抱きたい美女に抱かれる現実

秋月真鳥

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第二部 年上オメガを落としたい日々 (要編)

9.30歳の提案

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 夏休みには海とプールに行った。冬休みは三人で山奥の温泉地に行って、雪遊びもした。スケートにも行った。
 秋に鷹野は30歳になって、毎日ご飯をいっぱい食べている七海は、春休みに4歳になった。体は小柄だが喋りもしっかりしてきて、走るのも早くなった七海。
 四月からは、鷹野は公立の小学校で非常勤の給食室での勤務が決まっていた。
 高校の卒業式に、鷹野はスーツで、可愛いワンピースを着た七海と一緒に出席してくれた。剣道部の後輩から花束をもらって、鷹野と七海のところに行くと、同級生に聞かれる。

「小さいのは要の妹だよね? あの大きいかっこいいひとは?」
「私の将来のお嫁さん!」

 大きな声で宣言すると、隣りに立つ鷹野の顔が真っ赤になる。
 成人したら結婚するつもりなので、要は隠すつもりがないどころか、牽制になるので堂々と宣言していくつもりだった。

「気が変わるかもしれないよ?」
「六年間も好きだったのに?」
「違うって、思うかもしれない」

 信用できていないのか、鷹野は不安そうだった。
 卒業祝いにご馳走をたくさん作ってくれた鷹野。鯛のカルパッチョでお刺身デビューした七海は、大きな目を煌めかせていた。

「こんなおいしいもの、はじめてたべたことない」
「今まで食べたことないと、初めて食べたが、混ざっちゃったかな?」
「なな、まちがえた?」

 4歳児の言い間違えも、感動を伝える手段としては可愛いものだった。お風呂に入って、お手洗いを済ませて、七海がお布団に入る。絵本を読んでお休みを言えば、七海は一人で眠れるようになっていた。まだ小さいので、甘えて眠るまでそばにいて欲しい日はあるが、今日は卒業式で要にとっては特別な日なので、七海にもお願いしてある。

「卒業したから、もう高校生じゃないです」
「正確には四月までは高校生だよ」
「そういう理屈は良いから、鷹野さんを抱きたいの!」

 はっきりと主張すると鷹野は困ったように眉を下げた。体格も良くてかっこいい鷹野が、要のことでは困ってしまうのが可愛くてたまらないのだが、鷹野にはこの気持ちはあまり分からないようだ。
 要と鷹野の身長差は約30センチ。体格差がありすぎて、尻込みしているようだった。

「脱いだ僕の体を見たら、違うって思うかもしれない……」
「そんなことない!」
「でも……」

 言い訳ばかりで前に進めない鷹野を、要はバスルームに押し込んだ。脱衣所で服を剥がしていくと、体格差があるので無理なはずなのに、鷹野は抵抗しないどころか、協力してくれる。
 しっかりと発達した大胸筋に、丸く立派な大臀筋、引き締まった腹筋に、鍛え上げられた太もも。太らないように筋トレをしたり、ジムに通ったりしているようだが、それ以前に鷹野は筋肉のつきやすい、体格の良い血統だった。
 服を脱いだ要は胸の膨らみもほとんどないし、お尻も肉が豊かではないが、そんなことは気にならない。誘うように漏れている鷹野の甘いフェロモンの香りに、要の股間に男性器に相当するものが生えて、そそり立っていた。

「要ちゃん、本当に……」
「鷹野さんのこと、抱きたいです」

 シャワーを浴びてお互いの体にボディソープを塗り付ける間も、要は鷹野の体ばかり見ていた。分厚い胸板を撫でると、鷹野の喉から甘い声が上がる。

「あぁっ!?」
「ここ、感じるんですか?」
「わからな……あっ!」

 胸全体を揉んで、手の平で尖りを捏ねると、鷹野が身を捩る。シャワーで泡を流して、要は鷹野をバスルームの壁に向かって立たせた。
 丸い形のいい尻を揉んで、指先が後孔に触れると、そこが濡れて滑っていることが分かる。

「鷹野さん、発情期ですか?」
「まだのはず、だけど……」

 男性のオメガは発情期にしか妊娠しない。発情期ならば避妊具ゴムを付けなければいけないが、抑制剤も飲んでいるし、定期的に発情期の来る鷹野は、今は発情期ではないと言う。

「甘い香りがします。すごくいい香り」
「それは……要ちゃんが……」
「私が?」
「僕のこと、求めてくれるから」

 アルファである要に求められれば、オメガの鷹野はフェロモンが出てしまう。そんな模範的な答えを聞きたいわけではなかった。
 高い位置にある胸に手を逃して、後ろから尖りを引っ張ると、ビクビクと鷹野の背中が仰反る。くりくりと指先で捏ねながら、要は鷹野の後孔に中心を宛てがった。
 中までは入れず、浅い入り口をくぷくぷと刺激すると、鷹野が身を捩る。

「あぁっ、んんっ! 要ちゃん……もうっ」
「私のこと、どう思ってますか?」
「か、かわいくて……」
「可愛くて?」
「ずっとそばにいられれば良いって……あぁっ! ひぁっ!」

 告白に思わず指先に力が入って、強く胸の尖りを抓ると、鷹野が涙目で要を振り返った。

「いじわる、しないでぇ」

 熟れきった30歳のオメガの体は、アルファの要を求めて後孔を濡らし、受け入れる準備をしている。胸を摘んだままで腰を進めていくと、ずぶずぶと鷹野の中に要の中心が飲み込まれる。

「ひぁっ! ひぐっ! かなめちゃ、おっきい……あぁっ!」
「たかの、さんの、なか、せまくて、あつくて……がまん、できない」
「あぁっ! だめぇ!」

 引き絞られるように締め付けられて、要は鷹野の胸を弄りながら、腰を突き上げていた。ぐちゅぐちゅと結合部が濡れた音を立てて、突き上げるたびに鷹野の中が蠢いて要を追い上げる。

「ひっ! ひぁっ!」
「たかの、さ……でるぅ!」
「あぁぁぁっ!」

 どくどくと鷹野の中で達すると、鷹野も内壁を痙攣させて達しているのが分かる。壁についた手が力が抜けて、タイルの上に座り込んだ鷹野に、要はしっかりと背中から抱き付いた。

「これからも、ずっと一緒ですよ?」
「あっ……うん、ちょっと、待って」

 息が整わない鷹野と要は、しばらくバスルームで抱き合っていた。
 まだ成人していないので「番」にはなれないが、鷹野は要に体を許してくれた。成人したら「番」になって、結婚する約束もしてくれた。
 それでも、寝るときには要は要の部屋で、鷹野は七海と同じ部屋に戻ってしまう。

「抱き締めあって眠りたいです……」

 初めて結ばれた卒業式の日は、七海のこともあるし、我慢していたが、大学に入学してからも鷹野と抱き合うのはバスルームか要の部屋で、行為が終わると鷹野は後始末をして七海と同じ部屋に寝に行ってしまう。

「七海ちゃん、夜にお手洗いに起きることがあるから、その時いないと泣いちゃうよ」
「一緒に寝たい……」

 七海がもう少し大きくなっても使えるように子ども用の柵付きベッドが入って、鷹野のベッドも入っている部屋には、ダブルベッドを入れるスペースがないし、鷹野の体格だと要と一緒に眠るには、キングサイズのベッドでないと狭すぎる。
 要の部屋にも、キングサイズのベッドを入れるスペースはとてもなかった。
 同じ屋根の下で暮らしているのに、夜は一緒に眠れない。

「私の部屋とななちゃんと鷹野さんの部屋の間の壁、取っ払っちゃいませんか?」

 マンション自体は親の金だが買い上げているので、改装ができないわけではない。要の提案に、鷹野は乗り気ではなかった。

「七海ちゃんもそのうち、一人部屋が欲しくなるだろうし、要ちゃんは勉強する部屋が必要だし」
「私も、鷹野さんと寝たいー!」
「かなちゃん、ママとねたいの?」

 ひょっこりと顔を出した七海に聞かれていたが、結婚するのだし、鷹野との関係はいずれ分かることだと要は気にしなかった。

「一緒に寝たいけど、お部屋が狭くてベッドが入らないの」
「あそこのかべ、なくしたら?」

 要の要望を聞いて七海が小さなお手手で指差したのは、お隣りの今は使っていない鷹野の部屋との壁だった。それは全く考えていなかったので、鷹野も検討しはじめたようだった。

「確かに、あっちも買ってる部屋だから、繋げて悪いわけはないし、七海ちゃんの部屋、要ちゃんの部屋を作ったら、寝室が作れないのは問題だから、あそこにドア作ろうか?」

 二つのマンションの部屋を繋げるドアを作って、出入り自由にして、元鷹野の部屋にみんなが眠れる寝室を作る。そうすれば、全てが解決する。七海の発案をきっかけに全てが動き出す。
 改装工事はすぐに始まった。
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