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一章 勇者と聖女と妖精種
15.お誕生日の準備
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大きな街では青慈と紫音のために立て襟で紐で留めるボタンが付いた服とズボンも買った。生成りのものを買ったのは朱雀なりに思惑があったからだった。夕飯の間食べるのに集中してしまうので、朱雀は青慈と紫音に言った。
「がま口の中に大根と人参は仕舞っておいて」
「だいこんたん、またね」
「じんじん、ないない」
青慈も紫音も大人しく大根と人参を仕舞ったのは、周囲の声が聞こえていたからだろう。
「あの子どもたち動く大根と人参を飼っている」
「もしかして魔物じゃないだろうな?」
「大根と人参の魔物……聞いたことがないな」
魔王の統治が攻撃的なために、魔族の領域から魔物がこの国に襲ってきているようだ。大根と人参を魔物とは思わなかったようだが、警戒されているのはひしひしと伝わる。褐色肌と銀色の髪に赤い目の朱雀は妖精種で、背が高くて耳が尖っていてどうしても目立ってしまう。
これからはこの街に来るときは青慈と紫音に大根と人参はがま口に仕舞うように言って、朱雀も容貌を隠すような布を目深に被った方がいいのかもしれない。
考えていると料理が運ばれてきた。手洗いで手を洗った青慈と紫音が、手掴みで包に角煮を挟んだものを捕まえる。噛み付いて口いっぱいに頬張って、青慈も紫音もにこにこと嬉しそうに食べていた。
肉の汁が垂れてもいいように紫音には首の周りに手拭いが巻いてあり、青慈にはお膝の上に手拭いが乗せてある。
美味しく夕飯を食べ終えた紫音と青慈は朱雀の部屋で寝て、藍と杏と緑は隣りの部屋で休んだ。
翌日に半日かけて山の麓の街まで帰って、そこで雑貨屋に寄る。雑貨屋の店主の母親はおんぶ紐で赤ん坊を背中に背負って仕事に出ていた。
「よく来たね。困ってることはない?」
「実は青慈と紫音のお誕生日に何を作ればいいのか分からなくて困っているんです」
正直に朱雀が店主の母親に相談すると、彼女は本棚から本を一冊取り出した。
「異国ではケーキっていうのを作るらしいよ。その本を仕入れたけど、誰も買うひとがいなくてずっと残ってた」
「ケーキ……これに作り方が載っていますか?」
「材料も作り方も載っているよ」
教えてもらって、朱雀はその本を買って中身を確認してみた。
「砂糖、小麦粉、バター、生クリーム……季節の果物もいるのか」
「今は苺が美味しい季節だよ」
「苺! 青慈にも紫音にも苺を食べさせたことがなかった」
果物は日持ちがしないものが多いので、朱雀はあまり積極的に買うことはなかった。青慈と紫音のお誕生日には苺を買ってもいいかもしれない。
青果店に寄ると、苺が箱に入って売っていた。青慈と紫音のことにお金を惜しむ気はなかったので青慈はたっぷりと苺を買う。酪農をしている農家の卸している乳製品のお店からはバターも生クリームも買うことができた。
「最近は異国の食材も使われてるからね」
「私は使うのは初めてだ。ありがとう」
麓の街でも異国の食材を使うくらいには異国の文化が流れ込んで来ているようだ。それでもまだまだこの国は木の家を建てて、土を踏み固めた道で、山が多く木々の生い茂る自然に溢れていた。
苺もバターも生クリームも腰の鞄に入れて、山道を登って家に帰っていると、疲れ切った紫音は藍に抱っこされて寝ているが、青慈は元気に朱雀を追い駆けてちょこちょこと走っている。
「おとーたん、もうだいこんたん、だしてもいい?」
「そうだったな。もういいよ」
「だいこんたん、いいよ!」
がま口をぱちんと青慈が開けると、小鳥の口のようになっている口金の部分から大根が飛び出してくる。がしゃがしゃと鎧を鳴らして地面に降り立った大根を見て、青慈がうっとりしている。
「だいこんたん、かっこいーねー」
「青慈も鎧が欲しいのか?」
「ほしい!」
「鎧じゃないけど、青慈には私が特別なものをあげるよ」
「よろいじゃないけど、とくべつ?」
鎧が欲しかったようだが、4歳になる青慈が鎧を着て生活するわけにはいかないので、朱雀はそこはちゃんと考えていた。
家に帰ると、起き出した紫音を藍が着替えさせている。簡単にカステラを焼いておやつに出して、朱雀はお茶を淹れた。お茶に牛乳を入れると紫音がカステラと共に口の周りを真っ白にして飲んでいるし、青慈もお口の周りが牛乳で真っ白だった。
食べ終わってお口を拭いてもらった青慈と紫音が外で遊び始めるのを確認して、朱雀は大鍋にお湯を沸かした。お湯の中に薬草を入れて煮立てて、青慈のための立て襟に紐の付いたボタンの上衣を入れて煮込んで絞り、別の薬草を入れてズボンも煮込んで絞る。紫音の分も同じようにすると、鮮やかな青色の上衣と黒いズボン、薄紫の上衣と小鹿色のズボンが出来上がった。
干していると、隣りで洗濯物を干している杏から声をかけられる。
「これ、街で買ってきた青慈と紫音の服?」
「そうだよ」
「生成りの服を買ってたと思ったら染めるつもりだったんだ」
藍も青慈も紫音も話し声に気付いて庭での土遊びを辞めて近付いて来ていた。
「これ、せーのふく?」
「私が怖いものが近寄らないように薬草で染めた服だよ」
「やーの、ないない?」
「そうだよ。紫音の怖いものはこれを着てたら近寄れない」
「きう!」
「紫音、まだ染めたばかりで濡れてるじゃない。乾いてからよ」
「きうのー!」
説明するともう着たがってひっくり返って手足をバタバタさせる紫音を、藍が抱き上げて宥めている。
「他にも杏さんと緑さんに服を作ってもらうからね」
「ふく、いっぱい?」
「せーのふくもある?」
「紫音の服も青慈の服もあるよ」
買ってきた布と毛糸で杏と緑には青慈と紫音の服や上着を作ってくれるように頼んでいる。夏用の日除けの上着を作ってもらえたら、青慈と紫音は真夏でも外で遊べるようになるかもしれない。
駄々を捏ねようとしていた紫音も新しい服を作ってもらえると聞いてすっかりと機嫌を直している。紫音が一番懐いている藍に抱っこされた時点で、暴れるのはやめていたので、それほどひどい癇癪でもなかったようだ。
「しー、おしめたま!」
「オシメ着けてるけど」
「あーた、ちやう! おーしーめーたーま!」
お姫様と言いたくて上手に言えない紫音は、一生懸命自己主張していた。
バターを常温にして、卵の卵白を泡立てて、卵黄と砂糖とバターを混ぜ合わせて、泡立てた卵白と粉を混ぜて、卵黄と砂糖とバターも混ぜて、窯で焼き上げる。生クリームは泡立てて、苺も洗って切って、焼き上がった生地を上下二つに切って生クリームを塗って苺を挟む。上の面や側面にも生クリームを塗って苺を飾ったケーキという異国のお菓子を、朱雀は作り方通りに作り上げた。
氷室の中に入れておいて、青慈と紫音と藍と一緒に青慈の両親を埋めた場所に向かう。
「本当に生まれた日は分からないけれど、今日で青慈は4歳になったことにします。私にとっては青慈は可愛い天使です。青慈をこの世に生み出してくれてありがとうございます」
「ほんとうのおとーたん、おかーたん、せー、おとーたんとけっこんするね!」
「青慈、何か祈ることが違う気がする」
「そうなの?」
4歳になったから朱雀と結婚する気でいる青慈に朱雀はツッコミを入れる。藍がお墓に手を合わせていて、紫音がそれを真似している。
「おかたん、おとたん」
「紫音のお母さんとお父さんじゃないんだな」
「ちやう!?」
可愛くご挨拶をしていた紫音に伝えると、衝撃を受けている。青慈とは兄妹のつもりだから、青慈のお父さんとお母さんが自分のお父さんとお母さんのつもりだったのだろう。
「しーの、おとたん、おかたん、どこ?」
「紫音のお父さんとお母さんは分からないな」
「両親なんてどうでもいいのよ。紫音は青慈がお兄ちゃんで、朱雀さんがいて、私がいて、杏さんと緑さんがいるでしょう。みんな家族なんだから」
「かじょく! みんな、かじょく!」
藍の説明に紫音は納得して飛び跳ねて人参を抱き締めていた。
ドレスを着た人参は誇らし気な顔で紫音に抱き締められていた。
「がま口の中に大根と人参は仕舞っておいて」
「だいこんたん、またね」
「じんじん、ないない」
青慈も紫音も大人しく大根と人参を仕舞ったのは、周囲の声が聞こえていたからだろう。
「あの子どもたち動く大根と人参を飼っている」
「もしかして魔物じゃないだろうな?」
「大根と人参の魔物……聞いたことがないな」
魔王の統治が攻撃的なために、魔族の領域から魔物がこの国に襲ってきているようだ。大根と人参を魔物とは思わなかったようだが、警戒されているのはひしひしと伝わる。褐色肌と銀色の髪に赤い目の朱雀は妖精種で、背が高くて耳が尖っていてどうしても目立ってしまう。
これからはこの街に来るときは青慈と紫音に大根と人参はがま口に仕舞うように言って、朱雀も容貌を隠すような布を目深に被った方がいいのかもしれない。
考えていると料理が運ばれてきた。手洗いで手を洗った青慈と紫音が、手掴みで包に角煮を挟んだものを捕まえる。噛み付いて口いっぱいに頬張って、青慈も紫音もにこにこと嬉しそうに食べていた。
肉の汁が垂れてもいいように紫音には首の周りに手拭いが巻いてあり、青慈にはお膝の上に手拭いが乗せてある。
美味しく夕飯を食べ終えた紫音と青慈は朱雀の部屋で寝て、藍と杏と緑は隣りの部屋で休んだ。
翌日に半日かけて山の麓の街まで帰って、そこで雑貨屋に寄る。雑貨屋の店主の母親はおんぶ紐で赤ん坊を背中に背負って仕事に出ていた。
「よく来たね。困ってることはない?」
「実は青慈と紫音のお誕生日に何を作ればいいのか分からなくて困っているんです」
正直に朱雀が店主の母親に相談すると、彼女は本棚から本を一冊取り出した。
「異国ではケーキっていうのを作るらしいよ。その本を仕入れたけど、誰も買うひとがいなくてずっと残ってた」
「ケーキ……これに作り方が載っていますか?」
「材料も作り方も載っているよ」
教えてもらって、朱雀はその本を買って中身を確認してみた。
「砂糖、小麦粉、バター、生クリーム……季節の果物もいるのか」
「今は苺が美味しい季節だよ」
「苺! 青慈にも紫音にも苺を食べさせたことがなかった」
果物は日持ちがしないものが多いので、朱雀はあまり積極的に買うことはなかった。青慈と紫音のお誕生日には苺を買ってもいいかもしれない。
青果店に寄ると、苺が箱に入って売っていた。青慈と紫音のことにお金を惜しむ気はなかったので青慈はたっぷりと苺を買う。酪農をしている農家の卸している乳製品のお店からはバターも生クリームも買うことができた。
「最近は異国の食材も使われてるからね」
「私は使うのは初めてだ。ありがとう」
麓の街でも異国の食材を使うくらいには異国の文化が流れ込んで来ているようだ。それでもまだまだこの国は木の家を建てて、土を踏み固めた道で、山が多く木々の生い茂る自然に溢れていた。
苺もバターも生クリームも腰の鞄に入れて、山道を登って家に帰っていると、疲れ切った紫音は藍に抱っこされて寝ているが、青慈は元気に朱雀を追い駆けてちょこちょこと走っている。
「おとーたん、もうだいこんたん、だしてもいい?」
「そうだったな。もういいよ」
「だいこんたん、いいよ!」
がま口をぱちんと青慈が開けると、小鳥の口のようになっている口金の部分から大根が飛び出してくる。がしゃがしゃと鎧を鳴らして地面に降り立った大根を見て、青慈がうっとりしている。
「だいこんたん、かっこいーねー」
「青慈も鎧が欲しいのか?」
「ほしい!」
「鎧じゃないけど、青慈には私が特別なものをあげるよ」
「よろいじゃないけど、とくべつ?」
鎧が欲しかったようだが、4歳になる青慈が鎧を着て生活するわけにはいかないので、朱雀はそこはちゃんと考えていた。
家に帰ると、起き出した紫音を藍が着替えさせている。簡単にカステラを焼いておやつに出して、朱雀はお茶を淹れた。お茶に牛乳を入れると紫音がカステラと共に口の周りを真っ白にして飲んでいるし、青慈もお口の周りが牛乳で真っ白だった。
食べ終わってお口を拭いてもらった青慈と紫音が外で遊び始めるのを確認して、朱雀は大鍋にお湯を沸かした。お湯の中に薬草を入れて煮立てて、青慈のための立て襟に紐の付いたボタンの上衣を入れて煮込んで絞り、別の薬草を入れてズボンも煮込んで絞る。紫音の分も同じようにすると、鮮やかな青色の上衣と黒いズボン、薄紫の上衣と小鹿色のズボンが出来上がった。
干していると、隣りで洗濯物を干している杏から声をかけられる。
「これ、街で買ってきた青慈と紫音の服?」
「そうだよ」
「生成りの服を買ってたと思ったら染めるつもりだったんだ」
藍も青慈も紫音も話し声に気付いて庭での土遊びを辞めて近付いて来ていた。
「これ、せーのふく?」
「私が怖いものが近寄らないように薬草で染めた服だよ」
「やーの、ないない?」
「そうだよ。紫音の怖いものはこれを着てたら近寄れない」
「きう!」
「紫音、まだ染めたばかりで濡れてるじゃない。乾いてからよ」
「きうのー!」
説明するともう着たがってひっくり返って手足をバタバタさせる紫音を、藍が抱き上げて宥めている。
「他にも杏さんと緑さんに服を作ってもらうからね」
「ふく、いっぱい?」
「せーのふくもある?」
「紫音の服も青慈の服もあるよ」
買ってきた布と毛糸で杏と緑には青慈と紫音の服や上着を作ってくれるように頼んでいる。夏用の日除けの上着を作ってもらえたら、青慈と紫音は真夏でも外で遊べるようになるかもしれない。
駄々を捏ねようとしていた紫音も新しい服を作ってもらえると聞いてすっかりと機嫌を直している。紫音が一番懐いている藍に抱っこされた時点で、暴れるのはやめていたので、それほどひどい癇癪でもなかったようだ。
「しー、おしめたま!」
「オシメ着けてるけど」
「あーた、ちやう! おーしーめーたーま!」
お姫様と言いたくて上手に言えない紫音は、一生懸命自己主張していた。
バターを常温にして、卵の卵白を泡立てて、卵黄と砂糖とバターを混ぜ合わせて、泡立てた卵白と粉を混ぜて、卵黄と砂糖とバターも混ぜて、窯で焼き上げる。生クリームは泡立てて、苺も洗って切って、焼き上がった生地を上下二つに切って生クリームを塗って苺を挟む。上の面や側面にも生クリームを塗って苺を飾ったケーキという異国のお菓子を、朱雀は作り方通りに作り上げた。
氷室の中に入れておいて、青慈と紫音と藍と一緒に青慈の両親を埋めた場所に向かう。
「本当に生まれた日は分からないけれど、今日で青慈は4歳になったことにします。私にとっては青慈は可愛い天使です。青慈をこの世に生み出してくれてありがとうございます」
「ほんとうのおとーたん、おかーたん、せー、おとーたんとけっこんするね!」
「青慈、何か祈ることが違う気がする」
「そうなの?」
4歳になったから朱雀と結婚する気でいる青慈に朱雀はツッコミを入れる。藍がお墓に手を合わせていて、紫音がそれを真似している。
「おかたん、おとたん」
「紫音のお母さんとお父さんじゃないんだな」
「ちやう!?」
可愛くご挨拶をしていた紫音に伝えると、衝撃を受けている。青慈とは兄妹のつもりだから、青慈のお父さんとお母さんが自分のお父さんとお母さんのつもりだったのだろう。
「しーの、おとたん、おかたん、どこ?」
「紫音のお父さんとお母さんは分からないな」
「両親なんてどうでもいいのよ。紫音は青慈がお兄ちゃんで、朱雀さんがいて、私がいて、杏さんと緑さんがいるでしょう。みんな家族なんだから」
「かじょく! みんな、かじょく!」
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