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最終章 奏歌くんとの結婚
10.奏歌くんのキャメルのスーツ
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秋公演が終わってから私は奏歌くんと同じ日に休めるようになっていた。マダム・ローズのお店にも奏歌くんと一緒に行く。奏歌くんの成長はもうほとんど止まっているはずだが、まだ18歳なので胸の厚みや肩幅は変わってくるかもしれない。
オーダーメイドでスーツを作るのならばできるだけ長く奏歌くんに着て欲しかった。
「サイズが変わったら仕立て直しができるように作れますか?」
「ダーツを入れた部分を切り取らずにおきましょうね。そうすれば、調整ができるはずですから」
「背ももう少しは伸びるかもしれないんです」
「丈も調節できるように縫いこんでおきましょう」
私と奏歌くんの要望をマダム・ローズは慣れた様子で聞いてくれた。
奏歌くんが試着室に入って採寸をしてもらう。試着室から出てきた奏歌くんは、いつもの襟付きのシャツにジーンズ姿の年相応の男の子だった。スーツを着たらどれだけ大人っぽくかっこよくなるのだろう。
奏歌くんはそのままでもかっこよくて素敵なのに、スーツを着たらもっと素敵になるのではないかと私の胸は高鳴っていた。
記事を選ぶ段階になって、見本の生地を見せてもらって私と奏歌くんは大いに悩む。
「奏歌くんには水色のイメージが強いんだけどな」
「水色のスーツはちょっと男性には派手かな。どこでも着られるようにするんだったら、もうちょっと暗い色味がいいかもしれないね」
「私はピーコックグリーンでいいのに?」
「海瑠さんは女性だし、何色でも似合うからね」
男性のスーツには決まりがあるようだ。水色でも素敵なのに奏歌くんはもっと暗い色味を選べという。奏歌くんの明るいハニーブラウンの髪と目に、水色のスーツはきっと似合うのに残念だ。
生地を見ていると、私は一つの生地を手に取って動きを止めた。
派手ではない優しい色だが明るくて、奏歌くんにぴったりに思える。それはキャメルと書かれた色の生地だった。
「これはどうかな?」
「明るいけど派手じゃない。いいかもしれないね」
私が見せるキャメルの生地に奏歌くんが賛成してくれる。水色のスーツは無理だったが、キャメルの優しい暖かな明るさが奏歌くんにぴったりで、私はその生地がすっかり気に入ってしまった。
「裏地は濃い目のブラウンで合わせましょうか。奏歌さんの髪の色とも目の色ともとてもよくお似合いだと思いますよ」
マダム・ローズも背中を押してくれた。
「よろしくお願いします」
「クリスマス前に取りに来ます」
私と奏歌くんでマダム・ローズにお願いして、キャメルのスーツを仕立ててもらうことになった。私のピーコックグリーンのスーツとキャメルのスーツで合わせても良さそうなので嬉しくなる。
「奏歌くんにいいクリスマスプレゼントができるわ」
「クリスマスプレゼントになっちゃったんだ。進級祝いももらってるし、僕、もらいすぎじゃない?」
「そんなことないよ。奏歌くんに私は毎日でもプレゼントしたいんだからね」
奏歌くんと過ごす一日一日が私にとっては記念日のようなものだ。そのことを言うと奏歌くんが照れているのが分かる。節約するように奏歌くんは私に言うが、それは無駄なお金を使わないように私に節制させているだけで、私が本当に欲しいものや必要なものに関しては厳しく言ったりしない。
あくまでも私のお金が無駄に使われないことを考えているだけで、奏歌くんは闇雲に私がお金を使うことに反対しているわけではなかった。
「海瑠さんからもらったイヤホンも、大事に使ってるよ」
進級祝いに私がプレゼントしたインナーイヤーのワイヤレスイヤホンは、使っているところを見たことがないが、奏歌くんは大事にしてくれているらしい。
「私の前で使ったことないよね?」
「一緒にいるときは海瑠さんと話してるから使う必要がないんだ。一人でいるときに海瑠さんの英語や国語の朗読のCDを聞いたり、海瑠さんの歌を聞いたりしているよ」
使用方法も私に関することだった。一人でいるときも奏歌くんはイヤホンで私の朗読CDや歌を聞いてくれていて、ずっと私のことを考えていてくれているというのは純粋に嬉しい。私の目の前でそれをされると自分が蔑ろにされているようで私は拗ねてしまうのだが、奏歌くんは絶対にそんなことはしなかった。だから奏歌くんがイヤホンをつけているところを私は見たことがなかったのだ。
そんな細かな配慮までできる奏歌くんに私は惚れ直してしまう。
タクシーで部屋まで帰ると、奏歌くんは晩ご飯の準備をしていた。キッチンに並んで私も手伝う。
麻婆茄子と油淋鶏とワカメとキノコのスープと炒飯の晩ご飯に、私は小躍りした。
「久しぶりの中華ね。とっても美味しそう」
「中華は難しいからね。なかなか作らないんだ。たまにはいいかなと思って」
少しだけ辛い麻婆茄子と、とろみの付いたワカメとキノコのスープが体を温めてくれる。油淋鶏はネギソースが香ばしくて、炒飯はぱらぱらに炒められている。
「すごく美味しいよ」
「良かった。たまに酷い失敗をすることがあるんだ」
料理を失敗することがあるという奏歌くんの言葉で、私が思いだしたのは海香の焼きそばとオムレツだった。焼きそばは麺がきちんと湯がけていなくてバキバキに硬くて、ソースは水っぽくてびちゃびちゃで、具が薄まったソースの上に浮いていた。オムレツは外側は焦げていて苦く、中は火が通っていなくてどろどろで、卵の殻が入っていてじゃりじゃりとしていた。
その他にも海香に食べさせてもらったものは酷かったので、記憶から自分で消しているところがある。それに比べたら、奏歌くんが言う失敗は大したことがないような気がしていた。
晩ご飯を食べ終えて食器の片付けも終わると、奏歌くんが私をソファに座らせて問いかける。
「海瑠さん、血を吸ってもいい?」
「いいわよ」
いつものことなのに必ず確認してから血を吸う奏歌くんはとても紳士的だ。首筋に噛み付かれて甘い陶酔感に私はうっとりと目を閉じた。血を吸われて気持ちよくなってしまうのは、吸血鬼の伴侶としては仕方のないことなのだろう。
奏歌くんの身体に抱き付くようにすると、奏歌くんも私の身体を抱き締める。
血を吸い終わってもしばらく奏歌くんと私は抱き合っていた。
このまま奏歌くんの手が私に触れて来て、私の服を脱がそうとしたら私はどうすればいいのだろう。体重は分からないが私は確実に奏歌くんよりも背が高くて体格がいい。男役をやるくらいだから女性にしては肩幅もある方だ。代わりに胸がほぼないのは男役をやるのには便利だったが、奏歌くんにいざ見せるとなると恥ずかしくなってしまう。
服を脱ぐときには自分で脱いだ方がいいのだろうか。
奏歌くんは私がいそいそと服を脱ぎ始めたら、自分がしたかったとか思わないだろうか。
ぐるぐると考えている間に、奏歌くんはそっと私から離れていた。
「お休みなさい、海瑠さん」
「あ、奏歌くん……」
「どうかした?」
完全に抱かれる気でいた私は肩透かしを食らったような気分だった。ドキドキしながらも、劇団の規則があるから奏歌くんは私を守るために我慢してくれているのだと思うことにする。
立ち上がって私は奏歌くんを玄関まで送って行った。
靴を履いてから奏歌くんが背伸びをして私の頬に手を添える。
今度こそ口付けだ。
目を閉じると、奏歌くんは触れるだけの口付けをしてきた。
「明日も来るからね、海瑠さん」
「うん、私の方が帰りが遅くなると思うけど、待っててね」
「海瑠さんのこと、この部屋で待ってる」
これから奏歌くんは美歌さんのいないたった一人の自分の家に帰る。一人きりで寂しいに決まっているのに、奏歌くんは美歌さんの幸せのために、美歌さんをさくらの元に行くように促していた。
私もこれからたった一人の夜を過ごす。
シャワーを浴びてベッドに入ると、抱き締めた奏歌くんの骨ばった体付きを思い出して、私はなかなか眠りにつけなかった。
オーダーメイドでスーツを作るのならばできるだけ長く奏歌くんに着て欲しかった。
「サイズが変わったら仕立て直しができるように作れますか?」
「ダーツを入れた部分を切り取らずにおきましょうね。そうすれば、調整ができるはずですから」
「背ももう少しは伸びるかもしれないんです」
「丈も調節できるように縫いこんでおきましょう」
私と奏歌くんの要望をマダム・ローズは慣れた様子で聞いてくれた。
奏歌くんが試着室に入って採寸をしてもらう。試着室から出てきた奏歌くんは、いつもの襟付きのシャツにジーンズ姿の年相応の男の子だった。スーツを着たらどれだけ大人っぽくかっこよくなるのだろう。
奏歌くんはそのままでもかっこよくて素敵なのに、スーツを着たらもっと素敵になるのではないかと私の胸は高鳴っていた。
記事を選ぶ段階になって、見本の生地を見せてもらって私と奏歌くんは大いに悩む。
「奏歌くんには水色のイメージが強いんだけどな」
「水色のスーツはちょっと男性には派手かな。どこでも着られるようにするんだったら、もうちょっと暗い色味がいいかもしれないね」
「私はピーコックグリーンでいいのに?」
「海瑠さんは女性だし、何色でも似合うからね」
男性のスーツには決まりがあるようだ。水色でも素敵なのに奏歌くんはもっと暗い色味を選べという。奏歌くんの明るいハニーブラウンの髪と目に、水色のスーツはきっと似合うのに残念だ。
生地を見ていると、私は一つの生地を手に取って動きを止めた。
派手ではない優しい色だが明るくて、奏歌くんにぴったりに思える。それはキャメルと書かれた色の生地だった。
「これはどうかな?」
「明るいけど派手じゃない。いいかもしれないね」
私が見せるキャメルの生地に奏歌くんが賛成してくれる。水色のスーツは無理だったが、キャメルの優しい暖かな明るさが奏歌くんにぴったりで、私はその生地がすっかり気に入ってしまった。
「裏地は濃い目のブラウンで合わせましょうか。奏歌さんの髪の色とも目の色ともとてもよくお似合いだと思いますよ」
マダム・ローズも背中を押してくれた。
「よろしくお願いします」
「クリスマス前に取りに来ます」
私と奏歌くんでマダム・ローズにお願いして、キャメルのスーツを仕立ててもらうことになった。私のピーコックグリーンのスーツとキャメルのスーツで合わせても良さそうなので嬉しくなる。
「奏歌くんにいいクリスマスプレゼントができるわ」
「クリスマスプレゼントになっちゃったんだ。進級祝いももらってるし、僕、もらいすぎじゃない?」
「そんなことないよ。奏歌くんに私は毎日でもプレゼントしたいんだからね」
奏歌くんと過ごす一日一日が私にとっては記念日のようなものだ。そのことを言うと奏歌くんが照れているのが分かる。節約するように奏歌くんは私に言うが、それは無駄なお金を使わないように私に節制させているだけで、私が本当に欲しいものや必要なものに関しては厳しく言ったりしない。
あくまでも私のお金が無駄に使われないことを考えているだけで、奏歌くんは闇雲に私がお金を使うことに反対しているわけではなかった。
「海瑠さんからもらったイヤホンも、大事に使ってるよ」
進級祝いに私がプレゼントしたインナーイヤーのワイヤレスイヤホンは、使っているところを見たことがないが、奏歌くんは大事にしてくれているらしい。
「私の前で使ったことないよね?」
「一緒にいるときは海瑠さんと話してるから使う必要がないんだ。一人でいるときに海瑠さんの英語や国語の朗読のCDを聞いたり、海瑠さんの歌を聞いたりしているよ」
使用方法も私に関することだった。一人でいるときも奏歌くんはイヤホンで私の朗読CDや歌を聞いてくれていて、ずっと私のことを考えていてくれているというのは純粋に嬉しい。私の目の前でそれをされると自分が蔑ろにされているようで私は拗ねてしまうのだが、奏歌くんは絶対にそんなことはしなかった。だから奏歌くんがイヤホンをつけているところを私は見たことがなかったのだ。
そんな細かな配慮までできる奏歌くんに私は惚れ直してしまう。
タクシーで部屋まで帰ると、奏歌くんは晩ご飯の準備をしていた。キッチンに並んで私も手伝う。
麻婆茄子と油淋鶏とワカメとキノコのスープと炒飯の晩ご飯に、私は小躍りした。
「久しぶりの中華ね。とっても美味しそう」
「中華は難しいからね。なかなか作らないんだ。たまにはいいかなと思って」
少しだけ辛い麻婆茄子と、とろみの付いたワカメとキノコのスープが体を温めてくれる。油淋鶏はネギソースが香ばしくて、炒飯はぱらぱらに炒められている。
「すごく美味しいよ」
「良かった。たまに酷い失敗をすることがあるんだ」
料理を失敗することがあるという奏歌くんの言葉で、私が思いだしたのは海香の焼きそばとオムレツだった。焼きそばは麺がきちんと湯がけていなくてバキバキに硬くて、ソースは水っぽくてびちゃびちゃで、具が薄まったソースの上に浮いていた。オムレツは外側は焦げていて苦く、中は火が通っていなくてどろどろで、卵の殻が入っていてじゃりじゃりとしていた。
その他にも海香に食べさせてもらったものは酷かったので、記憶から自分で消しているところがある。それに比べたら、奏歌くんが言う失敗は大したことがないような気がしていた。
晩ご飯を食べ終えて食器の片付けも終わると、奏歌くんが私をソファに座らせて問いかける。
「海瑠さん、血を吸ってもいい?」
「いいわよ」
いつものことなのに必ず確認してから血を吸う奏歌くんはとても紳士的だ。首筋に噛み付かれて甘い陶酔感に私はうっとりと目を閉じた。血を吸われて気持ちよくなってしまうのは、吸血鬼の伴侶としては仕方のないことなのだろう。
奏歌くんの身体に抱き付くようにすると、奏歌くんも私の身体を抱き締める。
血を吸い終わってもしばらく奏歌くんと私は抱き合っていた。
このまま奏歌くんの手が私に触れて来て、私の服を脱がそうとしたら私はどうすればいいのだろう。体重は分からないが私は確実に奏歌くんよりも背が高くて体格がいい。男役をやるくらいだから女性にしては肩幅もある方だ。代わりに胸がほぼないのは男役をやるのには便利だったが、奏歌くんにいざ見せるとなると恥ずかしくなってしまう。
服を脱ぐときには自分で脱いだ方がいいのだろうか。
奏歌くんは私がいそいそと服を脱ぎ始めたら、自分がしたかったとか思わないだろうか。
ぐるぐると考えている間に、奏歌くんはそっと私から離れていた。
「お休みなさい、海瑠さん」
「あ、奏歌くん……」
「どうかした?」
完全に抱かれる気でいた私は肩透かしを食らったような気分だった。ドキドキしながらも、劇団の規則があるから奏歌くんは私を守るために我慢してくれているのだと思うことにする。
立ち上がって私は奏歌くんを玄関まで送って行った。
靴を履いてから奏歌くんが背伸びをして私の頬に手を添える。
今度こそ口付けだ。
目を閉じると、奏歌くんは触れるだけの口付けをしてきた。
「明日も来るからね、海瑠さん」
「うん、私の方が帰りが遅くなると思うけど、待っててね」
「海瑠さんのこと、この部屋で待ってる」
これから奏歌くんは美歌さんのいないたった一人の自分の家に帰る。一人きりで寂しいに決まっているのに、奏歌くんは美歌さんの幸せのために、美歌さんをさくらの元に行くように促していた。
私もこれからたった一人の夜を過ごす。
シャワーを浴びてベッドに入ると、抱き締めた奏歌くんの骨ばった体付きを思い出して、私はなかなか眠りにつけなかった。
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