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最終章 勇者と妖精種と聖女の結婚
10.三度目の正直
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家に帰ってから、朱雀と青慈は非常にそわそわとしていた。青慈の足首もかなり治ってきているし、長い間お預けにされていたのだから初夜に向かって期待が高まるのも仕方がない。
「私が教えてあげるから、玄武に教えられたことは全部忘れて」
「朱雀はどうやって学んだの?」
「そ、それは……」
「ちゃんとした知識を、俺も朱雀と一緒に学びたい」
もう一度一からやり直すように、朱雀は青慈を寝室に招いた。まだ晩ご飯も食べていなかったし、ことに及ぶつもりはなかったけれど、青龍から借りた本を二人で読みたかったのだ。
寝台の端に腰かけて、青龍から借りた医学的知見の入った図入りの本を読んでいくと、二人とも真剣な表情になる。男性同士の行為というものがどんなものか、はっきりと示されると、恥ずかしさよりも真面目さが勝ってしまう。
「朱雀を傷付けないように、俺、充分気を付けるよ」
「受け入れる方が主導になったら、ことが滑らかに進むって言われている。青慈は足首を傷めているし」
「朱雀、し、してくれるの?」
「青慈なら……いや、青慈にしたいんだ」
熱っぽく語る朱雀に青慈は頬を染めている。
「朱雀のいいようにして。俺は朱雀に従う」
「青慈……ま、まず、晩ご飯を食べようか」
「そうだね。お腹空いて来ちゃった」
照れ隠しに身体を離しても、ふと触れ合った指先に熱を感じる。口付けを交わして、それだけでは物足りない体の熱をどうにか納めて、朱雀は青慈を抱き上げて一階に降りて行った。居間の長椅子に青慈を座らせておいて、晩ご飯を作る。
翌日は体がきついことがあると本には書かれていたので、ご飯は多めに炊いておいておにぎりを握って、豚汁も翌朝の分まで作っておく。
晩ご飯を黙々と食べてから、青慈が先に風呂に入った。青慈と入れ違いに朱雀も風呂に入る。念入りに体を洗って、どこを見られても平気なように綺麗に磨き上げた朱雀は、青慈を抱き上げて階段を上がろうとしていた。
そのときに外からバンバンと扉を蹴るような音が聞こえて来たのだ。
何事かと思って扉を開けると、白が小屋から抜け出してきている。
「白ちゃん!? なんで!?」
驚いている青慈に、ついてこいというように白が跳ねて集落を囲う門に向かう。門を開けさせると、門の前で赤ん坊が赤子用の籠の中に入れられて泣いていた。白は兎の鋭い耳で泣き声を察知したようだった。
「この子……」
「妖精種!?」
抱き上げて見てみると、暗がりの中でも赤ん坊が褐色の肌で耳が尖っているのが分かる。泣いている赤ん坊をとりあえず家の中に保護すると、白は満足したようで小屋に戻って行った。
赤ん坊には手紙が添えてあった。
『この子は妖精種と人間の混血です。妖精種の村でも、人間の街でも受け入れてもらえる場所はないでしょう。山の賢者様ならばこの子を育ててくださると考え、こちらに置いていきます』
妖精種と人間との混血として生まれたこの赤ん坊は、妖精種の村でも人間の街でも拒まれてしまったようだ。両親がしっかりと守って育てていれば問題はなさそうなのに、それができない状況だったのだろうか。
呆れている朱雀に、青慈が籠の中から赤ん坊を抱き上げる。
「オムツが濡れてるみたいだよ」
「オムツ……青慈と紫音が使ったのが残ってるかな」
探し出してオムツを替えると、次はお腹が空いているのか赤ん坊は泣き止まない。足を怪我している青慈を留守番させて、朱雀は真夜中に申し訳ないと思いながら杏の家を訪ねた。杏の家には冬に生まれた赤ん坊がいるはずだ。
「杏さん、この子にミルクを分けてくれないか?」
「可愛い子ね。どうしたの?」
「集落の入口に捨てられていたんだ」
ミルクを分けてもらって哺乳瓶で飲ませると、赤ん坊はやっと泣き止んで眠ってくれた。
紫音が使っていた赤子用の柵のある寝台を出してきて、布団を敷いて寝かせると、すやすやと寝息を立てている。寝室に赤ん坊用の寝台が置かれたことで、青慈も朱雀も準備万端で抱き合うつもりだったのが、なんとなくやりにくくなってしまった。
「赤ちゃん、女の子だったね」
「小さいな」
「朱雀とちょっと似てるよ」
「そうか?」
赤子用の寝台を覗き込んで青慈と朱雀は話し合う。
「この子、放っておけないよね。俺は引き取ってもいいと思う」
「私もそう思っていた」
「いつか朱雀との間に養子が欲しいって思ってたから、ちょっと早くなったと思えば……思えば……でもなんで、今夜なの?」
赤ん坊に罪はないのだが、いざ抱き合おうとしたいたところで赤ん坊が来てしまうとそれどころではなくなる。眠っている赤ん坊は生後三か月くらいだろうか。杏と緑の赤ん坊と月齢が変わらないように思える。
褐色の肌に黒い髪に赤い目。
「名前はどうしようか?」
「名前くらい付けておいてくれなかったのかな」
手紙を確認しても、赤ん坊の名前はどこにも書かれていない。青慈と朱雀で案を出し合う。
「桃はどうだろう?」
「可愛いけど、桃の季節じゃないよね。朱鷺は? 朱雀の漢字が入ってるし」
「朱鷺か……それなら、朱音はどうかな?」
「朱音ちゃん! 可愛いね、朱音ちゃん!」
朱雀の提案した朱音という名前が青慈は気に入ったようだった。まだ首もしっかりと据わっていない朱音を放置して青慈と朱雀が睦み合うことはできない。
「もうちょっと後でもよかったんだけど……でも、朱音ちゃんは、うちに来る子どもだったのかな」
「そうだな。せめて後一晩先だったら」
青慈と朱雀は高まった体を持て余して、寝台で抱き合って眠ったが、結ばれることはできなかった。
公演から帰って来た紫音と藍に朱音を預けてことに及ぼうと考えていた青慈と朱雀だったが、公演から帰って来た紫音と藍が赤ん坊を抱いていることに気付いて、目を丸くした。
「藍さん、その子は?」
「公演の途中で次の街に行く道に捨てられていたのよ」
「お腹を空かせて、泣くこともできないような状態だったから、私と藍さんの子どもにしようって決めたの」
「名前は空よ。よろしくね」
痩せた赤ん坊は藍に抱っこされてすやすやと眠っている。
「実は私たちも赤ちゃんを引き取っていて」
「夜中に集落の入口に捨てられてたんだ。名前は朱音ってつけたよ」
空は男の子で、朱音は女の子。
月齢も同じくらいに見えた。
「空くん、朱音ちゃんと仲良くしてね」
「青慈と私みたいに兄妹みたいに育つのかしら」
「双子かもしれないよ」
双子が生まれるのはごくごくまれだが、この集落にも双子がいないわけではない。同じ時期に拾われて、月齢も同じくらいの空と朱音は、双子のように育てられるだろう。そのことはいいのだが、朱雀は紫音と藍に朱音を預けられない現状に気付いていた。
まだ三か月程度の朱音は夜中に度々起きるし、なかなか眠らない。長時間眠るようになるのは、二歳近くになってからだと朱雀はこれまでの経験で知っていた。
「青慈……」
「俺は平気。朱雀のこと、百年でも待つつもりでいたんだから!」
強がっている青慈が涙目になっているのを、朱雀はそっと肩を抱く。
「朱音がもうちょっと長く眠るようになったら」
「う、うん。それまで、我慢できる。これまでも我慢できたんだから!」
力強く言っているが、涙目なので青慈に全く説得力がないのは分かっている。それでも目を離せば死んでしまうかもしれない小さな命と、自分たちの欲望とを秤にかければ、どちらに傾くかは分かり切っている。
「月齢まで同じくらいとはね……。空のこと、朱雀さんに預けて公演に行くつもりだったのに」
「お父さんなら平気よね?」
「え!? 空も!?」
さすがに空までは預かれないと言いたかったが、紫音と藍がマンドラゴラ歌劇団で各地で公演をして回っているのは、青慈の脚本で、それが青慈の願いでもあることを朱雀は知っている。
「一人も、二人も同じか」
「空くん、朱音ちゃんと仲良くしてね」
もう一台赤ん坊用の柵のある寝台を買った方がいいのかもしれない。
正式な夫婦になる前に転がり込んできた赤ん坊には困りもしているのだが、青慈と朱雀の人生はまだまだ気が遠くなるほどに長い。長い人生を二人一緒に生きていくのだ。
「少しの間くらいは、俺は平気」
涙目で強がる青慈の眦に口付けて、朱雀はその涙を吸ってやった。
「私が教えてあげるから、玄武に教えられたことは全部忘れて」
「朱雀はどうやって学んだの?」
「そ、それは……」
「ちゃんとした知識を、俺も朱雀と一緒に学びたい」
もう一度一からやり直すように、朱雀は青慈を寝室に招いた。まだ晩ご飯も食べていなかったし、ことに及ぶつもりはなかったけれど、青龍から借りた本を二人で読みたかったのだ。
寝台の端に腰かけて、青龍から借りた医学的知見の入った図入りの本を読んでいくと、二人とも真剣な表情になる。男性同士の行為というものがどんなものか、はっきりと示されると、恥ずかしさよりも真面目さが勝ってしまう。
「朱雀を傷付けないように、俺、充分気を付けるよ」
「受け入れる方が主導になったら、ことが滑らかに進むって言われている。青慈は足首を傷めているし」
「朱雀、し、してくれるの?」
「青慈なら……いや、青慈にしたいんだ」
熱っぽく語る朱雀に青慈は頬を染めている。
「朱雀のいいようにして。俺は朱雀に従う」
「青慈……ま、まず、晩ご飯を食べようか」
「そうだね。お腹空いて来ちゃった」
照れ隠しに身体を離しても、ふと触れ合った指先に熱を感じる。口付けを交わして、それだけでは物足りない体の熱をどうにか納めて、朱雀は青慈を抱き上げて一階に降りて行った。居間の長椅子に青慈を座らせておいて、晩ご飯を作る。
翌日は体がきついことがあると本には書かれていたので、ご飯は多めに炊いておいておにぎりを握って、豚汁も翌朝の分まで作っておく。
晩ご飯を黙々と食べてから、青慈が先に風呂に入った。青慈と入れ違いに朱雀も風呂に入る。念入りに体を洗って、どこを見られても平気なように綺麗に磨き上げた朱雀は、青慈を抱き上げて階段を上がろうとしていた。
そのときに外からバンバンと扉を蹴るような音が聞こえて来たのだ。
何事かと思って扉を開けると、白が小屋から抜け出してきている。
「白ちゃん!? なんで!?」
驚いている青慈に、ついてこいというように白が跳ねて集落を囲う門に向かう。門を開けさせると、門の前で赤ん坊が赤子用の籠の中に入れられて泣いていた。白は兎の鋭い耳で泣き声を察知したようだった。
「この子……」
「妖精種!?」
抱き上げて見てみると、暗がりの中でも赤ん坊が褐色の肌で耳が尖っているのが分かる。泣いている赤ん坊をとりあえず家の中に保護すると、白は満足したようで小屋に戻って行った。
赤ん坊には手紙が添えてあった。
『この子は妖精種と人間の混血です。妖精種の村でも、人間の街でも受け入れてもらえる場所はないでしょう。山の賢者様ならばこの子を育ててくださると考え、こちらに置いていきます』
妖精種と人間との混血として生まれたこの赤ん坊は、妖精種の村でも人間の街でも拒まれてしまったようだ。両親がしっかりと守って育てていれば問題はなさそうなのに、それができない状況だったのだろうか。
呆れている朱雀に、青慈が籠の中から赤ん坊を抱き上げる。
「オムツが濡れてるみたいだよ」
「オムツ……青慈と紫音が使ったのが残ってるかな」
探し出してオムツを替えると、次はお腹が空いているのか赤ん坊は泣き止まない。足を怪我している青慈を留守番させて、朱雀は真夜中に申し訳ないと思いながら杏の家を訪ねた。杏の家には冬に生まれた赤ん坊がいるはずだ。
「杏さん、この子にミルクを分けてくれないか?」
「可愛い子ね。どうしたの?」
「集落の入口に捨てられていたんだ」
ミルクを分けてもらって哺乳瓶で飲ませると、赤ん坊はやっと泣き止んで眠ってくれた。
紫音が使っていた赤子用の柵のある寝台を出してきて、布団を敷いて寝かせると、すやすやと寝息を立てている。寝室に赤ん坊用の寝台が置かれたことで、青慈も朱雀も準備万端で抱き合うつもりだったのが、なんとなくやりにくくなってしまった。
「赤ちゃん、女の子だったね」
「小さいな」
「朱雀とちょっと似てるよ」
「そうか?」
赤子用の寝台を覗き込んで青慈と朱雀は話し合う。
「この子、放っておけないよね。俺は引き取ってもいいと思う」
「私もそう思っていた」
「いつか朱雀との間に養子が欲しいって思ってたから、ちょっと早くなったと思えば……思えば……でもなんで、今夜なの?」
赤ん坊に罪はないのだが、いざ抱き合おうとしたいたところで赤ん坊が来てしまうとそれどころではなくなる。眠っている赤ん坊は生後三か月くらいだろうか。杏と緑の赤ん坊と月齢が変わらないように思える。
褐色の肌に黒い髪に赤い目。
「名前はどうしようか?」
「名前くらい付けておいてくれなかったのかな」
手紙を確認しても、赤ん坊の名前はどこにも書かれていない。青慈と朱雀で案を出し合う。
「桃はどうだろう?」
「可愛いけど、桃の季節じゃないよね。朱鷺は? 朱雀の漢字が入ってるし」
「朱鷺か……それなら、朱音はどうかな?」
「朱音ちゃん! 可愛いね、朱音ちゃん!」
朱雀の提案した朱音という名前が青慈は気に入ったようだった。まだ首もしっかりと据わっていない朱音を放置して青慈と朱雀が睦み合うことはできない。
「もうちょっと後でもよかったんだけど……でも、朱音ちゃんは、うちに来る子どもだったのかな」
「そうだな。せめて後一晩先だったら」
青慈と朱雀は高まった体を持て余して、寝台で抱き合って眠ったが、結ばれることはできなかった。
公演から帰って来た紫音と藍に朱音を預けてことに及ぼうと考えていた青慈と朱雀だったが、公演から帰って来た紫音と藍が赤ん坊を抱いていることに気付いて、目を丸くした。
「藍さん、その子は?」
「公演の途中で次の街に行く道に捨てられていたのよ」
「お腹を空かせて、泣くこともできないような状態だったから、私と藍さんの子どもにしようって決めたの」
「名前は空よ。よろしくね」
痩せた赤ん坊は藍に抱っこされてすやすやと眠っている。
「実は私たちも赤ちゃんを引き取っていて」
「夜中に集落の入口に捨てられてたんだ。名前は朱音ってつけたよ」
空は男の子で、朱音は女の子。
月齢も同じくらいに見えた。
「空くん、朱音ちゃんと仲良くしてね」
「青慈と私みたいに兄妹みたいに育つのかしら」
「双子かもしれないよ」
双子が生まれるのはごくごくまれだが、この集落にも双子がいないわけではない。同じ時期に拾われて、月齢も同じくらいの空と朱音は、双子のように育てられるだろう。そのことはいいのだが、朱雀は紫音と藍に朱音を預けられない現状に気付いていた。
まだ三か月程度の朱音は夜中に度々起きるし、なかなか眠らない。長時間眠るようになるのは、二歳近くになってからだと朱雀はこれまでの経験で知っていた。
「青慈……」
「俺は平気。朱雀のこと、百年でも待つつもりでいたんだから!」
強がっている青慈が涙目になっているのを、朱雀はそっと肩を抱く。
「朱音がもうちょっと長く眠るようになったら」
「う、うん。それまで、我慢できる。これまでも我慢できたんだから!」
力強く言っているが、涙目なので青慈に全く説得力がないのは分かっている。それでも目を離せば死んでしまうかもしれない小さな命と、自分たちの欲望とを秤にかければ、どちらに傾くかは分かり切っている。
「月齢まで同じくらいとはね……。空のこと、朱雀さんに預けて公演に行くつもりだったのに」
「お父さんなら平気よね?」
「え!? 空も!?」
さすがに空までは預かれないと言いたかったが、紫音と藍がマンドラゴラ歌劇団で各地で公演をして回っているのは、青慈の脚本で、それが青慈の願いでもあることを朱雀は知っている。
「一人も、二人も同じか」
「空くん、朱音ちゃんと仲良くしてね」
もう一台赤ん坊用の柵のある寝台を買った方がいいのかもしれない。
正式な夫婦になる前に転がり込んできた赤ん坊には困りもしているのだが、青慈と朱雀の人生はまだまだ気が遠くなるほどに長い。長い人生を二人一緒に生きていくのだ。
「少しの間くらいは、俺は平気」
涙目で強がる青慈の眦に口付けて、朱雀はその涙を吸ってやった。
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