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三章 十年後の勇者と聖女
7.歌劇団の公演と図書館
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山の家では畑仕事があるので朱雀も青慈も紫音も藍も、早朝に起きる癖がついている。目を覚まして着替えて客間から出ると、居間の方からピアノの音が聞こえて来ていた。ピアノ自体がほとんどこの国にはない異国の楽器なので、紫音はうきうきと居間の方に歩いて行く。居間に入って来た朱雀と青慈と紫音と藍を見て、銀鼠が演奏をやめてピアノの椅子に座ったまま振り返った。
日当たりのいい窓辺にピアノは据えてある。
「紫音ちゃん、朝の発声練習をしようか」
「はい、銀先生」
誘われて紫音は嬉しそうに銀鼠のそばに立って歌い出した。銀鼠のピアノに合わせて声を出す紫音の歌を聞きながら、朱雀と青慈と藍が長椅子に座っていると、お茶が運ばれて来る。
朝のお茶はほうじ茶だった。綺麗な白地に花の描いてある湯呑で出されたほうじ茶を飲んで、朱雀たちはゆっくりと寛ぐ。
「紫音ちゃんがうちに来れるようになれば、ピアノで練習ができるのに」
「私、転移の魔法は使えないからなぁ」
「竪琴では限界があるからな」
銀鼠は朱雀の家で紫音に歌を教えるために小さめの竪琴を持って来ていた。その音に合わせて紫音は歌っていたのだが、ピアノはもっと響きが深く、何重にも音を重ねられるので、全く違う指導法になりそうだった。
「朱雀殿、紫音ちゃんを一週間に一度、うちに連れて来てもいいか?」
「そうしたいのだけれど、私は転移の魔法も碌に使えないんだ」
「私が迎えに行って、ちゃんと送り返す」
「それならば……」
返事をしようとして詰まってしまったのは、ここが王都で、紫音が聖女だからだ。週に一回紫音一人を王都に連れて来るのは安全面で不安が残る。
「国王は紫音を狙っているんだ。不老長寿の妙薬を飲ませて、長い時間を生きさせて、魔王たちから国を守る抑止力にしたがっている」
「その話は聞いたことがある。私も妖精種だ。紫音ちゃんになにかあれば守る」
「銀さんを疑うつもりはないんだが、銀さんは国王から仕事をもらっているから、逆らえないところがあるんじゃないかと思ってしまうんだ」
正直な心の内を打ち明けると、銀鼠が難しい顔になる。
「作曲をさせてもらえるから国王陛下に従っているだけで、私は妖精種、この国では客人として重用される身だ。国王陛下に曲を捧げているのも、いい環境で音楽に触れ合うため。心まで売ったつもりはない」
「分かっているのだが、国王の使いがこの屋敷に来るのだろう」
どうしても心配だと重ねて言う朱雀に、紫音が拳を握り締める。
「平気よ! 私を捕まえに来たら、返り討ちにしてあげるわ!」
「紫音ちゃんが行くときには、俺もついていこうか?」
「大丈夫、青慈。私、強いんだから」
そう言われると朱雀の中には別の不安がわいてくる。
「紫音……言うまでもないけど、人間に対して本気で戦ったらいけないからね?」
「どうして? 私に嫌なことをするひとは、アレをもいでいいって、藍さんも杏さんも緑さんも言ってたわ」
「それはダメー! 私は紫音に手を汚すようなことをして欲しくない」
紫音は聖女だが物理的に強いので、国王軍が紫音を捕えに来たときに本気で戦ってしまうと、相手を殺しかねない。魔族や大黒熊や魔物の巨大猪は倒してもいいが、朱雀は紫音に手を汚すようなことはして欲しくなかった。
「その点に関しては、私がしっかり見張るし、異変があればすぐに転移の魔法で朱雀殿の家に戻す」
「それを約束してくれるなら、紫音も行きたがっているし、お願いしようかな」
初めて接したピアノという楽器で歌うことに紫音がどれだけ夢中になっているか、朱雀にも見ていてよく分かっていた。十年間小さな竪琴だけで歌を歌ってきた紫音にとって、ピアノとの出会いは衝撃的だったのだろう。
「銀先生、ピアノの弾き方も教えてくれる?」
「もちろん、教えよう」
銀鼠にお願いする紫音は期待に満ちていた。
朝ご飯を食べてから、銀鼠に連れられて歌劇団の劇場に向かった。転移の魔法で一瞬で飛んだので位置関係は分からないが、王都の中央の方にあるようだ。銀鼠が剣を見せて劇場に入ると、席は決まっているようだった。
銀鼠の隣りに紫音が座って、紫音の隣りに藍、藍の隣りに青慈、青慈の隣りに朱雀が座る。歌劇団の公演は人気のようで、席は全部埋まっていた。座って待っていると、客席の灯りが落とされて舞台の幕が開く。
始めの場面は舞踏会のようだった。美しい異国のドレスを着た少女と異国の服を着た青年が出会う。二人は恋に落ちるが、お互いの名前を聞いて驚愕する。
「あなたは、私の家が敵対する……」
「そんな……君が、あの家の出身だなんて」
家が敵対しているために引き裂かれる二人だが、夜にこっそりと青年は少女を訪ねて行く。
「君はどうして君なのだ。その家名を捨ててくれれば」
「あなたのためならば、私は家名を捨てて、ただの私となりましょう」
逃げ出すことを決めた二人だが、少女の婚約者がそれに気付いて追って来る。少女の婚約者に決闘を挑まれてうっかりと殺してしまった青年は、少女と逃げ出すこともできず軟禁される。
少女は青年と結ばれるために、仮死状態になる魔法薬を飲んで、青年と墓地で落ち合うことにする。その手紙を青年は受け取ることができず、少女が本当に死んでしまったと勘違いして、青年は自ら命を断つ。仮死状態から目覚めたときには青年は死んでいて、少女は泣き濡れながら、来世で結ばれることを祈って命を断つのだった。
長い演目だったが、少しも飽きることなく朱雀は見ることができた。隣りに座っている青慈もずっと演目に夢中だったようだ。
帰ってからお昼ご飯を食べながら、紫音は興奮気味だった。
「あの曲の素晴らしかったこと。それにしても、なんでちゃんと話し合っておかなかったのかしら」
「それはそうよね。ちゃんと相手に仮死状態になるって分からせてからじゃないと、すれ違っちゃうわ」
「ね、藍さん。私ならあんなへまはしないわ」
感動の物語のはずだが、紫音と藍の見方はちょっと違ったようである。
「俺は来世なんて信じてないから、今生きてる間にお父さんと幸せになりたい」
「青慈、それは……」
「絶対にお父さんを口説き落としてみせる」
青慈の方は決意を新たにしている。
青慈に何も言えないままでいる朱雀を銀鼠が笑って見ていた気がする。
お昼ご飯が終わると、銀鼠は朱雀と青慈と紫音と藍を図書館まで送ってくれた。巨大な建物の前で朱雀も青慈も紫音も藍も立ち尽くしてしまう。何階建てか分からない大きな建物にぎっしりと本が詰め込まれているのだと考えるとそれだけで気が遠くなりそうな気がする。
建物の中にはいると、閲覧用の身分証明を書かされた。どう書けばいいのか悩んでいると、銀鼠が代わりに書いてくれる。銀鼠の名前で本を閲覧できることになって、紫音は喜んでいた。
「銀先生、ありがとう。お勧めの楽譜はどれ?」
「楽譜の棚はこっちだ」
銀鼠に案内されて紫音が上の階に上がって行く。青慈は案内板を見て、行きたい場所に行っているようだ。青慈を一人にするわけにはいかないので、朱雀が付いていく。藍は紫音の方についていっていた。
「お父さん、魔法生物の文献がたくさんあるよ」
「マンドラゴラ、南瓜頭犬、西瓜猫、向日葵駝鳥、木苺鳥……これはすごいな」
「二人で見よう」
本を取り出して閲覧用の机について朱雀と青慈は並んで文献を読む。まだ知らぬ魔法生物が大量に書いてあって、朱雀はこの文献を欲しいと本気で思ったが、国立図書館の本は持ち出し禁止なので諦めるしかなかった。
少しでも多く覚えておこうと頁を捲る。
青慈がそんな朱雀を暖かく見守っていることに朱雀は気付いていなかった。
本を読み終わると、紫音と銀鼠と藍も上の階から降りてくるところだった。
「また来たいわ」
「私もまた来たくなったな」
「お父さんも?」
まだまだ読みたい文献がある。頻繁に王都に来る方法がないだろうかと考える朱雀に銀鼠が提案してくれる。
「紫音ちゃんを迎えに行ったときに、必要ならば朱雀殿と青慈くんと藍さんも連れてくるよ」
「いいのか?」
「手間は変わらない」
行こうと思えば週に一回は王都に行ける可能性が出てきて、朱雀は期待に胸を膨らませていた。
帰る前にお土産を買いたいと言ったのは青慈と紫音だった。
「せっかくだから、杏さんと緑さんにお土産を買いたいんだけどな」
「お留守番してる白ちゃんと雪ちゃんにも何かないかしら」
杏と緑には留守の間畑を頼んでいるし、お土産を買って行かなければいけないのは当然だ。紫音が可愛がっている兎の白と雪にお土産を買いたい気持ちも分かる。
「街を少し観光もしたいわ。初めて来たんだもの」
藍は観光もしたいようだった。
みんなの気持ちを汲んで、銀鼠に送ってもらうのはもう少し後にして、銀鼠のお屋敷で合流する約束をして、朱雀と青慈と紫音と藍は、王都を巡ることにした。
日当たりのいい窓辺にピアノは据えてある。
「紫音ちゃん、朝の発声練習をしようか」
「はい、銀先生」
誘われて紫音は嬉しそうに銀鼠のそばに立って歌い出した。銀鼠のピアノに合わせて声を出す紫音の歌を聞きながら、朱雀と青慈と藍が長椅子に座っていると、お茶が運ばれて来る。
朝のお茶はほうじ茶だった。綺麗な白地に花の描いてある湯呑で出されたほうじ茶を飲んで、朱雀たちはゆっくりと寛ぐ。
「紫音ちゃんがうちに来れるようになれば、ピアノで練習ができるのに」
「私、転移の魔法は使えないからなぁ」
「竪琴では限界があるからな」
銀鼠は朱雀の家で紫音に歌を教えるために小さめの竪琴を持って来ていた。その音に合わせて紫音は歌っていたのだが、ピアノはもっと響きが深く、何重にも音を重ねられるので、全く違う指導法になりそうだった。
「朱雀殿、紫音ちゃんを一週間に一度、うちに連れて来てもいいか?」
「そうしたいのだけれど、私は転移の魔法も碌に使えないんだ」
「私が迎えに行って、ちゃんと送り返す」
「それならば……」
返事をしようとして詰まってしまったのは、ここが王都で、紫音が聖女だからだ。週に一回紫音一人を王都に連れて来るのは安全面で不安が残る。
「国王は紫音を狙っているんだ。不老長寿の妙薬を飲ませて、長い時間を生きさせて、魔王たちから国を守る抑止力にしたがっている」
「その話は聞いたことがある。私も妖精種だ。紫音ちゃんになにかあれば守る」
「銀さんを疑うつもりはないんだが、銀さんは国王から仕事をもらっているから、逆らえないところがあるんじゃないかと思ってしまうんだ」
正直な心の内を打ち明けると、銀鼠が難しい顔になる。
「作曲をさせてもらえるから国王陛下に従っているだけで、私は妖精種、この国では客人として重用される身だ。国王陛下に曲を捧げているのも、いい環境で音楽に触れ合うため。心まで売ったつもりはない」
「分かっているのだが、国王の使いがこの屋敷に来るのだろう」
どうしても心配だと重ねて言う朱雀に、紫音が拳を握り締める。
「平気よ! 私を捕まえに来たら、返り討ちにしてあげるわ!」
「紫音ちゃんが行くときには、俺もついていこうか?」
「大丈夫、青慈。私、強いんだから」
そう言われると朱雀の中には別の不安がわいてくる。
「紫音……言うまでもないけど、人間に対して本気で戦ったらいけないからね?」
「どうして? 私に嫌なことをするひとは、アレをもいでいいって、藍さんも杏さんも緑さんも言ってたわ」
「それはダメー! 私は紫音に手を汚すようなことをして欲しくない」
紫音は聖女だが物理的に強いので、国王軍が紫音を捕えに来たときに本気で戦ってしまうと、相手を殺しかねない。魔族や大黒熊や魔物の巨大猪は倒してもいいが、朱雀は紫音に手を汚すようなことはして欲しくなかった。
「その点に関しては、私がしっかり見張るし、異変があればすぐに転移の魔法で朱雀殿の家に戻す」
「それを約束してくれるなら、紫音も行きたがっているし、お願いしようかな」
初めて接したピアノという楽器で歌うことに紫音がどれだけ夢中になっているか、朱雀にも見ていてよく分かっていた。十年間小さな竪琴だけで歌を歌ってきた紫音にとって、ピアノとの出会いは衝撃的だったのだろう。
「銀先生、ピアノの弾き方も教えてくれる?」
「もちろん、教えよう」
銀鼠にお願いする紫音は期待に満ちていた。
朝ご飯を食べてから、銀鼠に連れられて歌劇団の劇場に向かった。転移の魔法で一瞬で飛んだので位置関係は分からないが、王都の中央の方にあるようだ。銀鼠が剣を見せて劇場に入ると、席は決まっているようだった。
銀鼠の隣りに紫音が座って、紫音の隣りに藍、藍の隣りに青慈、青慈の隣りに朱雀が座る。歌劇団の公演は人気のようで、席は全部埋まっていた。座って待っていると、客席の灯りが落とされて舞台の幕が開く。
始めの場面は舞踏会のようだった。美しい異国のドレスを着た少女と異国の服を着た青年が出会う。二人は恋に落ちるが、お互いの名前を聞いて驚愕する。
「あなたは、私の家が敵対する……」
「そんな……君が、あの家の出身だなんて」
家が敵対しているために引き裂かれる二人だが、夜にこっそりと青年は少女を訪ねて行く。
「君はどうして君なのだ。その家名を捨ててくれれば」
「あなたのためならば、私は家名を捨てて、ただの私となりましょう」
逃げ出すことを決めた二人だが、少女の婚約者がそれに気付いて追って来る。少女の婚約者に決闘を挑まれてうっかりと殺してしまった青年は、少女と逃げ出すこともできず軟禁される。
少女は青年と結ばれるために、仮死状態になる魔法薬を飲んで、青年と墓地で落ち合うことにする。その手紙を青年は受け取ることができず、少女が本当に死んでしまったと勘違いして、青年は自ら命を断つ。仮死状態から目覚めたときには青年は死んでいて、少女は泣き濡れながら、来世で結ばれることを祈って命を断つのだった。
長い演目だったが、少しも飽きることなく朱雀は見ることができた。隣りに座っている青慈もずっと演目に夢中だったようだ。
帰ってからお昼ご飯を食べながら、紫音は興奮気味だった。
「あの曲の素晴らしかったこと。それにしても、なんでちゃんと話し合っておかなかったのかしら」
「それはそうよね。ちゃんと相手に仮死状態になるって分からせてからじゃないと、すれ違っちゃうわ」
「ね、藍さん。私ならあんなへまはしないわ」
感動の物語のはずだが、紫音と藍の見方はちょっと違ったようである。
「俺は来世なんて信じてないから、今生きてる間にお父さんと幸せになりたい」
「青慈、それは……」
「絶対にお父さんを口説き落としてみせる」
青慈の方は決意を新たにしている。
青慈に何も言えないままでいる朱雀を銀鼠が笑って見ていた気がする。
お昼ご飯が終わると、銀鼠は朱雀と青慈と紫音と藍を図書館まで送ってくれた。巨大な建物の前で朱雀も青慈も紫音も藍も立ち尽くしてしまう。何階建てか分からない大きな建物にぎっしりと本が詰め込まれているのだと考えるとそれだけで気が遠くなりそうな気がする。
建物の中にはいると、閲覧用の身分証明を書かされた。どう書けばいいのか悩んでいると、銀鼠が代わりに書いてくれる。銀鼠の名前で本を閲覧できることになって、紫音は喜んでいた。
「銀先生、ありがとう。お勧めの楽譜はどれ?」
「楽譜の棚はこっちだ」
銀鼠に案内されて紫音が上の階に上がって行く。青慈は案内板を見て、行きたい場所に行っているようだ。青慈を一人にするわけにはいかないので、朱雀が付いていく。藍は紫音の方についていっていた。
「お父さん、魔法生物の文献がたくさんあるよ」
「マンドラゴラ、南瓜頭犬、西瓜猫、向日葵駝鳥、木苺鳥……これはすごいな」
「二人で見よう」
本を取り出して閲覧用の机について朱雀と青慈は並んで文献を読む。まだ知らぬ魔法生物が大量に書いてあって、朱雀はこの文献を欲しいと本気で思ったが、国立図書館の本は持ち出し禁止なので諦めるしかなかった。
少しでも多く覚えておこうと頁を捲る。
青慈がそんな朱雀を暖かく見守っていることに朱雀は気付いていなかった。
本を読み終わると、紫音と銀鼠と藍も上の階から降りてくるところだった。
「また来たいわ」
「私もまた来たくなったな」
「お父さんも?」
まだまだ読みたい文献がある。頻繁に王都に来る方法がないだろうかと考える朱雀に銀鼠が提案してくれる。
「紫音ちゃんを迎えに行ったときに、必要ならば朱雀殿と青慈くんと藍さんも連れてくるよ」
「いいのか?」
「手間は変わらない」
行こうと思えば週に一回は王都に行ける可能性が出てきて、朱雀は期待に胸を膨らませていた。
帰る前にお土産を買いたいと言ったのは青慈と紫音だった。
「せっかくだから、杏さんと緑さんにお土産を買いたいんだけどな」
「お留守番してる白ちゃんと雪ちゃんにも何かないかしら」
杏と緑には留守の間畑を頼んでいるし、お土産を買って行かなければいけないのは当然だ。紫音が可愛がっている兎の白と雪にお土産を買いたい気持ちも分かる。
「街を少し観光もしたいわ。初めて来たんだもの」
藍は観光もしたいようだった。
みんなの気持ちを汲んで、銀鼠に送ってもらうのはもう少し後にして、銀鼠のお屋敷で合流する約束をして、朱雀と青慈と紫音と藍は、王都を巡ることにした。
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