64 / 528
三章 バーデン家の企みを暴く
4.エクムント様の恋する条件
しおりを挟む
それにしてもエクムント様はなんでこんなに素敵なのだろう。
六歳と七歳のクリスタちゃんとわたくしの疑問にも答えてくれて、何があろうとも絶対に馬鹿にしたり、わたくしとクリスタちゃんが幼いことを理由に言葉を濁したりしない。
わたくしとクリスタちゃんのためならば、格上のバーデン家のブリギッテ様にも盾突こうとしてくださる。
エクムント様とわたくしはもっと話をしたかった。
「休憩時間なのにお邪魔じゃないですか?」
「今日の仕事はもう終わっているので、休憩を取ったら部屋に帰るだけです。エリザベートお嬢様とクリスタお嬢様とお話をするのは楽しいですよ」
わたくしとクリスタちゃんが主人の娘であることを覗いても、エクムント様の態度は常に優しくて紳士的だ。その理由をわたくしは聞いてみたかった。
「エクムントはわたくしやクリスタが何を聞いてもしっかりと答えてくれるのはどうしてですか? 大人の中には、わたくしたちが小さいからといって、答えてくれない方もいます」
「この家にお仕えすることになったときに……いいえ、もっと前からですね。士官学校に行き始めて、エリザベートお嬢様が生まれて、キルヒマン侯爵家に来た頃から、奥様に言われていたのです」
「何を言われていたのですか?」
「子どもは何でも知りたがるものですが、それに答えないと子どもとの信頼関係が築けません。例え意味が分からないとしても、真摯に大人に答えてもらった記憶が積み重なると子どもは大人を信頼するようになります。その信頼関係を築くためにも、エリザベートお嬢様が私に何か聞いたときには真摯に答えてくださいと言われました」
母はエクムント様にそんなことを言っていたのか。
そのおかげでエクムント様はわたくしの小さな疑問にも全力で答えてくださる。
「私は末っ子で子どもとの接し方など分からなかったのです。奥様の教えがエリザベートお嬢様と接する指針になりました」
「そうだったのですね」
おかげでわたくしは両親を信頼しているし、エクムント様も信頼している。デボラもマルレーンも信じて身の回りのことをお願いできているし、信頼があるおかげでわたくしは暮らしやすくなっているのは間違いなかった。
「わたくし、色んなことをエクムント様に聞いていい?」
「私で答えられることなら答えますよ。クリスタお嬢様が何を疑問に思っているのか、教えてください」
「エクムント様は、どんな女性が好きですか?」
クリスタちゃんの言葉にわたくしの方が焦ってしまう。
これではわたくしがエクムント様のことを好きだとバレてしまうのではないだろうか。
内心焦るわたくしに気付かず、エクムント様は眉を下げて困った表情になった。
「私は、女性を選べる立場ではありません」
「選べる立場ではないってどういうこと?」
「私が辺境伯家に養子に行けば、その結婚は辺境伯家と他家を結ぶ重要なものです。私が好きになる相手は、結婚する相手だとお答えしておきましょう」
これが貴族として当然の返事なのだ。
身分が近いもの同士だったら貴族でも選択権があるが、そうでなければ貴族の結婚に選択権などない。特にエクムント様は辺境伯が決めた相手と結婚するのだろうから、好きになる相手というのが存在してはならないのだ。
好きとか嫌いとか、そんな甘い感情で貴族の結婚は成立しないのだ。
分かってはいたがわたくしは胸の痛みを覚える。
わたくしがエクムント様の好きな相手になるには、辺境伯家の養子になったエクムント様と婚約して、結婚するしかないのだ。
エクムント様は恋愛をするつもりがないようなので、婚約をする以外にエクムント様に好きになってもらう方法がない。
一刻も早く弟か妹が生まれて欲しいのだが、それはまだ先のことになるだろうし、エクムント様は四年後には辺境伯家に行ってしまう。その頃にはエクムント様は二十二歳で結婚適齢期なので、すぐに縁談が持ち込まれるだろう。
わたくしにできることは何なのか。
真剣に考えなければいけない時期は近かった。
騎士たちの休憩室から出てわたくしとクリスタちゃんは部屋に戻り、エクムント様も自分の部屋に戻る。
部屋に戻るとクリスタちゃんはわたくしの部屋に来ていた。
「お姉様、わたくしのお名前、呼んでください」
「クリスタちゃん」
「なんて可愛い呼び方なんでしょう。わたくし、世界中にお姉様がわたくしのことを『クリスタちゃん』って呼んでくれているのを自慢したいわ」
「それはやめてください。この呼び方は平民の呼び方ですからね。わたくしとクリスタちゃん、二人だけの秘密です」
「二人だけの秘密! わたくし、絶対に誰にも言わない! ハインリヒ殿下にも内緒にするわ」
両手を握り締めて目を輝かせているクリスタ嬢に、わたくしは笑ってしまった。
「二人で何の話をしているのですか? 楽しそうな声が廊下まで聞こえましたよ」
「お母様、お行儀が悪くてごめんなさい」
「お母様、内緒なの!」
「わたくしにも内緒なのですか?」
「ごめんなさい。お姉様とお約束したの」
クリスタちゃんはしっかりとわたくしとの約束を守ってくれているようだった。
「お母様、お聞きしたいことがあったの。わたくし、エクムント様を『エクムント』と呼び捨てにしなければいけない?」
これまではエクムント様のことはクリスタちゃんの方が子爵家令嬢で身分が低かったので様付けを許されていたが、今はクリスタちゃんは公爵家令嬢だ。エクムント様にとっては主人の娘となるので、様付けはおかしいかもしれない。
クリスタちゃんの真剣な問いかけに、母も考えている。
「これまでエクムント様と呼んでいたのを変えるのは大変かもしれませんが、エクムントは公爵家に仕える騎士。主人の娘が様付けで呼んでいてはおかしいかもしれませんね」
「そうなのね……」
「エリザベートもクリスタのことは、クリスタ嬢ではなく、クリスタと呼ぶようにしたのでしょう?」
「は、はい」
わたくしはちらりとクリスタちゃんの顔を見る。クリスタちゃんは何か言いたそうに口をもごもごさせているが、我慢できなくなったようで、ついに言ってしまった。
「お姉様、わたくしを、『クリスタちゃん』って呼んでくださるの!」
「クリスタ! それは二人だけのときでしょう!」
「あーん、言いたかったんですものー! お母様に内緒なんてできないわー!」
六歳の内緒はこんなにも脆く弱いものだった。
それもクリスタちゃんが幼いので仕方がないだろう。
怒られるのを覚悟してわたくしは母に頭を下げる。
「ごめんなさい! わたくし、どうしてもクリスタちゃんのことを呼び捨てにできなくて。二人きりのときはクリスタちゃんって呼ぼうって決めたんです。お母様、怒っていますか?」
わたくしの問いかけに母は笑っていた。
「クリスタちゃんだなんて、平民のような呼び方ではないですか。公の場では絶対にいけませんよ?」
「はい、ごめんなさい」
「二人きりのときにエリザベートがクリスタをどう呼んでいるかは、わたくしには分かりません。普段から呼んでいた方がいざというときに出にくいのでいいとは思うのですが、今回のことはわたくしは聞かなかったことにしましょう。エリザベートとクリスタの二人でよく話し合って決めてください」
クリスタちゃんと呼んでいたことがバレてしまって母に怒られるかと思ったが、母は寛容に聞かなかったことにしてくれた。
本当ならば呼び方を変えた方がいいのだが、クリスタちゃんが喜んでいるし、普段からわたくしはクリスタちゃんを呼び捨てにするなんてできない。今度こそ絶対に内緒で、二人きりのときだけはクリスタちゃんと呼ぶことにしよう。
「クリスタ、口が軽すぎますわ」
「ごめんなさい、お姉様。わたくし、お母様に内緒なんてできなかったの」
「気持ちは分かりますが」
クリスタちゃんにとっては母は本当の母親のような気持ちなのだろう。生まれたときに母親を亡くしているクリスタちゃんは母親というものを知らない。ディッペル家に引き取られて可愛がってくれたわたくしの母が、クリスタちゃんが養子になったことによって本当の母になったのが嬉しくて堪らない気持ちは分からないでもなかった。
それだけクリスタちゃんも母を信頼しているということだろう。
「今度こそ、絶対に内緒ですからね?」
「はい、お姉様!」
元気にお返事をするクリスタちゃんをどこまで信じていいのか、わたくしには分からなかった。
六歳と七歳のクリスタちゃんとわたくしの疑問にも答えてくれて、何があろうとも絶対に馬鹿にしたり、わたくしとクリスタちゃんが幼いことを理由に言葉を濁したりしない。
わたくしとクリスタちゃんのためならば、格上のバーデン家のブリギッテ様にも盾突こうとしてくださる。
エクムント様とわたくしはもっと話をしたかった。
「休憩時間なのにお邪魔じゃないですか?」
「今日の仕事はもう終わっているので、休憩を取ったら部屋に帰るだけです。エリザベートお嬢様とクリスタお嬢様とお話をするのは楽しいですよ」
わたくしとクリスタちゃんが主人の娘であることを覗いても、エクムント様の態度は常に優しくて紳士的だ。その理由をわたくしは聞いてみたかった。
「エクムントはわたくしやクリスタが何を聞いてもしっかりと答えてくれるのはどうしてですか? 大人の中には、わたくしたちが小さいからといって、答えてくれない方もいます」
「この家にお仕えすることになったときに……いいえ、もっと前からですね。士官学校に行き始めて、エリザベートお嬢様が生まれて、キルヒマン侯爵家に来た頃から、奥様に言われていたのです」
「何を言われていたのですか?」
「子どもは何でも知りたがるものですが、それに答えないと子どもとの信頼関係が築けません。例え意味が分からないとしても、真摯に大人に答えてもらった記憶が積み重なると子どもは大人を信頼するようになります。その信頼関係を築くためにも、エリザベートお嬢様が私に何か聞いたときには真摯に答えてくださいと言われました」
母はエクムント様にそんなことを言っていたのか。
そのおかげでエクムント様はわたくしの小さな疑問にも全力で答えてくださる。
「私は末っ子で子どもとの接し方など分からなかったのです。奥様の教えがエリザベートお嬢様と接する指針になりました」
「そうだったのですね」
おかげでわたくしは両親を信頼しているし、エクムント様も信頼している。デボラもマルレーンも信じて身の回りのことをお願いできているし、信頼があるおかげでわたくしは暮らしやすくなっているのは間違いなかった。
「わたくし、色んなことをエクムント様に聞いていい?」
「私で答えられることなら答えますよ。クリスタお嬢様が何を疑問に思っているのか、教えてください」
「エクムント様は、どんな女性が好きですか?」
クリスタちゃんの言葉にわたくしの方が焦ってしまう。
これではわたくしがエクムント様のことを好きだとバレてしまうのではないだろうか。
内心焦るわたくしに気付かず、エクムント様は眉を下げて困った表情になった。
「私は、女性を選べる立場ではありません」
「選べる立場ではないってどういうこと?」
「私が辺境伯家に養子に行けば、その結婚は辺境伯家と他家を結ぶ重要なものです。私が好きになる相手は、結婚する相手だとお答えしておきましょう」
これが貴族として当然の返事なのだ。
身分が近いもの同士だったら貴族でも選択権があるが、そうでなければ貴族の結婚に選択権などない。特にエクムント様は辺境伯が決めた相手と結婚するのだろうから、好きになる相手というのが存在してはならないのだ。
好きとか嫌いとか、そんな甘い感情で貴族の結婚は成立しないのだ。
分かってはいたがわたくしは胸の痛みを覚える。
わたくしがエクムント様の好きな相手になるには、辺境伯家の養子になったエクムント様と婚約して、結婚するしかないのだ。
エクムント様は恋愛をするつもりがないようなので、婚約をする以外にエクムント様に好きになってもらう方法がない。
一刻も早く弟か妹が生まれて欲しいのだが、それはまだ先のことになるだろうし、エクムント様は四年後には辺境伯家に行ってしまう。その頃にはエクムント様は二十二歳で結婚適齢期なので、すぐに縁談が持ち込まれるだろう。
わたくしにできることは何なのか。
真剣に考えなければいけない時期は近かった。
騎士たちの休憩室から出てわたくしとクリスタちゃんは部屋に戻り、エクムント様も自分の部屋に戻る。
部屋に戻るとクリスタちゃんはわたくしの部屋に来ていた。
「お姉様、わたくしのお名前、呼んでください」
「クリスタちゃん」
「なんて可愛い呼び方なんでしょう。わたくし、世界中にお姉様がわたくしのことを『クリスタちゃん』って呼んでくれているのを自慢したいわ」
「それはやめてください。この呼び方は平民の呼び方ですからね。わたくしとクリスタちゃん、二人だけの秘密です」
「二人だけの秘密! わたくし、絶対に誰にも言わない! ハインリヒ殿下にも内緒にするわ」
両手を握り締めて目を輝かせているクリスタ嬢に、わたくしは笑ってしまった。
「二人で何の話をしているのですか? 楽しそうな声が廊下まで聞こえましたよ」
「お母様、お行儀が悪くてごめんなさい」
「お母様、内緒なの!」
「わたくしにも内緒なのですか?」
「ごめんなさい。お姉様とお約束したの」
クリスタちゃんはしっかりとわたくしとの約束を守ってくれているようだった。
「お母様、お聞きしたいことがあったの。わたくし、エクムント様を『エクムント』と呼び捨てにしなければいけない?」
これまではエクムント様のことはクリスタちゃんの方が子爵家令嬢で身分が低かったので様付けを許されていたが、今はクリスタちゃんは公爵家令嬢だ。エクムント様にとっては主人の娘となるので、様付けはおかしいかもしれない。
クリスタちゃんの真剣な問いかけに、母も考えている。
「これまでエクムント様と呼んでいたのを変えるのは大変かもしれませんが、エクムントは公爵家に仕える騎士。主人の娘が様付けで呼んでいてはおかしいかもしれませんね」
「そうなのね……」
「エリザベートもクリスタのことは、クリスタ嬢ではなく、クリスタと呼ぶようにしたのでしょう?」
「は、はい」
わたくしはちらりとクリスタちゃんの顔を見る。クリスタちゃんは何か言いたそうに口をもごもごさせているが、我慢できなくなったようで、ついに言ってしまった。
「お姉様、わたくしを、『クリスタちゃん』って呼んでくださるの!」
「クリスタ! それは二人だけのときでしょう!」
「あーん、言いたかったんですものー! お母様に内緒なんてできないわー!」
六歳の内緒はこんなにも脆く弱いものだった。
それもクリスタちゃんが幼いので仕方がないだろう。
怒られるのを覚悟してわたくしは母に頭を下げる。
「ごめんなさい! わたくし、どうしてもクリスタちゃんのことを呼び捨てにできなくて。二人きりのときはクリスタちゃんって呼ぼうって決めたんです。お母様、怒っていますか?」
わたくしの問いかけに母は笑っていた。
「クリスタちゃんだなんて、平民のような呼び方ではないですか。公の場では絶対にいけませんよ?」
「はい、ごめんなさい」
「二人きりのときにエリザベートがクリスタをどう呼んでいるかは、わたくしには分かりません。普段から呼んでいた方がいざというときに出にくいのでいいとは思うのですが、今回のことはわたくしは聞かなかったことにしましょう。エリザベートとクリスタの二人でよく話し合って決めてください」
クリスタちゃんと呼んでいたことがバレてしまって母に怒られるかと思ったが、母は寛容に聞かなかったことにしてくれた。
本当ならば呼び方を変えた方がいいのだが、クリスタちゃんが喜んでいるし、普段からわたくしはクリスタちゃんを呼び捨てにするなんてできない。今度こそ絶対に内緒で、二人きりのときだけはクリスタちゃんと呼ぶことにしよう。
「クリスタ、口が軽すぎますわ」
「ごめんなさい、お姉様。わたくし、お母様に内緒なんてできなかったの」
「気持ちは分かりますが」
クリスタちゃんにとっては母は本当の母親のような気持ちなのだろう。生まれたときに母親を亡くしているクリスタちゃんは母親というものを知らない。ディッペル家に引き取られて可愛がってくれたわたくしの母が、クリスタちゃんが養子になったことによって本当の母になったのが嬉しくて堪らない気持ちは分からないでもなかった。
それだけクリスタちゃんも母を信頼しているということだろう。
「今度こそ、絶対に内緒ですからね?」
「はい、お姉様!」
元気にお返事をするクリスタちゃんをどこまで信じていいのか、わたくしには分からなかった。
56
お気に入りに追加
1,689
あなたにおすすめの小説
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる