364 / 528
十一章 ネイルアートとフィンガーブレスレット
18.辺境伯領の女性の地位向上
しおりを挟む
夏休み前の試験で、五年生はノルベルト殿下が首席になった。四年生はわたくしが首席でハインリヒ殿下が二番で、オリヴァー殿とミリヤムちゃんが三番と四番を争っていた。三年生はクリスタちゃんが首席で、レーニちゃんが二番だった。二年生はリーゼロッテ嬢が首席だった。
五年生、四年生、三年生、二年生の首席がわたくしのお茶会に集っているということになる。
わたくしが苦労したのは詩の授業くらいで、他の試験は楽々で全問正解だった。ハインリヒ殿下も詩の試験には苦戦した様子である。
「オリヴァー殿が教えてくれなければこの点数は取れていませんね」
「わたくしも同じです」
試験の話が落ち着いてから、ハインリヒ殿下は彼の国での出来事を教えてくれた。
「彼の国では、国王陛下とお会いしました。病床の国王陛下にお会いして手を握られるのは不思議な心地がしました。少し祖母と似ていたような気がします」
「お姉様が考えた病気の治療法についてはどうでしたか?」
「従者にそれとなく言うと、すぐに食事を改善し始めたようです。帰るころには少し顔色がよくなっていた気がします」
やはり彼の国の国王陛下は脚気だったのだろう。脚気は慢性的なビタミンB1不足により、心不全や末梢神経の障害をきたす病気であるので、改善に向かうならば何よりだ。
彼の国の国王陛下もまだ亡くなるような高齢ではないので、これで体調が戻って後継者を選ぶ気になってくれればいいと思っていた。
「お姉様は国を一つ救ったかもしれませんわ」
「大袈裟です、クリスタ」
「お姉様は辺境伯領も救って、異国も救った。素晴らしい知恵の持ち主ですわ」
誇らしげに言われるが、それが前世の記憶に基づいているなんてわたくしは言えるはずがないので、静かに口を閉ざすのみだった。
――きな臭いことにならなければよいのですが。
エクムント様が心配していたからわたくしも動いただけで、そうでなければ解決策を考えること自体していなかったかもしれない。解決策が考えられたところで、国際問題になっては困るし、今回はとてもデリケートな話だった。
それでもわたくしがしたことで彼の国の国王陛下が救われるのであれば、やってよかったとは思っていた。
夏休みには辺境伯領に招かれていた。
毎年のことだが、今年はエクムント様が海神の祀られている社に連れて行ってくれるということでわたくしは楽しみにしていた。
それだけではない。夏休みには国王陛下の別荘にも招かれていた。
ディッペル家に戻って、招待状を受け取ったとき、わたくしもクリスタちゃんもとても嬉しくて手を取り合って喜んでしまった。
「国王陛下の別荘で今年も過ごせるのですね」
「ハインリヒ殿下と夏休みもご一緒です」
クリスタちゃんは特にハインリヒ殿下と過ごせることを楽しみにしているようだった。
逆にハインリヒ殿下とノルベルト殿下とユリアーナ殿下のご兄弟が辺境伯領に来るという話も聞いていた。
ユリアーナ殿下はずっと辺境伯領に来たがっていたが、年齢が低かったこともあり、辺境伯領に泊まらせることが国王陛下も王妃殿下も不安だったのだろう、なかなか来られていなかった。
それが今年はユリアーナ殿下が初めて辺境伯領に行くのだ。
その保護者としてハインリヒ殿下とノルベルト殿下も行かれるのだろう。
辺境伯領の特産品の紫色の布やコスチュームジュエリーのガラス細工、フィンガーブレスレットにネイルアートと、辺境伯領には魅力的なものがたくさんある。それらをユリアーナ殿下は自分の目で見てみたいのだろう。
フィンガーブレスレットの工房や、ネイルアートの技術者を育てる工房には、わたくしも見学してみたい気持ちはあった。
「エクムント様が言っていました。辺境伯領では女性の働く場所が少ないのだと」
女性の社会進出がまだ進んでいない辺境伯領で、フィンガーブレスレット作りやネイルアートの技術者として社会進出をしていける女性がいるならば、それがもっと進めばいいと思わないわけがない。
女性の社会進出が進んでいないということは、女性の社会的地位が低いということでもある。辺境伯領がそのような土地ならば、わたくしも生きづらくなるかもしれない。それならば、辺境伯領の女性の社会進出を支えて、もっと広げていくのがわたくしの使命かもしれないと思っていた。
「オルヒデー帝国自体が女性の社会進出が進んでいるかと言えばそうではないからね」
難しい顔で呟く父に、わたくしは平民の暮らしをほとんど知らないのだと気付く。貴族は長子相続で女性も当主になっているので女性の地位が確立されているように見えるのだが、実のところ平民がどうなっているかはわたくしにも分からない。
「オルヒデー帝国の平民はどうなのですか?」
「女性の仕事は貴族の侍女か、家庭教師か、洗濯くらいで、女性はできる限り外に出ないで家で家事をしておくものと考えられているね」
この世界のモデルが十九世紀のヨーロッパなのだからそれは仕方がないことなのかもしれないが、女性の地位というものについてわたくしは考えさせられる。とはいえ、わたくしが生きていた前世でも女性の地位が高かったかという問題に関しては、決してそうは言えなかったので、この問題は根深いのかもしれない。
それでもわたくしが将来嫁ぐことになる辺境伯領では少しでも女性の地位向上を考えたいとわたくしは考えていた。辺境伯の妻になるわたくしでなければできないことがあるのではないだろうか。
「辺境伯領ではフィンガーブレスレットの工房や、ネイルアートの技術者を育てることで、女性の地位が向上されればいいのですが」
「エリザベートが嫁ぐ土地だからね」
「マリアも嫁ぐ土地になりますよ」
「そうだった。マリアはまだ小さいから先だと思ってしまうが、あんなに小さかったエリザベートももうこんなに大きくなっている。あっという間なのかもしれないな」
少し寂しそうな父に母が寄り添っていた。
部屋に戻るとわたくしは辺境伯領に行く準備を始めた。辺境伯領では涼しい格好の上に日除けが必要である。わたくしもクリスタちゃんも日傘を持っていたが、それでは足りない部分がある。やはり薄い日除けの上着は必須だった。
わたくしもクリスタちゃんも日に焼けると真っ赤になって、火傷のようになってしまうので油断ができないのだ。
この世界にはまだ日焼け止めがない。日焼け止めの組成が分かればわたくしは作ってもらうのだが、前世の記憶があるといっても、日焼け止めが何から作られているかまではよく分かっていなかった。
「お姉様、新しい帽子を作ってもらいました。見てください」
大きなリボンのあるつばの広い帽子を見せられてわたくしも自分の帽子を見せる。わたくしの帽子はリボンでできた花が飾られていて、つばの広い白い帽子だ。
「クリスタちゃん、よく似合いますよ」
「お姉様もお似合いです」
お互いに褒め合って帽子は被っていくので荷物から外してクローゼットにかけておく。
サンダルは迷ったが今年は持って行かないことにした。
毎年サンダルをはくと足が日焼けで火傷のようになってしまうのだ。暑いかもしれないが、靴下を履いて靴を履くのが一番だと分かった。
「エリザベートお姉様、クリスタお姉様、このレモン柄のサマードレスと、ミントグリーンのサマードレス、どっちがいいと思いますか?」
サマードレスを持って駆けて来るまーちゃんにわたくしとクリスタちゃんは顔を見合わせる。
「そのレモン柄は、クリスタちゃんが着ていたものですね」
「ミントグリーンはお姉様が着ていたものですわ」
「そうなのです。どちらも大事なので決められないのです」
体に当てて見せてくれるまーちゃんにわたくしとクリスタちゃんは答える。
「まーちゃんはわたくしに似ているから、ミントグリーンがいいかもしれません」
「お姉様の小さい頃にそっくりですわ」
「それなら、ミントグリーンにします。それで、お帽子なのですが……」
次々と聞いてくるまーちゃんに、一緒に持って行くものを選んであげながら、わたくしはいつかまーちゃんが大人になった後も、こんな風に一緒に話す時間が持てるのだろうかと考えていた。
まーちゃんもオリヴァー殿の婚約者でいつかは辺境伯領に嫁いでくる。
辺境伯領で姉妹力を合わせられたらいいと思わずにいられなかった。
五年生、四年生、三年生、二年生の首席がわたくしのお茶会に集っているということになる。
わたくしが苦労したのは詩の授業くらいで、他の試験は楽々で全問正解だった。ハインリヒ殿下も詩の試験には苦戦した様子である。
「オリヴァー殿が教えてくれなければこの点数は取れていませんね」
「わたくしも同じです」
試験の話が落ち着いてから、ハインリヒ殿下は彼の国での出来事を教えてくれた。
「彼の国では、国王陛下とお会いしました。病床の国王陛下にお会いして手を握られるのは不思議な心地がしました。少し祖母と似ていたような気がします」
「お姉様が考えた病気の治療法についてはどうでしたか?」
「従者にそれとなく言うと、すぐに食事を改善し始めたようです。帰るころには少し顔色がよくなっていた気がします」
やはり彼の国の国王陛下は脚気だったのだろう。脚気は慢性的なビタミンB1不足により、心不全や末梢神経の障害をきたす病気であるので、改善に向かうならば何よりだ。
彼の国の国王陛下もまだ亡くなるような高齢ではないので、これで体調が戻って後継者を選ぶ気になってくれればいいと思っていた。
「お姉様は国を一つ救ったかもしれませんわ」
「大袈裟です、クリスタ」
「お姉様は辺境伯領も救って、異国も救った。素晴らしい知恵の持ち主ですわ」
誇らしげに言われるが、それが前世の記憶に基づいているなんてわたくしは言えるはずがないので、静かに口を閉ざすのみだった。
――きな臭いことにならなければよいのですが。
エクムント様が心配していたからわたくしも動いただけで、そうでなければ解決策を考えること自体していなかったかもしれない。解決策が考えられたところで、国際問題になっては困るし、今回はとてもデリケートな話だった。
それでもわたくしがしたことで彼の国の国王陛下が救われるのであれば、やってよかったとは思っていた。
夏休みには辺境伯領に招かれていた。
毎年のことだが、今年はエクムント様が海神の祀られている社に連れて行ってくれるということでわたくしは楽しみにしていた。
それだけではない。夏休みには国王陛下の別荘にも招かれていた。
ディッペル家に戻って、招待状を受け取ったとき、わたくしもクリスタちゃんもとても嬉しくて手を取り合って喜んでしまった。
「国王陛下の別荘で今年も過ごせるのですね」
「ハインリヒ殿下と夏休みもご一緒です」
クリスタちゃんは特にハインリヒ殿下と過ごせることを楽しみにしているようだった。
逆にハインリヒ殿下とノルベルト殿下とユリアーナ殿下のご兄弟が辺境伯領に来るという話も聞いていた。
ユリアーナ殿下はずっと辺境伯領に来たがっていたが、年齢が低かったこともあり、辺境伯領に泊まらせることが国王陛下も王妃殿下も不安だったのだろう、なかなか来られていなかった。
それが今年はユリアーナ殿下が初めて辺境伯領に行くのだ。
その保護者としてハインリヒ殿下とノルベルト殿下も行かれるのだろう。
辺境伯領の特産品の紫色の布やコスチュームジュエリーのガラス細工、フィンガーブレスレットにネイルアートと、辺境伯領には魅力的なものがたくさんある。それらをユリアーナ殿下は自分の目で見てみたいのだろう。
フィンガーブレスレットの工房や、ネイルアートの技術者を育てる工房には、わたくしも見学してみたい気持ちはあった。
「エクムント様が言っていました。辺境伯領では女性の働く場所が少ないのだと」
女性の社会進出がまだ進んでいない辺境伯領で、フィンガーブレスレット作りやネイルアートの技術者として社会進出をしていける女性がいるならば、それがもっと進めばいいと思わないわけがない。
女性の社会進出が進んでいないということは、女性の社会的地位が低いということでもある。辺境伯領がそのような土地ならば、わたくしも生きづらくなるかもしれない。それならば、辺境伯領の女性の社会進出を支えて、もっと広げていくのがわたくしの使命かもしれないと思っていた。
「オルヒデー帝国自体が女性の社会進出が進んでいるかと言えばそうではないからね」
難しい顔で呟く父に、わたくしは平民の暮らしをほとんど知らないのだと気付く。貴族は長子相続で女性も当主になっているので女性の地位が確立されているように見えるのだが、実のところ平民がどうなっているかはわたくしにも分からない。
「オルヒデー帝国の平民はどうなのですか?」
「女性の仕事は貴族の侍女か、家庭教師か、洗濯くらいで、女性はできる限り外に出ないで家で家事をしておくものと考えられているね」
この世界のモデルが十九世紀のヨーロッパなのだからそれは仕方がないことなのかもしれないが、女性の地位というものについてわたくしは考えさせられる。とはいえ、わたくしが生きていた前世でも女性の地位が高かったかという問題に関しては、決してそうは言えなかったので、この問題は根深いのかもしれない。
それでもわたくしが将来嫁ぐことになる辺境伯領では少しでも女性の地位向上を考えたいとわたくしは考えていた。辺境伯の妻になるわたくしでなければできないことがあるのではないだろうか。
「辺境伯領ではフィンガーブレスレットの工房や、ネイルアートの技術者を育てることで、女性の地位が向上されればいいのですが」
「エリザベートが嫁ぐ土地だからね」
「マリアも嫁ぐ土地になりますよ」
「そうだった。マリアはまだ小さいから先だと思ってしまうが、あんなに小さかったエリザベートももうこんなに大きくなっている。あっという間なのかもしれないな」
少し寂しそうな父に母が寄り添っていた。
部屋に戻るとわたくしは辺境伯領に行く準備を始めた。辺境伯領では涼しい格好の上に日除けが必要である。わたくしもクリスタちゃんも日傘を持っていたが、それでは足りない部分がある。やはり薄い日除けの上着は必須だった。
わたくしもクリスタちゃんも日に焼けると真っ赤になって、火傷のようになってしまうので油断ができないのだ。
この世界にはまだ日焼け止めがない。日焼け止めの組成が分かればわたくしは作ってもらうのだが、前世の記憶があるといっても、日焼け止めが何から作られているかまではよく分かっていなかった。
「お姉様、新しい帽子を作ってもらいました。見てください」
大きなリボンのあるつばの広い帽子を見せられてわたくしも自分の帽子を見せる。わたくしの帽子はリボンでできた花が飾られていて、つばの広い白い帽子だ。
「クリスタちゃん、よく似合いますよ」
「お姉様もお似合いです」
お互いに褒め合って帽子は被っていくので荷物から外してクローゼットにかけておく。
サンダルは迷ったが今年は持って行かないことにした。
毎年サンダルをはくと足が日焼けで火傷のようになってしまうのだ。暑いかもしれないが、靴下を履いて靴を履くのが一番だと分かった。
「エリザベートお姉様、クリスタお姉様、このレモン柄のサマードレスと、ミントグリーンのサマードレス、どっちがいいと思いますか?」
サマードレスを持って駆けて来るまーちゃんにわたくしとクリスタちゃんは顔を見合わせる。
「そのレモン柄は、クリスタちゃんが着ていたものですね」
「ミントグリーンはお姉様が着ていたものですわ」
「そうなのです。どちらも大事なので決められないのです」
体に当てて見せてくれるまーちゃんにわたくしとクリスタちゃんは答える。
「まーちゃんはわたくしに似ているから、ミントグリーンがいいかもしれません」
「お姉様の小さい頃にそっくりですわ」
「それなら、ミントグリーンにします。それで、お帽子なのですが……」
次々と聞いてくるまーちゃんに、一緒に持って行くものを選んであげながら、わたくしはいつかまーちゃんが大人になった後も、こんな風に一緒に話す時間が持てるのだろうかと考えていた。
まーちゃんもオリヴァー殿の婚約者でいつかは辺境伯領に嫁いでくる。
辺境伯領で姉妹力を合わせられたらいいと思わずにいられなかった。
261
お気に入りに追加
1,684
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる