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一章 勇者と聖女と妖精種
24.魔王の本当の狙い
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紫音の兎の白が大きくなっている気がする。
魔物の兎ではなかったし、この山の野兎は小さめの猫くらいの大きさしかないはずなのに、既に中型犬に近い大きさになっている気がするのだ。
「ちろたん、えた!」
「ぎょええええええ!?」
兎は鳴かない。代わりに、頭の葉っぱを一本引き抜かれたドレスを着た人参が、紫音の腕の中で泣き喚いて暴れていた。暴れる人参に気を取られることなく、兎は差し出された葉っぱをしゃくしゃくと食べている。美味しそうに食べ終わって、次は青慈にすり寄っている。
「しろちゃん、おなかがすいたの? しかたないなぁ」
「びぎゃあああああ!?」
ぶちっと気軽に青慈は鎧を着た大根の頭の葉っぱを引き抜いて兎の白に与えていた。葉っぱをもらってしゃくしゃくと白は美味しそうな咀嚼音を立てて食べている。
「もしかして、この兎、大きくない?」
「勇者と聖女のせいかしらね」
「私の見間違いじゃないよね? 日に日に大きくなってきてるよね?」
そのうちに室内で飼うには大きすぎるようになってしまうのではないかと戦々恐々とする朱雀に、藍があっさりと言った。
「濡れ縁にこの子の小屋を作ったらどうかしら」
「濡れ縁に……いいかもしれない」
雨が降ったら小屋の中にいればいいし、出入り口の門は常に閉まっていて、庭の柵は外から野生動物が入れないように、中からも兎が出られるようにはなっていない。それでも畑を荒らされる可能性はあったから、小屋の周りには柵を付けて、動き回れる範囲を決めることで朱雀は問題が解決した気になっていた。
兎は大きくなっていく。紫音の人参と青慈の大根の葉っぱを一日一枚ずつもらって。
根本的な解決にはなっていないのではないかと朱雀が気付いたのは、濡れ縁に小屋が出来上がってからだった。小屋を作って一息ついた朱雀が、紫音と青慈が白を柵の中に入れているのを見てはっとしたのだ。
「白、また大きくなってない?」
「ちろたん、おっちくするの!」
「せーとしおんちゃんがのれるようにするんだよ」
明らかに目的を持って紫音と青慈は白にマンドラゴラの葉っぱを与えていた。そのことに気付いたら、朱雀も注意しないわけにはいかない。
「あまり大きくなると一緒に暮らせなくなるから、大根と人参の葉っぱを上げるのはやめなさい」
「どうちて!? しー、ちろたん、のりたい!」
「しろちゃんは、せーとしおんちゃんをのせてくれるおおきなウサギになるんだよ?」
言い返されて、涙目で縋られて、朱雀の心がぐらぐらと揺れる。どうしようか迷っていると、そばで見ていた藍が言葉を添えてくれた。
「毎日上げてたら大根と人参も禿げちゃうし、白も大きくなりすぎるわ。一週間に一度にしなさい」
「いっしゅうかんって、なんにち?」
「なぁに?」
「一週間は、七日よ。七日に一度だけ特別なご馳走として、大根と人参の葉っぱを上げるのよ。白が太りすぎて一緒に暮らせなくなったら嫌でしょう?」
藍の言葉に青慈はそばで控える鎧を着た大根を、紫音は抱っこしているドレスを着た人参を見詰めている。大根と人参の葉っぱは豊かにふさふさと生えていたはずなのに、若干まばらになってきている気がした。
「わかった、とくべつなごちそうにする」
「とくべちゅにすゆ!」
「いい子ね、青慈も紫音も」
藍に撫でられて青慈も紫音も目を細めていた。
それで兎の白の成長が止まるとは思わないが、ゆっくりにはなるだろう。既に中型の犬を超える大きさになっている兎の白は、魔物と思われるので今更野に放つこともできなかった。兎の寿命がどれくらいかは分からないが、天寿を全うするまで紫音の元で育てるしかないのだろう。
兎の白が加わってからの朱雀の家は少しだけ賑やかになった。
青慈と紫音が外遊びをするときは白も庭に出して、畑を荒らさないように警戒しながらも遊ばせる。人参と大根を見て口をもぐもぐ動かしていたり、畑の方に近寄ろうとしたりする白は油断ならないが、紫音が呼ぶと跳んでくるようにはなっていた。
「ちろたん、のてて!」
「紫音、白に乗るの!? 危ないわよ!?」
「へーち、へーち!」
白に跨った紫音に、抵抗することなく白は紫音を乗せて駆けていく。もう紫音が乗れるような大きさになっていることも驚きだが、兎という動物がひとを乗せるようなものではないことを教えるために捕まえて飼ったはずの朱雀は、思わぬ誤算に戸惑っていた。
「兎とはひとを乗せるものだったか?」
「勇者と聖女の兎だから仕方がないんじゃない?」
「勇者と聖女の影響なのだろうか」
勇者と聖女が育てているからなのか、マンドラゴラの葉っぱを食べているからなのか分からないが、白は骨格もしっかりとしていて、紫音が乗っても平気なくらい強かった。
青慈も乗りたそうにしているが、自分の大きさを考えて我慢しているのだろう。
「しおんちゃん、しろちゃんとおいかけっこしよう」
「おいかけっこ! ちる!」
白に乗っていた紫音が降りて、走り出す白を青慈と紫音と大根と人参が追いかけていく。捕まえられても暴れることなく、白は青慈に抱き上げられていた。本来ならば兎は抱っこを嫌がるものと本に書いてあったが、白はそういうことが全く当てはまらない兎のようだった。マンドラゴラの葉っぱを食べたせいか、勇者と聖女に育てられているせいか、性質が完全に変容してしまっているようなのだ。
「野兎を捕まえて食べてた頃があったけど、もう食べられないわ」
「白は野兎っていう大きさじゃないわよ」
「なら、食べても平気か」
杏と緑も白について思うことはありそうだが、そんなことを話しながら今日も洗濯をして、濡れ縁を掃除してくれていた。濡れ縁に白の小屋と檻を作ってからは、白の小屋と檻の掃除も加わっていたが、緑は嫌がることなく仕事をこなしてくれていた。
青慈と紫音の祖父母からもらった深靴と手甲を箱から取り出して、朱雀は違和感を覚えた。深靴に手を翳すと、つま先と踵の部分に鉄骨が入っているのが感じられる。手甲にも鉄板が仕込まれている。どちらも魔法の力を帯びていて、重さは感じられないがものすごく頑丈なのは魔法があまり使えない朱雀にもはっきりと分かった。
「じーたん、ばーたんの、おいわい!」
「おたんじょうびにもらったながぐつだ!」
朱雀が出しているのを見て、紫音は手甲を付けて欲しいと手を出すし、青慈は受け取って自分で靴から深靴に履き替えている。雨のときなどに使う長靴だと思い込んでいるようだが、その深靴には鉄骨が仕込まれているのだと朱雀だけが知っていた。
立ったまま靴を脱いで深靴を履くことができる青慈の成長に和んでいる場合ではないが、深靴を履いた青慈は「せい!」と蹴りの練習を始め、手甲を付けた紫音は「きよめまつー!」と殴る練習を始めている。
高く脚を上げて蹴りの練習をする青慈と、片方ずつ拳を突き出して正拳突きの練習をしている紫音。
「誰が教えたのかな……」
「私よ」
「私も教えたわよ」
「上手になって」
5歳と3歳の幼児にそんな物騒なことは教えてほしくなかったが、覚えてしまったものは仕方がない。青慈は2歳のときに蹴りで大黒熊の顎を砕き、3歳のときに魔族の股間を潰している。紫音は2歳のときに魔族に捕らわれて、正拳突きで魔族の頬骨を砕いている。
身を守るために役に立ってないとは言えないので強くは言えないが、幼い時期くらいは青慈と紫音が勇者と聖女であっても、朱雀は守られて幸福に暮らして欲しいと願っていた。できることならば魔王も朱雀が倒してしまって、青慈と紫音には手を出せないようにしてしまいたい。
魔王を倒す方法がないのかと文献をあさり始めて、朱雀は顔を顰めるような記述を目にしてしまった。
「魔王は相手を食らったり、性交を行うことによって、生気を奪ったりして力をつけている……共食いをしたり、力をつけるために身体を交わしたりするのか……」
嫌な予感がして朱雀は本を捲って行く。
魔王にとって妖精種は魔力を蓄えた最高の餌なのだという記述を見たとき、朱雀は自分の中に怒りの炎が燃えるのを感じていた。
魔王の餌などにはなりたくない。
だが、山の賢者として朱雀の名前が知れ渡っているのは確かである。
これまでに川の水を管を曲げて使えないようにして、待ち伏せするようにしていた魔族も、兎の罠を回収するときに会った魔族も、そのときに偶然青慈や紫音を見付けて勇者や聖女だと気付いただけで、本当の狙いは朱雀だったのかもしれない。
自分が狙われているかもしれない可能性に、朱雀は嫌悪感と怒りを禁じえなかった。
魔物の兎ではなかったし、この山の野兎は小さめの猫くらいの大きさしかないはずなのに、既に中型犬に近い大きさになっている気がするのだ。
「ちろたん、えた!」
「ぎょええええええ!?」
兎は鳴かない。代わりに、頭の葉っぱを一本引き抜かれたドレスを着た人参が、紫音の腕の中で泣き喚いて暴れていた。暴れる人参に気を取られることなく、兎は差し出された葉っぱをしゃくしゃくと食べている。美味しそうに食べ終わって、次は青慈にすり寄っている。
「しろちゃん、おなかがすいたの? しかたないなぁ」
「びぎゃあああああ!?」
ぶちっと気軽に青慈は鎧を着た大根の頭の葉っぱを引き抜いて兎の白に与えていた。葉っぱをもらってしゃくしゃくと白は美味しそうな咀嚼音を立てて食べている。
「もしかして、この兎、大きくない?」
「勇者と聖女のせいかしらね」
「私の見間違いじゃないよね? 日に日に大きくなってきてるよね?」
そのうちに室内で飼うには大きすぎるようになってしまうのではないかと戦々恐々とする朱雀に、藍があっさりと言った。
「濡れ縁にこの子の小屋を作ったらどうかしら」
「濡れ縁に……いいかもしれない」
雨が降ったら小屋の中にいればいいし、出入り口の門は常に閉まっていて、庭の柵は外から野生動物が入れないように、中からも兎が出られるようにはなっていない。それでも畑を荒らされる可能性はあったから、小屋の周りには柵を付けて、動き回れる範囲を決めることで朱雀は問題が解決した気になっていた。
兎は大きくなっていく。紫音の人参と青慈の大根の葉っぱを一日一枚ずつもらって。
根本的な解決にはなっていないのではないかと朱雀が気付いたのは、濡れ縁に小屋が出来上がってからだった。小屋を作って一息ついた朱雀が、紫音と青慈が白を柵の中に入れているのを見てはっとしたのだ。
「白、また大きくなってない?」
「ちろたん、おっちくするの!」
「せーとしおんちゃんがのれるようにするんだよ」
明らかに目的を持って紫音と青慈は白にマンドラゴラの葉っぱを与えていた。そのことに気付いたら、朱雀も注意しないわけにはいかない。
「あまり大きくなると一緒に暮らせなくなるから、大根と人参の葉っぱを上げるのはやめなさい」
「どうちて!? しー、ちろたん、のりたい!」
「しろちゃんは、せーとしおんちゃんをのせてくれるおおきなウサギになるんだよ?」
言い返されて、涙目で縋られて、朱雀の心がぐらぐらと揺れる。どうしようか迷っていると、そばで見ていた藍が言葉を添えてくれた。
「毎日上げてたら大根と人参も禿げちゃうし、白も大きくなりすぎるわ。一週間に一度にしなさい」
「いっしゅうかんって、なんにち?」
「なぁに?」
「一週間は、七日よ。七日に一度だけ特別なご馳走として、大根と人参の葉っぱを上げるのよ。白が太りすぎて一緒に暮らせなくなったら嫌でしょう?」
藍の言葉に青慈はそばで控える鎧を着た大根を、紫音は抱っこしているドレスを着た人参を見詰めている。大根と人参の葉っぱは豊かにふさふさと生えていたはずなのに、若干まばらになってきている気がした。
「わかった、とくべつなごちそうにする」
「とくべちゅにすゆ!」
「いい子ね、青慈も紫音も」
藍に撫でられて青慈も紫音も目を細めていた。
それで兎の白の成長が止まるとは思わないが、ゆっくりにはなるだろう。既に中型の犬を超える大きさになっている兎の白は、魔物と思われるので今更野に放つこともできなかった。兎の寿命がどれくらいかは分からないが、天寿を全うするまで紫音の元で育てるしかないのだろう。
兎の白が加わってからの朱雀の家は少しだけ賑やかになった。
青慈と紫音が外遊びをするときは白も庭に出して、畑を荒らさないように警戒しながらも遊ばせる。人参と大根を見て口をもぐもぐ動かしていたり、畑の方に近寄ろうとしたりする白は油断ならないが、紫音が呼ぶと跳んでくるようにはなっていた。
「ちろたん、のてて!」
「紫音、白に乗るの!? 危ないわよ!?」
「へーち、へーち!」
白に跨った紫音に、抵抗することなく白は紫音を乗せて駆けていく。もう紫音が乗れるような大きさになっていることも驚きだが、兎という動物がひとを乗せるようなものではないことを教えるために捕まえて飼ったはずの朱雀は、思わぬ誤算に戸惑っていた。
「兎とはひとを乗せるものだったか?」
「勇者と聖女の兎だから仕方がないんじゃない?」
「勇者と聖女の影響なのだろうか」
勇者と聖女が育てているからなのか、マンドラゴラの葉っぱを食べているからなのか分からないが、白は骨格もしっかりとしていて、紫音が乗っても平気なくらい強かった。
青慈も乗りたそうにしているが、自分の大きさを考えて我慢しているのだろう。
「しおんちゃん、しろちゃんとおいかけっこしよう」
「おいかけっこ! ちる!」
白に乗っていた紫音が降りて、走り出す白を青慈と紫音と大根と人参が追いかけていく。捕まえられても暴れることなく、白は青慈に抱き上げられていた。本来ならば兎は抱っこを嫌がるものと本に書いてあったが、白はそういうことが全く当てはまらない兎のようだった。マンドラゴラの葉っぱを食べたせいか、勇者と聖女に育てられているせいか、性質が完全に変容してしまっているようなのだ。
「野兎を捕まえて食べてた頃があったけど、もう食べられないわ」
「白は野兎っていう大きさじゃないわよ」
「なら、食べても平気か」
杏と緑も白について思うことはありそうだが、そんなことを話しながら今日も洗濯をして、濡れ縁を掃除してくれていた。濡れ縁に白の小屋と檻を作ってからは、白の小屋と檻の掃除も加わっていたが、緑は嫌がることなく仕事をこなしてくれていた。
青慈と紫音の祖父母からもらった深靴と手甲を箱から取り出して、朱雀は違和感を覚えた。深靴に手を翳すと、つま先と踵の部分に鉄骨が入っているのが感じられる。手甲にも鉄板が仕込まれている。どちらも魔法の力を帯びていて、重さは感じられないがものすごく頑丈なのは魔法があまり使えない朱雀にもはっきりと分かった。
「じーたん、ばーたんの、おいわい!」
「おたんじょうびにもらったながぐつだ!」
朱雀が出しているのを見て、紫音は手甲を付けて欲しいと手を出すし、青慈は受け取って自分で靴から深靴に履き替えている。雨のときなどに使う長靴だと思い込んでいるようだが、その深靴には鉄骨が仕込まれているのだと朱雀だけが知っていた。
立ったまま靴を脱いで深靴を履くことができる青慈の成長に和んでいる場合ではないが、深靴を履いた青慈は「せい!」と蹴りの練習を始め、手甲を付けた紫音は「きよめまつー!」と殴る練習を始めている。
高く脚を上げて蹴りの練習をする青慈と、片方ずつ拳を突き出して正拳突きの練習をしている紫音。
「誰が教えたのかな……」
「私よ」
「私も教えたわよ」
「上手になって」
5歳と3歳の幼児にそんな物騒なことは教えてほしくなかったが、覚えてしまったものは仕方がない。青慈は2歳のときに蹴りで大黒熊の顎を砕き、3歳のときに魔族の股間を潰している。紫音は2歳のときに魔族に捕らわれて、正拳突きで魔族の頬骨を砕いている。
身を守るために役に立ってないとは言えないので強くは言えないが、幼い時期くらいは青慈と紫音が勇者と聖女であっても、朱雀は守られて幸福に暮らして欲しいと願っていた。できることならば魔王も朱雀が倒してしまって、青慈と紫音には手を出せないようにしてしまいたい。
魔王を倒す方法がないのかと文献をあさり始めて、朱雀は顔を顰めるような記述を目にしてしまった。
「魔王は相手を食らったり、性交を行うことによって、生気を奪ったりして力をつけている……共食いをしたり、力をつけるために身体を交わしたりするのか……」
嫌な予感がして朱雀は本を捲って行く。
魔王にとって妖精種は魔力を蓄えた最高の餌なのだという記述を見たとき、朱雀は自分の中に怒りの炎が燃えるのを感じていた。
魔王の餌などにはなりたくない。
だが、山の賢者として朱雀の名前が知れ渡っているのは確かである。
これまでに川の水を管を曲げて使えないようにして、待ち伏せするようにしていた魔族も、兎の罠を回収するときに会った魔族も、そのときに偶然青慈や紫音を見付けて勇者や聖女だと気付いただけで、本当の狙いは朱雀だったのかもしれない。
自分が狙われているかもしれない可能性に、朱雀は嫌悪感と怒りを禁じえなかった。
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