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四章 結婚までの道のり
16.朱雀の涙
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麓の街から一番近い大きな街での公演を終えた紫音と藍は満足そうに帰って来た。公演は大成功だったようだ。
「お客さんもたくさん来て、マンドラゴラたちもキレッキレの踊りで、素晴らしかったのよ」
「私も竪琴を間違えなかったわ」
「藍さんがいてくれて、青慈が脚本を書いてくれて、銀先生が曲をつけてくれたからだわ。これはみんなの成功よ」
藍と手を取り合っている紫音に朱雀は見ていて胸が暖かくなる。朱雀の表情に気付いたのか、紫音が朱雀の手を握った。
「お父さんが育ててくれたおかげでもあるわ。本当にありがとう」
「紫音?」
「私、自分の生まれや育ちを悲観的に考えたことはないけど、お父さんに引き取られて、藍さんに育てられて本当に幸せだなってよく思うの」
「私の方こそ、紫音がいてくれて幸せだよ」
「これからもずっとずっと一緒だからね、お父さん」
小柄な紫音に抱き付かれて、朱雀はその小さな体を抱き締める。幼い頃から紫音は体の大きな子どもではなかった。それでも小さいながらに強かったし、肝も据わっていた。山に捨てられていた紫音を引き取って育てた毎日は、朱雀にとってもかけがえのないものになっている。
「旅に出て思ったのがご飯のことよね」
「分かるわ、紫音。ずっと二人で言ってたものね」
「お父さんのご飯がどれだけ美味しいか思い知ったのよ」
「朱雀さんのご飯が食べたかった」
朱雀の元から離れて藍の元に行く紫音がしみじみと呟くのに、藍も同意している。話をずっと静かに聞いていた青慈がくすくすと笑いだしていた。
「紫音ちゃんも料理が作れるようになれば、旅に出ても困らないのに」
「お父さんを独り占めにしてる青慈が何を言ってるのよ? 昨日は何を食べたの? 一昨日は? ずっと美味しいお父さんのご飯を食べてたんでしょう! あー! 羨ましい!」
「俺はお父さんと一緒にご飯を作ってるよ、ねぇ、お父さん?」
「青慈は料理上手になってるよ。昨日の朝ご飯は青慈に作ってもらったよ」
「青慈も料理上手……やっぱり、私、転移の魔法を覚える! 頻繁に家に帰ってくる!」
銀鼠から転移の魔法を教えてもらうことは決定していたが、紫音は俄然それに意欲的になっていた。紫音の姿に青慈は苦笑している。
「俺も一応覚えたら、お父さんを気軽に王都に連れて行けるかな。大きな街への買い物も行けるし、紫音ちゃんの公演を見て家に帰ることもできる」
「あら、それって逢い引きじゃない?」
ぽろりと藍が口にした言葉に青慈が赤くなっている。
昼ご飯を食べ終わると、銀鼠が転移の魔法で朱雀の家を訪ねて来た。強い日差しの中外に出て転移の魔法を青慈と紫音が習う。
「扉を想像するんだ。扉を遠い場所に直接繋いで、その扉を開いて潜って、転移するんだ」
「扉を想像する」
「お父さんのところに繋がる扉ね」
「それはちょっと危険だな」
具体的なひとの名前を挙げた紫音に、銀鼠が注意を促す。
「ひとを想像するとそのひとと全く同じ空間に転移してしまって、ぶつかり合って怪我をしたり、最悪どちらかが異空間に飲み込まれることもあるから、私はこの集落に来るときも、門の前に転移してきて、そこからは歩くようにしている」
「銀先生のお屋敷に行くときも、庭の門の前に転移してたわ」
「その通りなんだ。ひとが多いところに転移するのは、ある程度は自動的に避けられるけれども、特定の人物を想定して転移すると、避けられない場合がある」
そういうときのために、と銀鼠は説明を続ける。
「指標を作っておくといいかもしれない」
「指標、ってなに?」
「転移の魔法を使うときの目標となる場所だ。指標自体に魔法がかかっているから、そこを目標に飛べばいいから分かりやすいんだ」
説明を受けて、青慈と紫音は指標の作り方も学んでいた。集落の門に魔法をかけて指標へと変えていく。見た目は変わらないが、魔力の低い朱雀でもはっきりと魔法がかかっているのだと分かるような代物だった。
「ちょっと、練習で麓の街まで行って、戻ってくるよ、お父さん」
「行ってきます! おやつは取っといてね!」
「紫音ちゃん、まだおやつの時間じゃない」
習った転移の魔法を早速使ってみる青慈と紫音。おやつのことを気にしている紫音のために、朱雀は家の中に入っておやつを作り始めた。今日は冷たいぜんざいに泡立てた生クリームを添えたものだ。白玉団子も入れてぜんざい部分を固めると、生クリームを飾って行く。
出来上がった頃に青慈と紫音が、銀鼠を伴って家に戻って来た。
「成功したかな?」
「うん、上手にできたと思う」
「お父さん、美味しそうな匂いがする!」
「紫音ちゃん、手を洗って!」
「青慈は口うるさいんだから」
文句を言いながらも紫音も青慈も手を洗いに行って、銀鼠は帰り支度を始めていた。
「銀さんも食べて行かないか?」
「いいのか?」
「銀さんの分も作っちゃったから食べて行ってくれると嬉しい」
「ありがとう」
長椅子に紫音と藍が並んで座って、卓を挟んでその正面の長椅子に青慈と朱雀が並んで座って、銀鼠は一人用の椅子に座って冷たいぜんざいと冷やした麦茶をいただく。白玉団子をもちもちと食べている紫音の唇の横に生クリームが付いていて、藍が笑いながらそれを指で拭きとってあげていた。
「青慈と紫音が小さい頃に、少しだけ考えたことがあるんだよ」
「父さん、なにを?」
「紫音と青慈が結婚してずっと私のそばにいてくれないかって。大きくなっても自立することなく、私のそばにいて、私が青慈と紫音の最後まで看取れないかと考えていたことがある」
しみじみとした昔話のはずなのに、青慈と紫音は顔を見合わせ合っている。
「紫音ちゃんとはないなー」
「青慈、失礼ね」
「紫音ちゃんは俺とあるの?」
「あるわけないでしょう」
小さい頃から仲がよくて、ずっと一緒にいた青慈と紫音だが、感情は完全に兄妹のものだった。実際に従兄妹同士なので間違ってはいないのだが。従兄妹同士だから結婚はできるが血が近いのであまり推奨されていないことも、朱雀は知っていたが、数の少ない妖精種の村では従兄弟同士の結婚などよくあることだったので、あまり気にしていなかった。
「本当は……」
呟いた朱雀の唇が戦慄いて目の奥がじんと熱くなってくる。
「本当は、自然の摂理を曲げることだと分かっていても、青慈と紫音と藍さんが、不老長寿の妙薬を飲んでくれたとき、私は嬉しかった……。私はこれで一人で取り残されることはないんだと分かって……」
零れた涙が麦茶の水面で砕ける。
自分が泣いていることに気付いてもいない朱雀を、青慈が肩に手を回して抱き寄せてくれている。
「私はなんて酷い奴なんだ……いけないいけないと言いながらも、心の奥底ではそれを望んでいて、青慈と紫音と藍さんが不老長寿の妙薬を飲んだとき、気絶するくらいの衝撃の中、本当は嬉しかったんだ」
「お父さん、ずっと寂しかったんだね」
優しく青慈に耳元で囁かれて、ほとほとと涙を流したままで朱雀は小さく頷いていた。
生まれた妖精種の村では魔力が低いことを理由に受け入れられなかった。妖精種の村を出てこの山に家を建てて暮らし始めたが、たった一人で過ごす日々はあまりにも寂しかった。麓の街に行くこともあったが、人間との時の流れの違いを思い知るだけで、朱雀は馴染むことができなかった。
「私の人生が始まったのは、青慈を拾ったときかもしれない」
一人きりだった朱雀がはっきりと生きていることを実感したのは青慈を拾って保護した日のこと。それから藍と杏と緑が生活に加わって、紫音が家族になった。折角家族になったのに、青慈も紫音も自分よりも先に死んでしまう。そのことが分かっていて引き取ったのに、朱雀はそのことが身を引き千切られるようにつらかった。
「あのときは私も驚いたが、朱雀殿にとっては必要なことだったんだな」
「銀さん……私を軽蔑するか?」
「いや、朱雀殿が幸せならばそれでいいと思う」
銀鼠に問いかける朱雀の目から零れる涙を、青慈が手拭いでそっと拭いていく。
青慈と出会ってから17年、朱雀は初めて青慈に涙を見せた気がしていた。
「お客さんもたくさん来て、マンドラゴラたちもキレッキレの踊りで、素晴らしかったのよ」
「私も竪琴を間違えなかったわ」
「藍さんがいてくれて、青慈が脚本を書いてくれて、銀先生が曲をつけてくれたからだわ。これはみんなの成功よ」
藍と手を取り合っている紫音に朱雀は見ていて胸が暖かくなる。朱雀の表情に気付いたのか、紫音が朱雀の手を握った。
「お父さんが育ててくれたおかげでもあるわ。本当にありがとう」
「紫音?」
「私、自分の生まれや育ちを悲観的に考えたことはないけど、お父さんに引き取られて、藍さんに育てられて本当に幸せだなってよく思うの」
「私の方こそ、紫音がいてくれて幸せだよ」
「これからもずっとずっと一緒だからね、お父さん」
小柄な紫音に抱き付かれて、朱雀はその小さな体を抱き締める。幼い頃から紫音は体の大きな子どもではなかった。それでも小さいながらに強かったし、肝も据わっていた。山に捨てられていた紫音を引き取って育てた毎日は、朱雀にとってもかけがえのないものになっている。
「旅に出て思ったのがご飯のことよね」
「分かるわ、紫音。ずっと二人で言ってたものね」
「お父さんのご飯がどれだけ美味しいか思い知ったのよ」
「朱雀さんのご飯が食べたかった」
朱雀の元から離れて藍の元に行く紫音がしみじみと呟くのに、藍も同意している。話をずっと静かに聞いていた青慈がくすくすと笑いだしていた。
「紫音ちゃんも料理が作れるようになれば、旅に出ても困らないのに」
「お父さんを独り占めにしてる青慈が何を言ってるのよ? 昨日は何を食べたの? 一昨日は? ずっと美味しいお父さんのご飯を食べてたんでしょう! あー! 羨ましい!」
「俺はお父さんと一緒にご飯を作ってるよ、ねぇ、お父さん?」
「青慈は料理上手になってるよ。昨日の朝ご飯は青慈に作ってもらったよ」
「青慈も料理上手……やっぱり、私、転移の魔法を覚える! 頻繁に家に帰ってくる!」
銀鼠から転移の魔法を教えてもらうことは決定していたが、紫音は俄然それに意欲的になっていた。紫音の姿に青慈は苦笑している。
「俺も一応覚えたら、お父さんを気軽に王都に連れて行けるかな。大きな街への買い物も行けるし、紫音ちゃんの公演を見て家に帰ることもできる」
「あら、それって逢い引きじゃない?」
ぽろりと藍が口にした言葉に青慈が赤くなっている。
昼ご飯を食べ終わると、銀鼠が転移の魔法で朱雀の家を訪ねて来た。強い日差しの中外に出て転移の魔法を青慈と紫音が習う。
「扉を想像するんだ。扉を遠い場所に直接繋いで、その扉を開いて潜って、転移するんだ」
「扉を想像する」
「お父さんのところに繋がる扉ね」
「それはちょっと危険だな」
具体的なひとの名前を挙げた紫音に、銀鼠が注意を促す。
「ひとを想像するとそのひとと全く同じ空間に転移してしまって、ぶつかり合って怪我をしたり、最悪どちらかが異空間に飲み込まれることもあるから、私はこの集落に来るときも、門の前に転移してきて、そこからは歩くようにしている」
「銀先生のお屋敷に行くときも、庭の門の前に転移してたわ」
「その通りなんだ。ひとが多いところに転移するのは、ある程度は自動的に避けられるけれども、特定の人物を想定して転移すると、避けられない場合がある」
そういうときのために、と銀鼠は説明を続ける。
「指標を作っておくといいかもしれない」
「指標、ってなに?」
「転移の魔法を使うときの目標となる場所だ。指標自体に魔法がかかっているから、そこを目標に飛べばいいから分かりやすいんだ」
説明を受けて、青慈と紫音は指標の作り方も学んでいた。集落の門に魔法をかけて指標へと変えていく。見た目は変わらないが、魔力の低い朱雀でもはっきりと魔法がかかっているのだと分かるような代物だった。
「ちょっと、練習で麓の街まで行って、戻ってくるよ、お父さん」
「行ってきます! おやつは取っといてね!」
「紫音ちゃん、まだおやつの時間じゃない」
習った転移の魔法を早速使ってみる青慈と紫音。おやつのことを気にしている紫音のために、朱雀は家の中に入っておやつを作り始めた。今日は冷たいぜんざいに泡立てた生クリームを添えたものだ。白玉団子も入れてぜんざい部分を固めると、生クリームを飾って行く。
出来上がった頃に青慈と紫音が、銀鼠を伴って家に戻って来た。
「成功したかな?」
「うん、上手にできたと思う」
「お父さん、美味しそうな匂いがする!」
「紫音ちゃん、手を洗って!」
「青慈は口うるさいんだから」
文句を言いながらも紫音も青慈も手を洗いに行って、銀鼠は帰り支度を始めていた。
「銀さんも食べて行かないか?」
「いいのか?」
「銀さんの分も作っちゃったから食べて行ってくれると嬉しい」
「ありがとう」
長椅子に紫音と藍が並んで座って、卓を挟んでその正面の長椅子に青慈と朱雀が並んで座って、銀鼠は一人用の椅子に座って冷たいぜんざいと冷やした麦茶をいただく。白玉団子をもちもちと食べている紫音の唇の横に生クリームが付いていて、藍が笑いながらそれを指で拭きとってあげていた。
「青慈と紫音が小さい頃に、少しだけ考えたことがあるんだよ」
「父さん、なにを?」
「紫音と青慈が結婚してずっと私のそばにいてくれないかって。大きくなっても自立することなく、私のそばにいて、私が青慈と紫音の最後まで看取れないかと考えていたことがある」
しみじみとした昔話のはずなのに、青慈と紫音は顔を見合わせ合っている。
「紫音ちゃんとはないなー」
「青慈、失礼ね」
「紫音ちゃんは俺とあるの?」
「あるわけないでしょう」
小さい頃から仲がよくて、ずっと一緒にいた青慈と紫音だが、感情は完全に兄妹のものだった。実際に従兄妹同士なので間違ってはいないのだが。従兄妹同士だから結婚はできるが血が近いのであまり推奨されていないことも、朱雀は知っていたが、数の少ない妖精種の村では従兄弟同士の結婚などよくあることだったので、あまり気にしていなかった。
「本当は……」
呟いた朱雀の唇が戦慄いて目の奥がじんと熱くなってくる。
「本当は、自然の摂理を曲げることだと分かっていても、青慈と紫音と藍さんが、不老長寿の妙薬を飲んでくれたとき、私は嬉しかった……。私はこれで一人で取り残されることはないんだと分かって……」
零れた涙が麦茶の水面で砕ける。
自分が泣いていることに気付いてもいない朱雀を、青慈が肩に手を回して抱き寄せてくれている。
「私はなんて酷い奴なんだ……いけないいけないと言いながらも、心の奥底ではそれを望んでいて、青慈と紫音と藍さんが不老長寿の妙薬を飲んだとき、気絶するくらいの衝撃の中、本当は嬉しかったんだ」
「お父さん、ずっと寂しかったんだね」
優しく青慈に耳元で囁かれて、ほとほとと涙を流したままで朱雀は小さく頷いていた。
生まれた妖精種の村では魔力が低いことを理由に受け入れられなかった。妖精種の村を出てこの山に家を建てて暮らし始めたが、たった一人で過ごす日々はあまりにも寂しかった。麓の街に行くこともあったが、人間との時の流れの違いを思い知るだけで、朱雀は馴染むことができなかった。
「私の人生が始まったのは、青慈を拾ったときかもしれない」
一人きりだった朱雀がはっきりと生きていることを実感したのは青慈を拾って保護した日のこと。それから藍と杏と緑が生活に加わって、紫音が家族になった。折角家族になったのに、青慈も紫音も自分よりも先に死んでしまう。そのことが分かっていて引き取ったのに、朱雀はそのことが身を引き千切られるようにつらかった。
「あのときは私も驚いたが、朱雀殿にとっては必要なことだったんだな」
「銀さん……私を軽蔑するか?」
「いや、朱雀殿が幸せならばそれでいいと思う」
銀鼠に問いかける朱雀の目から零れる涙を、青慈が手拭いでそっと拭いていく。
青慈と出会ってから17年、朱雀は初めて青慈に涙を見せた気がしていた。
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