるし、落ち着いているよ」
「ミリヤム嬢は赤ちゃんの乳母になるのですか?」
「その予定だよ。そうなったら、彼女のことはアレンスさんと呼ばなければいけないね」
使用人の中でも乳母は子どもの養育に関わるので地位が高い。ミリヤム嬢は子爵家の娘だが、ノエル殿下に望まれてアッペル家の使用人になっている。アッペル家ではミリヤム嬢を後継者の乳母にして、教育を施そうと思っているのだろう。
成績優秀で学年でも五位以内に入っていたミリヤム嬢ならば最適だった。
使用人は普通呼び捨てにされるのだが、乳母は特別で名字にさん付けで呼ばれる。
ディッペル家でもフランツの乳母は貴族で、ヘルマンさんと呼ばれていた。マリアの乳母のレギーナが名前で呼び捨てなのは、彼女が平民だったからだろう。
「ノルベルト兄上、ユリアーナは弟妹が欲しかったのが叶ったら、次は甥か姪が欲しいと欲張っているのですよ」
「家族が増えるのは嬉しいではないですか。ディーデリヒもディートリンデも下に甥か姪ができたら喜ぶと思います」
「ディーデリヒとディートリンデはまだ小さいから、甥とか姪とかよく分からないんじゃないかな?」
「一緒に遊んだら楽しいと思うのです。わたくしもディーデリヒとディートリンデと雪合戦をする日を楽しみにしているのです」
「それは、三歳くらいになったらできるだろうね」
ユリアーナ殿下はディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下と雪合戦をするのを楽しみにしていた。ディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下も三歳くらいになったら雪合戦に参加するかもしれない。
そのときにはノルベルト殿下とノエル殿下のお子様も生まれていることだろう。
国王陛下が乾杯の音頭を取る。
「ハインリヒも学園を卒業し、私の執務を手伝ってくれるようになった。ハインリヒはよい国王になることだろう。私は学園を卒業と同時に国王になったが、ハインリヒは子どもが生まれ子育てが落ち着く時期までは私がしっかりと国王を務めてから王位を譲りたいと思っている。若いころに王位を譲られた私は苦労したのでな。この若き皇太子、ハインリヒに幸運があるように願って、乾杯としよう」
国王陛下がグラスを持ち上げると、椅子から立ち上がって待っていた貴族たち全員がグラスを持ち上げて乾杯をした。
成人はしているがわたくしは葡萄酒に蒸留酒を混ぜたものを飲まされて泥酔してしまった記憶があって、アルコールに対していい思い出がないので、注がれた葡萄酒は口を付けるだけにして、乾杯が終わると葡萄ジュースを持ってきてもらった。真っ赤な葡萄ジュースは葡萄酒とそっくりで、グラスも同じなので、どちらを飲んでいても咎められることはない。
葡萄ジュースを飲んで息をついていると、エクムント様に手を差し伸べられる。
「参りましょうか、エリザベート」
そうだった。
王家への挨拶は身分順に行われるのだが、アッペル大公となられたノルベルト殿下が一番で、この国で一番古い公爵家で国王陛下の親友で学友でもあるディッペル家の両親、続いて結婚しているリリエンタール家の公爵夫妻、そしてわたくしとエクムント様の順番で挨拶をしていたのだが、わたくしが結婚したことによって順番が変わったのだ。
ディッペル家の両親が二番なのはそのままだが、わたくしが結婚したので辺境伯家の方がリリエンタール家よりも古くから辺境を守っているので三番目になったのだ。それまではエクムント様は三番目でもよかったのだが、婚約者のわたくしが結婚していなかったので、リリエンタール家を先にしていたのだ。
慌ただしく立ち上がってハインリヒ殿下とクリスタの元に行くと、二人とも椅子から立ち上がってわたくしとエクムント様の挨拶を受けてくれる。
クリスタは今日は一日立ちっぱなしになって足が痛くなるであろうが、誰かバスタブに湯を張ってくれたり、足を揉むといいと教えてくれたりするのだろうか。
そういうことに気が付くエクムント様が夫でよかったと思うわたくしだった。
「ハインリヒ殿下、お誕生日おめでとうございます」
「国王陛下の宣言、聞かせていただきました。ハインリヒ殿下は安心して結婚ができますね」
「そうですね。父上が学園の卒業と同時に王位を譲られていたことは知っていましたが、同じ年齢になると、それがどれだけ大変だったのかを痛感します。私は父上に守られて皇太子でいられる時間を大事にしたいと思います」
「わたくしも、その期間にしっかりと皇太子妃としての務めを果たし、ハインリヒ殿下を支えていけたらと思っています」
まだ皇太子妃ではないが、クリスタは皇太子妃になったときのことをもう考えていて、しっかりと皇太子妃になる自覚がある。
「クリスタ、あなたはきっと素晴らしい皇太子妃になれると思います」
「そのときには、お姉様、辺境伯領からわたくしとハインリヒ殿下を支えてください」
「分かっていますよ」
「エクムント様もよろしくお願いします」
「心得ました」
ハインリヒ殿下とクリスタに挨拶をして席に戻ると、リリエンタール公爵夫妻が入れ替わりに挨拶に行っているのが分かる。リリエンタール公爵夫妻にはレーニ嬢もついて行っていた。
婚約者のフランツがまだ昼食会に出られないので、レーニ嬢は両親と行動を共にしているのだろう。
クリスタがハインリヒ殿下の婚約者になったときに、わたくしも仮の社交界デビューをして、昼食会に出るようになったが、そのときにはエクムント様が隣りにいてくださった。エクムント様が今も変わらず隣りにいてくださることをわたくしは幸福に感じていた。
「エリザベート、朝食のときに話した専門学校のことですが、授業料や寮の料金はどうするつもりでしたか?」
「成績優秀者は無料にしようと思っていました。それ以外にも、進学したいというもののハードルが下がるように、寮の料金は無料、授業料は奨学金を出して、卒業の後に働きながら返せるようにしたいと考えています」
「私もそういう制度があればいいと思っていたのです。私がはっきりと形にできなかったことをエリザベートは形にして言葉にしてくれましたね」
「エクムント様も考えていればすぐに思い付いたことだと思います」
「エリザベートはやはり素晴らしい才女だ。そんな妻を持てて心強いです」
才女!?
そんなことを言われてわたくしは驚いてしまう。
成績優秀者を無料にすることも、奨学金を出すことも、少し考えれば思い付くことだし、当たり前のことではないのだろうか。
「才女なんてとんでもないですわ。人材を育てるのこそが国を強くする根幹となります。教育がこれからの国を富ませていくのです」
「そういう考え方ができるのが素晴らしいと言っているのです。エリザベートは才女ですよ。学園でもずっと首席だったと聞きます。何より、私と話していて打てば響くような答えが返ってくるのですからね」
エリザベートと話していると本当にためになるし、楽しい。
エクムント様からそんなことを言われてしまってわたくしは驚いていた。
自分が才女なんて思いもしなかった。学園での成績は勉強をしていれば取れるものだし、わたくしのこれまでの発想だって、前世の記憶があってのことだ。夢の中のように朧げな記憶だが、こういうときには役に立ってくれるのだ。
だが、前世のことはエクムント様に話すことはできない。
わたくしに前世の記憶があったなんて話をされても、エクムント様は意味が分からないし、困るだけだろう。
この秘密はわたくしが墓場まで持って行くのだ。
「エクムント様にそう言っていただけると嬉しいですわ」
でも、わたくしは才女などと呼ばれるような存在ではありません。
そう付け加えたかったが、エクムント様と言い合っていても不毛な気がしてわたくしはそれ以上言わなかった。
昼食会からお茶会に会場が移動すると、フランツやマリアやデニス殿やゲオルグ殿やユリアーナ殿下がやってくる。
ユリアーナ殿下はノルベルト殿下の元に駆け寄っていた。
「ノルベルトお兄様、ノエル殿下は大丈夫ですか?」
「まだ出産予定日まで一か月はあるのだけれど、僕が心配でそばを離れられないだけだよ。今はミリヤムもいてくれるし、落ち着いているよ」
「ミリヤム嬢は赤ちゃんの乳母になるのですか?」
「その予定だよ。そうなったら、彼女のことはアレンスさんと呼ばなければいけないね」
使用人の中でも乳母は子どもの養育に関わるので地位が高い。ミリヤム嬢は子爵家の娘だが、ノエル殿下に望まれてアッペル家の使用人になっている。アッペル家ではミリヤム嬢を後継者の乳母にして、教育を施そうと思っているのだろう。
成績優秀で学年でも五位以内に入っていたミリヤム嬢ならば最適だった。
使用人は普通呼び捨てにされるのだが、乳母は特別で名字にさん付けで呼ばれる。
ディッペル家でもフランツの乳母は貴族で、ヘルマンさんと呼ばれていた。マリアの乳母のレギーナが名前で呼び捨てなのは、彼女が平民だったからだろう。
「ノルベルト兄上、ユリアーナは弟妹が欲しかったのが叶ったら、次は甥か姪が欲しいと欲張っているのですよ」
「家族が増えるのは嬉しいではないですか。ディーデリヒもディートリンデも下に甥か姪ができたら喜ぶと思います」
「ディーデリヒとディートリンデはまだ小さいから、甥とか姪とかよく分からないんじゃないかな?」
「一緒に遊んだら楽しいと思うのです。わたくしもディーデリヒとディートリンデと雪合戦をする日を楽しみにしているのです」
「それは、三歳くらいになったらできるだろうね」
ユリアーナ殿下はディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下と雪合戦をするのを楽しみにしていた。ディーデリヒ殿下とディートリンデ殿下も三歳くらいになったら雪合戦に参加するかもしれない。
そのときにはノルベルト殿下とノエル殿下のお子様も生まれていることだろう。
243
お気に入りに追加
1,691
あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

婚約破棄?結構ですわ。でも慰謝料は請求いたします
ゆる
恋愛
公爵令嬢アナスタシア・オルステッドは、第三王子アレンの婚約者だった。
しかし、アレンは没落貴族の令嬢カリーナと密かに関係を持っていたことが発覚し、彼女を愛していると宣言。アナスタシアとの婚約破棄を告げるが──
「わかりました。でも、それには及びません。すでに婚約は破棄されております」
なんとアナスタシアは、事前に国王へ婚約破棄を申し出ており、すでに了承されていたのだ。
さらに、慰謝料もしっかりと請求済み。
「どうぞご自由に、カリーナ様とご婚約なさってください。でも、慰謝料のお支払いはお忘れなく」
驚愕するアレンを後にし、悠々と去るアナスタシア。
ところが数カ月後、生活に困窮したアレンが、再び彼女のもとへ婚約のやり直しを申し出る。
「呆れたお方ですね。そんな都合のいい話、お受けするわけがないでしょう?」
かつての婚約者の末路に興味もなく、アナスタシアは公爵家の跡取りとして堂々と日々を過ごす。
しかし、王国には彼女を取り巻く新たな陰謀の影が忍び寄っていた。
暗躍する謎の勢力、消える手紙、そして不審な襲撃──。
そんな中、王国軍の若きエリート将校ガブリエルと出会い、アナスタシアは自らの運命に立ち向かう決意を固める。
「私はもう、誰かに振り回されるつもりはありません。この王国の未来も、私自身の未来も、私の手で切り拓きます」
婚約破棄を経て、さらに強く、賢くなった公爵令嬢の痛快ざまぁストーリー!
自らの誇りを貫き、王国を揺るがす陰謀を暴く彼女の華麗なる活躍をお楽しみください。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる