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四章 結婚までの道のり
11.劇団員の収穫と白の出産
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長雨が明けると夏が来る。
日に日に強くなる日差しに、青々とした葉っぱが空に向けて伸びている。マンドラゴラの畑の前で朱雀はそろそろ収穫のときが来たかと思っていた。
「青慈、紫音、お願い」
「分かったよ、お父さん。お願い、大根さん」
「人参さん、やっちゃって」
「びゃい! びぇびぇびょいびぇー!」
「びゃびゃんびぇー!」
朱雀が青慈と紫音に頼むと、二人の腰の鞄から鎧を着た大根とドレスを着た人参が飛び出してくる。藍の鞄から飛び出した異国の少女趣味の赤子服を着た蕪は、遅れてしまったので、大根と人参に並ぶ前に転んで転がってしまった。
マンドラゴラの植えてある畝から大根と人参と蕪が自ら出てきて並ぶ。
「びょっびびえー!」
蕪が叫ぶと、西瓜猫と南瓜頭犬もぞろぞろと畑から出て来る。種を取るための株は残しておくが、それ以外を収穫して、藍が水で洗ってくれる。水で洗われた大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫は、濡れ縁に並べられて乾かされていた。
濡れ縁に並ぶ大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫を、青慈と紫音が一匹一匹見て行く。
「この大根はしっかりした大きさがあるよ。ちょっと一回転して」
「びゃい!」
「踊りも上手そうね。こっちの人参はどうかしら?」
「びゃう!」
「こっちも大きくて立派だよね」
「この蕪と、この西瓜猫と、この南瓜頭犬と……」
「びにゃー」
「びょわん!」
マンドラゴラ歌劇団の団員になる大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫が選別されていく。集められた劇団員たちのために衣装も必要だった。
「集落のひとたちからもらってきた赤子用の服だよ」
「ちょっと作風に合わないのも、大きさが合わないのもあるけど、これをどうにかしましょう」
「俺たちでできる? 俺、縫物はあまり得意じゃないよ」
「私も無理。藍さんも縫物は得意じゃないから……」
白羽の矢が立ったのは杏と緑だった。お腹がそこそこ大きくなってきている二人にお願いするのも申し訳ないが、青慈と紫音が行けば二人は快く引き受けてくれた。
「青慈と紫音の劇団の物語、うちの子も続きを楽しみにしてるわ」
「妊娠して絶対安静で、畑仕事も家事もやらせてもらえなかったのよ。店番もよ」
「杏さんは気を付けなきゃ」
「縫物くらいできるわ」
楽しそうに薬屋の建物の中で足元に大根や人参や蕪や南瓜頭犬や西瓜猫を纏わりつかせて、杏と緑は早速仕事に取り掛かってくれた。集落の人々から集めた大量の赤ん坊の服の中には、まだ使えるものが幾つもある。
「杏さんと緑さんの赤ちゃんに使えそうなものがあれば、もらっていいからな」
「本当に? 助かるわ」
「これとか、これとか可愛いわ」
「赤ちゃんの頃は男の子でも女の子でも変わらない服装をするからねぇ」
仕立て直してくれる杏と緑にはお礼をするつもりだったが、使えるものがあればもらっていいと朱雀が言えば、二人とも大喜びで服を見ていた。
少しずつマンドラゴラ歌劇団の準備が整っていく。
勇者大根と聖女人参の物語も、青慈の中では終わりを迎えたようだった。
「これで全部終わり。番外編で、蕪の姫の物語は書こうと思ってるけど、それはまた別」
「銀先生のところに行くときに持って行かなきゃ!」
「紫音ちゃん、最後まで読んでどうだった?」
「大根は育ての父親と、人参は育ての母親と結ばれて幸せに暮らすのがよかったわ。育ての親は出て来ないんだけどね」
マンドラゴラ歌劇団は人間は出さずに大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫だけで構成されるようになっているようだ。選ばれなかった大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫は、朱雀が収穫して保存のために鞄に詰めたが、兎の白と雪が落ち着かない様子を見せていた。
「葉っぱが欲しいのかしら?」
「紫音ちゃんが出かけてしまう気配にそわそわしてるんじゃないかな」
「白と雪にも分かるのかな?」
大根と人参と蕪の葉っぱを紫音が白と雪に差し出すと、二匹で分けて食べている。白が見張っている間に雪がゆっくりと食べて、残った分を白が食べているようだ。年長の白は雪が大人になってからもずっと雪を守り続けている。
大人の猪くらいの大きさはある白と、それよりもほっそりとして華奢な雪。二匹の間には子どもが生まれることはこれまでなかったが、とても仲良く暮らしているのでそれでいいのだと朱雀も思っていた。
「お父さん、白と雪の様子がおかしいのって、もしかして」
「どうした、紫音?」
「白、赤ちゃんができたんじゃないかな?」
元から体が大きいのでお腹の大きさに注目していなかったが、白は前よりもお腹がポッコリしている気がする。全く気付いていなかったので朱雀は慌ててしまった。
「白がお産!? 雪と引き離した方がいいんじゃないか?」
「白は雪のことを可愛がってるから平気だと思うけど」
紫音が小さな頃から飼っている小屋を増築して、濡れ縁の半分を占領するくらいの小屋と柵を付けて、朱雀と青慈と紫音と藍は白と雪を飼っていた。雄と雌を一緒にしておくと何度も妊娠するかと最初は警戒していたが、雪の方がとても大人しいのと、白が強いので、白が望まない限りは妊娠などないだろうと分かったので一緒にしていたのだ。
大きさの差があるのでこのままずっと白は子どもを産むことがないだろうと考えていただけに、白の妊娠疑惑は朱雀にとっては衝撃的だった。
「兎の出産はどうすればいいんだ?」
「白は規格外の大きさの兎だから、全部白に任せていいんじゃない?」
「妊娠中に白は神経質になってないだろうか?」
「むしろ落ち着いてる気がするし、雪がいた方が寛いでるみたいよ」
慌てる朱雀に藍が落ち着いて答える。お腹はポッコリしていても、白は今まで通りに雪の毛づくろいをして、雪に先に餌を食べさせて残りを自分が食べて、満足そうに小屋で二匹寄り添って寛いでいる。
落ち着いているのならばそれでいいのだが、出産の予定日もよく分からないので、朱雀はどうすればいいのか狼狽えてばかりだった。
こういうときは紫音が頼りになる。本を持ち出してきたのだ。それは青慈と紫音が小さい頃に青龍に集めてもらった図鑑だった。
「兎の妊娠期間はおよそ一か月……え!? 短い!? 一度に六匹から十匹の子兎を産むんだって、お父さん」
「一か月!?」
「お腹が大きくなったらもう生まれる頃だけど、兎は基本的に安産だから、出産は兎に任せておけばいいって書いてあるわ」
図鑑の頁を捲って見せてくれる紫音に、気が付かない間に白が出産の時期を間近に迎えていることを知って朱雀は六匹から十匹生まれてしまったら、貰い手を探さなければいけないと考えていた。
「貰い手をどうしよう」
「生まれてみるまで何匹か分からないわ。それに、白と雪は集落でも人気よ。赤ちゃんが欲しいひとはたくさんいると思うわ」
藍と話していると、大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫の衣装の大きさを合わせてくれた杏と緑が来ていた。
「白に赤ん坊が生まれるの?」
「うちに一匹欲しいわ」
「うちにも一匹欲しい」
「衣装のお礼は兎の赤ちゃんがいいわ」
杏と緑は白と雪の赤ん坊をもらってくれそうである。
「衣装のお礼はもちろん払うよ。兎の赤ん坊も生まれて乳離れしたら譲る」
「ありがとう、嬉しいわ」
「うちの子も喜ぶわ」
衣装と大きさを合わせるために借りていた大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫を渡して、杏と緑は店に戻って行った。
二匹は貰い手ができたがそれ以上に生まれる可能性もある。
「残り何匹なんだろう」
「悩むよりも生まれてみないと分からないわよ」
「これからは白と雪の家を離した方がいいんだろうか」
「一回だけかもしれないし、あまり考え込まないで」
急な出来事に完全に頭が回っていない朱雀に、藍は妙に落ち着いていた。
夏の夜に白は小屋の中に閉じこもってしまった。与えた餌は雪が小屋の中に持って行って白に食べさせているようだ。
朝になって小屋の中を確認すると、白のお腹はへこんでいて、生まれたばかりのはずなのに大人の兎くらいある子兎が白のお乳を吸っていた。
「一匹、二匹、三匹……三匹だけ?」
「白はマンドラゴラの葉っぱを食べて大きくなったから、そんなにたくさん子どもを産まないのかもしれない」
「兎らしくないものね」
留守の間に集落に入って来た巨大猪を蹴りで倒したこともある白は、普通の兎の領域を超えてしまっていたようだ。三匹だけの兎は二匹は杏と緑の家に引き取られることが決まっている。
「一匹はうちに残して、白と雪を親子で暮らさせちゃダメ?」
紫音にお願いされて、朱雀はそれを断ることなどできなかった。
日に日に強くなる日差しに、青々とした葉っぱが空に向けて伸びている。マンドラゴラの畑の前で朱雀はそろそろ収穫のときが来たかと思っていた。
「青慈、紫音、お願い」
「分かったよ、お父さん。お願い、大根さん」
「人参さん、やっちゃって」
「びゃい! びぇびぇびょいびぇー!」
「びゃびゃんびぇー!」
朱雀が青慈と紫音に頼むと、二人の腰の鞄から鎧を着た大根とドレスを着た人参が飛び出してくる。藍の鞄から飛び出した異国の少女趣味の赤子服を着た蕪は、遅れてしまったので、大根と人参に並ぶ前に転んで転がってしまった。
マンドラゴラの植えてある畝から大根と人参と蕪が自ら出てきて並ぶ。
「びょっびびえー!」
蕪が叫ぶと、西瓜猫と南瓜頭犬もぞろぞろと畑から出て来る。種を取るための株は残しておくが、それ以外を収穫して、藍が水で洗ってくれる。水で洗われた大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫は、濡れ縁に並べられて乾かされていた。
濡れ縁に並ぶ大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫を、青慈と紫音が一匹一匹見て行く。
「この大根はしっかりした大きさがあるよ。ちょっと一回転して」
「びゃい!」
「踊りも上手そうね。こっちの人参はどうかしら?」
「びゃう!」
「こっちも大きくて立派だよね」
「この蕪と、この西瓜猫と、この南瓜頭犬と……」
「びにゃー」
「びょわん!」
マンドラゴラ歌劇団の団員になる大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫が選別されていく。集められた劇団員たちのために衣装も必要だった。
「集落のひとたちからもらってきた赤子用の服だよ」
「ちょっと作風に合わないのも、大きさが合わないのもあるけど、これをどうにかしましょう」
「俺たちでできる? 俺、縫物はあまり得意じゃないよ」
「私も無理。藍さんも縫物は得意じゃないから……」
白羽の矢が立ったのは杏と緑だった。お腹がそこそこ大きくなってきている二人にお願いするのも申し訳ないが、青慈と紫音が行けば二人は快く引き受けてくれた。
「青慈と紫音の劇団の物語、うちの子も続きを楽しみにしてるわ」
「妊娠して絶対安静で、畑仕事も家事もやらせてもらえなかったのよ。店番もよ」
「杏さんは気を付けなきゃ」
「縫物くらいできるわ」
楽しそうに薬屋の建物の中で足元に大根や人参や蕪や南瓜頭犬や西瓜猫を纏わりつかせて、杏と緑は早速仕事に取り掛かってくれた。集落の人々から集めた大量の赤ん坊の服の中には、まだ使えるものが幾つもある。
「杏さんと緑さんの赤ちゃんに使えそうなものがあれば、もらっていいからな」
「本当に? 助かるわ」
「これとか、これとか可愛いわ」
「赤ちゃんの頃は男の子でも女の子でも変わらない服装をするからねぇ」
仕立て直してくれる杏と緑にはお礼をするつもりだったが、使えるものがあればもらっていいと朱雀が言えば、二人とも大喜びで服を見ていた。
少しずつマンドラゴラ歌劇団の準備が整っていく。
勇者大根と聖女人参の物語も、青慈の中では終わりを迎えたようだった。
「これで全部終わり。番外編で、蕪の姫の物語は書こうと思ってるけど、それはまた別」
「銀先生のところに行くときに持って行かなきゃ!」
「紫音ちゃん、最後まで読んでどうだった?」
「大根は育ての父親と、人参は育ての母親と結ばれて幸せに暮らすのがよかったわ。育ての親は出て来ないんだけどね」
マンドラゴラ歌劇団は人間は出さずに大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫だけで構成されるようになっているようだ。選ばれなかった大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫は、朱雀が収穫して保存のために鞄に詰めたが、兎の白と雪が落ち着かない様子を見せていた。
「葉っぱが欲しいのかしら?」
「紫音ちゃんが出かけてしまう気配にそわそわしてるんじゃないかな」
「白と雪にも分かるのかな?」
大根と人参と蕪の葉っぱを紫音が白と雪に差し出すと、二匹で分けて食べている。白が見張っている間に雪がゆっくりと食べて、残った分を白が食べているようだ。年長の白は雪が大人になってからもずっと雪を守り続けている。
大人の猪くらいの大きさはある白と、それよりもほっそりとして華奢な雪。二匹の間には子どもが生まれることはこれまでなかったが、とても仲良く暮らしているのでそれでいいのだと朱雀も思っていた。
「お父さん、白と雪の様子がおかしいのって、もしかして」
「どうした、紫音?」
「白、赤ちゃんができたんじゃないかな?」
元から体が大きいのでお腹の大きさに注目していなかったが、白は前よりもお腹がポッコリしている気がする。全く気付いていなかったので朱雀は慌ててしまった。
「白がお産!? 雪と引き離した方がいいんじゃないか?」
「白は雪のことを可愛がってるから平気だと思うけど」
紫音が小さな頃から飼っている小屋を増築して、濡れ縁の半分を占領するくらいの小屋と柵を付けて、朱雀と青慈と紫音と藍は白と雪を飼っていた。雄と雌を一緒にしておくと何度も妊娠するかと最初は警戒していたが、雪の方がとても大人しいのと、白が強いので、白が望まない限りは妊娠などないだろうと分かったので一緒にしていたのだ。
大きさの差があるのでこのままずっと白は子どもを産むことがないだろうと考えていただけに、白の妊娠疑惑は朱雀にとっては衝撃的だった。
「兎の出産はどうすればいいんだ?」
「白は規格外の大きさの兎だから、全部白に任せていいんじゃない?」
「妊娠中に白は神経質になってないだろうか?」
「むしろ落ち着いてる気がするし、雪がいた方が寛いでるみたいよ」
慌てる朱雀に藍が落ち着いて答える。お腹はポッコリしていても、白は今まで通りに雪の毛づくろいをして、雪に先に餌を食べさせて残りを自分が食べて、満足そうに小屋で二匹寄り添って寛いでいる。
落ち着いているのならばそれでいいのだが、出産の予定日もよく分からないので、朱雀はどうすればいいのか狼狽えてばかりだった。
こういうときは紫音が頼りになる。本を持ち出してきたのだ。それは青慈と紫音が小さい頃に青龍に集めてもらった図鑑だった。
「兎の妊娠期間はおよそ一か月……え!? 短い!? 一度に六匹から十匹の子兎を産むんだって、お父さん」
「一か月!?」
「お腹が大きくなったらもう生まれる頃だけど、兎は基本的に安産だから、出産は兎に任せておけばいいって書いてあるわ」
図鑑の頁を捲って見せてくれる紫音に、気が付かない間に白が出産の時期を間近に迎えていることを知って朱雀は六匹から十匹生まれてしまったら、貰い手を探さなければいけないと考えていた。
「貰い手をどうしよう」
「生まれてみるまで何匹か分からないわ。それに、白と雪は集落でも人気よ。赤ちゃんが欲しいひとはたくさんいると思うわ」
藍と話していると、大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫の衣装の大きさを合わせてくれた杏と緑が来ていた。
「白に赤ん坊が生まれるの?」
「うちに一匹欲しいわ」
「うちにも一匹欲しい」
「衣装のお礼は兎の赤ちゃんがいいわ」
杏と緑は白と雪の赤ん坊をもらってくれそうである。
「衣装のお礼はもちろん払うよ。兎の赤ん坊も生まれて乳離れしたら譲る」
「ありがとう、嬉しいわ」
「うちの子も喜ぶわ」
衣装と大きさを合わせるために借りていた大根と人参と蕪と南瓜頭犬と西瓜猫を渡して、杏と緑は店に戻って行った。
二匹は貰い手ができたがそれ以上に生まれる可能性もある。
「残り何匹なんだろう」
「悩むよりも生まれてみないと分からないわよ」
「これからは白と雪の家を離した方がいいんだろうか」
「一回だけかもしれないし、あまり考え込まないで」
急な出来事に完全に頭が回っていない朱雀に、藍は妙に落ち着いていた。
夏の夜に白は小屋の中に閉じこもってしまった。与えた餌は雪が小屋の中に持って行って白に食べさせているようだ。
朝になって小屋の中を確認すると、白のお腹はへこんでいて、生まれたばかりのはずなのに大人の兎くらいある子兎が白のお乳を吸っていた。
「一匹、二匹、三匹……三匹だけ?」
「白はマンドラゴラの葉っぱを食べて大きくなったから、そんなにたくさん子どもを産まないのかもしれない」
「兎らしくないものね」
留守の間に集落に入って来た巨大猪を蹴りで倒したこともある白は、普通の兎の領域を超えてしまっていたようだ。三匹だけの兎は二匹は杏と緑の家に引き取られることが決まっている。
「一匹はうちに残して、白と雪を親子で暮らさせちゃダメ?」
紫音にお願いされて、朱雀はそれを断ることなどできなかった。
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