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一章 勇者と聖女と妖精種
26.魔王退治
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魔王の城は息をするのも苦しいくらいの瘴気に包まれていた。連れて来られた朱雀は藍と青慈と紫音と一緒に、魔王の御前に連れていかれるようだった。小脇に抱えられたままで抵抗もできないのが悔しい。
連れて来られたのは甘ったるいお香が焚かれた部屋で、部屋の中には巨大な寝台があった。床の上に打ち捨てられている干からびた死体は、魔王に生気を吸い尽くされたものだろうか。乾いた死体を蹴ってどかして、四人の魔族たちが寝台の上でほとんど裸で寛いでいる筋骨隆々とした巨大な男性の前に、朱雀を投げ降ろした。
「新しい妖精種です」
「餌が届いたか。可愛がってやろう」
ねっとりと魔王の手が朱雀の頬を撫でる。濃厚な死臭にも似た甘ったるい香りに朱雀は気が遠くなりそうになっていた。
「おとうさんにさわるな!」
「その小僧と小娘はなんだ?」
「仕留めそこなっていた勇者と聖女です。まだ小さいので、大した力もないでしょう」
「そうか。目の前で大事な『お兄ちゃん』が食われるのを見ているといい」
高笑いしながら朱雀の襟高の上衣を脱がせる魔王に、青慈が深靴を構えて蹴ろうとするが、朱雀はそれを止めた。
「青慈、いけない! 藍さんが!」
「私は構わないわ! 青慈、紫音、やってしまいなさい」
「あいたん、ちんじゃやーの!」
首に首飾りのように巻かれている毒蛇が、二股に分かれた舌をちろちろと出して藍の様子を伺っている。毒蛇に噛まれれば藍の命は助からないだろう。
朱雀もこれから魔王に食われて助かることはない。
それならば、青慈と紫音だけでもどうにか逃がせないだろうか。
魔王の厳つい手が朱雀の滑らかな褐色の首筋を撫で、胸に向かう。平たい胸を撫でられて、吐き気がしてくるのを朱雀は必死に耐えていた。
「青慈、紫音……逃げて……」
「おとうさんをおいてにげられない!」
「あいたん! あいたん!」
泣きながら青慈と紫音がその場から動けずにいると、青慈の首から下げているがま口が触ってもいないのに開いた。鎧を着た大根が飛び出て、それに呼応するように紫音の首から下げているがま口から、ドレスを着た人参が飛び出る。
「だいこんさん!」
「じんじんたん!」
青慈と紫音に呼ばれて、大根と人参はちょこちょこと藍を捕えている魔族の前に走って行った。
「ぎょわああああああああ!」
「びょえええええええええ!」
大根と人参の叫び声が重なる。マンドラゴラの『死の絶叫』を受けて、魔族が頭痛と吐き気を覚えて床に蹲り、藍の首の周りに纏わりついていた細い毒蛇が、泡を吹いてぽとりと床に落ちる。
「びぇい! びぇい!」
「びょわ! びょわ!」
床に落ちた毒蛇を蹴飛ばして、大根と人参が倒そうとしている。
「マンドラゴラだと!?」
「あいたん! たつける!」
走って行った紫音が大根と人参が蹴っている毒蛇の頭を足で踏みつぶした。脚を上げて毒蛇が潰れたのを確認すると、紫音が青慈の方を見てこくりと頷く。
紫音は藍を捕えていた蹲っている魔族の胴に、手甲を着けた拳で正拳突きを叩き込んでいた。鈍い音がして、魔族の肋骨が折れるのが分かる。
青慈の方は真っすぐに魔王に突撃してきていた。
「おとうさんをはなせー!」
胴体に決まった鉄骨の入った深靴の飛び蹴りで魔王が壁まで吹っ飛んで、壁にめり込む。走って距離を詰めて、青慈は魔王の股間を狙って蹴りを放った。
「青慈!?」
ぶらんとむき出しの一物を青慈に見せたくなくて、駆け寄った朱雀が青慈の目を隠したため、青慈の蹴りは魔王の股間に当たらず、壁を割って粉々にして崩れさせただけだった。
素早く青慈を抱き留めて避難させた朱雀の目の前で、魔王はじょぼじょぼと床の上に失禁している。壁がなくなったので意識が遠くなるような甘ったるい香りは消えて、代わりに強い尿臭が漂っていた。
「おとうさん、もぐのー!」
「もがなくていいから!」
「あいさんにへびをまきつかせて、おとうさんをぬがしてさわったんだよ! ぜったい、ちんちんもぐー!」
「青慈、落ち着いて!」
必死に朱雀が青慈を止めている間に、藍と朱雀と青慈と紫音を連れてきた魔族の四人組は、紫音に殴られて小山のように積み上げられていた。
「もぐー!」
「紫音のお手手が汚れるわ」
「あらうー!」
「紫音、もういいのよ」
藍に抱き締められて、紫音も四人組の魔族を殺さないように止められていた。
「二度と私たちに近寄るな! 私たちの国にもだ! もし、また不穏な動きをしたときには、今度こそ、その股間の一物、うちの可愛い勇者がもぎとるからな!」
朱雀の宣言に、失禁して壁にめり込んでいる魔王はぶるぶると震えながら返事をした。
「絶対に、手を出しません! 自分たちの領域で大人しくしています」
「部下にもそうさせるように」
「そうします! だから、許してください!」
青慈の両親を殺させたのはこの魔王だが、実際に殺した魔族に関しては青慈が蹴りで股間を潰して朱雀が始末している。聖女の紫音を狙ってきた魔族も紫音が頬骨を折って、朱雀が始末をしている。
妖精種が何人魔王の餌食になったかは分からないが、魔王を殺したところで彼らが戻って来ないのは朱雀にも理解できていた。青慈に股間丸出しの魔王を見せたくないので、ずっと目を覆っている朱雀は、とにかく早く家に帰りたかった。
魔王も勇者の青慈と聖女の紫音の恐ろしさが骨身にしみて分かっただろう。
朱雀は魔王に止めを刺さずに放置して、家に帰ることにした。5歳の幼児に股間のモノをもがれそうになって、失禁して、命乞いした魔王が、これ以上朱雀の住む国を攻めて来ることはない。
魔族に連れて来られたので、帰る手段がなくて、仕方なく朱雀は魔力を強化する魔法薬を飲んで転移の魔法で家まで飛んだ。魔法薬の副作用で、居間の長椅子に倒れて動けなくなってしまった朱雀に縋り付いて、青慈と紫音が泣いているのが分かったが、意識が遠くなるのは避けられなかった。
目を覚ますと、青慈も紫音も朱雀の胸の上に乗って眠っていた。
藍が朱雀が目を覚ましたことに気が付いてお茶を淹れてくれる。
「朱雀さんは大丈夫だって言っても、絶対そばを離れないって動かなくて」
「青慈と紫音に心配をかけてしまったな」
「朱雀さんが無事でよかったわ」
「藍さんも、紫音も、青慈も」
杏も緑も攫われた朱雀と藍と青慈と紫音を心配していてくれたようだ。
「魔王はもう襲ってこないと思う」
勇者の青慈と聖女の紫音の恐ろしさを知って、魔王はもうこの国に魔族を送り込むこともなくなるだろう。それだけの恐怖を魔王と部下に青慈と紫音は叩き込んだ。
その話をすると、杏も緑も青慈と紫音を代わる代わる撫でる。
「朱雀さんと藍さんを守ったのね」
「さすが青慈と紫音だわ」
「偉かったわ」
「せー、おとうさんをまもったよ!」
「しー、えりゃい!」
胸を張る青慈と紫音に、藍がぽつりと呟く。
「偉い勇者様が、自分のことをいつまでも『せー』って言ってるのは、おかしいかもしれないわ」
「せー、おかしい!?」
「しーは?」
「そうね、青慈は『私』か『俺』って自分のことを言った方がいいかも。紫音は『私』かな?」
藍に言い聞かせられて、青慈は自分のことを何と呼ぶが考えているようだった。紫音は選択肢がないので、手を上げて藍に言ってみせる。
「わたち!」
「紫音、上手よ」
「わたち、じょーじゅ!」
褒められて喜んでいる紫音に続いて、青慈も自分の呼び方を決めたようだった。
「せー、じぶんのことは、おれっていう!」
「『俺』にするのね」
「おれ、だいじなおとうさんをまもった!」
「格好いいわ、青慈」
胸を張って自分のことを『俺』と言う青慈は、少し印象が大人びたようで、朱雀は心臓が跳ねた気がした。
「おとうさん、おれ、かっこよかった?」
「格好良かったよ」
「うれしい! おとうさん、だいすき!」
飛び付いて抱き締められる青慈は、いつもの天使のように可愛い青慈で、朱雀は一瞬の胸の高鳴りのことなど忘れてしまった。
数日後、魔族の領域から、改めて和平を結ぶという知らせが王都に届き、国王が和平を結ぶきっかけとなった勇者と聖女を探すことになる。
連れて来られたのは甘ったるいお香が焚かれた部屋で、部屋の中には巨大な寝台があった。床の上に打ち捨てられている干からびた死体は、魔王に生気を吸い尽くされたものだろうか。乾いた死体を蹴ってどかして、四人の魔族たちが寝台の上でほとんど裸で寛いでいる筋骨隆々とした巨大な男性の前に、朱雀を投げ降ろした。
「新しい妖精種です」
「餌が届いたか。可愛がってやろう」
ねっとりと魔王の手が朱雀の頬を撫でる。濃厚な死臭にも似た甘ったるい香りに朱雀は気が遠くなりそうになっていた。
「おとうさんにさわるな!」
「その小僧と小娘はなんだ?」
「仕留めそこなっていた勇者と聖女です。まだ小さいので、大した力もないでしょう」
「そうか。目の前で大事な『お兄ちゃん』が食われるのを見ているといい」
高笑いしながら朱雀の襟高の上衣を脱がせる魔王に、青慈が深靴を構えて蹴ろうとするが、朱雀はそれを止めた。
「青慈、いけない! 藍さんが!」
「私は構わないわ! 青慈、紫音、やってしまいなさい」
「あいたん、ちんじゃやーの!」
首に首飾りのように巻かれている毒蛇が、二股に分かれた舌をちろちろと出して藍の様子を伺っている。毒蛇に噛まれれば藍の命は助からないだろう。
朱雀もこれから魔王に食われて助かることはない。
それならば、青慈と紫音だけでもどうにか逃がせないだろうか。
魔王の厳つい手が朱雀の滑らかな褐色の首筋を撫で、胸に向かう。平たい胸を撫でられて、吐き気がしてくるのを朱雀は必死に耐えていた。
「青慈、紫音……逃げて……」
「おとうさんをおいてにげられない!」
「あいたん! あいたん!」
泣きながら青慈と紫音がその場から動けずにいると、青慈の首から下げているがま口が触ってもいないのに開いた。鎧を着た大根が飛び出て、それに呼応するように紫音の首から下げているがま口から、ドレスを着た人参が飛び出る。
「だいこんさん!」
「じんじんたん!」
青慈と紫音に呼ばれて、大根と人参はちょこちょこと藍を捕えている魔族の前に走って行った。
「ぎょわああああああああ!」
「びょえええええええええ!」
大根と人参の叫び声が重なる。マンドラゴラの『死の絶叫』を受けて、魔族が頭痛と吐き気を覚えて床に蹲り、藍の首の周りに纏わりついていた細い毒蛇が、泡を吹いてぽとりと床に落ちる。
「びぇい! びぇい!」
「びょわ! びょわ!」
床に落ちた毒蛇を蹴飛ばして、大根と人参が倒そうとしている。
「マンドラゴラだと!?」
「あいたん! たつける!」
走って行った紫音が大根と人参が蹴っている毒蛇の頭を足で踏みつぶした。脚を上げて毒蛇が潰れたのを確認すると、紫音が青慈の方を見てこくりと頷く。
紫音は藍を捕えていた蹲っている魔族の胴に、手甲を着けた拳で正拳突きを叩き込んでいた。鈍い音がして、魔族の肋骨が折れるのが分かる。
青慈の方は真っすぐに魔王に突撃してきていた。
「おとうさんをはなせー!」
胴体に決まった鉄骨の入った深靴の飛び蹴りで魔王が壁まで吹っ飛んで、壁にめり込む。走って距離を詰めて、青慈は魔王の股間を狙って蹴りを放った。
「青慈!?」
ぶらんとむき出しの一物を青慈に見せたくなくて、駆け寄った朱雀が青慈の目を隠したため、青慈の蹴りは魔王の股間に当たらず、壁を割って粉々にして崩れさせただけだった。
素早く青慈を抱き留めて避難させた朱雀の目の前で、魔王はじょぼじょぼと床の上に失禁している。壁がなくなったので意識が遠くなるような甘ったるい香りは消えて、代わりに強い尿臭が漂っていた。
「おとうさん、もぐのー!」
「もがなくていいから!」
「あいさんにへびをまきつかせて、おとうさんをぬがしてさわったんだよ! ぜったい、ちんちんもぐー!」
「青慈、落ち着いて!」
必死に朱雀が青慈を止めている間に、藍と朱雀と青慈と紫音を連れてきた魔族の四人組は、紫音に殴られて小山のように積み上げられていた。
「もぐー!」
「紫音のお手手が汚れるわ」
「あらうー!」
「紫音、もういいのよ」
藍に抱き締められて、紫音も四人組の魔族を殺さないように止められていた。
「二度と私たちに近寄るな! 私たちの国にもだ! もし、また不穏な動きをしたときには、今度こそ、その股間の一物、うちの可愛い勇者がもぎとるからな!」
朱雀の宣言に、失禁して壁にめり込んでいる魔王はぶるぶると震えながら返事をした。
「絶対に、手を出しません! 自分たちの領域で大人しくしています」
「部下にもそうさせるように」
「そうします! だから、許してください!」
青慈の両親を殺させたのはこの魔王だが、実際に殺した魔族に関しては青慈が蹴りで股間を潰して朱雀が始末している。聖女の紫音を狙ってきた魔族も紫音が頬骨を折って、朱雀が始末をしている。
妖精種が何人魔王の餌食になったかは分からないが、魔王を殺したところで彼らが戻って来ないのは朱雀にも理解できていた。青慈に股間丸出しの魔王を見せたくないので、ずっと目を覆っている朱雀は、とにかく早く家に帰りたかった。
魔王も勇者の青慈と聖女の紫音の恐ろしさが骨身にしみて分かっただろう。
朱雀は魔王に止めを刺さずに放置して、家に帰ることにした。5歳の幼児に股間のモノをもがれそうになって、失禁して、命乞いした魔王が、これ以上朱雀の住む国を攻めて来ることはない。
魔族に連れて来られたので、帰る手段がなくて、仕方なく朱雀は魔力を強化する魔法薬を飲んで転移の魔法で家まで飛んだ。魔法薬の副作用で、居間の長椅子に倒れて動けなくなってしまった朱雀に縋り付いて、青慈と紫音が泣いているのが分かったが、意識が遠くなるのは避けられなかった。
目を覚ますと、青慈も紫音も朱雀の胸の上に乗って眠っていた。
藍が朱雀が目を覚ましたことに気が付いてお茶を淹れてくれる。
「朱雀さんは大丈夫だって言っても、絶対そばを離れないって動かなくて」
「青慈と紫音に心配をかけてしまったな」
「朱雀さんが無事でよかったわ」
「藍さんも、紫音も、青慈も」
杏も緑も攫われた朱雀と藍と青慈と紫音を心配していてくれたようだ。
「魔王はもう襲ってこないと思う」
勇者の青慈と聖女の紫音の恐ろしさを知って、魔王はもうこの国に魔族を送り込むこともなくなるだろう。それだけの恐怖を魔王と部下に青慈と紫音は叩き込んだ。
その話をすると、杏も緑も青慈と紫音を代わる代わる撫でる。
「朱雀さんと藍さんを守ったのね」
「さすが青慈と紫音だわ」
「偉かったわ」
「せー、おとうさんをまもったよ!」
「しー、えりゃい!」
胸を張る青慈と紫音に、藍がぽつりと呟く。
「偉い勇者様が、自分のことをいつまでも『せー』って言ってるのは、おかしいかもしれないわ」
「せー、おかしい!?」
「しーは?」
「そうね、青慈は『私』か『俺』って自分のことを言った方がいいかも。紫音は『私』かな?」
藍に言い聞かせられて、青慈は自分のことを何と呼ぶが考えているようだった。紫音は選択肢がないので、手を上げて藍に言ってみせる。
「わたち!」
「紫音、上手よ」
「わたち、じょーじゅ!」
褒められて喜んでいる紫音に続いて、青慈も自分の呼び方を決めたようだった。
「せー、じぶんのことは、おれっていう!」
「『俺』にするのね」
「おれ、だいじなおとうさんをまもった!」
「格好いいわ、青慈」
胸を張って自分のことを『俺』と言う青慈は、少し印象が大人びたようで、朱雀は心臓が跳ねた気がした。
「おとうさん、おれ、かっこよかった?」
「格好良かったよ」
「うれしい! おとうさん、だいすき!」
飛び付いて抱き締められる青慈は、いつもの天使のように可愛い青慈で、朱雀は一瞬の胸の高鳴りのことなど忘れてしまった。
数日後、魔族の領域から、改めて和平を結ぶという知らせが王都に届き、国王が和平を結ぶきっかけとなった勇者と聖女を探すことになる。
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