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一章 勇者と聖女と妖精種
22.兎の白
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冬の間、雪に閉じ込められている青慈と紫音は、部屋の中で大根と人参と駆け回って発散することもあったが、4歳と2歳にしては大人しく過ごせた方だろう。二人とも尋常ならざる腕力を持っているので、暴れようとすればこの家を壊してしまうことなど容易い。喧嘩をしても、絶対にお互いに叩いたり蹴ったりしないし、噛み付いたりもしない二人は、自分たちの腕力をよく分かっているのだろう。
雪の中でも時々は外に連れ出さないと青慈と紫音が退屈すぎて体力を持て余すので、庭で雪遊びをさせるくらいのことは朱雀も許していた。小さなお手手に緑が編んでくれた手袋を着けて、雪玉を作って投げ合ったり、雪だるまを作ったり、雪兎を作ったりしている姿はとても可愛い。
紫音の最近の興味は兎にあるようだった。
「しー、うたたん、ほちーの」
「兎を飼いたいの?」
「うたたん、のるの」
兎は乗れるような生き物ではないのだが、紫音が藍に読んでもらった絵本では、大根勇者と人参聖女が、騎馬ならぬ騎兎を乗りこなして、冒険するものがあって、紫音はすっかりその話に夢中になっている。
「兎は小さくて背中には乗れないわよ」
「うたたん、のるのー!」
大好きな藍に口答えまでして兎を欲しがっている紫音に現実というものを見せた方がいいのかもしれない。この森にも野兎は生息していたが、庭は高い柵で囲っているので紫音が本物の兎を見たことはなかった。
兎を捕える罠を仕掛けるために、朱雀は青慈と紫音のお散歩ついでに山に出た。食料の少ない時期、冬を越す兎はほとんどの時間は眠って過ごしているが、時折食べ物を探しに出て来ることがある。小さな檻の中に野菜の葉っぱを仕込んでおいて、兎が食べると檻が閉まるように細工をして朱雀は森の色んな場所に設置しておいた。
「うたたん、いりゅ?」
「見に行こうか」
冬の間の散歩は、兎が罠にかかっているか見に行くのが日課になってしまった。
兎の罠を張ってから数日後、一つの罠に兎がかかっているのを見て、紫音が藍の手を払って駆け出した。見えている範囲なので安心かと思ったが、黒い影が過って、紫音の小さな体を掬い上げる。
「見つけた! 聖女だ!」
真っ黒な翼を背中に生やした魔族は紫音を捕まえて、朱雀の抱っこしている青慈の方を見た。
「その子は、もしかして、勇者か?」
「紫音を離せ!」
「勇者が生きていたとは……あいつ、しくじったな」
「紫音を放しなさい!」
「安心しろ、聖女も勇者も、お前たちも全員殺して大黒熊の餌にしてやるよ」
魔王は聖女を探し続けていた。聖女の気配を消す魔法のかかった毛糸で上着を編んでもらっていたが、それを着ていても、近くに来れば聖女の気配は分かるようだ。同じように勇者の気配を消す魔法のかかった毛糸で編んだ上着も、近くに来てしまえば青慈が勇者だと見破られてしまう。
「青慈を頼む」
「朱雀さん、紫音を助けて!」
安全なように青慈を藍に預けて、肉体強化の魔法を唱えて紫音を取り返そうと魔族に近付いた朱雀より先に、紫音が躊躇いなく小さな拳を魔族の顔面にめり込ませていた。
「きよめまつ!」
「紫音!?」
頬骨を砕かれて血泡を吐いて崩れ落ちる魔族の腕から、ぴょんと飛んで降りて、紫音は朱雀のところに走って来た。
「うたたん、ちゅかまえる!」
「紫音、怪我はないか?」
「しー、へーち」
小さな紫音のお手手を見ても折れているところや、傷付いているところはない。魔族はびくびくとのたうって悲鳴を上げている。
魔族の首の骨を折って始末してから、朱雀はその体を焼いて埋めた。そのときに魔族の身体から黒い霧のような鳥の形をした使い魔が飛んで行ったのを、朱雀はどうすることもできなかった。
魔王にこの場所が知られてしまったかもしれない。
これまでは庭の柵に結界を張って、紫音と青慈を聖女と勇者の気配を隠す布や毛糸で守っていたが、これからは魔族がもっと頻繁に襲ってくるようになるかもしれない。早急に結界の強化が必要だった。
「うたたん! とーた、うたたん!」
「そうだった。兎は捕まえようね」
魔族を殴り倒したことなど全く気にしていない様子で檻の中の兎を欲しがる紫音に、朱雀は罠を回収して急いで家に戻った。兎は紫音に抱っこされてじたばたともがいていたが、紫音が持っていたドレスを着た人参の葉っぱを一枚千切って差し出すと、大人しくもしゃもしゃと食べ始めた。
「うたたん、しーのうたたん!」
「お名前はなんにする?」
「えっと、うーんと……ちろ!」
「白にするの?」
「あい! ちろ!」
白と名付けられた兎は紫音の人参の葉っぱを食べたせいか、捕まえたときよりも一回り大きくなっている気がした。マンドラゴラの葉っぱにはそういう作用があるのか、聖女である紫音が飼っている人参だから特別なのかはよく分からない。
「しろたん! かわいーねー」
「青慈は兎は飼わなくてよかったのか?」
「せー、だいこんたん、いるよ。せー、しおたんと、しろたんかわいがるから、いらないの」
紫音と一緒に兎の白を可愛がるという青慈の健気さに、朱雀は青慈を守らなければいけないと思う気持ちを強くする。
青慈も紫音も、朱雀の命に代えても守る。
「らっこ、やーの。えい! ちたの」
「そうよ、抱っこされて連れて行かれそうになったら、的確に相手の顔面を殴るのよ」
「あい! えい! つる!」
魔族を倒した紫音を褒めて藍が物騒なことを教え込んでいるが、これから魔族が頻繁に襲ってくるようになればそれも必要になるかもしれない。
「せーも、えい! できるよ!」
「青慈も、紫音も、しっかり自分の身を守るのよ」
「せー、とーたんもまもる!」
「青慈は朱雀さんと結婚するんだものね」
「しー、あーた、まもゆ!」
「紫音、私を守ってくれるなんて、なんていい子なの」
青慈は朱雀を守ると言っているし、紫音は藍を守ると言っているが、妖精種として魔法を使えるのは朱雀だけだし、腕力がいくら強いといっても青慈は4歳で紫音は2歳だ。まだまだ守られる年齢だ。
「青慈も紫音も私が守るよ」
「私も、青慈と紫音を守るわ!」
朱雀の決意に藍も同意していると、杏と緑が顔を出す。
「何があったの?」
「兎を捕まえて来たのね、可愛い」
「ちろたん!」
「白ちゃんっていうの?」
「あい、ちろたん!」
冬毛だから白いだけで、夏になれば茶色の毛に生え変わるであろう白い兎を見せている紫音に、杏と緑が微笑みかけている。
「杏さん、緑さん、魔王にここの居場所が知られたかもしれない」
先ほど魔族に襲われたことを朱雀が報告すると、杏と緑は顔を見合わせる。
「兎の罠を狙って来たんじゃないかしら」
「兎の罠?」
「大きな街で聞いたけど、山の猟師は罠を狙われて、海の漁師は網を狙われてるって話よ」
「魔族がじわじわとこの国に侵略してきているのよ」
藍の誕生日のついでに杏と緑の分も魔法のかかった鞄を買いに大きな街に行ったときに、杏と緑は魔族の動向を掴んで来ていた。
「罠と網を狙うって……侵略の仕方としては、あまりにも小さすぎないか」
「魔王の影響力の小ささじゃないかしら」
「魔王に従う魔族はその程度の嫌がらせしかできないのよ」
それにしても罠や網で生活するものにとっては大きな出来事だろうし、罠を狙ったついでに聖女の紫音を偶然見つけたのだったら、魔王は計画性がなく、聖女を確実に見付けることはまだできていなかったのかもしれない。
魔族の身体から飛んで行った使い魔のことは気になるが、焦ってこの家を離れるようなことはしなくてもいいのかもしれないと朱雀は考え始めていた。
「春になれば青慈は5歳、紫音は3歳か」
青慈が5歳、紫音が3歳になっても、魔王退治に出かけるにはあまりにも幼すぎる。魔王にこの場所が見つからないように結界を強化して、青慈と紫音が大きくなるまでは守らなければいけない。
成長した暁にも、できれば危険な場所には行ってほしくないと考えてしまう朱雀は過保護なのだろうが、それより先に魔王にこの場所が見つかりそうな気もする。
青慈と紫音の成長が先か、魔王がこの場所を突き止めるのが先か。
一日でも平穏が長く続くことを朱雀は願っていた。
雪の中でも時々は外に連れ出さないと青慈と紫音が退屈すぎて体力を持て余すので、庭で雪遊びをさせるくらいのことは朱雀も許していた。小さなお手手に緑が編んでくれた手袋を着けて、雪玉を作って投げ合ったり、雪だるまを作ったり、雪兎を作ったりしている姿はとても可愛い。
紫音の最近の興味は兎にあるようだった。
「しー、うたたん、ほちーの」
「兎を飼いたいの?」
「うたたん、のるの」
兎は乗れるような生き物ではないのだが、紫音が藍に読んでもらった絵本では、大根勇者と人参聖女が、騎馬ならぬ騎兎を乗りこなして、冒険するものがあって、紫音はすっかりその話に夢中になっている。
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大好きな藍に口答えまでして兎を欲しがっている紫音に現実というものを見せた方がいいのかもしれない。この森にも野兎は生息していたが、庭は高い柵で囲っているので紫音が本物の兎を見たことはなかった。
兎を捕える罠を仕掛けるために、朱雀は青慈と紫音のお散歩ついでに山に出た。食料の少ない時期、冬を越す兎はほとんどの時間は眠って過ごしているが、時折食べ物を探しに出て来ることがある。小さな檻の中に野菜の葉っぱを仕込んでおいて、兎が食べると檻が閉まるように細工をして朱雀は森の色んな場所に設置しておいた。
「うたたん、いりゅ?」
「見に行こうか」
冬の間の散歩は、兎が罠にかかっているか見に行くのが日課になってしまった。
兎の罠を張ってから数日後、一つの罠に兎がかかっているのを見て、紫音が藍の手を払って駆け出した。見えている範囲なので安心かと思ったが、黒い影が過って、紫音の小さな体を掬い上げる。
「見つけた! 聖女だ!」
真っ黒な翼を背中に生やした魔族は紫音を捕まえて、朱雀の抱っこしている青慈の方を見た。
「その子は、もしかして、勇者か?」
「紫音を離せ!」
「勇者が生きていたとは……あいつ、しくじったな」
「紫音を放しなさい!」
「安心しろ、聖女も勇者も、お前たちも全員殺して大黒熊の餌にしてやるよ」
魔王は聖女を探し続けていた。聖女の気配を消す魔法のかかった毛糸で上着を編んでもらっていたが、それを着ていても、近くに来れば聖女の気配は分かるようだ。同じように勇者の気配を消す魔法のかかった毛糸で編んだ上着も、近くに来てしまえば青慈が勇者だと見破られてしまう。
「青慈を頼む」
「朱雀さん、紫音を助けて!」
安全なように青慈を藍に預けて、肉体強化の魔法を唱えて紫音を取り返そうと魔族に近付いた朱雀より先に、紫音が躊躇いなく小さな拳を魔族の顔面にめり込ませていた。
「きよめまつ!」
「紫音!?」
頬骨を砕かれて血泡を吐いて崩れ落ちる魔族の腕から、ぴょんと飛んで降りて、紫音は朱雀のところに走って来た。
「うたたん、ちゅかまえる!」
「紫音、怪我はないか?」
「しー、へーち」
小さな紫音のお手手を見ても折れているところや、傷付いているところはない。魔族はびくびくとのたうって悲鳴を上げている。
魔族の首の骨を折って始末してから、朱雀はその体を焼いて埋めた。そのときに魔族の身体から黒い霧のような鳥の形をした使い魔が飛んで行ったのを、朱雀はどうすることもできなかった。
魔王にこの場所が知られてしまったかもしれない。
これまでは庭の柵に結界を張って、紫音と青慈を聖女と勇者の気配を隠す布や毛糸で守っていたが、これからは魔族がもっと頻繁に襲ってくるようになるかもしれない。早急に結界の強化が必要だった。
「うたたん! とーた、うたたん!」
「そうだった。兎は捕まえようね」
魔族を殴り倒したことなど全く気にしていない様子で檻の中の兎を欲しがる紫音に、朱雀は罠を回収して急いで家に戻った。兎は紫音に抱っこされてじたばたともがいていたが、紫音が持っていたドレスを着た人参の葉っぱを一枚千切って差し出すと、大人しくもしゃもしゃと食べ始めた。
「うたたん、しーのうたたん!」
「お名前はなんにする?」
「えっと、うーんと……ちろ!」
「白にするの?」
「あい! ちろ!」
白と名付けられた兎は紫音の人参の葉っぱを食べたせいか、捕まえたときよりも一回り大きくなっている気がした。マンドラゴラの葉っぱにはそういう作用があるのか、聖女である紫音が飼っている人参だから特別なのかはよく分からない。
「しろたん! かわいーねー」
「青慈は兎は飼わなくてよかったのか?」
「せー、だいこんたん、いるよ。せー、しおたんと、しろたんかわいがるから、いらないの」
紫音と一緒に兎の白を可愛がるという青慈の健気さに、朱雀は青慈を守らなければいけないと思う気持ちを強くする。
青慈も紫音も、朱雀の命に代えても守る。
「らっこ、やーの。えい! ちたの」
「そうよ、抱っこされて連れて行かれそうになったら、的確に相手の顔面を殴るのよ」
「あい! えい! つる!」
魔族を倒した紫音を褒めて藍が物騒なことを教え込んでいるが、これから魔族が頻繁に襲ってくるようになればそれも必要になるかもしれない。
「せーも、えい! できるよ!」
「青慈も、紫音も、しっかり自分の身を守るのよ」
「せー、とーたんもまもる!」
「青慈は朱雀さんと結婚するんだものね」
「しー、あーた、まもゆ!」
「紫音、私を守ってくれるなんて、なんていい子なの」
青慈は朱雀を守ると言っているし、紫音は藍を守ると言っているが、妖精種として魔法を使えるのは朱雀だけだし、腕力がいくら強いといっても青慈は4歳で紫音は2歳だ。まだまだ守られる年齢だ。
「青慈も紫音も私が守るよ」
「私も、青慈と紫音を守るわ!」
朱雀の決意に藍も同意していると、杏と緑が顔を出す。
「何があったの?」
「兎を捕まえて来たのね、可愛い」
「ちろたん!」
「白ちゃんっていうの?」
「あい、ちろたん!」
冬毛だから白いだけで、夏になれば茶色の毛に生え変わるであろう白い兎を見せている紫音に、杏と緑が微笑みかけている。
「杏さん、緑さん、魔王にここの居場所が知られたかもしれない」
先ほど魔族に襲われたことを朱雀が報告すると、杏と緑は顔を見合わせる。
「兎の罠を狙って来たんじゃないかしら」
「兎の罠?」
「大きな街で聞いたけど、山の猟師は罠を狙われて、海の漁師は網を狙われてるって話よ」
「魔族がじわじわとこの国に侵略してきているのよ」
藍の誕生日のついでに杏と緑の分も魔法のかかった鞄を買いに大きな街に行ったときに、杏と緑は魔族の動向を掴んで来ていた。
「罠と網を狙うって……侵略の仕方としては、あまりにも小さすぎないか」
「魔王の影響力の小ささじゃないかしら」
「魔王に従う魔族はその程度の嫌がらせしかできないのよ」
それにしても罠や網で生活するものにとっては大きな出来事だろうし、罠を狙ったついでに聖女の紫音を偶然見つけたのだったら、魔王は計画性がなく、聖女を確実に見付けることはまだできていなかったのかもしれない。
魔族の身体から飛んで行った使い魔のことは気になるが、焦ってこの家を離れるようなことはしなくてもいいのかもしれないと朱雀は考え始めていた。
「春になれば青慈は5歳、紫音は3歳か」
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成長した暁にも、できれば危険な場所には行ってほしくないと考えてしまう朱雀は過保護なのだろうが、それより先に魔王にこの場所が見つかりそうな気もする。
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