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十二章 両親の事故とわたくしが主役の物語
29.シロとクロのハプニング
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シロとクロが離乳食を食べ始めるようになって、二匹でじゃれて遊ぶのを見られるようになったころ、わたくしのお誕生日のお茶会があった。
シロとクロはマルレーンとデボラにお願いして、部屋から出てこないようにさせて、お茶会を開く方向で決まった。
エクムント様は前日からディッペル家にいらしていた。
食事のときにエクムント様が両親に話している。
「ディッペル領の乳牛を辺境伯領に数頭連れ帰りたいと思っているのです」
「次の滞在までに準備をしておきましょう」
「畜産農家に話を通しておきますよ」
辺境伯領で乳牛を育てるだけではなく、ディッペル領から乳牛を辺境伯領に連れて行こうとしているのだ、エクムント様は。それだけわたくしがミルクティーを飲みたいと言ったことを心に留めておいてくださっている。
そのことに感謝しつつ、わたくしはエクムント様と両親の話を聞いていた。
「ミルクが美味しくて、他の種類よりも長期間ミルクを出す種類の牛がいるのです」
「その牛を紹介したいですね」
「ぜひ、お願いします」
そんな牛がディッペル領で飼われていたのか。それはわたくしも見てみたい。
「エクムント様が視察に来られた時にはわたくしもご一緒していいですか?」
「エリザベート嬢、ご一緒しましょう」
返事をもらってから考える。
これはある意味デートなのではないだろうか。
牛を見に行くので綺麗に着飾ることはできないが、二人でお出かけをすることができる。
楽しみにしていると、エクムント様にふーちゃんとまーちゃんが声をかける。
「エクムント様、シロとクロにも会ってくださいね」
「シロとクロは大きくなったんですよ」
「会わせていただきましょう」
食事の後にはエクムント様は子ども部屋を訪れて、シロとクロを見ていた。
シロとクロはお互いに舐め合って毛づくろいをし合い、元気に歩けるようになっていて、目もぱっちりと開いている。目やにが少し出ているが、それは暖かいタオルでマルレーンとデボラが拭いてあげていた。
「王都には動物専門の医者もいます」
「ディッペル領にもいるようなのです」
「そうでしたね。ディッペル領は畜産が盛んな土地でした」
王都の動物専門の医者を紹介されそうになったが、わたくしはディッペル領にも動物専門の医者がいることを伝える。猫は畜産農家ではたくさんわいてくるネズミを捕えるために飼われていることが多いし、猫を診てくれる動物の医者もいるはずなのだ。
まだシロとクロは動物の医者に診てもらっていないが、近いうちに診てもらわねばならなくなるだろう。そのときにはディッペル家に動物の医者を呼ぶことになるだろう。
「シロもクロも雌のようですね」
「わたくしもそうではないかと思っていたのです」
男性の象徴がついていないので、シロもクロも雌ではないかと思っていたが、エクムント様もそう言っているので間違いないだろう。シロとクロのお尻を確認したエクムント様が、シロとクロを降ろすと、二匹が物凄い勢いで走って逃げていく。
逃げた二匹はわたくしのスカートの中に入ってしまった。
「シロ、クロ、いけません。出てください」
わたくしが慌てると、スカートを捲り上げてシロとクロがスカートの中から出てきて、走って自分たちのクッションとタオルで作ってもらったベッドに乗る。
スカートが捲れてしまったわたくしとエクムント様と、部屋の端で控えているデボラとマルレーンしかこの部屋にはいない。
「み、見ましたか?」
「見ていません!」
即答されてしまったが、エクムント様の立ち位置からははっきりと見えた気がする。
「恥ずかしいです。エクムント様にスカートの中を見られてしまうだなんて」
「少しだけです。綺麗なおみ足が少し見えただけです」
「やっぱり見たんじゃないですか」
「ほんの少しです」
言い争っているとふーちゃんとまーちゃんとクリスタちゃんが部屋にやってきた。
「お姉様、声が廊下まで聞こえていましたわ」
「エリザベートお姉様とエクムント様が喧嘩? 珍しいですね」
「何かあったのですか?」
何かあったのかと聞かれると、何があったのか恥ずかしくて答えられない。
シロとクロにスカートを捲られて、エクムント様にスカートの中身が見えてしまったなど言えるはずがない。幸いだったのは、シロとクロがまだ小さくて、それほど跳躍力がなかったことだ。
エクムント様の言う通り、足が見えたくらいで、下着までは見えていないだろう。
「何でもありません。そうですよね、エクムント様」
「シロとクロの性別を見ていたら嫌がって逃げられてしまっただけですよ」
わたくしとエクムント様で誤魔化すと、話題はシロとクロのことに移った。
「シロとクロは雌だと思ったのですがどうでしたか?」
「私も雌だと思いました」
「女の子ですね! わたくしの妹たちかしら」
「マリア嬢は妹のようにシロとクロを可愛がるのですね」
「そのつもりです」
話題がシロとクロの性別のことに移って安心していると、クリスタちゃんが鋭い目で見つめてきている。
「お姉様、もしかして……」
「何ですか、クリスタ?」
「エクムント様に、壁にドンッとされたのですか?」
「えぇ!?」
どこからそんな発想が浮かんできたのかと思うが、そういえば観劇に行ったときに、ヒロインはヒーローにいわゆる壁ドンをされていた。
「え!? エリザベートお姉様、壁にドンッてされたのですか!?」
まーちゃんまで身を乗り出してくる。
「わたくしはそんなことはされていませんよ。エクムント様がそんなことをなさるはずがないでしょう?」
「私はエリザベート嬢の前では紳士でありたいと思っています」
「それでは、どうしてお姉様が大きな声を上げていたのでしょう? あの劇では、ドンッとされたら、『声を上げるわよ!』と脅していた気がするのですが」
「劇のことは一旦忘れてください。シロとクロがエクムント様の手から逃げてびっくりしてしまっただけなのです」
「小さいので、私の手からだとかなり床まで距離があるでしょう? その距離を着地できるかハラハラしたのですよ、エリザベート嬢と二人で」
エクムント様も誤魔化しに入ってくれて、クリスタちゃんはやっと納得したようである。それにしても、観劇の壁ドンをわたくしがされたと考えてしまうなんて、クリスタちゃんはどれだけ発想豊かなのだろう。
「エリザベート嬢、テラスに出ますか?」
「あ、この部屋のテラスは使わないことにしているのです。シロとクロが逃げてしまっては危ないので」
「それでは、一緒に庭を歩きましょう」
夕暮れ時になってきていて、秋の庭は涼しい風が吹いている。その中で揺れている花木を見ながら、わたくしとエクムント様は庭を歩いた。
「先ほどは失礼しました。エリザベート嬢は見られたくなかったでしょうに」
「やっぱり見てしまったのですね。恥ずかしいです」
「綺麗なおみ足を少し見ただけです。それもできるだけ忘れます」
「エクムント様にはしたない姿を見られたのが恥ずかしいのです」
「はしたなくはないですよ。あれはシロとクロがスカートに入ってしまったので仕方がなかったことです」
話しながら薔薇園の方に歩いていくと、薔薇の花は咲いていなかったが、薔薇園は綺麗に整えられて、緑の葉っぱが茂っていた。
薔薇園の中を歩いて、ベンチにエクムント様がハンカチを置いてくださって、そこに座る。
「わたくし、靴下ではなくて色の濃いストッキングをはいていればよかったです」
「この時期に色の濃いストッキングははかないでしょう」
「エクムント様に脚を見られるくらいならば……」
「エリザベート嬢、その話はもうやめましょう。私も忘れることにします」
優しく言ってくれるエクムント様だが、わたくしはしばらくこのことを忘れられそうになかった。
シロとクロはマルレーンとデボラにお願いして、部屋から出てこないようにさせて、お茶会を開く方向で決まった。
エクムント様は前日からディッペル家にいらしていた。
食事のときにエクムント様が両親に話している。
「ディッペル領の乳牛を辺境伯領に数頭連れ帰りたいと思っているのです」
「次の滞在までに準備をしておきましょう」
「畜産農家に話を通しておきますよ」
辺境伯領で乳牛を育てるだけではなく、ディッペル領から乳牛を辺境伯領に連れて行こうとしているのだ、エクムント様は。それだけわたくしがミルクティーを飲みたいと言ったことを心に留めておいてくださっている。
そのことに感謝しつつ、わたくしはエクムント様と両親の話を聞いていた。
「ミルクが美味しくて、他の種類よりも長期間ミルクを出す種類の牛がいるのです」
「その牛を紹介したいですね」
「ぜひ、お願いします」
そんな牛がディッペル領で飼われていたのか。それはわたくしも見てみたい。
「エクムント様が視察に来られた時にはわたくしもご一緒していいですか?」
「エリザベート嬢、ご一緒しましょう」
返事をもらってから考える。
これはある意味デートなのではないだろうか。
牛を見に行くので綺麗に着飾ることはできないが、二人でお出かけをすることができる。
楽しみにしていると、エクムント様にふーちゃんとまーちゃんが声をかける。
「エクムント様、シロとクロにも会ってくださいね」
「シロとクロは大きくなったんですよ」
「会わせていただきましょう」
食事の後にはエクムント様は子ども部屋を訪れて、シロとクロを見ていた。
シロとクロはお互いに舐め合って毛づくろいをし合い、元気に歩けるようになっていて、目もぱっちりと開いている。目やにが少し出ているが、それは暖かいタオルでマルレーンとデボラが拭いてあげていた。
「王都には動物専門の医者もいます」
「ディッペル領にもいるようなのです」
「そうでしたね。ディッペル領は畜産が盛んな土地でした」
王都の動物専門の医者を紹介されそうになったが、わたくしはディッペル領にも動物専門の医者がいることを伝える。猫は畜産農家ではたくさんわいてくるネズミを捕えるために飼われていることが多いし、猫を診てくれる動物の医者もいるはずなのだ。
まだシロとクロは動物の医者に診てもらっていないが、近いうちに診てもらわねばならなくなるだろう。そのときにはディッペル家に動物の医者を呼ぶことになるだろう。
「シロもクロも雌のようですね」
「わたくしもそうではないかと思っていたのです」
男性の象徴がついていないので、シロもクロも雌ではないかと思っていたが、エクムント様もそう言っているので間違いないだろう。シロとクロのお尻を確認したエクムント様が、シロとクロを降ろすと、二匹が物凄い勢いで走って逃げていく。
逃げた二匹はわたくしのスカートの中に入ってしまった。
「シロ、クロ、いけません。出てください」
わたくしが慌てると、スカートを捲り上げてシロとクロがスカートの中から出てきて、走って自分たちのクッションとタオルで作ってもらったベッドに乗る。
スカートが捲れてしまったわたくしとエクムント様と、部屋の端で控えているデボラとマルレーンしかこの部屋にはいない。
「み、見ましたか?」
「見ていません!」
即答されてしまったが、エクムント様の立ち位置からははっきりと見えた気がする。
「恥ずかしいです。エクムント様にスカートの中を見られてしまうだなんて」
「少しだけです。綺麗なおみ足が少し見えただけです」
「やっぱり見たんじゃないですか」
「ほんの少しです」
言い争っているとふーちゃんとまーちゃんとクリスタちゃんが部屋にやってきた。
「お姉様、声が廊下まで聞こえていましたわ」
「エリザベートお姉様とエクムント様が喧嘩? 珍しいですね」
「何かあったのですか?」
何かあったのかと聞かれると、何があったのか恥ずかしくて答えられない。
シロとクロにスカートを捲られて、エクムント様にスカートの中身が見えてしまったなど言えるはずがない。幸いだったのは、シロとクロがまだ小さくて、それほど跳躍力がなかったことだ。
エクムント様の言う通り、足が見えたくらいで、下着までは見えていないだろう。
「何でもありません。そうですよね、エクムント様」
「シロとクロの性別を見ていたら嫌がって逃げられてしまっただけですよ」
わたくしとエクムント様で誤魔化すと、話題はシロとクロのことに移った。
「シロとクロは雌だと思ったのですがどうでしたか?」
「私も雌だと思いました」
「女の子ですね! わたくしの妹たちかしら」
「マリア嬢は妹のようにシロとクロを可愛がるのですね」
「そのつもりです」
話題がシロとクロの性別のことに移って安心していると、クリスタちゃんが鋭い目で見つめてきている。
「お姉様、もしかして……」
「何ですか、クリスタ?」
「エクムント様に、壁にドンッとされたのですか?」
「えぇ!?」
どこからそんな発想が浮かんできたのかと思うが、そういえば観劇に行ったときに、ヒロインはヒーローにいわゆる壁ドンをされていた。
「え!? エリザベートお姉様、壁にドンッてされたのですか!?」
まーちゃんまで身を乗り出してくる。
「わたくしはそんなことはされていませんよ。エクムント様がそんなことをなさるはずがないでしょう?」
「私はエリザベート嬢の前では紳士でありたいと思っています」
「それでは、どうしてお姉様が大きな声を上げていたのでしょう? あの劇では、ドンッとされたら、『声を上げるわよ!』と脅していた気がするのですが」
「劇のことは一旦忘れてください。シロとクロがエクムント様の手から逃げてびっくりしてしまっただけなのです」
「小さいので、私の手からだとかなり床まで距離があるでしょう? その距離を着地できるかハラハラしたのですよ、エリザベート嬢と二人で」
エクムント様も誤魔化しに入ってくれて、クリスタちゃんはやっと納得したようである。それにしても、観劇の壁ドンをわたくしがされたと考えてしまうなんて、クリスタちゃんはどれだけ発想豊かなのだろう。
「エリザベート嬢、テラスに出ますか?」
「あ、この部屋のテラスは使わないことにしているのです。シロとクロが逃げてしまっては危ないので」
「それでは、一緒に庭を歩きましょう」
夕暮れ時になってきていて、秋の庭は涼しい風が吹いている。その中で揺れている花木を見ながら、わたくしとエクムント様は庭を歩いた。
「先ほどは失礼しました。エリザベート嬢は見られたくなかったでしょうに」
「やっぱり見てしまったのですね。恥ずかしいです」
「綺麗なおみ足を少し見ただけです。それもできるだけ忘れます」
「エクムント様にはしたない姿を見られたのが恥ずかしいのです」
「はしたなくはないですよ。あれはシロとクロがスカートに入ってしまったので仕方がなかったことです」
話しながら薔薇園の方に歩いていくと、薔薇の花は咲いていなかったが、薔薇園は綺麗に整えられて、緑の葉っぱが茂っていた。
薔薇園の中を歩いて、ベンチにエクムント様がハンカチを置いてくださって、そこに座る。
「わたくし、靴下ではなくて色の濃いストッキングをはいていればよかったです」
「この時期に色の濃いストッキングははかないでしょう」
「エクムント様に脚を見られるくらいならば……」
「エリザベート嬢、その話はもうやめましょう。私も忘れることにします」
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