抱きたい美女に抱かれる現実

秋月真鳥

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第三部 七海とのぶくん (七海編)

4.運命の導きのままに (信久視点)

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 七海の16歳の誕生日に、信久と七海は婚姻届けを書いて、役所に提出した。結婚式は七海が高校を卒業してから、鷹野と要と合同で行うつもりだった。
 鷹野と要一家との二世帯住宅も出来上がっていて、まだ使っていない二人の寝室にお互いに意識してしまう。
 春休み期間中に七海の誕生日が来るので、明日は信久も休みにしていて準備も覚悟もできているはずだった。

「のぶくん、ななのこと、嫌いにならないでね?」
「ななちゃんこそ、俺が乱れても、かっこ悪いとか、気持ち悪いとか思わないで欲しい」

 恥ずかしい姿も、七海にならば見せても良い。
 覚悟はしていても、オメガの快楽に弱い姿を七海に見せるのには、躊躇いがあった。かっこよくて大好きだと言ってくれる七海が、信久が抱かれる日を待つように、発情期のたびに我慢ができずに後ろに触れていたことを知ったら、軽蔑されるだろうか。
 そんな信久の袖を引いて、七海は履いていたプリーツスカートを捲って、その中を見せてくれた。

「のぶくん……これ……」
「え?」

 生地の少ない女性用の下着に納まりきれないサイズのそこを、信久は凝視してしまう。アルファ女性のモノは凄いと聞いていたが、体格のいい信久のモノよりもよほど大きく、期待と恐怖に喉が鳴る。

「お、おかしい? 何か変?」
「い、いや……その、大きいから……」
「大きいとダメなの!? のぶくん、抱けない!?」
「ダメじゃない……けど、は、入るのかなぁ」

 自分の指で触って慰めていたが、信久のごつい指三本よりも太そうなそれに狼狽えてしまえば、七海が薄茶色の目に涙をためる。七海の方が年下で、信久がリードしなければいけないのだ。
 抱かれるのは信久だが、信久はどこまでも七海をお姫様のように扱いたかった。大事な大事なたった一人の運命の相手。

「お風呂に入ろうか」
「うん、のぶくん、一緒に」

 手を取って抱き寄せると、涙を拭いて、七海が脱衣所に入る。服を脱いでしまうと、華奢な白い体は、凹凸が少なく、胸もほとんど膨らみがなくて、腰もほっそりとしている。この細い腰についているモノの大きさが、あまりにギャップがありすぎて、酷く卑猥に見えてしまうが、当の七海は信久の方をじっと見つめていた。
 欲望を込めた視線に、信久も下着を脱いで全部曝け出す。信久の股間を凝視した七海は、自分のモノの大きさに気付いたようだった。
 見る見るうちに薄茶色の目に涙の膜が張る。

「は、入らなかったら、ど、どうすれば……」
「入る、はずだ」
「でもぉ、のぶくんが痛いのも、苦しいのも、やだよぉ」
「入れてみせる」

 こうなったら意地だ。
 可愛い七海を泣かせるくらいなら、信久が少しばかり苦しい思いをしてもいい。愛する七海と体を交わせるだから、その前に背徳感に苛まれながら七海に生えたのを妄想して後ろに触っていたのも、役に立つだろう。
 先に七海をバスルームから出して、信久はシャワーを後孔に当てた。熱い飛沫に刺激されて、そこが濡れて来るのが分かる。目を閉じて、七海の姿を思い出しながら、指を差し込めば、何度も触れたそこはすぐに柔らかくなってくる。
 シャワーで洗いながら、拡げていると、息が上がって来る。

「あ……なな、ちゃん……」

 入らなくて上手くいかなければ、七海は泣いてしまう。泣き顔も可愛いのだが、どうせならば快楽に溺れてくれる方が良い。
 ぐちゅぐちゅと音を立てて指を増やして、できる限り解してからバスローブを着て、バスルームから出ると、七海がソファでちんまりと座って待っていてくれた。
 温まって赤くなっている頬も、潤んだ瞳も、信久の欲望を掻き立てる。

「の、のぶくん、発情期!?」
「かもしれない……ななちゃんが、凄い目で見て来るから」

 求める視線に、信久も高まって来ていた。ベッドルームまで七海の手を取って導き、七海の身体を恭しくベッドの上に寝かせる。口付けていると、七海が目を閉じて、潤んでいた瞳から涙が一粒、零れ落ちた。
 幼さの残るこの可憐な少女を、今日、自分のものにしてしまう。
 オメガとしての欲がぞくぞくと信久の胎に集まって来る。バスローブを乱して、逞しい中心に手をかけると、その大きさに一瞬怖気づいたが、こちらが主導権を持った方が挿入はしやすいと聞いたことがあったので、扱き上げて、その硬さを確かめる。

「あぁっ! のぶくん!?」
「ななちゃん、みないで……」
「あっ!?」

 解した後孔にそそり立つ七海の中心を宛がうと、そこは吸い付くように七海を求めていることが分かる。初めの太い部分はかなり苦しかったが、そこを抜けると、スムーズに飲み込める。
 途中まで飲み込んで、息を整えていると、七海が細い腰を跳ね上げた。
 急に突き上げられて、信久は七海を潰さないように、がくがくと震える脚で必死に踏ん張る。

「だめっ! あぁっ! ななちゃん、まって」
「やぁっ! むりぃ!」

 尻を揉まれながら、突き上げられて、七海を潰さないのが精いっぱいで、信久の身体は発情期のオメガらしく、快楽に溺れて行った。
 中で放たれて、次は脚を抱えられて正常位で責められて、最後には雌猫のように尻だけを上げて後ろからがつがつと責め立てられる。

「ひぁっ! あぁ!? なな、ちゃ、ひんっ!」
「きもちいい、とまらないよぉ!」
「あぁぁっ!」

 発情期に反応するアルファの欲望は留まるところを知らない。
 たっぷりと注ぎ込まれて、信久は甘く啼いていた。

「あぁっ!? だめぇ! デキちゃうぅ!」
「のぶくん、すき! ななの、あかちゃん、うんで」
「ひぁっ!」

 白濁の量がアルファは非常に多いというが、逆流して泡立って太ももを伝うまで注がれて、信久は足腰ががくがくになっていた。
 二人で支え合ってシャワーを浴びて、ベッドのシーツも替えて、パジャマに着替えてベッドに倒れ込むと、七海が信久の胸に手を当てて、ふにふにと揉んでくる。何度も達した後の刺激が、胎を疼かせる。

「俺、恥ずかしい……」
「ううん、のぶくんは、変わらずかっこよかったの」
「気持ち悪くなかった?」
「どっちかというと、気持ちよかったの」

 乱れてしまったことを恥じていると、七海は幸せそうに頬を染めていた。つられて信久も真っ赤になる。
 高校を卒業した春休みの七海の誕生日に、信久と七海、鷹野と要で合同結婚式を開いた。
 参列してくれた両親は泣いて喜び、綺麗な服を着せられた梓、隼斗、柊の三人は鷹野と要に手を引かれて嬉しそうだった。
 この日に、七海と信久からは大事な発表があった。二人でよく話し合って決めたことだった。

「のぶくん、赤ちゃんができたの」
「これからは、アルファだと偽らないで、オメガとして、アルファに負けない実力を持つパティシエと認められるように頑張って行こうと思うんだ」
「ななも、大学で経理の勉強をして、お店が儲かるようにお手伝いするの!」

 優秀な技術を持ったパティシエのオメガと、優秀な頭脳を持った経理のアルファ。二人揃えば怖いものはない気がしてくる。

「七海ちゃん、幸せにね」
「ママのおかげで、幸せになれたの」

 涙ながらに抱き締め合う鷹野と七海は、突然現れた例の母親よりも、余程親子に見えた。

「赤ちゃん、なな、いっぱい頑張るから、頼ってね、のぶくん」
「僕もなんでもお手伝いするよ」
「無理しすぎないでね」

 妊夫になった信久を七海も、鷹野も、要も大事にしてくれる。育児の先輩として、七海の保護者として、二人とも頼りになる存在だった。
 初めて出会ってから15年。
 七海はやはり運命だったようで、うなじを噛むまでもなく、信久のフェロモンは最初に噛まれた日から、七海以外に漏れることはなかった。
 アルファとオメガならば憧れる運命の番。
 そうでなくても、二人は思い合って結ばれたのだが、これが運命だと実感すると、ますますお互いが愛おしくなる。
 オメガのパティシエとして高く評価されながら、信久は家庭も仕事もしっかりとこなしていくのだった。
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