抱きたい美女に抱かれる現実

秋月真鳥

文字の大きさ
上 下
5 / 45
第一部 後天性オメガは美女に抱かれる (雪峻編)

5.二度目は優しく丁寧に

しおりを挟む
「帰らなかったのね、嬉しい」

 バスローブ越しに豊かな胸が雪峻の背中に押し当てられる。後ろから抱き締められて、雪峻の手から鞄がすり抜けて落ちた。床に落ちたそれに構うことなく、艶華の手が雪峻を導く。
 バスルームに連れて行かれて、入り口で口付けを交わす。柔らかな唇が食むように雪峻の唇を塞いで、入ってきた舌に驚いてしまう雪峻の舌を引き出して、艶華が軽く噛んで、吸った。
 初めてのときは理性も飛んでいて、口付けも録に交わさなかった。舌を絡めるディープキス自体初めてで、息ができずに涙目になった雪峻を、艶華がバスルームの中に押し込める。

「綺麗にしてきてね」

 ひっ、と喉の奥で喘ぐように呼吸しただけで、雪峻は返事もできないままでいた。脱衣所で服を脱いで、湯気の立ち込めるバスルームに入って、シャワーのコックを捻る。熱いお湯を浴びながら、バスルームに充満する艶華の匂いに、雪峻の後ろは濡れ始めていた。
 そこを洗おうとシャワーを当てると、お湯では足りない刺激を求めて後孔がキュンと締まるし、ボディソープを塗りたくっても、滑りが取れない。
 これから雪峻は艶華に抱かれる。
 初めてのとき以来の行為に、期待していないわけがなかった。それと同時に、自分がオメガとして染まっていくようで怖くもある。
 ハウスキーパーとは建前だけで、これが艶華の望みだったのだ。給料の多さも、お財布にお金を入れようとしたのも、このためでしかない。身体だけの関係に理由を付けようとすると、目頭が熱くなって胸が痛んで、雪峻は歯を食いしばる。
 シャワーを浴びて、脱衣所に置いてあったバスローブを着て出てくると、艶華はリビングにいなかった。自分の意思でベッドルームまで行くのは、勇気がいる。一歩毎に足が震えたが、艶華の与える快感をもう知っている雪峻は、抵抗することなどできない。オメガは快感に弱いというが、後天性の雪峻も例外ではないらしい。
 ベッドルームのドアを開けると、ベッドに腰掛けた艶華が色っぽく微笑んで両腕を広げてくれた。吸い寄せられるようにふらふらとその腕の中に入れば、バスローブをはだけた、白く豊かな胸に顔が埋まる。
 夢中で胸を揉んで、顔を擦り寄せていると、つむじにキスが降ってきた。

「可愛い子。前回は余裕がなかったから、今度はたっぷり可愛がってあげる」
「あっ……」

 自分で取り替えたシーツの上に転がされて、バスローブを脱がされて、雪峻は恥ずかしさに身を捩る。隠そうとしても、引き締まった細めの腰も、平らな胸も、薄い腹も隠すことができなかった。期待した中心は勃ち上がって、先端から滴を溢している。
 唇にキスをして、舌を絡めながら、艶華の手が雪峻の胸を這う。淡く色付く尖りを掠めると、電流のように快感が走って、雪峻はビクビクとシーツの上で細い身体を跳ねさせた。指先で摘まれて、くにくにと捏ねられると、中心よりも胎が疼いてくる。
 唇を解放すると、艶華はふっくらとした唇で、首筋から鎖骨を辿って、胸元まで丁寧に吸い上げる。尖らせた舌先で胸の頂を突かれて、雪峻は喉の奥で喘いだ。

「ひぁっ! そこ、へんっ!」
「ここでも感じるでしょう?」
「息がっ! あぁっ!」

 わざと息を吹きかけるようにする艶華に、雪峻は身を捩った。欲しくてたまらないのに、艶華はなかなか核心に触れてくれない。
 薄い腹に唇を落とされて、臍の窪みを吸い上げられて、雪峻は堪らずに、自分で脚を広げていた。発情期でもないのに、こんな浅ましいことをしてしまうのは、艶華がアルファで、雪峻がオメガだから。欲望には勝てないのだと、霞のかかったような脳の中で、最後のプライドが言い訳をする。

「ここ、触ってぇ!」
「本当に可愛いね」

 埋めるものを求めてはくはくと開閉する後孔を晒せば、艶華の指がマッサージする様にその周囲をぐにぐにと押す。欲しいのに与えられない焦ったさに、雪峻は自分から指の方向に尻を向けていた。
 入ってきた艶華の絵を描く繊細な指が、雪峻の内壁を撫でて、掻き回す。それだけで泣きそうなくらい気持ち良いのに、その先を知っている身体は我慢することができない。

「つやかを、つやかを、ちょうだいっ!」
「もっと優しくしたかったのに、雪峻くんが煽るから」

 くすりと笑って、艶華が雪峻の手を取って、自分の張りのある太腿の上に導いた。雪峻のフェロモンに反応して生えた艶華の中心は、逞しく太くそそり立っている。それを跨ぐようにさせられて、ガクガクと笑う膝に、雪峻は必死に艶華の体にしがみ付いた。

「欲しいのなら、全部あげるよ。自分で入れてみせて?」
「そんな、無理ぃ……ひっ……ひぐっ……」

 先端を後孔に宛てがうが、腰を落とす勇気のない雪峻に、艶華がその背中を撫でる。感じやすい身体は、それだけでも快感を拾ってしまう。

「あっ! だめぇ! ちからが……んっ、ふぁっ!」

 身体の力が抜けて膝から崩れ落ちる雪峻は、艶華を中に招き入れる形になって、喉を反らせて倒れそうになる。抱き寄せられて、最後まで飲み込んだ雪峻の身体に、胸を押し付けるようにして艶華が舌舐めずりをしている。

「雪峻くんの中、熱くて狭くて、気持ちいい」
「あっ! つやかの、すごい……あぁっ!」

 きゅうっと締め付けると中を埋める質量を思い知って、雪峻はそれだけでも達しそうになってしまう。とろとろと白濁を零す中心は、萎えかけていて、雪峻が中でだけ感じているのは明白だった。

「……いて……」
「どうして欲しいの?」
「おねがい、うごいてぇ!」

 貪欲な身体はもっと強い刺激を求める。埋められただけでは達せない苦しみに、涙を流して懇願する雪峻に、艶華がその唇を食むようにキスをした。
 下から突き上げられて、悲鳴は全て艶華の唇に飲み込まれる。
 快感に溺れた雪峻は、中で熱い飛沫が弾けるのを感じて、内壁を痙攣させて達していた。快感に浸ってシーツの上に倒れ込んだ雪峻の脚を抱えて、艶華ががつがつと腰を打ち付けて責め立てる。達したばかりなのにまた絶頂の波に飲み込まれて、雪峻はおかしくなりそうだった。

「もうっ、あぁっ! ひぁっ! ひっ!」
「そのままイき続けていいよ?」
「あぁぁぁっ!」

 絶頂の波から降りられないまま、再び注ぎ込まれた熱い白濁に、雪峻は苦しいほどの快感を抱いて、意識を飛ばしていた。
 意識が戻ると、艶華に支えられてバスルームに連れて行かれる。

避妊具ゴムなしでしちゃったけど、男性のオメガは発情期以外は妊娠しないし」
「あ……」
「中で出されるの、好きでしょ?」

 くすりと笑われて、太ももを伝う白濁に、雪峻は真っ赤になってしまった。

「ば、ばか……」
「雪峻くんの、馬鹿は、愛があるよね」

 笑いながら艶華が雪峻の両手をバスルームの壁につかせる。尻を突き出すような格好になった雪峻の後孔に、シャワーのノズルを押し当てて、艶華がコックを捻った。

「ひっ! あぁぁっ! これ、いやぁっ!」
「中で出しちゃったから、綺麗にしとかないと、後がきついよ?」
「いやっ! ひぁっ!」

 艶香のものではないのに、熱い飛沫を受けていると、中で出されているような感覚に、雪峻は泣いてしまう。白濁を洗い流されて、バスタブに溜めたお湯の中に浸かったときには、雪峻は疲れ切って眠りそうになっていた。
 豊かな艶華の胸に顔を埋めて、ふにふにと揉んでいると、抱かれたのは自分なのに、抱いているような気分になる。

「雪峻くん、ここで暮らしなよ」
「ふぇ?」
「毎日泊まって行ったらいいよ。大学もここから通って、ね」

 距離的に無理ではないが、こんなにも艶華の生活に入り込んでしまって良いのだろうか。眠い頭では正常な判断が下せない。

「毎朝、雪峻くんが朝ご飯を作ってくれたら、食べられるようになるかもしれない」
「艶華さんの、朝ご飯を……」
「朝はコーヒーだけだもん。雪峻くんの朝ご飯、食べたいな」

 強請られて、抱かれた余韻で甘い気分になっていたのには違いない。

「ここに、住もうかな」

 寝落ちそうになりながら呟いた言葉を、雪峻は残念な事に翌日もしっかりと覚えていたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

小野寺社長のお気に入り

茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。 悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。 ☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。 ☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

処理中です...