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四章 キスがしたい十五歳
30.僕の十六歳のお誕生日
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「白い婚約」
その言葉が僕の胸に刺さっていた。
それはヴィリアム殿が僕に言った言葉だった。
自分の娘のブリット嬢と僕を婚約させようとするヴィリアム殿に、僕にはロヴィーサ嬢がいると答えたときに、ヴィリアム殿が言ったのが、「白い婚約」という単語だった。
――婚約は破棄できるものです。エドヴァルド殿下の年齢ならば、白い婚約でしょう?
――白い婚約?
――この意味も分からないようならば、間違いなく白い婚約ですね。
意味が分からずに聞き返してしまった僕に、ヴィリアム殿は嫌な笑いを浮かべながらそう言い切ったのだ。
本当に意味が分からなかったので、僕は父上とエリアス兄上に白い婚約について聞いてみた。
――ヴィリアム殿は僕に『白い婚約』と言いました。どういう意味ですか?
――エドがまだ子どもだから、ロヴィーサ嬢と名実ともに婚約者になっていないだろうということだよ。
――そ、そういうことかな。
父上とエリアス兄上は僕に「白い婚約」の意味を教えてくれた。
僕はロヴィーサ嬢と名実ともに婚約者になっていない。
そのことはずっと気にしていた。
僕はロヴィーサ嬢とキスがしたかった。
けれどロヴィーサ嬢は恥ずかしがり屋で、簡単にはキスはできない。
ほっぺたにキスをしてもらったことは一度だけあるが、唇にキスをしたことは一度もない。
ロヴィーサ嬢のいつも艶々の唇にキスをしたらどんな感触がするのだろう。
キスをすれば僕は名実ともに婚約者になれる。
そう信じ切っていた。
夏休みも終わりに差し掛かると僕のお誕生日が来る。
僕のお誕生日は毎年王城で祝ってもらっていた。
僕はロヴィーサ嬢の料理しか口にしたくなかったので、ロヴィーサ嬢は王家のテーブルの分の料理は厨房で作ってくれる。
お誕生日会の主賓なので、挨拶などでほとんど口にできないと分かっていてもロヴィーサ嬢のご馳走は楽しみだった。
「ミエト家に帰ってからも、お誕生日のご馳走を作りますからね」
「期待しています」
ロヴィーサ嬢のお誕生日はヴィリアム殿が来たせいで、急にマグロの解体ショーが始まってしまったが、あれも貴族の中ではものすごく好評だったと聞いている。
「ロヴィーサ嬢のお誕生日、私も行きたかったな」
「私も切り立てのマグロを食べたかったよ」
「カマは塩焼きにしても美味しいんだよな」
「ネギトロ丼も絶品だぞ」
「父上、言わないでください。食べたくなるではないですか」
「トロロとマグロを一緒に食べたい」
父上もエリアス兄上もエルランド兄上も、ロヴィーサ嬢のお誕生日会に出席しなかったことを悔やんでいるようだった。父上とエリアス兄上とエルランド兄上でこれなのだから、他の貴族たちの反応も予測できる。
ミエト家主催のパーティーは、今や、招待状を送られるのが非常に喜ばしいことであるような、豪華な料理の出る催しとなっているのだ。
今日のロヴィーサ嬢の料理は、チーズ入りのピロシキという揚げパンのようなものと、天むす、サンドイッチ各種に、ケーキや焼き菓子と、とても豪華なものだった。
当然のようにダミアーン伯父上は王家のテーブルに来ている。毒見の関係もあるし、ダミアーン伯父上は家族のようなものなので、王家のテーブルから料理を取ってもらうのだが、流石僕の伯父上、たっぷりと取り分けている。
「このピロシキという揚げパンはとても美味しいな」
「チーズを入れています」
「スパイスの利いた具に、チーズがよく合っている」
僕に挨拶をするより先に料理を取りに行って、ロヴィーサ嬢を褒めているダミアーン伯父上だが、僕は全然不快ではなかった。それどころか誇らしい気持ちでいっぱいだった。
それだけロヴィーサ嬢の料理が認められているということだ。
「エドヴァルド、お誕生日おめでとう。もう十六歳か。早いものだな」
「ダミアーン伯父上が僕の命を繋いでくださったおかげです」
「ロヴィーサ嬢と出会ってからは私の出番はなくなったがな」
「いいえ、今でも果物を送ってくださってます。モンスター捕獲用の睡眠玉もくださいました。ダミアーン伯父上はずっとずっと僕の大事な伯父上です」
僕が言うとダミアーン伯父上は照れたのか、ピロシキを頬張ってもぐもぐと咀嚼していた。照れ隠しなのだろう。
エリアス兄上が僕を壇上に呼ぶ。
壇上に上がった僕はエリアス兄上とユリウス義兄上に挟まれて立った。
「本日は私の末の弟、エドヴァルドの誕生日に来てくれてありがとう。エドヴァルドは高等学校でも優秀な成績を修め、隣国に短期留学にも招かれた。そんなエドヴァルドを私は誇りに思っている」
「エリアス兄上……いえ、国王陛下、お祝いありがとうございます。私がこうやってこの場に立てているのは、私一人の力ではありません。私を支えてくれる婚約者のロヴィーサ嬢、暖かく私を見守ってくれる父上や兄上や姉上、魔族の国のお祖父様やお祖母様やダミアーン伯父上、そして、祝ってくださる皆さまのおかげです。このことを忘れずに日々感謝の気持ちを持って生きていこうと思います」
僕の挨拶にエリアス兄上がぐしゃぐしゃと僕の髪をかき混ぜる。僕の髪はかなり長くなっているし、右側の横を三つ編みにして、左側でサイドテールにして赤い鳥の髪飾りで纏めているので崩れはしないが、子どものような扱いに顔が赤くなる。
「まだまだ十六歳。たくさんやんちゃなことをして、人生を楽しんでくれた方が私は安心するよ」
「私は大人になりたいのです」
「そう言っている限りは、まだまだ子どもだよ」
笑い合うエリアス兄上と僕に、会場からも笑い声が上がった。
壇上から降りていくと、ロヴィーサ嬢が待っていてくれる。胸から腰までの部分が薄紫、それ以外が白のドレスを着ているロヴィーサ嬢はとても美しい。
「踊ってくださいますか?」
手を差し伸べて願えば、僕の手に手を重ねて目を伏せて頷いてくれる。
ロヴィーサ嬢の手を引いて僕は踊りの輪の中に入った。
エルランド兄上もセシーリア嬢と踊っている。セシーリア嬢は頬を染めて、エルランド兄上に抱き締められるようにして幸せそうだ。
踊りながらキスはできない。
でもいい雰囲気にはなったのではないかと僕は思っていた。
会場でキスができるはずもなく、僕はミエト家に帰ってからチャンスを狙っていた。
ミエト家に帰ってから着替えるとロヴィーサ嬢は厨房で晩ご飯の準備を始めている。睡眠玉で捕らえた烏賊を捌いているが、透明で作り物のように美しい。
烏賊の頭は刺身にして、足は天ぷらにするロヴィーサ嬢。刺身は透明で、まだ組織が生きているのか動いているようだ。
それ以外にも茶わん蒸しと焼き魚と蒸し野菜を作ってくれている。
食べながらキスの話題に持って行くわけにはいかない。
烏賊の刺身は甘くて美味しい。天ぷらはぷりぷりして、茶わん蒸しも焼き魚も蒸し野菜もどれも美味しかった。
ご飯をお代わりして食べて、僕はお腹がいっぱいになってしまったので、ケーキまでは少し時間を置いてお茶を飲んで休むことにした。
「ロヴィーサ嬢のご飯が美味しかったから食べ過ぎてしまいました」
「烏賊が新鮮だったからですよ。ダミアーン王太子殿下から頂いた睡眠玉は非常に役に立っています」
「そろそろ全部使いきるのではないですか?」
「ダミアーン王太子殿下にまたいただかなければいけませんね」
話しているのは晩ご飯のことと、ダミアーン伯父上のことで、ムードがない。
僕はムードを作るためにロヴィーサ嬢の手を取った。
「ロヴィーサ嬢、いつも僕のためにありがとうございます」
「エド殿下のためならば、わたくしは何でもできる気がいたします」
「嬉しいです。ロヴィーサ嬢、愛しています」
囁くとロヴィーサ嬢が目を伏せて頬を染める。
これはいい雰囲気なのではないだろうか。
「ロヴィーサ嬢、僕はロヴィーサ嬢と名実ともに婚約者になりたいのです」
「え、エド殿下!?」
「ロヴィーサ嬢、僕の気持ちを分かってくださいますか? どれだけロヴィーサ嬢を想っているか、僕の心臓がどれだけ高鳴っているか、感じますか?」
握ってロヴィーサ嬢の手を僕の胸の中央に持ってくる。抵抗はしないがロヴィーサ嬢の手が震えているのが伝わって来る。
僕の早い鼓動もロヴィーサ嬢の手に伝わっているだろう。
「エド殿下……いけません、結婚までは……」
「ロヴィーサ嬢……お慕いしています」
「エド殿下……」
白い頬に手を添えて顔を近付けると、ロヴィーサ嬢が目を閉じたのが分かった。これはキスまでいけるのではないか。
そのまま唇を重ねようとした瞬間、コホンという咳払いが聞こえた。
「あー……エドヴァルド殿下、席を外しましょうか?」
「爺やー!?」
そうだった。
爺やは常に僕のそばに空気のようにして控えているのだ。
「エド殿下、わたくし、お茶を淹れてきます」
立ち上がったロヴィーサ嬢に縋ろうとしたが、手をすり抜けて逃げられてしまう。
「嘘だろ……」
十六歳の誕生日。
僕はまだまだキスができなかった。
その言葉が僕の胸に刺さっていた。
それはヴィリアム殿が僕に言った言葉だった。
自分の娘のブリット嬢と僕を婚約させようとするヴィリアム殿に、僕にはロヴィーサ嬢がいると答えたときに、ヴィリアム殿が言ったのが、「白い婚約」という単語だった。
――婚約は破棄できるものです。エドヴァルド殿下の年齢ならば、白い婚約でしょう?
――白い婚約?
――この意味も分からないようならば、間違いなく白い婚約ですね。
意味が分からずに聞き返してしまった僕に、ヴィリアム殿は嫌な笑いを浮かべながらそう言い切ったのだ。
本当に意味が分からなかったので、僕は父上とエリアス兄上に白い婚約について聞いてみた。
――ヴィリアム殿は僕に『白い婚約』と言いました。どういう意味ですか?
――エドがまだ子どもだから、ロヴィーサ嬢と名実ともに婚約者になっていないだろうということだよ。
――そ、そういうことかな。
父上とエリアス兄上は僕に「白い婚約」の意味を教えてくれた。
僕はロヴィーサ嬢と名実ともに婚約者になっていない。
そのことはずっと気にしていた。
僕はロヴィーサ嬢とキスがしたかった。
けれどロヴィーサ嬢は恥ずかしがり屋で、簡単にはキスはできない。
ほっぺたにキスをしてもらったことは一度だけあるが、唇にキスをしたことは一度もない。
ロヴィーサ嬢のいつも艶々の唇にキスをしたらどんな感触がするのだろう。
キスをすれば僕は名実ともに婚約者になれる。
そう信じ切っていた。
夏休みも終わりに差し掛かると僕のお誕生日が来る。
僕のお誕生日は毎年王城で祝ってもらっていた。
僕はロヴィーサ嬢の料理しか口にしたくなかったので、ロヴィーサ嬢は王家のテーブルの分の料理は厨房で作ってくれる。
お誕生日会の主賓なので、挨拶などでほとんど口にできないと分かっていてもロヴィーサ嬢のご馳走は楽しみだった。
「ミエト家に帰ってからも、お誕生日のご馳走を作りますからね」
「期待しています」
ロヴィーサ嬢のお誕生日はヴィリアム殿が来たせいで、急にマグロの解体ショーが始まってしまったが、あれも貴族の中ではものすごく好評だったと聞いている。
「ロヴィーサ嬢のお誕生日、私も行きたかったな」
「私も切り立てのマグロを食べたかったよ」
「カマは塩焼きにしても美味しいんだよな」
「ネギトロ丼も絶品だぞ」
「父上、言わないでください。食べたくなるではないですか」
「トロロとマグロを一緒に食べたい」
父上もエリアス兄上もエルランド兄上も、ロヴィーサ嬢のお誕生日会に出席しなかったことを悔やんでいるようだった。父上とエリアス兄上とエルランド兄上でこれなのだから、他の貴族たちの反応も予測できる。
ミエト家主催のパーティーは、今や、招待状を送られるのが非常に喜ばしいことであるような、豪華な料理の出る催しとなっているのだ。
今日のロヴィーサ嬢の料理は、チーズ入りのピロシキという揚げパンのようなものと、天むす、サンドイッチ各種に、ケーキや焼き菓子と、とても豪華なものだった。
当然のようにダミアーン伯父上は王家のテーブルに来ている。毒見の関係もあるし、ダミアーン伯父上は家族のようなものなので、王家のテーブルから料理を取ってもらうのだが、流石僕の伯父上、たっぷりと取り分けている。
「このピロシキという揚げパンはとても美味しいな」
「チーズを入れています」
「スパイスの利いた具に、チーズがよく合っている」
僕に挨拶をするより先に料理を取りに行って、ロヴィーサ嬢を褒めているダミアーン伯父上だが、僕は全然不快ではなかった。それどころか誇らしい気持ちでいっぱいだった。
それだけロヴィーサ嬢の料理が認められているということだ。
「エドヴァルド、お誕生日おめでとう。もう十六歳か。早いものだな」
「ダミアーン伯父上が僕の命を繋いでくださったおかげです」
「ロヴィーサ嬢と出会ってからは私の出番はなくなったがな」
「いいえ、今でも果物を送ってくださってます。モンスター捕獲用の睡眠玉もくださいました。ダミアーン伯父上はずっとずっと僕の大事な伯父上です」
僕が言うとダミアーン伯父上は照れたのか、ピロシキを頬張ってもぐもぐと咀嚼していた。照れ隠しなのだろう。
エリアス兄上が僕を壇上に呼ぶ。
壇上に上がった僕はエリアス兄上とユリウス義兄上に挟まれて立った。
「本日は私の末の弟、エドヴァルドの誕生日に来てくれてありがとう。エドヴァルドは高等学校でも優秀な成績を修め、隣国に短期留学にも招かれた。そんなエドヴァルドを私は誇りに思っている」
「エリアス兄上……いえ、国王陛下、お祝いありがとうございます。私がこうやってこの場に立てているのは、私一人の力ではありません。私を支えてくれる婚約者のロヴィーサ嬢、暖かく私を見守ってくれる父上や兄上や姉上、魔族の国のお祖父様やお祖母様やダミアーン伯父上、そして、祝ってくださる皆さまのおかげです。このことを忘れずに日々感謝の気持ちを持って生きていこうと思います」
僕の挨拶にエリアス兄上がぐしゃぐしゃと僕の髪をかき混ぜる。僕の髪はかなり長くなっているし、右側の横を三つ編みにして、左側でサイドテールにして赤い鳥の髪飾りで纏めているので崩れはしないが、子どものような扱いに顔が赤くなる。
「まだまだ十六歳。たくさんやんちゃなことをして、人生を楽しんでくれた方が私は安心するよ」
「私は大人になりたいのです」
「そう言っている限りは、まだまだ子どもだよ」
笑い合うエリアス兄上と僕に、会場からも笑い声が上がった。
壇上から降りていくと、ロヴィーサ嬢が待っていてくれる。胸から腰までの部分が薄紫、それ以外が白のドレスを着ているロヴィーサ嬢はとても美しい。
「踊ってくださいますか?」
手を差し伸べて願えば、僕の手に手を重ねて目を伏せて頷いてくれる。
ロヴィーサ嬢の手を引いて僕は踊りの輪の中に入った。
エルランド兄上もセシーリア嬢と踊っている。セシーリア嬢は頬を染めて、エルランド兄上に抱き締められるようにして幸せそうだ。
踊りながらキスはできない。
でもいい雰囲気にはなったのではないかと僕は思っていた。
会場でキスができるはずもなく、僕はミエト家に帰ってからチャンスを狙っていた。
ミエト家に帰ってから着替えるとロヴィーサ嬢は厨房で晩ご飯の準備を始めている。睡眠玉で捕らえた烏賊を捌いているが、透明で作り物のように美しい。
烏賊の頭は刺身にして、足は天ぷらにするロヴィーサ嬢。刺身は透明で、まだ組織が生きているのか動いているようだ。
それ以外にも茶わん蒸しと焼き魚と蒸し野菜を作ってくれている。
食べながらキスの話題に持って行くわけにはいかない。
烏賊の刺身は甘くて美味しい。天ぷらはぷりぷりして、茶わん蒸しも焼き魚も蒸し野菜もどれも美味しかった。
ご飯をお代わりして食べて、僕はお腹がいっぱいになってしまったので、ケーキまでは少し時間を置いてお茶を飲んで休むことにした。
「ロヴィーサ嬢のご飯が美味しかったから食べ過ぎてしまいました」
「烏賊が新鮮だったからですよ。ダミアーン王太子殿下から頂いた睡眠玉は非常に役に立っています」
「そろそろ全部使いきるのではないですか?」
「ダミアーン王太子殿下にまたいただかなければいけませんね」
話しているのは晩ご飯のことと、ダミアーン伯父上のことで、ムードがない。
僕はムードを作るためにロヴィーサ嬢の手を取った。
「ロヴィーサ嬢、いつも僕のためにありがとうございます」
「エド殿下のためならば、わたくしは何でもできる気がいたします」
「嬉しいです。ロヴィーサ嬢、愛しています」
囁くとロヴィーサ嬢が目を伏せて頬を染める。
これはいい雰囲気なのではないだろうか。
「ロヴィーサ嬢、僕はロヴィーサ嬢と名実ともに婚約者になりたいのです」
「え、エド殿下!?」
「ロヴィーサ嬢、僕の気持ちを分かってくださいますか? どれだけロヴィーサ嬢を想っているか、僕の心臓がどれだけ高鳴っているか、感じますか?」
握ってロヴィーサ嬢の手を僕の胸の中央に持ってくる。抵抗はしないがロヴィーサ嬢の手が震えているのが伝わって来る。
僕の早い鼓動もロヴィーサ嬢の手に伝わっているだろう。
「エド殿下……いけません、結婚までは……」
「ロヴィーサ嬢……お慕いしています」
「エド殿下……」
白い頬に手を添えて顔を近付けると、ロヴィーサ嬢が目を閉じたのが分かった。これはキスまでいけるのではないか。
そのまま唇を重ねようとした瞬間、コホンという咳払いが聞こえた。
「あー……エドヴァルド殿下、席を外しましょうか?」
「爺やー!?」
そうだった。
爺やは常に僕のそばに空気のようにして控えているのだ。
「エド殿下、わたくし、お茶を淹れてきます」
立ち上がったロヴィーサ嬢に縋ろうとしたが、手をすり抜けて逃げられてしまう。
「嘘だろ……」
十六歳の誕生日。
僕はまだまだキスができなかった。
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