477 / 528
十三章 わたくしの結婚
35.フランツとマリアのお願い
しおりを挟む
両親のお誕生日の前日からエクムント様はディッペル家に来ていた。
辺境伯領からは距離があるので、その日に来てその日に帰るのはかなり厳しいのだ。それでも執務が詰まっているときにはエクムント様はその日に来てその日に帰る強行軍を決行される。今回は日程に余裕があったので前日から来て翌日に帰るスケジュールになったのだ。
外はしんしんと雪が降り積もり、部屋の中もストーブで暖められているがそれでも寒さを感じることがある。
冬場にも雪が降ることはない辺境伯領からやってきたエクムント様は特に寒かっただろうが、そういう弱音を吐くことはなかったし、厚着をしている様子もなかった。
「エクムント様は寒さは平気ですか? ストーブのそばに来られませんか?」
わたくしが言えばエクムント様は答える。
「私はキルヒマン侯爵領で育って、ディッペル家にも五年務めさせていただいたので、これくらいの寒さは慣れているのですよ」
そうだった。エクムント様は辺境伯になる前はキルヒマン侯爵家の三男だった。それにディッペル家にも五年務めて、厳しい冬の寒さもよく知っていた。
「そうでしたね。辺境伯としての印象が強いので、ついいらぬことを言ってしまいました」
「ご厚意はありがたいです。ですが、辺境生まれの貴族よりは寒さに強いと自負していますよ」
「暑さはどうですか? わたくしは辺境伯領に嫁ぐのに一つだけ心配事があります。暑さに慣れることができるかです」
「暑さも辺境伯領で過ごしていれば慣れてきます。辺境伯領用の涼しい衣装や扇、扇風機などを活用すれば、エリザベート嬢も辺境伯領で快適に過ごすことができますよ」
夏の辺境伯領には毎年一週間滞在していたが、その期間も暑さは気になっていた。わたくしは辺境伯領の暑さに慣れることができるだろうか。
エクムント様は大丈夫だと言ってくださるが、少し不安ではあった。
エクムント様と食堂のソファで話していると、両親がわたくしとエクムント様の元にやってきた。
「エクムント殿、先日エリザベートのウエディングドレスの試着をしたのです」
「エリザベートのウエディングドレスは順調に仕上がっているので安心してください」
「そうなのですね。出来上がりを見るのが楽しみです」
「我が娘ながら本当に美しかった」
「エクムント殿の隣りに立ってお似合いの美しい花嫁姿になりますわ」
両親が手放しでわたくしを褒めてくるのでわたくしは恥ずかしくなってしまう。
「お父様、お母様、そういうときにはもっと謙虚に……」
「エリザベートが美しかったのは本当だから仕方がない。テレーゼの若いころによく似てきた」
「胸を張って我が家から辺境伯領に送り出せますわ」
本当に親ばかというのだろうか、わたくしの両親はわたくしに甘い。
恥ずかしく思っていると、エクムント様がわたくしの肩を抱く。
「ウエディングドレスを着ていても、どんな衣装を着ていても、エリザベート嬢は常に美しいと私は思っていますよ」
「エクムント様!?」
「年を取っても私だけの美しい妻でいてくれるのだと思います」
息をするように甘い言葉を口にするエクムント様にわたくしの顔は真っ赤になっていたことだろう。
両親も頷いているのだからどうしようもない。
ウエディングドレスのことを伝えると、両親は「二人きりの時間を邪魔して悪かったですね」と言って部屋に戻って行った。
わたくしとエクムント様だけになって、食堂がしんと静まり返る。
「私は思っていることを正直に伝えただけですからね」
「エクムント様の妻になったら、この誉め言葉を常に受けなければいけないのですね」
「当然です。エリザベート嬢を私は一生大事にすると決めているのですからね」
生涯わたくしへの誉め言葉でエクムント様の評価が変わらなければ、それはそれでとても嬉しい気がする。わたくしは幸せ者なのだと実感していた。
翌朝はフランツとマリアに起こされた。
二人ともお散歩に行きたい様子でわたくしとクリスタの部屋をノックする。起きて支度をしたわたくしとクリスタと、フランツとマリアがコートを着て、マフラーも付けて外に出ると、エクムント様が待っていてくださった。
「おはようございます、エリザベート嬢、クリスタ嬢、フランツ殿、マリア嬢」
「おはようございます、エクムント様」
「エクムント様にお願いがあるのですが、いいですか?」
「お兄様と話していたのです」
フランツとマリアはエクムント様に何かお願いがあるようだ。
「雪玉の投げ方を教えてほしいのです。私が投げてもなかなか遠くに飛びません」
「わたくし、手からすっぽ抜けて変なところに飛んでしまうことがあるのです」
真剣な眼差しのフランツとマリアは、国王陛下の生誕の式典のときに王宮の庭でユリアーナ殿下とデニス殿とゲオルグ殿とナターリエ嬢と雪合戦をすることを考えているのだろう。
教えを請われてエクムント様がフランツとマリアに促す。
「一度、投げてみてもらえますか」
「はい」
「雪玉を作るので少し待ってください」
雪玉を準備して、フランツとマリアはできるだけ遠くを目指して投げていた。フランツはそれほど距離が飛ばないし、マリアは妙な方向に行ってしまう。
それを確認して、エクムント様がフランツとマリアに伝授する。
「フランツ殿は下半身が安定していませんね。しっかりと足を踏み出しながら投げるともう少し飛距離が伸びると思います」
「足を踏み出しながら、ですね!」
「マリア嬢は、まず、雪玉の大きさを調整しましょう。マリア嬢の手には大きすぎる雪玉を使っているようです。それがすっぽ抜ける原因になっていそうです」
「雪玉の大きさ……」
「雪玉の大きさを調整したら、大きく後ろまで振りかぶりすぎず、肘の動きを意識して投げてみてください」
「はい! 分かりましたわ!」
エクムント様に意見をもらって、フランツとマリアがそれぞれに修正してもう一度投げる。
フランツは一回目よりも飛距離が伸びたし、マリアは正確にまっすぐに投げられるようになっていた。
「ほんの少しのことなのに全然違いました」
「ありがとうございます、エクムント様」
「相談してみてよかったです、エクムント様」
「どういたしまして。また何かあったら、気軽に聞いてください」
士官学校を卒業していて、運動は得意なエクムント様はフランツとマリアの疑問にも的確な答えを返せていた。
わたくしもクリスタも、エクムント様に言われた投げ方を練習するフランツとマリアを応援する。
「フランツ、上手ですよ。前よりも飛距離が伸びています」
「マリア、上手に投げられていますよ。まっすぐ飛んでいます」
声を掛けるとフランツもマリアも誇らしげな表情になっていた。
朝のお散歩が終わるとエクムント様もご一緒に朝食を食べる。
他のお客様ならば部屋で食べていただくのだが、エクムント様はわたくしの婚約者だったし、わたくしたちも辺境伯家に行ったときには食堂で一緒に食事をしていたので、ご一緒するのが当然という形になっていた。
「リリエンタール公爵一家と、シュタール侯爵一家から、早めに来ることを聞いているよ」
「昼食をご一緒しましょうとのことです」
リリエンタール公爵一家はフランツのためにレーニ嬢を早く来させてくれるのだろう。シュタール侯爵一家はマリアのためにオリヴァー殿を早く来させてくれるのだろう。
昼食からご一緒できると聞いてフランツもマリアも喜んでいる。
「レーニ嬢と昼食をご一緒できるのですね」
「オリヴァー殿、わたくしのために早く来てくださるのですね」
喜ぶフランツとマリアに、わたくしも小さいころこんな風だったのかと考えてしまう。
十歳まではエクムント様がディッペル家に仕えていたので、同じ食卓に着くなどということは考えられなかったが、それ以降は辺境伯として、わたくしの婚約者として、エクムント様はディッペル家の家族と堂々と一緒にいられるようになった。
エクムント様の方を見ると、食事を終えてナプキンで口を拭いていらっしゃった。
わたくしも食事を終えてナプキンで口を拭く。
「エリザベート嬢、昼食までお話しませんか?」
食事が終わった両親とクリスタとフランツとマリアが食堂を出て行くのに、わたくしはエクムント様とソファに移って寛いだのだった。
辺境伯領からは距離があるので、その日に来てその日に帰るのはかなり厳しいのだ。それでも執務が詰まっているときにはエクムント様はその日に来てその日に帰る強行軍を決行される。今回は日程に余裕があったので前日から来て翌日に帰るスケジュールになったのだ。
外はしんしんと雪が降り積もり、部屋の中もストーブで暖められているがそれでも寒さを感じることがある。
冬場にも雪が降ることはない辺境伯領からやってきたエクムント様は特に寒かっただろうが、そういう弱音を吐くことはなかったし、厚着をしている様子もなかった。
「エクムント様は寒さは平気ですか? ストーブのそばに来られませんか?」
わたくしが言えばエクムント様は答える。
「私はキルヒマン侯爵領で育って、ディッペル家にも五年務めさせていただいたので、これくらいの寒さは慣れているのですよ」
そうだった。エクムント様は辺境伯になる前はキルヒマン侯爵家の三男だった。それにディッペル家にも五年務めて、厳しい冬の寒さもよく知っていた。
「そうでしたね。辺境伯としての印象が強いので、ついいらぬことを言ってしまいました」
「ご厚意はありがたいです。ですが、辺境生まれの貴族よりは寒さに強いと自負していますよ」
「暑さはどうですか? わたくしは辺境伯領に嫁ぐのに一つだけ心配事があります。暑さに慣れることができるかです」
「暑さも辺境伯領で過ごしていれば慣れてきます。辺境伯領用の涼しい衣装や扇、扇風機などを活用すれば、エリザベート嬢も辺境伯領で快適に過ごすことができますよ」
夏の辺境伯領には毎年一週間滞在していたが、その期間も暑さは気になっていた。わたくしは辺境伯領の暑さに慣れることができるだろうか。
エクムント様は大丈夫だと言ってくださるが、少し不安ではあった。
エクムント様と食堂のソファで話していると、両親がわたくしとエクムント様の元にやってきた。
「エクムント殿、先日エリザベートのウエディングドレスの試着をしたのです」
「エリザベートのウエディングドレスは順調に仕上がっているので安心してください」
「そうなのですね。出来上がりを見るのが楽しみです」
「我が娘ながら本当に美しかった」
「エクムント殿の隣りに立ってお似合いの美しい花嫁姿になりますわ」
両親が手放しでわたくしを褒めてくるのでわたくしは恥ずかしくなってしまう。
「お父様、お母様、そういうときにはもっと謙虚に……」
「エリザベートが美しかったのは本当だから仕方がない。テレーゼの若いころによく似てきた」
「胸を張って我が家から辺境伯領に送り出せますわ」
本当に親ばかというのだろうか、わたくしの両親はわたくしに甘い。
恥ずかしく思っていると、エクムント様がわたくしの肩を抱く。
「ウエディングドレスを着ていても、どんな衣装を着ていても、エリザベート嬢は常に美しいと私は思っていますよ」
「エクムント様!?」
「年を取っても私だけの美しい妻でいてくれるのだと思います」
息をするように甘い言葉を口にするエクムント様にわたくしの顔は真っ赤になっていたことだろう。
両親も頷いているのだからどうしようもない。
ウエディングドレスのことを伝えると、両親は「二人きりの時間を邪魔して悪かったですね」と言って部屋に戻って行った。
わたくしとエクムント様だけになって、食堂がしんと静まり返る。
「私は思っていることを正直に伝えただけですからね」
「エクムント様の妻になったら、この誉め言葉を常に受けなければいけないのですね」
「当然です。エリザベート嬢を私は一生大事にすると決めているのですからね」
生涯わたくしへの誉め言葉でエクムント様の評価が変わらなければ、それはそれでとても嬉しい気がする。わたくしは幸せ者なのだと実感していた。
翌朝はフランツとマリアに起こされた。
二人ともお散歩に行きたい様子でわたくしとクリスタの部屋をノックする。起きて支度をしたわたくしとクリスタと、フランツとマリアがコートを着て、マフラーも付けて外に出ると、エクムント様が待っていてくださった。
「おはようございます、エリザベート嬢、クリスタ嬢、フランツ殿、マリア嬢」
「おはようございます、エクムント様」
「エクムント様にお願いがあるのですが、いいですか?」
「お兄様と話していたのです」
フランツとマリアはエクムント様に何かお願いがあるようだ。
「雪玉の投げ方を教えてほしいのです。私が投げてもなかなか遠くに飛びません」
「わたくし、手からすっぽ抜けて変なところに飛んでしまうことがあるのです」
真剣な眼差しのフランツとマリアは、国王陛下の生誕の式典のときに王宮の庭でユリアーナ殿下とデニス殿とゲオルグ殿とナターリエ嬢と雪合戦をすることを考えているのだろう。
教えを請われてエクムント様がフランツとマリアに促す。
「一度、投げてみてもらえますか」
「はい」
「雪玉を作るので少し待ってください」
雪玉を準備して、フランツとマリアはできるだけ遠くを目指して投げていた。フランツはそれほど距離が飛ばないし、マリアは妙な方向に行ってしまう。
それを確認して、エクムント様がフランツとマリアに伝授する。
「フランツ殿は下半身が安定していませんね。しっかりと足を踏み出しながら投げるともう少し飛距離が伸びると思います」
「足を踏み出しながら、ですね!」
「マリア嬢は、まず、雪玉の大きさを調整しましょう。マリア嬢の手には大きすぎる雪玉を使っているようです。それがすっぽ抜ける原因になっていそうです」
「雪玉の大きさ……」
「雪玉の大きさを調整したら、大きく後ろまで振りかぶりすぎず、肘の動きを意識して投げてみてください」
「はい! 分かりましたわ!」
エクムント様に意見をもらって、フランツとマリアがそれぞれに修正してもう一度投げる。
フランツは一回目よりも飛距離が伸びたし、マリアは正確にまっすぐに投げられるようになっていた。
「ほんの少しのことなのに全然違いました」
「ありがとうございます、エクムント様」
「相談してみてよかったです、エクムント様」
「どういたしまして。また何かあったら、気軽に聞いてください」
士官学校を卒業していて、運動は得意なエクムント様はフランツとマリアの疑問にも的確な答えを返せていた。
わたくしもクリスタも、エクムント様に言われた投げ方を練習するフランツとマリアを応援する。
「フランツ、上手ですよ。前よりも飛距離が伸びています」
「マリア、上手に投げられていますよ。まっすぐ飛んでいます」
声を掛けるとフランツもマリアも誇らしげな表情になっていた。
朝のお散歩が終わるとエクムント様もご一緒に朝食を食べる。
他のお客様ならば部屋で食べていただくのだが、エクムント様はわたくしの婚約者だったし、わたくしたちも辺境伯家に行ったときには食堂で一緒に食事をしていたので、ご一緒するのが当然という形になっていた。
「リリエンタール公爵一家と、シュタール侯爵一家から、早めに来ることを聞いているよ」
「昼食をご一緒しましょうとのことです」
リリエンタール公爵一家はフランツのためにレーニ嬢を早く来させてくれるのだろう。シュタール侯爵一家はマリアのためにオリヴァー殿を早く来させてくれるのだろう。
昼食からご一緒できると聞いてフランツもマリアも喜んでいる。
「レーニ嬢と昼食をご一緒できるのですね」
「オリヴァー殿、わたくしのために早く来てくださるのですね」
喜ぶフランツとマリアに、わたくしも小さいころこんな風だったのかと考えてしまう。
十歳まではエクムント様がディッペル家に仕えていたので、同じ食卓に着くなどということは考えられなかったが、それ以降は辺境伯として、わたくしの婚約者として、エクムント様はディッペル家の家族と堂々と一緒にいられるようになった。
エクムント様の方を見ると、食事を終えてナプキンで口を拭いていらっしゃった。
わたくしも食事を終えてナプキンで口を拭く。
「エリザベート嬢、昼食までお話しませんか?」
食事が終わった両親とクリスタとフランツとマリアが食堂を出て行くのに、わたくしはエクムント様とソファに移って寛いだのだった。
230
お気に入りに追加
1,684
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる