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五章 妹の誕生と辺境伯領
15.ヒューゲル侯爵とハシビロコウ
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ヒューゲル侯爵のお屋敷に戻る前にわたくしはエクムント様とクリスタちゃんと打ち合わせをしておいた。
「ヒューゲル侯爵はわたくしたちが隣国の言葉を理解できると思っていません。だから庭に自由に出したのだと思います」
「私もいたのですが、舐められたものですね」
「エクムント様まで馬鹿にしているなんて許せないわ」
エクムント様は辺境伯領が接する異国が隣国の言葉を使っているので、隣国の言葉を話せないわけがないのだが、わたくしたちが話せなければエクムント様も隣国の言葉を話す子どもになど興味を持たないだろうと思われているのだ。
「エクムント様が子どもに親切にするなどとヒューゲル侯爵は考えていないのです。大人は子どもの話を聞かない、自分がそうだからそう思い込んでいるのでしょう」
「酷い話ですね」
「わたくし、ヒューゲル侯爵にお話しするわ!」
「いいえ、クリスタ、それは控えましょう。あくまでもわたくしたちは隣国の言葉を分からなかった。そうヒューゲル侯爵に思わせるのです」
「どうしてですか、お姉様?」
「その方がヒューゲル侯爵に隙が出て、口を滑らせるかもしれません」
そうでなくてもヒューゲル侯爵はわたくしたちを馬鹿にしているところがある。わたくしはヒューゲル侯爵に仕返しをしたかった。
わたくしが言えばクリスタちゃんもエクムント様も頷いて了承してくれる。
お屋敷の中に戻ると食堂に案内された。
「手を洗わせてくださいませ」
「暑かったでしょう。顔も洗って来るといい」
さすがに出かけた先のお屋敷で顔を洗うなんてことはしない。完全にわたくしとクリスタちゃんを赤ん坊のように扱っているヒューゲル侯爵にわたくしは復讐がしたかった。
手を洗って戻ってくると、ヒューゲル侯爵がミントティーを出してくれる。わたくしもクリスタちゃんもエクムント様も警戒してミントティーに手を出さなかった。
「エリザベート、クリスタ、ヒューゲル侯爵の庭はどうだったかな?」
「子どもが話しかけてきたけれど、何を言っているか分かりませんでした」
「その子どもについて行ったら、大きな鳥がいたのです」
鳥と言われてヒューゲル侯爵の眉が上がる。
「見間違いではないでしょうか。うちで鳥は飼っていません」
「それでは迷い込んで来たのかしら」
「とても大きな鳥でした」
あの鳥がハシビロコウという種類で、この辺境伯領には生息していないこともわたくしは知っているのだが、クリスタちゃんと一緒にとぼけてみせる。ヒューゲル侯爵は慌てて話題を変えようとしている。
「うちの雑用係が話しかけたようで申し訳ない。お客様には近寄るなと言っているのに。後でしっかりと指導しておきましょう」
「指導!? どんなことをするのですか!?」
「子どもを叩くようなことはなさらないでくださいね!」
大きな声で大袈裟に驚いて見せるわたくしとクリスタちゃんにヒューゲル侯爵の笑みが歪む。
「そんなことするわけがないでしょう。言い聞かせるだけです」
本当にそうなのだろうか。
叩いたり、食事を抜いたりするのではないだろうか。
あの子どもはわたくしと年齢が変わらないくらいだった。わたくしはあの子どもを保護すべきだと考える。
「辺境伯領ではあんな小さな子どもを働かせていいのですか?」
「いや、あの子は親に捨てられた子で、食べていけないので仕方なくこのお屋敷で雇っているのです」
「それでは、お給料はきっちりと払っているのですね?」
「も、もちろんですよ」
笑顔が段々と歪んで崩れそうになっているヒューゲル侯爵の元に、カサンドラ様が駆け付けた。カサンドラ様の来訪にヒューゲル侯爵が動揺している。
「何故カサンドラ様が!? ディッペル公爵だけではなかったのか!?」
「市で人身売買をしていた男の取り調べが終わったのではないですか? その男はヒューゲル侯爵のお名前を出したとか?」
「人聞きの悪いことを仰らないでください、エクムント様。例え私の名前を出したとしても、濡れ衣です」
はっきりと言うヒューゲル侯爵だが、カサンドラ様に呼び出されて庭に連れて行かれると、きょろきょろと周囲を見回している。
「カサンドラ様、暑かったでしょう。お屋敷にお入りください」
「庭を見せてもらう。見られて困るものでもあるのか?」
「あ、ありませんが、庭は今改装中で整えられておりませんので」
「サンルームを見せてもらう。そこの子、サンルームに案内してくれるか?」
「すみまセん、わたし、ことバ、むずかシい」
この国の言葉は明らかに詰まって上手に話せていない子どもに対して、カサンドラ様はすぐに隣国の言葉に切り替えた。
『君が大きな鳥を世話している子だね。お金で買われて来たとは本当かな?』
『本当です! 知らない男たちが両親にお金を払って私を買いました。その男たちに旦那様がお金を払って家の近くで捕らえたハシビロコウと一緒に私を買いました』
『給料はもらっていないんだね?』
『給料分はもう親に払ったと言われています』
目の前で話されている隣国の言葉が、ヒューゲル侯爵に通じていないわけがない。ヒューゲル侯爵の顔色が明らかに悪くなっている。
「子どもの言うことです。そんなのは嘘です」
「嘘かどうかは、ハシビロコウとやらを見せてもらって決めるとしよう」
子どもの案内でカサンドラ様はサンルームに入っていく。サンルームで蹲っている嘴と顔の大きな鳥は、カサンドラ様を見て立ち上がった。
子どもよりも背丈のある大きな鳥はハシビロコウに間違いない。
その特徴的な嘴と丸い目がハシビロコウであることを示している。
「この鳥はこの国に持ち込みを許されていないはずだ。どういうことかな、ヒューゲル侯爵」
「勝手に飛んできたんだと思います。私はこんな鳥がいることは知りませんでした」
「本当かな?」
ヒューゲル侯爵を睨んで、カサンドラ様は子どもの視線に合わせて屈んで問いかける。
『この鳥をヒューゲル侯爵が買ったのだね?』
『そうです。私と一緒に買いました』
「嘘だ! その子どもは嘘をついている!」
「語るに落ちたな、ヒューゲル侯爵。この国では飼ってはいけないハシビロコウを密輸入し、人身売買にまで手を染める。このことは許されないぞ!」
カサンドラ様の連れて来た兵士たちにヒューゲル侯爵が捕らえられて連れて行かれるのをわたくしとクリスタちゃんとエクムント様と父は見ていた。
問題は子どもとハシビロコウだ。
元居た場所に帰してあげたいのだが、子どもは売られてきているし、ハシビロコウは弱っている。このままではハシビロコウは野生には戻せないし、子どもは帰る場所がないだろう。
「お父様、国王陛下に許可を取って、ハシビロコウが野生に戻れるまで保護することはできませんか?」
「あのハシビロコウはもう野生に戻れないかもしれない」
「そうなのですか!?」
「飛んで逃げないように羽根が切られている可能性がある。そうなると野生に戻るのは難しいだろう」
野生に戻れないハシビロコウと家に帰れない子ども。
一羽と一人の行き先に関してわたくしは必死に考えた。
「ディッペル家でハシビロコウの御世話役としてあの子どもを雇って、ハシビロコウは保護するというのはどうでしょう?」
「ディッペル公爵領では冬が寒すぎるかもしれないが、庭に祖母が使っていたサンルームがある。あそこを改装すればハシビロコウが冬も暮らせる環境にできるかもしれない」
「曾お祖母様のサンルーム! わたくし行ったことがありません」
「祖母が亡くなってから手を入れていないから、誰も使っていない期間が長かったが、手入れをすれば使えるだろう」
父の言葉にわたくしは安心する。
ハシビロコウの行き先も、子どもの行き先も決まりそうだった。
「ハシビロコウも飼うことができるの? お姉様、ペットが欲しいって言っていたものね。よかったわ」
無邪気に喜ぶクリスタちゃんだが、わたくしはこんな強面のペットが欲しかったのだろうかと真顔になって考えてしまった。
「ヒューゲル侯爵はわたくしたちが隣国の言葉を理解できると思っていません。だから庭に自由に出したのだと思います」
「私もいたのですが、舐められたものですね」
「エクムント様まで馬鹿にしているなんて許せないわ」
エクムント様は辺境伯領が接する異国が隣国の言葉を使っているので、隣国の言葉を話せないわけがないのだが、わたくしたちが話せなければエクムント様も隣国の言葉を話す子どもになど興味を持たないだろうと思われているのだ。
「エクムント様が子どもに親切にするなどとヒューゲル侯爵は考えていないのです。大人は子どもの話を聞かない、自分がそうだからそう思い込んでいるのでしょう」
「酷い話ですね」
「わたくし、ヒューゲル侯爵にお話しするわ!」
「いいえ、クリスタ、それは控えましょう。あくまでもわたくしたちは隣国の言葉を分からなかった。そうヒューゲル侯爵に思わせるのです」
「どうしてですか、お姉様?」
「その方がヒューゲル侯爵に隙が出て、口を滑らせるかもしれません」
そうでなくてもヒューゲル侯爵はわたくしたちを馬鹿にしているところがある。わたくしはヒューゲル侯爵に仕返しをしたかった。
わたくしが言えばクリスタちゃんもエクムント様も頷いて了承してくれる。
お屋敷の中に戻ると食堂に案内された。
「手を洗わせてくださいませ」
「暑かったでしょう。顔も洗って来るといい」
さすがに出かけた先のお屋敷で顔を洗うなんてことはしない。完全にわたくしとクリスタちゃんを赤ん坊のように扱っているヒューゲル侯爵にわたくしは復讐がしたかった。
手を洗って戻ってくると、ヒューゲル侯爵がミントティーを出してくれる。わたくしもクリスタちゃんもエクムント様も警戒してミントティーに手を出さなかった。
「エリザベート、クリスタ、ヒューゲル侯爵の庭はどうだったかな?」
「子どもが話しかけてきたけれど、何を言っているか分かりませんでした」
「その子どもについて行ったら、大きな鳥がいたのです」
鳥と言われてヒューゲル侯爵の眉が上がる。
「見間違いではないでしょうか。うちで鳥は飼っていません」
「それでは迷い込んで来たのかしら」
「とても大きな鳥でした」
あの鳥がハシビロコウという種類で、この辺境伯領には生息していないこともわたくしは知っているのだが、クリスタちゃんと一緒にとぼけてみせる。ヒューゲル侯爵は慌てて話題を変えようとしている。
「うちの雑用係が話しかけたようで申し訳ない。お客様には近寄るなと言っているのに。後でしっかりと指導しておきましょう」
「指導!? どんなことをするのですか!?」
「子どもを叩くようなことはなさらないでくださいね!」
大きな声で大袈裟に驚いて見せるわたくしとクリスタちゃんにヒューゲル侯爵の笑みが歪む。
「そんなことするわけがないでしょう。言い聞かせるだけです」
本当にそうなのだろうか。
叩いたり、食事を抜いたりするのではないだろうか。
あの子どもはわたくしと年齢が変わらないくらいだった。わたくしはあの子どもを保護すべきだと考える。
「辺境伯領ではあんな小さな子どもを働かせていいのですか?」
「いや、あの子は親に捨てられた子で、食べていけないので仕方なくこのお屋敷で雇っているのです」
「それでは、お給料はきっちりと払っているのですね?」
「も、もちろんですよ」
笑顔が段々と歪んで崩れそうになっているヒューゲル侯爵の元に、カサンドラ様が駆け付けた。カサンドラ様の来訪にヒューゲル侯爵が動揺している。
「何故カサンドラ様が!? ディッペル公爵だけではなかったのか!?」
「市で人身売買をしていた男の取り調べが終わったのではないですか? その男はヒューゲル侯爵のお名前を出したとか?」
「人聞きの悪いことを仰らないでください、エクムント様。例え私の名前を出したとしても、濡れ衣です」
はっきりと言うヒューゲル侯爵だが、カサンドラ様に呼び出されて庭に連れて行かれると、きょろきょろと周囲を見回している。
「カサンドラ様、暑かったでしょう。お屋敷にお入りください」
「庭を見せてもらう。見られて困るものでもあるのか?」
「あ、ありませんが、庭は今改装中で整えられておりませんので」
「サンルームを見せてもらう。そこの子、サンルームに案内してくれるか?」
「すみまセん、わたし、ことバ、むずかシい」
この国の言葉は明らかに詰まって上手に話せていない子どもに対して、カサンドラ様はすぐに隣国の言葉に切り替えた。
『君が大きな鳥を世話している子だね。お金で買われて来たとは本当かな?』
『本当です! 知らない男たちが両親にお金を払って私を買いました。その男たちに旦那様がお金を払って家の近くで捕らえたハシビロコウと一緒に私を買いました』
『給料はもらっていないんだね?』
『給料分はもう親に払ったと言われています』
目の前で話されている隣国の言葉が、ヒューゲル侯爵に通じていないわけがない。ヒューゲル侯爵の顔色が明らかに悪くなっている。
「子どもの言うことです。そんなのは嘘です」
「嘘かどうかは、ハシビロコウとやらを見せてもらって決めるとしよう」
子どもの案内でカサンドラ様はサンルームに入っていく。サンルームで蹲っている嘴と顔の大きな鳥は、カサンドラ様を見て立ち上がった。
子どもよりも背丈のある大きな鳥はハシビロコウに間違いない。
その特徴的な嘴と丸い目がハシビロコウであることを示している。
「この鳥はこの国に持ち込みを許されていないはずだ。どういうことかな、ヒューゲル侯爵」
「勝手に飛んできたんだと思います。私はこんな鳥がいることは知りませんでした」
「本当かな?」
ヒューゲル侯爵を睨んで、カサンドラ様は子どもの視線に合わせて屈んで問いかける。
『この鳥をヒューゲル侯爵が買ったのだね?』
『そうです。私と一緒に買いました』
「嘘だ! その子どもは嘘をついている!」
「語るに落ちたな、ヒューゲル侯爵。この国では飼ってはいけないハシビロコウを密輸入し、人身売買にまで手を染める。このことは許されないぞ!」
カサンドラ様の連れて来た兵士たちにヒューゲル侯爵が捕らえられて連れて行かれるのをわたくしとクリスタちゃんとエクムント様と父は見ていた。
問題は子どもとハシビロコウだ。
元居た場所に帰してあげたいのだが、子どもは売られてきているし、ハシビロコウは弱っている。このままではハシビロコウは野生には戻せないし、子どもは帰る場所がないだろう。
「お父様、国王陛下に許可を取って、ハシビロコウが野生に戻れるまで保護することはできませんか?」
「あのハシビロコウはもう野生に戻れないかもしれない」
「そうなのですか!?」
「飛んで逃げないように羽根が切られている可能性がある。そうなると野生に戻るのは難しいだろう」
野生に戻れないハシビロコウと家に帰れない子ども。
一羽と一人の行き先に関してわたくしは必死に考えた。
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「ディッペル公爵領では冬が寒すぎるかもしれないが、庭に祖母が使っていたサンルームがある。あそこを改装すればハシビロコウが冬も暮らせる環境にできるかもしれない」
「曾お祖母様のサンルーム! わたくし行ったことがありません」
「祖母が亡くなってから手を入れていないから、誰も使っていない期間が長かったが、手入れをすれば使えるだろう」
父の言葉にわたくしは安心する。
ハシビロコウの行き先も、子どもの行き先も決まりそうだった。
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