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第三部 七海とのぶくん (七海編)
7.初夏の争い
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学校が終わったら、一度家に帰って信久の洋菓子店に顔を出す。それが、七海の日課になっていた。受験の時期も、アルファ枠は申請しなかったが、七海は非常に優秀だったので、普通の推薦枠がもらえて、高校も早く決まっていた。
中学を卒業する三月、七海の誕生日には、信久は腕を振るって大理石のようにつるつるにコーティングされたマーブル模様のケーキを作ってくれた。その美しさに七海は目を奪われた。
「凄いの!」
「ななちゃん、これ、たべられるの?」
「ほーせきじゃないの?」
「おいち?」
梓も隼斗も末っ子の柊も興味津々だった。
切り分けるとふわふわのスポンジとムースが姿を現して、外側のホワイトチョコとゼラチンを混ぜたソースの割りに、中身は蕩けるようにあっさりとしていて、たくさん食べられてしまう。
あまりの美味しさに、柊は顔中で食べるし、梓も隼斗もお代わりを欲しがって、小日向家は争奪戦になってしまった。
「もう! のぶくんが、ななに作ってくれたんだからね!」
まだまだ中学三年生でようやく15歳の七海も、他のものならば可愛い妹や弟たちに譲れるのだが、こればかりは譲れずに争奪戦に参戦して行った。結局、信久が「俺はいつでも食べられるし、みんなに食べてもらった方が嬉しいし」と遠慮して、鷹野と要も遠慮して、なんとか全員が満足するだけのケーキを食べられた。
食べ終わった後で、七海は崩れ落ちる。
「せっかくの綺麗なケーキ、写真に写すのを忘れたの……」
「来年はもっと豪華なのを作ってやるよ」
「それって、ウエディングケーキ?」
来年の三月には、七海は16歳になる。高校で結婚というのは、アルファとオメガの間では珍しくもないし、学校も禁止していなかった。優秀な血統を残すために、この世界の理は定められている。
「ななちゃん、来年、俺、実家を出ようと思うから、一緒に住む場所を探さないか?」
「喜んで! のぶくん!」
飛び付いた信久の身体は分厚くて、力強い。
筋肉のついたその体にうっとりとしながら、七海は来年を夢見ていた。
高校生になった初夏に、その人物は訪れた。
薄茶色の髪に薄茶色の目の要に少し雰囲気の似た、小柄な女性。高校から帰って荷物を置いて、信久の洋菓子店に行くつもりだった七海が玄関から出て来るのを、待ち伏せされたようなのだ。
ドアを開いた瞬間、七海の腕を掴んで、中に引きずり込む。
小柄な七海は、驚いてしまって抵抗することができなかった。
優しい鷹野も、強い要も、体格のいい信久も、七海にこんな乱暴なことをしたことはない。生まれてから初めて七海を乱暴に扱ったその女性は、七海を床に投げ捨てるようにして、迫って来た。
「もう16歳なんでしょう? 隠したって分かるわ、私はオメガだもの。あなた、アルファね?」
「誰、おばさん?」
「おばさんじゃない、お母さんよ」
母親についての記憶が、七海には全くない。それというのも、産んで病院から退院したら、実の母親は七海を不倫相手の父親に押し付けて、さっさと消えたからだ。
「ママじゃない! ママはママだもん!」
「鷹野のことね。勝手に結婚して、全然言うことを聞かない。あなたはそんなことないでしょう? 良い子よね?」
ぶわりと誘うような甘い匂いがして、七海は全身に鳥肌が立った。自分のフェロモンを使ってアルファを思い通りにしようとするオメガがいることは知っていたが、自分の娘にそんな性的なことを仕掛ける母親がどこにいるのだろう。
初めて会った日から、オムツを替えてもらって、一緒にお風呂に入って、一緒に寝て、自分の中心が生えたときにも対処してくれた鷹野は、完全に母親の範疇を出ず、七海に性的な目を向けるはずがなかった。だからこそ、安心して鷹野にはなんでも話せたのだが、目の前にいる「実の母親」という生き物が、七海には全く信用できない。
「高校一年生ってことは、もう16歳よね。結婚できる年なんだから、私たちが決めたオメガと結婚するわよね?」
「私、16歳じゃないよ。年も、産まれた月も覚えてないんだね。あなたなんか、母親じゃない!」
「煩い! すぐに16歳になるんじゃない!」
ヒステリックに叫んだ母親から頬を叩かれて、じんと七海の頬が熱を持つ。要と鷹野は仕事で、梓は学校の学童保育、隼斗と柊は保育園なので、七海を助けてくれるひとは誰もいないが、守らなければいけないひともいなくて、半分安堵する。
「出て行って! 私のママはもういるもん!」
「一緒に来るのよ!」
「嫌だ! 放して!」
腕をとられて引っ張り合っていると、玄関のドアが開いた。そこから見えたのは信久の立派な体だった。
「ななちゃん、うちに来ないから、電話したけど出なくて、心配で来てみれば」
「あなた、誰?」
「相良信久、七海ちゃんの婚約者です」
「あぁ、パティシエの……アルファじゃないの。あのね、アルファの女性は妊娠出産率が低いし、アルファ同士では相性が悪いの。別れてくれる?」
「は? あなた、誰なんですか?」
「七海の母です。幾ら欲しいの?」
札束で頬を殴るようなことをしようとする彼女に、七海はかぁっと頭に血が上るのを感じた。「パティシエ王子」として有名な信久は、アルファということになっている。七海の匂いを確りと付けているから、母親にもオメガということが分からないのだろう。
「こんな細くて小さな体で、子どもが産めるわけない。あなたは、アルファとしての責任を果たすのよ」
「ななは……私は……」
信久と結婚したい。
今まで放っておいていきなり現れたような母親に、邪魔されたくない。
けれど、信久が七海を抱きたくて、七海に赤ん坊を産んで欲しいのならば、確かにアルファ女性として七海は不利だった。
涙を滲ませた七海に、信久が凛と顔を上げた。
「俺はオメガです! ななちゃんの赤ちゃんは、俺が産む」
「のぶくん!?」
「オメガ、なの!? オメガでもダメに決まってるじゃない! 七海は私が決めた相手と結婚するのよ!」
ヒステリックに叫ぶ母親に、七海は素早く玄関に置いてある防犯用の要の木刀を手に取った。がんっと音を立てて母親の顔の横に突き立てると、母親の顔色が青くなる。ずるずると座り込んだところで、身体の横の床にもどんっと突き立てた。
「のぶくんは、ななが守るの! ななはアルファだもん!」
悲鳴を上げて逃げていく母親に、木刀を持った手が震えて、七海は床に座り込んでしまう。指一本一本を引き剥がすようにして、信久が七海の手から木刀を外してくれた。
「ななちゃん……こんな俺だけど……」
「嬉しい……のぶくん、かっこよかったの」
抱き締められて七海の目からぼろぼろと涙が零れる。
「場を収めるために言ったつもりはないんだ。本当は、こうするのが一番良いって分かってたんだけど、俺は、勇気がなくて」
「ううん、凄く勇気があって、かっこよかったの」
「自分がななちゃんに抱かれたら、ななちゃんは俺のこと、幻滅しないかと……」
「しないの。大好き」
屈んでもらって口付けをすると、ぶわりと信久のフェロモンが香って来る。このままだと生えかねないので、七海は一度離れて、顔を洗って、信久のせい洋菓子店に向かった。
母屋の方に入れてくれて、信久が新作のケーキと紅茶を出してくれる。
「なな、お料理を覚えるね」
「俺、料理もできるよ?」
「のぶくんばっかりにさせられないの」
来年の三月から住む新居を信久が探している件に関しては、鷹野も要も話は聞いていた。その日、信久が用心のために七海を送り届けて、七海の母親が来たことを話すと、鷹野は苦い表情をしていた。
「本当に無茶苦茶なひとなんだから……」
「ななちゃんが助けてくれました」
「助けてくれたのは、のぶくんだよ!」
お互いにお互いを庇ったことを伝えると、鷹野の表情も緩む。
「子どもも増えて、この部屋も手狭になったし、要ちゃんと考えてたことがあったんだ」
「ななちゃん、結婚しても学生さんでしょ? 家を建てて、二世帯住宅にしない?」
一階が要と鷹野一家の部屋で、二階が共同スペースで、三階が信久と七海一家の部屋にする。キッチンもお風呂も別で、三階には直接階段で玄関が付いて上がれるように設計してもらう。
もちろん、困ったときにはいつでも合流できるように二階には出入り自由にするという計画に、信久と七海は顔を見合わせた。
16歳でいきなり家を出るのは不安もあったし、大家族で暮らしていたので寂しくもある。
「いいかな、のぶくん?」
「良いんじゃないかな」
二世帯住宅の話に、二人は「よろしくお願いします」と頭を下げた。
中学を卒業する三月、七海の誕生日には、信久は腕を振るって大理石のようにつるつるにコーティングされたマーブル模様のケーキを作ってくれた。その美しさに七海は目を奪われた。
「凄いの!」
「ななちゃん、これ、たべられるの?」
「ほーせきじゃないの?」
「おいち?」
梓も隼斗も末っ子の柊も興味津々だった。
切り分けるとふわふわのスポンジとムースが姿を現して、外側のホワイトチョコとゼラチンを混ぜたソースの割りに、中身は蕩けるようにあっさりとしていて、たくさん食べられてしまう。
あまりの美味しさに、柊は顔中で食べるし、梓も隼斗もお代わりを欲しがって、小日向家は争奪戦になってしまった。
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まだまだ中学三年生でようやく15歳の七海も、他のものならば可愛い妹や弟たちに譲れるのだが、こればかりは譲れずに争奪戦に参戦して行った。結局、信久が「俺はいつでも食べられるし、みんなに食べてもらった方が嬉しいし」と遠慮して、鷹野と要も遠慮して、なんとか全員が満足するだけのケーキを食べられた。
食べ終わった後で、七海は崩れ落ちる。
「せっかくの綺麗なケーキ、写真に写すのを忘れたの……」
「来年はもっと豪華なのを作ってやるよ」
「それって、ウエディングケーキ?」
来年の三月には、七海は16歳になる。高校で結婚というのは、アルファとオメガの間では珍しくもないし、学校も禁止していなかった。優秀な血統を残すために、この世界の理は定められている。
「ななちゃん、来年、俺、実家を出ようと思うから、一緒に住む場所を探さないか?」
「喜んで! のぶくん!」
飛び付いた信久の身体は分厚くて、力強い。
筋肉のついたその体にうっとりとしながら、七海は来年を夢見ていた。
高校生になった初夏に、その人物は訪れた。
薄茶色の髪に薄茶色の目の要に少し雰囲気の似た、小柄な女性。高校から帰って荷物を置いて、信久の洋菓子店に行くつもりだった七海が玄関から出て来るのを、待ち伏せされたようなのだ。
ドアを開いた瞬間、七海の腕を掴んで、中に引きずり込む。
小柄な七海は、驚いてしまって抵抗することができなかった。
優しい鷹野も、強い要も、体格のいい信久も、七海にこんな乱暴なことをしたことはない。生まれてから初めて七海を乱暴に扱ったその女性は、七海を床に投げ捨てるようにして、迫って来た。
「もう16歳なんでしょう? 隠したって分かるわ、私はオメガだもの。あなた、アルファね?」
「誰、おばさん?」
「おばさんじゃない、お母さんよ」
母親についての記憶が、七海には全くない。それというのも、産んで病院から退院したら、実の母親は七海を不倫相手の父親に押し付けて、さっさと消えたからだ。
「ママじゃない! ママはママだもん!」
「鷹野のことね。勝手に結婚して、全然言うことを聞かない。あなたはそんなことないでしょう? 良い子よね?」
ぶわりと誘うような甘い匂いがして、七海は全身に鳥肌が立った。自分のフェロモンを使ってアルファを思い通りにしようとするオメガがいることは知っていたが、自分の娘にそんな性的なことを仕掛ける母親がどこにいるのだろう。
初めて会った日から、オムツを替えてもらって、一緒にお風呂に入って、一緒に寝て、自分の中心が生えたときにも対処してくれた鷹野は、完全に母親の範疇を出ず、七海に性的な目を向けるはずがなかった。だからこそ、安心して鷹野にはなんでも話せたのだが、目の前にいる「実の母親」という生き物が、七海には全く信用できない。
「高校一年生ってことは、もう16歳よね。結婚できる年なんだから、私たちが決めたオメガと結婚するわよね?」
「私、16歳じゃないよ。年も、産まれた月も覚えてないんだね。あなたなんか、母親じゃない!」
「煩い! すぐに16歳になるんじゃない!」
ヒステリックに叫んだ母親から頬を叩かれて、じんと七海の頬が熱を持つ。要と鷹野は仕事で、梓は学校の学童保育、隼斗と柊は保育園なので、七海を助けてくれるひとは誰もいないが、守らなければいけないひともいなくて、半分安堵する。
「出て行って! 私のママはもういるもん!」
「一緒に来るのよ!」
「嫌だ! 放して!」
腕をとられて引っ張り合っていると、玄関のドアが開いた。そこから見えたのは信久の立派な体だった。
「ななちゃん、うちに来ないから、電話したけど出なくて、心配で来てみれば」
「あなた、誰?」
「相良信久、七海ちゃんの婚約者です」
「あぁ、パティシエの……アルファじゃないの。あのね、アルファの女性は妊娠出産率が低いし、アルファ同士では相性が悪いの。別れてくれる?」
「は? あなた、誰なんですか?」
「七海の母です。幾ら欲しいの?」
札束で頬を殴るようなことをしようとする彼女に、七海はかぁっと頭に血が上るのを感じた。「パティシエ王子」として有名な信久は、アルファということになっている。七海の匂いを確りと付けているから、母親にもオメガということが分からないのだろう。
「こんな細くて小さな体で、子どもが産めるわけない。あなたは、アルファとしての責任を果たすのよ」
「ななは……私は……」
信久と結婚したい。
今まで放っておいていきなり現れたような母親に、邪魔されたくない。
けれど、信久が七海を抱きたくて、七海に赤ん坊を産んで欲しいのならば、確かにアルファ女性として七海は不利だった。
涙を滲ませた七海に、信久が凛と顔を上げた。
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「のぶくん!?」
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悲鳴を上げて逃げていく母親に、木刀を持った手が震えて、七海は床に座り込んでしまう。指一本一本を引き剥がすようにして、信久が七海の手から木刀を外してくれた。
「ななちゃん……こんな俺だけど……」
「嬉しい……のぶくん、かっこよかったの」
抱き締められて七海の目からぼろぼろと涙が零れる。
「場を収めるために言ったつもりはないんだ。本当は、こうするのが一番良いって分かってたんだけど、俺は、勇気がなくて」
「ううん、凄く勇気があって、かっこよかったの」
「自分がななちゃんに抱かれたら、ななちゃんは俺のこと、幻滅しないかと……」
「しないの。大好き」
屈んでもらって口付けをすると、ぶわりと信久のフェロモンが香って来る。このままだと生えかねないので、七海は一度離れて、顔を洗って、信久のせい洋菓子店に向かった。
母屋の方に入れてくれて、信久が新作のケーキと紅茶を出してくれる。
「なな、お料理を覚えるね」
「俺、料理もできるよ?」
「のぶくんばっかりにさせられないの」
来年の三月から住む新居を信久が探している件に関しては、鷹野も要も話は聞いていた。その日、信久が用心のために七海を送り届けて、七海の母親が来たことを話すと、鷹野は苦い表情をしていた。
「本当に無茶苦茶なひとなんだから……」
「ななちゃんが助けてくれました」
「助けてくれたのは、のぶくんだよ!」
お互いにお互いを庇ったことを伝えると、鷹野の表情も緩む。
「子どもも増えて、この部屋も手狭になったし、要ちゃんと考えてたことがあったんだ」
「ななちゃん、結婚しても学生さんでしょ? 家を建てて、二世帯住宅にしない?」
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