91 / 528
四章 婚約式
1.カサンドラ様からのお願い
しおりを挟む
恋愛では無茶なところがあると考えていた『クリスタ・ノメンゼンの真実の愛』だが、世界設定は思ったよりしっかりしている。
貴族社会も実際に生きてみればしっかりとしているし、わたくしはこの世界観で起きることに関してはある程度信頼をしていた。
ふーちゃんが生まれてから両親は変わらずわたくしとクリスタちゃんを可愛がってくれていたが、ふーちゃんのこともものすごく気にかけていた。
子ども部屋で乳母に育てられてミルクを哺乳瓶で飲ませてもらっているふーちゃんは、母が来たときだけは母乳を飲ませてもらっている。哺乳瓶で飲んでいるときにはそれほどやる気なく哺乳瓶の乳首を口から出したりして遊んでいることが多いのに、母のお乳はしっかりと吸い付いて必死に飲んでいるから、何が違うのかとわたくしは不思議に思っていた。
ふーちゃんの乳母はエルマ・ヘルマンという。
貴族の乳母になる女性は特に丁重に扱われて、メイドの中でも名字に「さん」を付けて呼ばれるのが普通だった。
「ヘルマンさん、わたくしにも哺乳瓶を持たせてくれませんか?」
「エリザベートお嬢様、手を洗って来てくださいますか?」
「分かりました」
「わたくしも手を洗って来ます」
ふーちゃんを守る立場としてヘルマンさんが言うことは当然だったので、わたくしとクリスタちゃんは手を洗って来る。綺麗に手を洗うと椅子に座ったわたくしの膝の上にヘルマンさんがふーちゃんをおくるみで包んだまま置いてくれた。
哺乳瓶を握ってわたくしは異変に気付く。
「これは、冷たいではないですか」
「そうですよ。雑菌が増えないように冷たいままで差し上げています」
ふーちゃんがミルクを飲みたがらない理由が分かった。
わたくしから言ってもどうしようもないので、パウリーネ先生に相談する。
「フランツのミルクは冷たいようなのです。雑菌が増えないためと言われましたが、母のお乳は温かいでしょう? 母のお乳を一生懸命飲むのにフランツはミルクはあまり飲みません」
「ミルクの雑菌は作るときに八十度以上にしないとなくならないことを指導しなければいけませんね。その後で人肌までミルクをぬるくするのです」
「ぬるくするにしても人肌までですよね。冷たいとフランツの体が冷えてしまいます」
「夏場は冷たくても構わないかもしれませんが、まだ春ですからね」
パウリーネ先生からヘルマンさんに指導が行って、ミルクの調合は熱いお湯でされて、それをぬるくしてふーちゃんに飲ませることになった。
前世のわたくしの記憶が役に立ったようでわたくしは嬉しかった。
ふーちゃんがすくすくと育っている毎日が輝かしく、嬉しくて堪らない。
クリスタちゃんもふーちゃんをお膝に抱っこさせてもらって、ミルクを上げさせてもらって喜んでいた。
「ふーちゃん、わたくしのお顔をじっと見ていたわ。わたくしとお母様と同じお目目に髪の毛。とっても可愛い」
「ふーちゃんはクリスタちゃんの弟ですからね」
「わたくしの弟。わたくし、誰よりも可愛がるわ!」
七歳になっているクリスタちゃんは危険なので大人が付いていないとさせてくれないが、ふーちゃんを抱っこすることもできるようになっていた。もちろんわたくしもふーちゃんは抱っこできるが、危険なので大人がついているときだけだ。
ふーちゃんに夢中になっていると、辺境伯領からお手紙が来た。
それを読んで両親が難しい顔をしている。
夕食の席でわたくしは両親に問いかけた。
「カサンドラ様からのお手紙だったのでしょう? なんて書いてありましたか?」
「壊血病の実験が成功したと書いてあったよ」
「エリザベートにとても感謝しているそうです」
カサンドラ様の大事な方の命を奪った壊血病は、ザワークラウトで予防できるようになったようだ。話を聞いてわたくしが喜んでいると、両親が夕食後にわたくしとクリスタちゃんをソファに呼んだ。
ソファに座ると両親がどうやって切り出せばいいのか分からないように言葉を選んでいるのが分かる。
何か重要なことなのだろうとわたくしは背筋を伸ばした。
「カサンドラ様からお願いが書かれていたのだよ」
「お手紙にですか?」
「そうです。エリザベート、よく聞いてくれますか?」
「はい、お母様、お父様」
わたくしが緊張しながら話を聞けば、両親は長く息を吐いて話し出す。
「エリザベートを辺境伯領の後継、エクムントと婚約する約束を交わしたいと仰られているのだ」
「この国は長子相続ですが、エリザベートには弟のフランツが生まれて、フランツに相続権を譲ることができます。フランツに相続権を譲って、エリザベートが成人した暁には辺境伯領に嫁いできて欲しいとのお願いなのです」
「了承が取れれば、皇太子殿下であるハインリヒ殿下と兄上のノルベルト殿下の誕生日の式典のときに国王陛下に認めてもらうとカサンドラ様は仰っている」
カサンドラ様はエクムント様の婚約者にわたくしを望んでくださっている。
それは天にも昇る心地だった。
わたくしはクリスタちゃんに負けて辺境に追いやられるのではなくて、辺境伯領とこの国を繋ぐ強い絆として誉を背負って嫁いで行ける。
「急な話でエリザベートもすぐには返事ができないだろう」
「エリザベートはまだ八歳ですもの。早すぎますわ」
「それでも、カサンドラ様は壊血病を予防する手段を示したエリザベートを高く買ってくれていて、何より、辺境伯領が王家に反乱の意思なしと示すためにも、王家の血が入ったエリザベートを婚約者に求めているのだ」
わたくしの紫の光沢のある黒髪と銀色の光沢のある黒い目は、初代国王陛下と同じ色彩で、わたくしに王家の血が入っていることをはっきりと示している。
王都にほど近いディッペル公爵領から初代国王と同じ色彩を持つわたくしが嫁いできたとなれば、辺境伯領は完全にオルヒデー帝国の王家に従うという意志を示せるのだ。
「わたくし、お受けしたいです」
凛と答えたわたくしに、隣りでクリスタちゃんが水色の目を煌めかせて拍手をしている。
「公爵家の後継はフランツに譲ります。わたくしは、辺境伯領領主となるエクムント様の元に嫁ぎます」
はっきり言えば両親が驚きに目を見開いている。その目が潤んでくるのをわたくしは感じていた。
「辺境伯に嫁ぐのは王家と辺境伯領を繋ぐものすごい誉だ」
「エリザベートの気持ちが決まっているのでしたら、お返事を書きましょう」
「エリザベート、本当にいいのだね?」
「はい、お父様、お母様」
これでわたくしは将来辺境伯領に嫁ぐことができる。エクムント様と結ばれたいと夢想していたが、それが現実として近付いたのだ。
国王陛下に報告しての約束となれば、婚約の約束状態であっても、破られることはほぼないであろう。辺境伯とこの国唯一の公爵家の娘との結婚は、国にとっても一大事業となるからだ。
一時期ノルベルト殿下に婚約を求められていたが、辺境伯領を繋ぐためとなれば、ノルベルト殿下も納得してくださるだろう。
「エリザベート、これからはエクムントのことは、『エクムント様』とお呼びしなさい」
「エリザベートの婚約者となるのだからね」
「エクムントにも、エリザベートのことは『エリザベート嬢』と呼ぶように伝えます」
今はまだディッペル家に仕えている身で、両親からしてみれば呼び捨てにしなければいけないのだが、わたくしは「エクムント様」と堂々と呼ぶ許可が下りた。エクムント様もわたくしのことを「エリザベート嬢」と呼んでくださるようだ。
「エクムント様がわたくしの婚約者……」
「カサンドラ様は国王陛下の前で婚約式を望んでいらっしゃる。その衣装も早急に作らなければ」
「エリザベートがこの年で婚約してしまうなんて、寂しいことですが、エリザベートにとってもとてもいいお話ですし、この国にとってエリザベートが大きな楔となれるなんて、名誉なことです」
複雑な心境を口にしているが、両親はわたくしの婚約に乗り気のようだった。
エクムント様との婚約式が王都で行われる。
わたくしは白いドレスと花冠を注文してもらっていた。
貴族社会も実際に生きてみればしっかりとしているし、わたくしはこの世界観で起きることに関してはある程度信頼をしていた。
ふーちゃんが生まれてから両親は変わらずわたくしとクリスタちゃんを可愛がってくれていたが、ふーちゃんのこともものすごく気にかけていた。
子ども部屋で乳母に育てられてミルクを哺乳瓶で飲ませてもらっているふーちゃんは、母が来たときだけは母乳を飲ませてもらっている。哺乳瓶で飲んでいるときにはそれほどやる気なく哺乳瓶の乳首を口から出したりして遊んでいることが多いのに、母のお乳はしっかりと吸い付いて必死に飲んでいるから、何が違うのかとわたくしは不思議に思っていた。
ふーちゃんの乳母はエルマ・ヘルマンという。
貴族の乳母になる女性は特に丁重に扱われて、メイドの中でも名字に「さん」を付けて呼ばれるのが普通だった。
「ヘルマンさん、わたくしにも哺乳瓶を持たせてくれませんか?」
「エリザベートお嬢様、手を洗って来てくださいますか?」
「分かりました」
「わたくしも手を洗って来ます」
ふーちゃんを守る立場としてヘルマンさんが言うことは当然だったので、わたくしとクリスタちゃんは手を洗って来る。綺麗に手を洗うと椅子に座ったわたくしの膝の上にヘルマンさんがふーちゃんをおくるみで包んだまま置いてくれた。
哺乳瓶を握ってわたくしは異変に気付く。
「これは、冷たいではないですか」
「そうですよ。雑菌が増えないように冷たいままで差し上げています」
ふーちゃんがミルクを飲みたがらない理由が分かった。
わたくしから言ってもどうしようもないので、パウリーネ先生に相談する。
「フランツのミルクは冷たいようなのです。雑菌が増えないためと言われましたが、母のお乳は温かいでしょう? 母のお乳を一生懸命飲むのにフランツはミルクはあまり飲みません」
「ミルクの雑菌は作るときに八十度以上にしないとなくならないことを指導しなければいけませんね。その後で人肌までミルクをぬるくするのです」
「ぬるくするにしても人肌までですよね。冷たいとフランツの体が冷えてしまいます」
「夏場は冷たくても構わないかもしれませんが、まだ春ですからね」
パウリーネ先生からヘルマンさんに指導が行って、ミルクの調合は熱いお湯でされて、それをぬるくしてふーちゃんに飲ませることになった。
前世のわたくしの記憶が役に立ったようでわたくしは嬉しかった。
ふーちゃんがすくすくと育っている毎日が輝かしく、嬉しくて堪らない。
クリスタちゃんもふーちゃんをお膝に抱っこさせてもらって、ミルクを上げさせてもらって喜んでいた。
「ふーちゃん、わたくしのお顔をじっと見ていたわ。わたくしとお母様と同じお目目に髪の毛。とっても可愛い」
「ふーちゃんはクリスタちゃんの弟ですからね」
「わたくしの弟。わたくし、誰よりも可愛がるわ!」
七歳になっているクリスタちゃんは危険なので大人が付いていないとさせてくれないが、ふーちゃんを抱っこすることもできるようになっていた。もちろんわたくしもふーちゃんは抱っこできるが、危険なので大人がついているときだけだ。
ふーちゃんに夢中になっていると、辺境伯領からお手紙が来た。
それを読んで両親が難しい顔をしている。
夕食の席でわたくしは両親に問いかけた。
「カサンドラ様からのお手紙だったのでしょう? なんて書いてありましたか?」
「壊血病の実験が成功したと書いてあったよ」
「エリザベートにとても感謝しているそうです」
カサンドラ様の大事な方の命を奪った壊血病は、ザワークラウトで予防できるようになったようだ。話を聞いてわたくしが喜んでいると、両親が夕食後にわたくしとクリスタちゃんをソファに呼んだ。
ソファに座ると両親がどうやって切り出せばいいのか分からないように言葉を選んでいるのが分かる。
何か重要なことなのだろうとわたくしは背筋を伸ばした。
「カサンドラ様からお願いが書かれていたのだよ」
「お手紙にですか?」
「そうです。エリザベート、よく聞いてくれますか?」
「はい、お母様、お父様」
わたくしが緊張しながら話を聞けば、両親は長く息を吐いて話し出す。
「エリザベートを辺境伯領の後継、エクムントと婚約する約束を交わしたいと仰られているのだ」
「この国は長子相続ですが、エリザベートには弟のフランツが生まれて、フランツに相続権を譲ることができます。フランツに相続権を譲って、エリザベートが成人した暁には辺境伯領に嫁いできて欲しいとのお願いなのです」
「了承が取れれば、皇太子殿下であるハインリヒ殿下と兄上のノルベルト殿下の誕生日の式典のときに国王陛下に認めてもらうとカサンドラ様は仰っている」
カサンドラ様はエクムント様の婚約者にわたくしを望んでくださっている。
それは天にも昇る心地だった。
わたくしはクリスタちゃんに負けて辺境に追いやられるのではなくて、辺境伯領とこの国を繋ぐ強い絆として誉を背負って嫁いで行ける。
「急な話でエリザベートもすぐには返事ができないだろう」
「エリザベートはまだ八歳ですもの。早すぎますわ」
「それでも、カサンドラ様は壊血病を予防する手段を示したエリザベートを高く買ってくれていて、何より、辺境伯領が王家に反乱の意思なしと示すためにも、王家の血が入ったエリザベートを婚約者に求めているのだ」
わたくしの紫の光沢のある黒髪と銀色の光沢のある黒い目は、初代国王陛下と同じ色彩で、わたくしに王家の血が入っていることをはっきりと示している。
王都にほど近いディッペル公爵領から初代国王と同じ色彩を持つわたくしが嫁いできたとなれば、辺境伯領は完全にオルヒデー帝国の王家に従うという意志を示せるのだ。
「わたくし、お受けしたいです」
凛と答えたわたくしに、隣りでクリスタちゃんが水色の目を煌めかせて拍手をしている。
「公爵家の後継はフランツに譲ります。わたくしは、辺境伯領領主となるエクムント様の元に嫁ぎます」
はっきり言えば両親が驚きに目を見開いている。その目が潤んでくるのをわたくしは感じていた。
「辺境伯に嫁ぐのは王家と辺境伯領を繋ぐものすごい誉だ」
「エリザベートの気持ちが決まっているのでしたら、お返事を書きましょう」
「エリザベート、本当にいいのだね?」
「はい、お父様、お母様」
これでわたくしは将来辺境伯領に嫁ぐことができる。エクムント様と結ばれたいと夢想していたが、それが現実として近付いたのだ。
国王陛下に報告しての約束となれば、婚約の約束状態であっても、破られることはほぼないであろう。辺境伯とこの国唯一の公爵家の娘との結婚は、国にとっても一大事業となるからだ。
一時期ノルベルト殿下に婚約を求められていたが、辺境伯領を繋ぐためとなれば、ノルベルト殿下も納得してくださるだろう。
「エリザベート、これからはエクムントのことは、『エクムント様』とお呼びしなさい」
「エリザベートの婚約者となるのだからね」
「エクムントにも、エリザベートのことは『エリザベート嬢』と呼ぶように伝えます」
今はまだディッペル家に仕えている身で、両親からしてみれば呼び捨てにしなければいけないのだが、わたくしは「エクムント様」と堂々と呼ぶ許可が下りた。エクムント様もわたくしのことを「エリザベート嬢」と呼んでくださるようだ。
「エクムント様がわたくしの婚約者……」
「カサンドラ様は国王陛下の前で婚約式を望んでいらっしゃる。その衣装も早急に作らなければ」
「エリザベートがこの年で婚約してしまうなんて、寂しいことですが、エリザベートにとってもとてもいいお話ですし、この国にとってエリザベートが大きな楔となれるなんて、名誉なことです」
複雑な心境を口にしているが、両親はわたくしの婚約に乗り気のようだった。
エクムント様との婚約式が王都で行われる。
わたくしは白いドレスと花冠を注文してもらっていた。
68
お気に入りに追加
1,689
あなたにおすすめの小説
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる